フィッシュボーン
生馬直樹
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刊行日 2021/09/03 | 掲載終了日 2021/09/30
ハッシュタグ:#フィッシュボーン #NetGalleyJP
内容紹介
謎の焼死体、社長令嬢誘拐事件、不遇な少年たちの約束――。
全てを覆すための哀しき犯罪計画とは。
スリリングでいて、痛いほどに切ない――。新潮ミステリー大賞作家の大飛躍。
コミュニティから爪弾きにされた三人の少年。父親が暴力団組長の玉山陸人。虐待を受け児童養護施設で育った日高航。愛人殺しの罪で服役中の父親を持つ冲匡海。不遇な少年たちは誓った。「真逆の世界」を実現させると。やがてヤクザとなった三人は、一件の放火事件をきっかけに、地元・新潟にある大手製薬会社の社長令嬢誘拐計画を立てることになるが――。
【著者プロフィール】
生馬直樹(いくま・なおき)
1983年12月、新潟県生まれ。2016年「夏をなくした少年たち」で第3回新潮ミステリー大賞を受賞。そのほかの著書に『偽りのラストパス』『雪と心臓』。
出版情報
ISBN | 9784087754582 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
社会不適応者である3人の少年たちの成長譚。
ラストはなんとなく予感できるが、途中で一カ所、全く想像していなかった展開があり驚いた。
新潮ミステリー大賞受賞作家とのことだが初読。ストーリー展開が上手い作家だ。
哀しき純粋な願。
特殊な環境で育ってきた陸人。同じく特殊な環境で育ってきた匡海、航と出会い、些細な願を持つようになったのだが・・・。
些細とも痛切とも言える願いを抱えた3人の顛末が、苛烈な出来事とは裏腹に静かな印象さえ与えるように綴られる。また突然とも言える退場、謎の提示に戸惑いながらも、読み進めるうち、一つ一つが紐づけられていく様子は運命の残酷さを恨まずにはいられず、どこが分岐だったのか、どこに誰に責任があったのかという結果論でしか考えられないのがもどかしい。
3人(またはそれ以上の)それぞれの慟哭が聞こえてくる物語。
劣悪な環境で生まれ抗う事の出来ない理不尽な幼少期を送る少年三人が出会い、押し殺してきた幼さの解放と反骨心の芽生えが導く予測不能の悲哀のミステリー。
身近にちらつく平凡な生活に焦がれ過ぎた余り、次第に狂い始める世界に気付きながらも抜け出せない悪循環。何かを言い訳にし自身を鼓舞しながら進む痛々しい姿に、歯痒さを感じずにはいられない。目まぐるしく乱高下する展開に、適度な穏やかさが混ざる事で一層心を掻き乱され切なさが増すラスト。
社会の在り方も考えさせられた、ちょっとグロテスクでアングラな物語。序盤、中盤、終盤でかなり印象のかわる手の込んだ作品。