目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
川内 有緒
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刊行日 2021/09/03 | 掲載終了日 2022/06/30
ハッシュタグ:#目の見えない白鳥さんとアートを見にいく #NetGalleyJP
内容紹介
『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』ネットギャリー 内容紹介
【第53回大宅壮一ノンフィクション賞ノミネート作】
一緒に見る、その先に見えてきた世界とは──
心がほぐれるノンフィクション!
白鳥建二さん、51歳、全盲の美術鑑賞者。年に何十回も美術館に通う──。
「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」
という友人マイティの一言で、アートを巡る旅が始まった。
絵画や仏像、現代美術を前にして会話をしていると新しい世界の扉がどんどん開き、
それまで見えていなかったことが見えてきた。
アートの意味、生きること、障害を持つこと、一緒に笑うこと。
白鳥さんとアートを旅して、見えてきたことの物語。
[著者略歴]
川内有緒(かわうち・ありお)
1972年10月9日東京都渋谷区生まれ。
映画監督を目指して日本大学芸術学部へ進学したものの、あっさりとその道を断念。大学卒業後、行き当たりばったりに渡米。中南米のカルチャーに魅せられ、米国ジョージタウン大学て中南米地域研究学修士号を取得。米国企業、日本のシンクタンク、仏のユネスコ本部などに勤務し、国際協力分野で12年間働く。2010 年以降は東京を拠点に評伝、旅行記、エッセイなどの執筆を行う。白鳥建二さんを追ったドキュメンタリー映画『白い鳥』の共同監督。現在は子育てをしながら、執筆や旅を続け、小さなギャラリー「山小屋」(東京・恵比寿)を家族で運営。趣味は美術鑑賞とD.I.Y。「生まれ変わったら冒険家になりたい」が口癖。
出版情報
ISBN | 9784797673999 |
本体価格 | ¥2,100 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
タイトル通り、「目の見えない人とアート展を見に行った経験」をまとめただけの本なのかと思っていたら、話がどんどん深くなっていって、思わぬところに連れていかれた気持ちになりました。
とは言っても、本書のメインは「目の見えない白鳥さんとの美術鑑賞」体験。
最近たまに見かける「触る美術」を体験しに行くのかなと思ったら、絵画、現代アート、仏像と様々な美術を著者と白鳥さんと楽しんでいきます。他人と鑑賞することによって、美術が自分と異なる知識や感じ方、見方で咀嚼されていくのがすごく面白い!対話型鑑賞にますます興味がわきました。
わたし、基本的には美術館には一人でいく。
マイペースで気の向くままに気になる絵の前に立ち説明書きや音声ガイダンスに頼らずに想像を膨らませる。
絵や画家に纏わる詳細が知りたかったら
図録を買って家で後からじっくり読む。
でも、この本を読んで目から鱗!!
彼らの会話を読んでいると、私の未知なる世界が開いてくーー!
なるほど、確かに。
仏像を鑑賞するくだりなんて、休憩室で笑いを堪えるのに必死(笑)
私たちが見ているもの、感覚や記憶の不確かなこと。
障害のあること、そして知らず知らずのうちに心に根差した優生思想について問いが投げ掛けられた。
無性にまた美術館へ行きたくなった。
そして、その時には誰かと一緒に作品を眺めて気づいたこと、思い付いたことを語り合いたい
新しい作品が出るごとに手を伸ばしている作家さんなので、
あまり内容を気にせずに読んでみたけれど、
美術鑑賞ワークショップ、行こうか迷ったものであったことに気付き、
この方が始めたんだ!と読んでいてびっくり。
そういう出合いがあるのも本のいいところだなぁと思いました。
これまでになかった美術館・アートの楽しみ方としても参考になりましたが、
自分の中の無自覚の優生思想を見つめ直すきっかけにもなる本だと思います。
全盲の白鳥さんの美術鑑賞は独特で興味深かった。
同行者の説明の印象を、五感で感じ取るように、心の眼で観ている様子だった。
一般の素人は、印章や見たいところだけしか見ず、好き嫌いを決めてしまい、それ以上見ないことを、改めて知ることができ、芸術の感性を人に伝えることの難しさについて感慨深いものがあった。
おもしろかった。ルポものはどこかで読み飽きるところがあるが、全編を通して興味深く読めた。
自分が白鳥さんと美術館に行ったとして、たぶん白鳥さんに嫌な思いをさせてしまうに違いない。一度や二度ではムリなのだ。何度もお互い嫌な思いをして、そこで終わらせずに、振り返り、いろんな人に話を聞いて、他者をフラットに見て付き合えることに慣れて行くのだろう。
障がい者でなくても,人はそれぞれに気にしていることがあり、ある程度気を使って付き合わねばならないが、気を使いすぎるとまたギクシャクする。そういう付き合いも苦手なのだが、たぶん、それと同じなんだろうな。そう思った。
類書の少ないチャレンジングな本だと思います。
「目の見えない」人と一緒にアートを「見にいく」というのがどういうことか最初はさっぱり想像できないのだけれど、読み進めるうちにだんだん薄っすらと想像できるようになっていく、そのことが楽しい。的外れな勝手な想像かもしれないと思いつつ、手探りで読み進んでいく、そういう読書体験はなかなか出来ないので、なかなか貴重です。
最終的なレイアウト、版面がどうなるのかによって結構印象が変わりそうですが、地の分と会話、作品の写真のバランスをうまい具合に仕上げていただけると、とても魅力的な本になるだろうと思います。タイトルはバッチリなので、物理的な形についても期待しています。
(カラー写真の枚数と、部数があまり出ない予想のためか?、価格がやや高め設定なのが気になり、☆1つ減らしています)
タイトルを聞いてずっと気になっていた。
目の見えない人とアートを見るって??
読み始めたら私の想像よりもずっと深い内容で簡単に考えていた自分が恥ずかしくなりました。
お互いの意見をきちんと聞いて理解してということの大切さを(障害の有無にかかわらず)あらためて考えるきっかけとなりました。
個人的に表紙もすごく好きです!
専門家でもない限り、絵画の感想を語り合うことは難しいように思っていましたが、伝え合うことでこれほど深まっていくとは。
まるで自分も白鳥さんと一緒に美術館を巡っているような、不思議な気持ちになりました。
私の勤務する図書館では、川内有緒さんの熱烈なファンの方が数名います。その方たちに勧められて、いくつか作品も読みましたし、図書館でも新刊が出るたびに購入しています。
今回の作品は、川内さんの視点になって一緒に色々なことを学んでいく感じもありましたし、白鳥さんの視点になって、文字だけでアートを想像することも出来たりして、とても楽しく読むことができました。アートの写真付きなので、読者の私たちは文字で想像したあとに写真をみて、答え合わせが出来ます。色々な楽しみ方が出来る新しい一冊だと思いました。
「私の知らない世界がありました」
私は私、自分は自分でほかの誰にもなれないし、なる必要もないのですね!
自己肯定感がひくい人、
自分のことが嫌いな人、
迷っている人や悩んでいる人、
もちろん自分のことが大好きな人にも、
いろんな人に読んでほしいと思いました。
会話文(シナリオ形式)で書かれているところや写真も楽しくて面白かったです。
しばらくの間、エンパシーについて考えていたのですが、自分なりに考えが形になるヒントをもらいました。
そうだ! アートを見にいこう!
読んだ後、そう思いました。
目の見えない人とアートを見に行く?
どうやって?ぜんぶ説明しながら?どういうことだろうと興味を持って読んでみました。
まず白鳥さんは子供の頃からほとんど視力がなく、見えてたものの形を思い出すという感覚ではない。これは私だったらどういう風に説明したらいいのか迷うところです。
ただアートは見る人によって変化するので、そこの曖昧な部分や各々感じたことを語っているのを聞くのが面白いそう。
なるほど。作者の方も最初は戸惑いつつも、白鳥さんとの親交を深めていくにつれて、こういうことかな?や自分は間違っていたのでは?や他の人が接する様子などを見て、気持ちに変化が出てくるのは面白かったです。
障害を持つことや彼らとの付き合い方など、勝手に決めつけてることがたくさんあるな、と。
助けてあげなきゃ、がそもそも違ってて、いや今は別に困ってないのにな。という場面もあるそうで、白鳥さんのドライな考えも目から鱗でした。
目が見えるとはどういうことなのか、見えないことって?たくさんのことを考えられました!
美術館にも行きたくなりますよ!