
チグリジアの雨
小林由香
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刊行日 2021/10/15 | 掲載終了日 2021/10/14
ハッシュタグ:#チグリジアの雨 #NetGalleyJP
内容紹介
命の重要性を問いかけ、連鎖する“いじめ問題”に一石を投じる、青春ミステリ小説。
東京の進学校に通っていた、高校一年の成瀬航基は、母の再婚をきっかけに、ある田舎町に引っ越すことになった。転入して間もない学校生活は順調に進んでいたが、そんな状況が一変し、突然いじめのターゲットになってしまう。いじめは次第にエスカレートしていき、航基は身も心も耐えられなくなっていく。不条理な目に遭うたびに心は削られ、誰にも相談できずに、我慢の限界を迎えた航基が出した結論は「死」。地元で『ゴーストリバー』と呼ばれる河を自殺の場所に選ぶが、その河でほとんど学校にも登校せず、真面目に授業も受けない、クラスメイトの月島咲真と出会う。そんな咲真が航基に対し、「報復ゲームに参加しないか」という衝撃的な一言を放つ――。
おすすめコメント
生きられるのに選択される「死」。
生きたいのに選択せざるを得ない「死」。
生と死の選択は誰が決めるのか!?
蔑まれた者だけが知る深淵。
声なき声は届くのか?
生きられるのに選択される「死」。
生きたいのに選択せざるを得ない「死」。
生と死の選択は誰が決めるのか!?
蔑まれた者だけが知る深淵。
声なき声は届くのか?
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784758413954 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
NetGalley会員レビュー

咲真が映画を好きな理由は、私が小説を好きな理由と同じだ。この物語は、目を背けたくなるような場面がたくさん出てくるけれど、人間の脆さや儚さと同時に、強さや確かさも伝わってくる。この物語を読んで、勇気づけられる人がきっといるはず。

見たままの印象や不確かな噂で目を曇らせることの怖さを感じる。
人から聞いた情報で勝手に偏見を持っていることは日常にも多分にある。
終わりのないイジメ。辛い描写がたくさんあった。その教室にいて見て見ぬ振りをせず声をあげることができただろうか。
たった一人でいい。そんな出会いがあれば。月島咲真の言動の裏にあった想いが胸を締め付ける。
ねえ。声をあげてと願わずにはいられない。

この手の題材を扱った小説は題材の重さにやられてしまうタイプが多いけれども、いじめの描写とかは必要最小限に抑えて、家族の問題やどういう方向で解決を見出していくのかを内面描写多めに描いていて、キャラクターの奇抜さに反して丁寧な作品だったように思う。

「いじめ問題」に一石を投じる、「報復ゲーム」と紹介されてるし、
小林由香さんの作品だし、残虐な内容を想像していましたが、
よい方向に裏切られました。いじめの描写は理不尽ですが、
咲真の真意がわかるラストは希望と明るさに満ちています。
いじめのない世の中になってほしいと強く願わずにはいられない。

いじめはなくならない。人がいる限り。そう聞いたことがある。人のもつ性が何かを排除したがるものからだそうだ。だとしたら、人は何という愚かで悲しい生き物なのだろう。誰かを排除してそれを見て喜ぶなんて。それを見て見ぬふりをするだなんて。なんと悲しいことなのか。

くだらない――イジメを始め理不尽だらけの「生」に終止符を打とうした高一男子が、死の直前で出会った不思議なクラスメイトと報復を企てる青春ミステリ。
陰湿な行為の応酬は何も生まない。実にシンプルな救いを訓えてくれる爽快な作品。憎む事は簡単、赦す事は難しい。主人公を想う人たちの不器用な道標が切なく心に響いた。優しい祖父だからこそ気付いた手紙のエピソードが一番印象的で、味わい深いキャラたちが際立っていて良かった。