アフター・サイレンス
本多孝好
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刊行日 2021/09/03 | 掲載終了日 2021/10/07
ハッシュタグ:#アフターサイレンス #NetGalleyJP
内容紹介
大切な人が殺された時、あなたは何を望みますか――。
警察専門のカウンセラー・唯子(ゆいこ)の仕事は、事件被害者やその家族のケアをすることだ。
夫を殺されたのに自分こそ罰を受けるべきだという妻。
誘拐犯をかばい嘘の証言をする少女。
傷から快復したはずなのに、姉を殺した加害者に復讐した少年……
多くを語らないクライエントが抱える痛みと謎を解決するため、唯子は奔走する。
絶望の淵で、人は誰を想い、何を願うのか。そして長い沈黙の後に訪れる、小さいけれど確かな希望――。
80万部突破「MOMENT」シリーズ、『dele』の著者が贈る、深く胸に響く物語。
【プロフィール】
本多孝好(ほんだ・たかよし)
1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。94年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。99年同作を収録した『MISSING』で単行本デビュー。「このミステリーがすごい! 2000年版」でトップ10入りするなど高い評価を得て一躍脚光を浴びる。著書に『MOMENT』『WILL』『MEMORY』『FINE DAYS』『真夜中の五分前』『正義のミカタ I'm a loser』『チェーン・ポイズン』『at Home』『ストレイヤーズ・クロニクル』『Good old boys』『dele』などがある。
出版情報
ISBN | 9784087717648 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
警察が斡旋する犯罪被害者専門のカウンセラーが、自ら抱える傷を活かし、塞いだ心と向き合う希望溢れる物語。
大前提にまず本人がカウンセリングを心から望んでいるのか、何が自分を苦しめているのか自覚があるのか、きっとどんなベテランカウンセラーでも対象かわる度に手探りの新米からスタートしているんだろうな、と感じる緊張感がひしひしと伝わってきた。加害者にも被害者にも双方の家族にも、何が救いになるか分からない中で小さな変化を汲み取ろうとする主人公と、彼女をそっと支える周りの人達の辛抱強さと温かさが際立っていて良かった。
重い話の中でもときめくシーンもありとても魅力的でオススメの作品。
犯罪被害者専門のカウンセラーである主人公が、事件被害者やその家族のケアをするために考え奔走する…。主人公・唯子が向き合う彼らが抱えているもの、到底それは複雑でそれぞれに重い。毎回依頼人に向き合う度に、唯子は一からスタートし、自身の言葉や感情と闘い続けているようでした。なんという過酷な仕事なんだろう。
唯子自身の家族と人生にもとてつもなく重い“秘密”があり、彼女はそれにも苦しみながら仕事をしていきます。
暗闇の中で微かにもれる光に似た何かを掴み取るたためにもがき続ける唯子の姿に、読んでるこちらが鷲掴みされました。
とかれることのない葛藤。
殺人事件加害者家族でもあるカウンセラーの高階唯子は日々被害者家族の心に寄り添っていた。様々なカウンセリングを経て、自身の葛藤に向き合う日は来るのか・・
完全に数値化などできない心を扱い、さらに特殊ともいえる犯罪にからんだ家族として心が千々に乱れて苦悩する姿が痛々しい。カウンセリングを通して被害者家族に寄り添う姿は、自分への自問自答を通して内に抱える葛藤を解いていくようにも感じた。家族であるという本人には大概何の責もないことで咎を受ける世情に、一石を投じているようだ。
混迷の時代の中、いつその立場に置かれるか分からないと覚悟して読むことをおススメしたい作品。
犯罪被害者遺族が抱える悲しみと葛藤。なぜ死なせてしまったのか。どうして助けられなかったのか。
話を聞きたい相手はこの世にいない。もう前のようには生きられない。人は弱い。一人で抱えきることのできない重すぎる現実は、その人を潰す。
時間が解決してくれることもあるだろう。だけどどんなに時間が経っても消せない想いはある。
支えてくれる人、話を聞いてくれる人がいなければ、ずっと苦しいまま。
被害者に家族がいるように、加害者にも家族がいる。罪は自分のものではないのに、世間の目は冷たい。家族が犯した罪を抱えながら生きていく。どう生きていけばいいのか、幸せになってはいけないのか。
悩んで、迷って、立ち止まって。生きて、生きて、生き抜いて、そうしてやっとその答えが見つかるのかもしれない。
クライエントに寄り添うために、時にはカウンセラーの立場を越えた行動をとる主人公。そんな彼女を見守る仲上の存在が大きかったなと思いました。
カウンセラーがその必要がある人にカウンセリングをどうやって進めていくのか、同じこころの病に向き合うのでも病院の医師とはアプローチの仕方が違ったり、またそこに確執があったりと同じゴールを目指してるはずなのにやるせなさがあったり・・・。傷ついてる人に負の気持ちを押さえ込むのではなく肯定していいんだっていうのも新鮮でした。
自身も家族のことや、事件のことでいろいろある中でそれでも真摯に向き合う主人公がどのように接していくのか気になって、決して明るいテーマではないのに出てくる登場人物の描写がさすがで感情移入がしやすく気がつくと泣きながらの読破でした。
お父さんのシーンは静かながらもだいぶやばいです。
でも仲上さん、安曇教授がいれぱ唯子さんはきっと大丈夫!続きを是非とも読みたいです。