残月記

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刊行日 2021/11/18 | 掲載終了日 2022/03/24

ハッシュタグ:#残月記 #NetGalleyJP


内容紹介

祝・第43回 吉川英治文学新人賞受賞!

2022年本屋大賞ノミネート!!!


『本にだって雄と雌があります』(第3回Twitter文学賞国内編第1位)から、9年。

最も刊行が待たれた作家の最新作、遂に登場!


ダークファンタジー×愛×ディストピア

全編「月」をモチーフにした、超弩級エンターテインメント!


東山彰良氏(『流』直木賞受賞)、真藤順丈氏(『宝島』直木賞受賞)、大森望氏、豊崎由美氏、絶賛!


【内容紹介】

「俺は突然わけもわからないうちに何もかもを失って、一人になった!」

不遇な半生を送ってきた男がようやく手にした、家族というささやかな幸福。だが赤い満月のかかったある夜、男は突如として現実からはじき出される。

「そして月がふりかえる」

                             

「顔じゅうが濡れている。夢を見ながら泣きじゃくっていたのだ」

早逝した叔母の形見である、月の風景が表面に浮かぶ石。生前、叔母は言った。石を枕の下に入れて眠ると月に行ける。でも、ものすごく「悪い夢」を見る、と……。

「月景石」


「満月はいつだって俺たちに言う。命を懸けろと」

近未来の日本、人々を震撼させている感染症・月昂に冒された若者。カリスマ暴君の歪んだ願望に運命を翻弄されながら、抗い続けてゆく。愛する女のために。

「残月記」

                                    

著者の計り知れぬ想像力が構築した三つの異世界。

そのとば口に立ったら、もう後戻りはできない――。


【著者紹介】

小田 雅久仁(おだ まさくに)

1974年宮城県生まれ。関西大学法学部政治学科卒業。2009年『増大派に告ぐ』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビュー。13年、受賞後第一作の『本にだって雄と雌があります』で第3回Twitter文学賞国内編第1位。

祝・第43回 吉川英治文学新人賞受賞!

2022年本屋大賞ノミネート!!!


『本にだって雄と雌があります』(第3回Twitter文学賞国内編第1位)から、9年。

最も刊行が待たれた作家の最新作、遂に登場!


ダークファンタジー×愛×ディストピア

全編「月」をモチーフにした、超弩級エンターテインメント!


東山彰良氏(『流』直木賞受賞)、真藤順丈氏(『宝島』直木賞受賞)、大森望氏、豊崎由美氏、絶賛!


【内...


おすすめコメント

東山彰良氏(『流』直木賞受賞)、真藤順丈氏(『宝島』直木賞受賞)、大森望氏、豊崎由美氏、絶賛!


なんと豊かな物語性だろう。

この作品集は娯楽に徹しながら、

あきらめとその先にあるものまで見せてくれる。」

東山彰良氏


打ちのめされた。あまりに豊饒な詩と魔術。生と死が尾を喰らいあう

文章世界。物語の祖(おや)である月――「竹取物語」から千年を超えて、今、破格の裔(すえ)が私たちの夜空に昇った。古今を貫いて比類がない、これから千年輝きつづける現代小説の最高峰。

真藤順丈氏



「〝月昂(げっこう)〟に冒された未来を描く表題作が圧倒的。

かくも苛烈で静かな恋愛小説がかつてあっただろうか。

小田雅久仁の底知れぬ才能に戦(おのの)く。」

大森望氏


「この3つの物語が刻印されてしまったら、

もう以前と同じように月を見上げることはできない。

決して。」

豊崎由美氏


(編集担当より)

2018年秋のある日、「残月記」の原稿を初めて読んだときのことは忘れられません。

ラストの一行を読み終え、会社のデスクでしばし放心していました。隣席の同僚に「エラいもん読んじゃった…」と呟いた記憶があります。胸の中を感動がごうごうと渦巻いていました。そのときに憶えた感動は、その後何度原稿を読み返しても目減りすることなく、むしろ強度を増していきました。

小田さんは、「恋愛小説を書こうと思ったわけではないのに、結果的に『愛』の物語になったから不思議です」とおっしゃいますが、これほど純度の高い無垢な愛の物語はないかもしれません。「そして月がふりかえる」も「月景色」も、突き詰めればやはり愛の物語なのだと思います。


東山彰良氏(『流』直木賞受賞)、真藤順丈氏(『宝島』直木賞受賞)、大森望氏、豊崎由美氏、絶賛!


なんと豊かな物語性だろう。

この作品集は娯楽に徹しながら、

あきらめとその先にあるものまで見せてくれる。」

東山彰良氏


打ちのめされた。あまりに豊饒な詩と魔術。生と死が尾を喰らいあう

文章世界。物語の祖(おや)である月――「竹取物語」から千年を超えて、今、破格の裔(すえ)が私たちの夜空に昇った。...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784575244649
本体価格 ¥1,650 (JPY)

NetGalley会員レビュー

月をテーマにした短編2作と表題作のカップリングで小田雅久仁の世界を堪能できる一冊。

短編の「そして月がふりかえる」と「月景石」はフジテレビの”世にも奇妙な物語"的な話。「そして月がふりかえる」は日常に潜む恐怖、ほとんど普段と変わらないが自分だけが違うという恐怖。「月景石」は月に潜む異世界談。どちらの作品も変わったテイストの作品だが心に引っ掛かる不思議な話である。

「残月記」はジャンル分けも難しいが、ディストピアを舞台にした恋愛小説といったところか。謎の感染症「月昂」の流行をきっかけにとんでもない管理社会となった近未来の日本、そんな中で月昂症を発症したためになぜか剣闘士(グラディエーター)となった主人公冬芽が同じ月昂症患者瑠香との愛を貫く物語。

月は太陽を対をなして、夜に存在感を示す、何となく謎めいて淫靡な香りがする天体ではあるが、そのイメージを妄想でふくらませたような作品。読み進めると現実世界からすこしづつズレながら構築された世界観に引き込まれる。ファンタジーっぽい世界なのに自分の住む世界と紙一重で裏返しただけという感覚。読み始めると結末まで止まりません。

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月にまつわる三作の話

月に関する本といえば、かつてブームとなった月が持つ不思議な力のようなものなのか、それとも狼男のような設定なのかそんな事を思いながら読み始めました。
しかしその思いは見事に外れました。

特にタイトルとなった「残月記」は、圧倒的なスケール感と、登場人物の心のひだに触れる描写により読む事を止める事が出来ないほどの疾走感を味わいました。
内容紹介に『もう現実には戻れない__』とありましたが、その言葉でしか表せない感覚が読後数時間続きました。
色鮮やかな異世界がはっきりイメージでき、読みながらその世界を体感し、まるで映画一本見終えたようでした。

他二作も、異世界と現実世界との境目が分からなくなるほど引き込まれました。

普段から月を眺め、写真を撮る事が好きなので、きっと次の満月が訪れた時、この話を思い出すと思います。

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読み終えた後、深く長くいつまでも波紋を残す、最高のディストピアファンタジー。
こんな本を今まで読んだことがあるだろうか。月をめぐる3編からなる連作小説だが、どの作品も独特で張り詰めた孤独が胸をえぐる。表題作『残月記』は選択肢のない人生という絶望の中、己をかけて生をまっとうする主人公の生き様が突き抜けている。そしてどんな優しい物語よりも愛に溢れた作品だった。素晴らしかった。

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その描写が独特であるにも関わらず、的確で、その世界観に説得力を持つ物語でした。映像なら指の隙間から見るような場面もありましたが、嫌悪感はなく、不思議です。
残月記などは、ノンフィクションのような書き方と、恋人たちのロマンチックな純愛のバランスが面白いと思いました。最期の頬笑みに納得の理由が、切なさを感じさせます。

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月の影響を受けた不思議な世界の話。自分と似ている自分でない誰かに自分の人生を乗っ取られる。一瞬の出来事で、自分にもし同じことが起きたらどうしようかと思うほど、起こり得そうな話でした。
不思議な石によって、別世界に行ってしまう、月昂という不思議な病気にかかってしまう、どれもあり得ない話なのに、あり得る気がしてきて、ゾクゾクする話ばかりでした。

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ひとたび物語のなかに足を踏み入れると、そこではすべてが逆転していた。
あの世がこの世になり替わり、顔を知らぬ他人が「私」の顔をしてのさばっている。
現世と幻世の狭間で、私は壊され息絶える。
すべては月のせいだった。
青白く冷え冷えとした月が夜空に昇る限り、私たちはその支配から逃れることは決してできない。
月はすべてを見つめていて、人々のがら空きの背中を、空っぽになったこころを狙っている。
けれど月に監視された世界でなお、奪われることのなかった愛がふたたびその手に収まるとき。
この世を超えた世界で、豊かな森とあたたかな陽の光が射し込むとき。
物語は、「私」のなかで息を吹き返す。
物語のなかで、私たちはもう月光に怯えない。
太陽の光のもとで愛を囁き交わし合える。
真実の物語が差し出したのは、あまりに眩い僥倖だった。

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静かに激烈、今年屈指「一文の濃さ」を感じた。これほど印象的に美しく、そして何より恐ろしく「月」を描いた作品がかつてあっただろうか。
万人受けする現代小説とは言えないかもしれない。けれど、一度この話を読んでしまうとそれ以前と同じ気持ちで、何も考えずに、夜空に浮かぶ月を見る事が出来ないと断言出来る。
それくらいインパクトがある作品。

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見ることのない月の裏側。
❝陰❞としての象徴たる月にまつわる中短篇集。
ただ天体として地球を周回しているだけなのに、自ずから光を発せずただ反射させているだけであり、さらに影に入ると形まで変貌させる性質のためなのか❝陰❞としての代名詞のような扱いをされる月がもたらす怪しい世界が綴られる。中でも表題作「残月記」は、中世欧州の怪しい伝説をモチーフに、現代の未知に対する恐怖差別すら入れ込み、一時代前の選民思想とも状況を造り出すという離れ業的な世界観を醸し出している。そんな中、怒り、悲しみ、苦しみが横溢しながらも、一定の諦観、静謐さが溢れているのはそれこそ❝月❞によるものだからなのだろうか。
我々が気づかない、見えていないところであり得るかもしれないディストピア小説。

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月を眺めてのほほんと「キレイだな〜」なんて言っていた自分がぶん殴られた気分です。月、怖い。いや怖いのはこの作者さんの頭の中かもしれません。
以前のように月を眺めても、キレイだなと単純にはもう思えない。この本を読む前と後では確実に変わってしまった。
私はこれから月を見るたびにこの本の事を思い出して、震えて、でも読み返さずにはいられないと思います。

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月がメインではなく、月を題材とした幻想小説といった色の中編集。表題作は最初乗り切れなかったが本題である剣闘士の話からは一気に読めてしまった。2作目は割とシンプルな異世界との同期ものというか、プロットは普通だった(内容は普通ではないけど)のであまり印象に残らなかったが、1作目のグロテスクさが個人的にはなかなかだった。はっきりと原因がわからないうちに迷い込んでしまうという夢のような夢じゃないような感覚と、語り手もよくわからなくなっていく感じがじわじわときた。
3作なのに非常に多彩な物語で、読後の満足感が非常に高かった。

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表題作の残月記が凄かった!
過酷な運命の中で生き抜こうともがき続ける主人公の姿が静かながら圧巻でした。
自分にとってずっと記憶に残る一冊になるであろうと思います。
他の作品も月が本来持つ不思議な妖しい魅力を存分に描いていました。
いやほんとに、残月記凄かった。

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月に纏わる3つの短編。どの月も、月の持つ美しさや清しさ、艶やかさや神々しさを残しつつ、暗く妖しく、不気味で怖い。でも、誰もが必ず一度は感じたことがあるだろう月への畏怖を研ぎ澄ませばこうなるのではないかと思う。
特に圧巻なのが表題作の『残月記』。
近未来の退廃した日本に蔓延る、月に支配される病に冒された人々の苦厄。独裁者からの支配と病からの支配による二重の絶望のその最中に生まれる愛。読んでいる途中ずっと「なんか、なんか、すごいの読んでる。すごい…」と譫言のような気持ちがグルグルと浮かび、ゾクゾクと鳥肌が立つようだった。全くハッピーエンドではない。けれど安堵にも似た気持ちで読み終えた。心を圧倒的に支配される強い作品だと思う。

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とても面白かったです。
特に3章の冬芽の物語がお気に入りです。読みながら、救いのない、差別と暴力のラストだと思いましたが、残酷で純粋な男女の恋愛物語で驚きました。冬芽の生き方にはブレがなく、最後まで冬芽で、孤独と逞しさに胸が熱くなりました。自由に生きれる自分がいかに卑しく煩悩まみれで情けない、差別する側の人間だと居た堪れなくもなりました。
素晴らしい物語を読ませてくださりありがとうございました。

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今生きているこの世界が表側とはかぎらない。
ここが表なのか裏なのかそれは分からないけれど、ある日突然くるりと反対側に入れ替わることがあるかもしれない。
月が持つ怪しい魅力と恐ろしさ。何も言わず静かにそこにあるだけなのに、もう見上げるのが怖くなってしまった。

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表題作の『残月記』はてっきりコロナ以降に書かれたと思っていたが、初出は2019年。月昴という架空の感染症が世界に引き起こす悲劇が語られます。流麗な文体と緻密な構想に引き込まれました。主人公、冬芽と瑠香の愛の行くへのほか、格闘シーン、独裁社会の政治抗争など読みどころ満載で、よくこれだけの世界を構築したと思います。

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自ら光り輝く太陽と違って、月には凛とした静けさがある。が、そこに付き纏う陰鬱さも否めない。月の妖気に魅入られたようなダークファンタジーが3篇。振り返った月に人生を乗っ取られた男。不思議な石に導かれ月と地球、二つの世界を夢に繋がれ行き来する。そして、コロナとライ、ヒトラーとローマ皇帝がごちゃ混ぜになった異様な近未来の中で貫かれるあまりにもピュアな愛。ホラー系は苦手な私が夢中で読み進むその文章力に加え、驚きの発想と世界観。ズブズブと完全に月の妖力に憑りつかれていく快感。読み終えて、ふと見上げる夜空に残月…と思いきや、北陸の冬には珍しい三日月が輝いていた。

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月にまつわる三つの物語。
月というテーマがとても不思議で、不気味な印象を与えられるが、物語もその月という雰囲気を巧く表現している。
おどろおどろしい物語の始まり、純粋無垢な愛の物語にもなり、素晴らしい筆致とともに、とても読み応えのある作品だった。
一級品のディストピア小説。

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少しずつ月の魔力が日常に染み出してくるように段階を踏んで世界観に浸っていくので表題作の「残月記」は超大作の映画以上の没入感で頭だけでなくどこまでも入っていきそうになり、強烈なイメージで今までの月に対する印象が塗り替えられていくのを感じました。

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夜空をながめて見える月は1つだけど、この本の中には『月』という名の全く違うものが3つ存在していました。突然「自分」という存在が取り替えられ背中が冷〜っとする不気味な物語。運命の石を持った主人公が、己の使命に気付いて走り出す希望の物語。そして最後には過酷な運命を乗り越えた先にあった壮大な愛の物語。どれも読み進めているうちに、いつの間にか不思議な世界にするりと放り込まれていました。
読ませていただき、ありがとうございました。

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月にまつわる3つの物語。読み終えた今、長い夢を見ていたような、月の魔力に絡め取られたような不思議な気持ちになっている。硬いのだが、すっきりとした文章でどんどん読めてしまった。リズムが良いのだろうか。1話目でゾワリとし、2話目ではさらに不可解な気持ちにさせられ、3話目では一気にギアが上がる。先の読めない展開に、魅入られたようになってしまった。全体的に人間が獣じみて描かれていて、激昂者たちの収容施設はナチスによるユダヤ人迫害を彷彿とさせる。しんどいと思いながらも、からりと乾いた文章に助けられて読み進められた。私たち人間は、月の力に大きく影響を受けているのかもしれない。そんな風に考える私は、まだ夢から醒めてないのかもしれない。

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三部作がまるで交響曲のように思えました。ディストピアを描いているのですがどの章にも根底には愛があり特に残月記は骨太な男たちの物語でありながら一途な愛を貫く主人公に涙します。力強さと叙情的な文章に酔いしれてしまいました。

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短めの二篇と表題作の三編。どれも月が大きな役割を果たす、異色の物語だった。
かなり前から読んでいたのだが、時間をかけて読んだ。
月をテーマにした文芸作品は数多ある。太古の昔から人は一番身近な星として暮らしのそばでいつも見えている月とさまざまな関わり方をしたであろう。月齢は命の営みに影響を与えるものだとも言われる。月lunaという言葉は必ずしもいい言葉ではない。狼男は月夜に出る。
タイトルからは、山月記を思い出した。高校の頃現代文で読んで鮮烈な記憶が今も残る(一字違いなので着想を得たのかと思ったがそれはこちらの勝手な想像)。人の力を超えた力を持つ月。この世とは別の世界がすぐそこにあるのかもしれない。表現は時に残酷で厳しい。しかし使われる比喩などは文学的で、どれも悲哀に満ちた物語なのだが、これはやっぱり少し残酷なラブストーリーなのだろうな、とどの三遍にも感じられた。

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月にまつわる3つのお話。
「そして月がふりかえる」「月景石」「残月記」どれも月が印象的に描かれている。
「そして月がふりかえる」はその最初の異様な光景を主人公とともに目撃したような気分になり、「月景石」はファンタジーの不思議な世界観に浸りながらしばらく結末について考えた。
でもなんと言っても表題作の「残月記」は凄かった。。。
正直なところ、一話二話と読んでいてどんなこれは短編集なんだろう?と分からなくなっていた。
そこでの「残月記」だ。まさか最後にこんな話が待っていたとは。
この結末に完全に心を奪われた。衝撃を受けた。近未来のディストピア小説、描かれるのはやはり人の心で一人の物語、それはいつだってどんな時だって今だってそうなんだ。人は愛する人のために、愛した人のために自分の人生を捧げることがあるのだと思う。息が苦しくなるような主人公の環境、その残虐さに息を潜めて読みながら最後に残ったのはやはり希望…だと思うし、そう信じたいのだ。

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月にまつわる3編、どれも不穏な雰囲気だけど読み進めてしまう。SF小説だけど日常が少しずれただけのような気もする。そこがとても面白い。それぞれの結末はハッピーエンドとまでは言えないが、少しだけ光が見える。その少しの光がとてもちょうど良くて好きです。

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月が、迫ってくる。月をモチーフにしたこの物語は、つねに非日常が横たわり、足を止めることも許されず、気づくと物語のなかに閉じ込められていた。美しく妖しく、見たこともない境界に立ち辺りを眺めたとき、世界が反転したような気がした。

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世界観に圧倒され、設定の巧みさに唸り人々の感情に翻弄される。この濃密な本に体の血も沸騰する!
フィクションであるはずなのにその世界に住んでいるように錯覚させられ、もしかしたらと、思わせる様な作家の力量にただ脱帽するのみでした。

ただ、生きていたかった主人公。
少しづつその生きる意味を見つけていく姿、手探りだったものが確かな物を握りしめた瞬間にこちらの心さえも主人公と一緒に生き始める。

たとえ、生涯互いに触れることが叶わなくとも、目を見つめ合う事が出来なくとも、ただ生きていると言う事を伝えるだけのために、生きている。そんな守り方があるのか!!
人は醜い、でも人は美しい。

木彫りが増えていくシーンでは涙が溢れました。
人の幸せとは…生きるとは沢山の思いでいっぱいに、なりました。

読み終わったあと、頭上にあるはずの
月に視線を送る事を一瞬躊躇ってしまった。そこにあるのは、私が知っている月だろうかと

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月に魅せられ翻弄された者たちの不思議な世界を描いた三つの作品集。どれも独特で幻想的な表現が用いられていて、浮遊感から現実との境が不透明になる。三篇通し徐々に理不尽の色が濃くなり、狂気を孕みながらも次第に愛へと変貌していく。
ある夜、突如として全てを失う『そして月がふりかえる』は、現実味が伴い共感も深く、一番相性が良かった。自分がおかしいのか?と錯覚させる様な月夜の静謐さが残酷さを助長していた。

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ものすごい質量の3篇。
私も月の方がどちらかと言えば好きだなぁと思ってしまう。誰にでも降り注ぐ太陽より、私だけに見せる月といった感じがあるからだろうか。
どの話も読んでいてその光景がありありと浮かんでくるようで、映画やドラマを見ている感覚になった。
1つだけでも、ハッピーエンドで終わってくれて救われた。

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またしてもすごい作家が現れた。月をモチーフにした3編はどれも想像を超えた世界観。「月がふりかえる」では違う自分に現在を奪われてしまう男、「月景石」は夢と現実の世界を漂う女性が主人公。満月の魔力の怖さがひたひたと襲ってくる感じ。圧巻は表題作。ダークなストーリーなのに愛と希望を感じてしまう。感染病が社会を変え、人は差別も偏見も日常となり残酷になっていく。絶望の中で生きる冬芽が持つ強さと優しさに胸が締め付けられる。文章表現が独特で中毒性あり。

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すべての作品で長編にして欲しいほど、後ろ髪を引かれる思いで読み終えた。「そして月がふりかえる」は一瞬で家族を失い世界に一人だけ取り残される感覚は恐怖しかなかった。これから希望が見えてきそうなラストは他にはない読後感。「月景石」はぜひ長編で読みたいくらい、世界観が作り上げられた作品で驚く。これを短編で出しちゃってもったいなくないですか?「残月記」は闘士の名前に姓と名の間にミドルネームがあったり、月昂の感染により能力値にバフが掛かるなど、漫画的な設定なのに内容が重量感があり夢中になって読んでしまった。

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月は美しくも怪しげに煌めき私を魅了する。月には世界があるんじゃないか、月の裏側はどうなっているのか、そんな妄想をしたことがあるのは私だけではないはず。この作品は月の世界に住む胸に石を抱いたイシダキ、月の満ち欠けとともに苦しむ流行り病の月昂など、魅惑的な月をテーマにしたファンタジーであり、月への妄想と憧れと畏怖が詰め込まれている。夢か現か、異世界との境界線で迷子になる。あの、クラクラとした感覚に酔いしれる。素晴らしかった。

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長い旅に出ていたような気がする。或いは別の世界で人生を終えたような。私が読み終えたのは本当に短編集だったのだろうか? と疑わずにはいられない。小説家が己の作品の中でも会心の出来の一文だ、と思ってもおかしくない文章がそこかしこに散らばっている。甘美な文体の暴風雨……その筆致の何と美しいことか。「そして月がふりかえる」「月景石」「残月記」現実から夢の世界へ、荒涼たる月面世界へと降り立つ。徐々に月の狂気に当てられ、変質していく。月の裏側に広がるのはディストピアなのかもしれない。私もまた、月に魅入られたのだろう。

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澄んだ空気に気高く崇高なほど美しい月夜。
突然、世界が反転する。知らない他人が自分の代わりに何食わぬ顔で暮らしいる?これは夢か現か?
他人との境目が突然曖昧になり自分とは何だったのか?
ダークファンタジーの世界観。
コロナ感染症の発生前に書かれたこの作品。
50年ほど先の近未来の話。感染症「月昂」が流行し、淘汰される世界。
社会に不安もたらし、やがて独裁者により支配されていく世界は、現実を予感しているのかと、恐れを感じるほどにリアルに感じる。ディストピアの世界
決してベストとは言えない物語の進行に驚愕と畏怖の念を感じつつ。
やがて独裁者の世界が行き着くところはどこなのか?
不安が増大する現実の今に、いろいろな角度から湧き上がる問題を暗示しているようで畏るべき作品。

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“月”をテーマに書かれた、3編のそれぞれ独立した物語。どれも不思議な魅力と怪しげな雰囲気を漂わせていました。ディストピアな世界が怖くて、読んでいて苦しかったです。でも表題作の「残月記」に出てくる、“月昂”という架空の病気にまつわる歴史と人々の物語には、感動しました。

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表題作のラストシーンがあまりにも美しい。淡々と描かれる主人公の怒涛の人生、その根本も、途中も、辿り着く先にあったものも、すべては「愛」だったのだなと心に落ちてきた瞬間、涙がこぼれた。リアリティのある独裁政治下の風景も、月の世界のファンタジーな空気も、全て圧倒的な存在感で包み込まれる傑作。最初から最後まで夢中で読みました。

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読み始めたときはなんだか独特で難解で、最後まで読めるか不安になるほどだったが、文章に説得力がとてもあり、物語にリアリティが加わって実在した人物の伝記とか歴史の書籍を読んでいるのかと錯覚しそうだった。どの話も月が重要な存在だが、想像を遥かに超えてくる展開で他にはない唯一無二の小説だと思う。三話ともそれぞれ終わり方がとても良かった。
どん底の絶望の中にも希望や愛が溢れ出すような、素晴らしい読書体験をありがとうございました。

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月にまつわる連続短編作品が三作入っているが
この作品を ファンタジーとかSFとか
枠にはめれない
わたしの陳腐な言葉では表しきれない
小田さんの想像力と表現力が並みじゃない。
日本語の美しさに酔いしれた読書体験でした。
月だけじゃない、物事の表と裏、陰と陽、静と動、月の表と裏、人格の陰と陽、森と砂漠、反対のようで表裏一体の怖さや、美しさを、リアルにすごく生々しく描ききっている。
読後 現実に戻ってこれなくなるほど作品に没入できる。

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月の世界に引き込まれて
じっくりと時間をかけて読みました。
壮大な物語を読んでしまった…
そんな気がします。

ただ綺麗だと思っていた月が
読んだ後に見上げると
怪しげに、意味ありげに
にやりと微笑んでいるようで
ちょっと怖くなってしまいました。

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残月に照らされた記憶の浮遊。
静謐に根を張るような愛。
それは満ちるでも欠けるでもなく、背中合わせのまま響き合う。
混沌とした美しさと恐怖のようにそれらは綯交ぜになり、けっして目を逸らすことができない。
月はもう、以前とは同じ顔をしていない。
毎夜のようにそこにあったはずの月は、もうこの空のどこにも昇らないんだ、と。そう思いました。そのくらい影響力を感じる作品でした。
文体が豊かで独特な美しさがあり、心に響く文章が散りばめられていて、その面でも読み応えがありました。
満ちた月を見るたびに、きっとこの世界観を思い出すと思います。

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人はファンタジーの中で生きているのかもしれない。
ファンタジーと現実の境界ってどこ?
別の世界から見るとこの現実こそファンタジー染みているのかも。
とか色々考えました。
全てのお話が月にまつわる物語。
「月をジッと見上げてはならない。」
そんな事を聞いたことがありますが、この本の主人公たちは月に魅入られてしまったのかも。
すごく悲しくて切ない愛の物語。
この世界は不条理でちっぽけで流されても、生きるしかない。

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月にまつわる3作品。
現実の世界がガラリとかわり、夢か現実かわからなくなる。
そしてやはり『残月記』が1番印象的だった。
異世界の出来事とは思えないくらい不思議な感覚。
『月』をこんな気持ちでみることになるとは。
おそろしい。

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月にまつわる3つの短編集。
SFでもあり、愛の物語でもある本作。
突飛な設定でありながら、淡々と語られる世界のあまりの緻密さに、本当に世界の裏側では、こうして生きている人達がいるんじゃないかと恐ろしくなる。
理不尽な人生に直面した時に、どうにもならない絶望の中で、小さな希望を見つけて生きる人達のなんと尊い事か。与えられた人生を生ききるという事を、救いのある人生を自ら創っていく強さを、魂の底が震えるように読みました。

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このお話たち、繋がってるのかと思ってたら繋がってなかった(笑)
子供の頃、父の車で夜のドライブに連れてってもらうのが好きだった。
どこまでも追いかけてくる月が不思議でたまらず、車の窓から手を伸ばしたく衝動に駆られていたっけ。
月にまつわるそれぞれの話をぞくぞくしながら読んだ。不思議な魅力のある作品。

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『本にだって雄と雌があります』でファンになった小田雅久仁先生の新作!
”月”をテーマにした短編2作と表題作である中編1作の3つが収録されています。
1作目『そして月がふりかえる』
平凡だが幸せに満ちた男。背後に迫る月を振り返ったときに訪れた出来事。F・K・ディック的な悪夢世界。不確かな現実が襲い来る恐怖譚。
2作目『月景石』
異世界ダークファンタジーにして転生もの!引き出しが多い!これだけで1作長編が書ける!
3作目『残月記』
伝染病”月昴(げっこう)”に感染した主人公。疫病対策により隔離された施設で行われる独裁者の非公式闘技大会。
同じ月昴に罹患した男女が紡ぐ愛の物語。
前作とは違う、暗黒面が押し出された逸品!新たな一面を見せた著者の筆力に溺れました。
次の作品はいつ?いまから待ち遠しいです。

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月にまつわる3つの作品群。表題作の残月記は、コロナをにおわす感染症月昂という病。独裁者の出現。そして、闘技場。パンとサーカスの時代を彷彿させる世界。月昂にかかると短命だが、力が漲る。それは才能、腕力、性欲・・・。景月石の話は、その石を机に入れて寝ると悪夢を見るという不思議な話し。一番好きだったのは、そして月がふりかえる。この作品は、見事です。月がふりかえると世界がそっくり入れ替わる。自分が別人になるだけでなく、そこまでのプロセスというのかな、それも変化していて、とにかく革新的な小説だった。すごくいい。

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