氷柱の声
くどうれいん
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刊行日 2021/07/07 | 掲載終了日 2021/07/06
ハッシュタグ:#氷柱の声 #NetGalleyJP
内容紹介
第165回芥川賞候補作。
語れないと思っていたこと。
言葉にできなかったこと。
東日本大震災が起きたとき、伊智花は盛岡の高校生だった。
それから10年の時間をたどり、人びとの経験や思いを語る声を紡いでいく著者初めての小説。
【著者】くどうれいん(工藤玲音)
1994年生まれ。岩手県盛岡市出身・在住。著書に『わたしを空腹にしないほうがいい』(BOOKNERD)、『うたうおばけ』(書肆侃侃房)、『水中で口笛』(左右社)がある。
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発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなど外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。
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作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 第五事業販売部>まで直接お問合せをお願い致します。
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出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784065241288 |
本体価格 | ¥1,350 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
「絆」「被災地支援」「がんばっぺ東北」‥当時はこのような言葉で辛い現実を飲み込もうとしていたし、人々の力を信じられた。一方で「震災もの」として語られる物語が、そこにいたはずの生身の人々を記号化していたことにうすうす気づいてはいた。主人公たちがそんな違和感を少しずつ消化し、光の指す方へ歩んでいく姿に心が動かされた。
主人公の出身地と年齢にくどうれいんさんご本人を重ねて読みすすめました。
傷付くことができなかったーー今だからこそ書けた思い。
私も、ひとまとめに「震災もの」という言葉でくくることに違和感をずっと抱いてきて、人にはその人それぞれの距離感で、日常として「震災後」があるのにと。
もう大人だから私は自分なりにこの違和感や罪悪感と折り合いをつけてきたけれど、この物語が必要な人は必ずいる。そう信じられる正直で誠実な物語でした。
あの未曾有の大災害をもたらせた東北の震災が起こった日から、私たちの心にこびりついた表現できない想いを代弁してくれたような物語でした。
被災してないこちら側という立場ができ、語ることすらおこがましい雰囲気を感じながら生きてきた岩手に住む友人の当時の苦しみを思い出す。
求められるもの、忖度、足かせのような思いに言いたくても言えなかったことが解されていく姿に、時というものは尊いものだと感じました。
ゆっくりと深呼吸しました。
よい作品ですね。
震災を特集した番組はたくさん見てきたが、その度に感謝、絆、勇気を元気をもらう、などなどの言葉にやたらともやもやしたものを感じていた。この本はそのもやもやを文章にしてくれたように思う。そう、特別に悲惨な体験をしていなくても、個々の想いはもっともっと語られてもいいんだ。
想いを外に出せずに苦しんでいる人はいっぱいいるんじゃないか。私は何も無くしてないから、と遠慮することなんてないんだ。
私は大阪に住んでいる。神戸の震災の時、いろんなことを感じて考えた。自分は何もなくしてないから特に外に出すことはなかったが、もっと出しても良かったのかも知れない。
そんな人たちの想いを汲み上げてくれる本じゃないかと思えたのだ。あの頃の記憶を忘れないように、記録しておくこと。そうやって昇華することが、きっと救いとなる。
震災の思い出を持て余している人たちへ。
流れてくるニュースに、悲しみを込めることが下手だ。誰かの訃報に、あまりにもたやすく「ご冥福をお祈りします」と口にすることにも、いつまで経っても慣れない。現実に起きた出来事を物語にして消費してしまうことへの抵抗が、ずっと私のなかにある。この『氷柱の声』に触れながら、ずっとそのことを考えていた。
傷つくことの痛みと傷つけないことの苦しみ、そしてリアルな体験を消費されてしまうことへの憤り。いくつもの感情が、胸の内側を駆け抜けていった。
「傷つけない」ということを描きながらも、そこには「傷つけないことでの苦しみ」が確かに横たわる。
言葉にならなかったものや、言葉にすらできなかったものを、ひとつも取りこぼしたくないと願ってしまった。ときに痛みに傷つけないことを、許された気がした。
『氷柱の声』
東日本大震災から10年…この本を読めて良かった。
素直にそう思った。
あまりにも酷い現実を目の当たりにし、それを経験した方に対してどう向き合えばいいか分からなくなる。
そして、希望、絆…みたいな体裁のよい言葉に縋り、その型にはめ込もうとする。
でも、人それぞれ想いは違う、経験したことも違う、考えていたことも違う…
自分の人生の中で大きな出来事があった時、それから逃れられない。
その後を生きるということ…
私も東北のある県で暮らしています。
まだまだ震災の影響は残っており
これからの復興も道半ばという感じもあります。
しかし人々は確かに未来へ歩んでおり、生活は
この先も続きます。
一歩一歩確かに歩んでいきます。
この本の人々とともに。
読んでいる時からフィクションなのにノンフィクションのような、と思っていました。作者のくどうさんの体験と、取材の仕方ゆえなのだとあとがきで知りました。
今回のオリンピックから「復興五輪」という言葉が消えたように、世間は非情なのに被災者はそんなカタチのない世間に気を遣い、そんな自分に違和感を感じてしまう。ああ、そうなのか。こういうことで苦しんでいる人もいるのか、と思いました。出会えて良かった作品です。
震災以前と震災以後では、小説は変わるといわれていたと、記憶しています。戦争と同じように、人々に多大な影響を与えたからでしょう。でも、被災した人々にも被災のグラデーションがあって、モヤモヤとしたものを抱えたままの日常を言葉に表した小説は珍しいのではないでしょうか。これで救われる人もいるかもしれない。工藤さんらしい作品だと思います。食べ物が美味しそうなのも工藤さんらしいですね。