我が産声を聞きに
白石一文
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刊行日 2021/07/05 | 掲載終了日 2021/07/04
ハッシュタグ:#我が産声を聞きに #NetGalleyJP
内容紹介
夫婦がずれていく。コロナ? がん? もっと大きな何かで。
コロナ禍の家族を描く直木賞作家の最新作
新型コロナウイルスが世界を覆っている2020年9月、名香子が夫の良治から頼まれていっしょに向かった先は、都立がんセンターだった。
そこで肺がんの診断を受けた良治は、一方的に、家を出て好きな人と暮らしながら治療をすると名香子に告げる。
呆然とする名香子だったが、事態は“蝶”の羽ばたきのように次々と思いもかけぬ方向へと進んでいくのだった
人生は無数の「もしも」の連続だ
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おすすめコメント
「自分の人生は自分で作っていけると思いこんでいるが、そうだろうかと小説に問われている気がして、私はこわくなる」――角田光代(作家)
「人類最大の不幸は、生殖を完遂した雌雄が、何十年も一緒に暮らすことだ。「男と女」を擬態するのに、人生100年(夫婦生活70年)はあまりにも長すぎる…!」――黒川伊保子(人工知能研究者・感性アナリスト)
≪担当編集より≫-----------------
一読して、失礼を承知で申し上げますと「これはまた一段と腕を上げられたな」と感じました。
「熟年カップルの卒婚小説」であるこの小説も、いつもの白石作品のように読み始めると止まりませんでしたが、白石さんが「コロナ禍のまさに今、書いておきたかった小説」とおっしゃったその意味とたくらみが見えてきたのは再読してからでした。
白石さんは、一貫して人間の運命という手に負えないものを、様々な形で書いていらっしゃいます。今作は、その運命について、まったく難解でもなく、現実離れした部分もなく、力みもなく、素晴らしい筆致で一気に読者を結末まで運びます。まさに熟練の境地です。
個人的には、主人公の名香子のキャラクターが自分にそっくりで、ちょっと凹みました。しっかり者は結婚には不向きなのだろうか……いやいや、この小説によると、運命はそういうことを超越しているようですので、今さらくよくよしても仕方がない!
ラストシーンで、タイトルの意味がわかりますが、この結末をどう受け取るかいろいろご意見を伺いたいです。私はハッピーな結末と受け取りました。
非常に読みやすいけれど深いこの新作、どうぞご吹聴のほどよろしくお願いいたします。
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★★
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784065237137 |
本体価格 | ¥1,650 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
コロナ禍の状況、ガンという病、不意に人生に被さって来る現実の容赦なさ。
名香子と良治夫婦の陥った状況はこれ今ひとつ別れというピースが加わる。突如夫から告げられた別離に翻弄されつつも、来し方を振り返って人生のそこここを見つめ直す名香子の心情は、ある意味冷めている。
人生のままならなさをとうに味わったはずの出来事があったし、お互いが築いてきた22年の夫婦生活を省みても、二人で築いたものはなんだったのか明確にはわからない。命と死に対する概念が今ほど卑近で、日々誰しもに突きつけられている命題である時期に、人生の一回性を重んじて自分の思うがままに生きることを選んだ良治に対する理解は、名香子にそのまま還って来る。
生まれて生きることに疑いのない赤子の産声、愛猫となった子猫の鳴き声。死を畏れ、人生を呪い、相手を難じることを凌駕して、名香子をして知らしめたもの。生きていいのだ。生きればいいのだ。大いなるもののうちに在るのだから。
読み続けてきてよかった。この物語に出会えてよかった。「本」ではないですがパソコンを置くこと能わず一気読みでした。
ありがとうございました。
ガンを告知された夫に、不倫と家を出る旨を一方的に宣告された主人公が、コロナ禍でゆっくりと人生を見つめ直す気付きの一冊。
主人公に肩入れしていた分、周囲の主張の殆どが後ろめたさからの被害妄想に感じた。視点を変え読み進めると、大体の事がすれ違いやタイミングの問題、ただの不運だったようにも好機にも思えた。コロナ禍の不安が逆に大胆な発想を煽る事もある、という自分とは違った観点がとても参考になった。
少しの心持ちの変化で光が見えた結末に、この先のコロナ収束への希望が重なり清々しい読後感でした。
コロナ禍の静かな日常に思わぬ夫の病気、そしてそれ以上に大きな夫の秘密。何不自由ないと思われる生活が
自分の気づかないうちに足元から崩れていたことを知った衝撃の大きさに呆然とする妻。その主人公の視点から物語は紡がれる。女性が自立はどうすることでかなうのか、経済的にも精神的にも。夫や恋人との関係を振り返りながら自分の在り方を求め、再び自分の道を歩き出す主人公。
そうだね、そういうこともあるかもと思いながらも、これって男の視点からみた物語なのじゃないかなと感じてしまう。はた目から見たら不自由なものは何もないだろう、あなたの思いは本当は独りよがりじゃないかいと言われてる感じがするところもある。私だったら彼女のようには行動しないよ思うこともあるし、ある意味でややドライすぎるのではないだろうか。
しかし次はどうなるのかと思う物語の展開はさすがで、思わずひきこまれる。人生思うようにいかないよと言うのもまた真実だ。
コロナ感染拡大の中 夫が癌の宣告を受ける。初期の癌であるが、夫は これからの人生を元愛人と
生きてゆくと宣告。いい加減な男だ! と非難しつつ自分自身のこととして考えるなら、
後悔した人生を取り戻す分岐点とし賛同するかもしれない。
但し、残された妻、子どもたちの生活が維持できる状態にもよる
奥さんの言葉で「私は妻という刑務所に閉じ込められ、夫と言う看守に見張られていた、看守がいなくなった今、
私はここを出で自由になる」
思い出を抱きながらも、生まれ変わった人生をスタートします。
今さらながら「夫婦とは何だろう」と考えさせられます。
生まれ変わる自分に祝福するように、以前、失った猫が別の猫として現れます。
ホッとさせるシーン、感動しました。
「とりあえず今日から僕は彼女のところへ行く」と言って出て行った夫。夫婦って何?
47歳の名香子の身に起こったこと、名香子本人にも理解できなかったように、読んでいる私も、さっぱり分からなかった。
全体を通して名香子視点で綴られているので、出て行った夫:良治の気持ちが見えてくる場面がなかったので、想像するしかないのがもどかしかった。
名香子の心情がじょじょに変化していき、ラストは明るくてよかった。生まれ変わるのに遅すぎではない。
人生100年時代の生き方をしみじみ思う。
子供を育てあげ夫婦は役目を終えるという考え、それもありだなと同意。
そうだ、無理して添い遂げる必要なんかないのだ。
主人公が様々な人と会い、考え、最後に至った結論はどこまでも明るい。
「人間というのは、長い人生の中で幾度か“もう一度”のチャンス与えられる」
このフレーズに力を与えられる思い。
自分の産声に立ち返って、人生を何度でも始められるという希望を感じました。
タイトル『我が産声を聞きに』について考えながら読みました。
とても複雑な気分になりました。
我が家にも、猫がいて、娘がいます。
正直、「なぜこの人と結婚したんだろう?」
と思うときがあるのです。
そんなときは、この人のいいところは?
私のいいところ、悪いところは?
と考えたりします。
見えない部分はないものとして、毎日を過ごしている私たち、
この本を読んで気づくことがある!
そう思いました。
コロナ禍にあって重症化する既往症のある妻、ガンの宣告を受ける夫。宣告を受けた日に『他に好きな人がいる』と家を出る夫。家も車も退職金の半分もあげる…?女性の立場から読むとまるで理解出来ない夫のあまりにも理不尽な行動。これまでの人生と残りの人生を考えた時、『家族と共に』という方向に思考が向かないなんてあまりにも自分勝手すぎる。そんな仕打ちを受ける妻の今までの人生は?あまりにも冷静な妻にも疑問を持ってしまう。私自身は健康体ではあるが、これからの人生をどう生きたいか考えてしまう。
穏やかにこのまま変わらず、ゆっくりと過ぎていくと思っていた人生。
勝手に自分の人生のやり直しを始めてしまった夫。
取り残された妻。
自分はどうすればいい?
何をしたいのか。何が必要なのか。
一人の人間として、改めて考える。
やり直そう。今からでも遅くない。
迷い込んだ猫の鳴き声は名香子の産声。
名香子は生まれ変わる。
自分の人生を生きるために。
日差しとともに明るい未来が見える小説でした。
夫婦と何なんだろう。確かなもので結ばれている関係というのは幻想なのかもしれない。いざ、癌になったとしたら自分だって、好きに生きたくもなるかもしれない。癌になった夫が愛人がいる出ていく離婚してくれって話しなんだが、主人公の女性の心は混乱している。自分の過去、飼い猫との関係。親のこと。親友のこと。そして、愛娘のこと。仕事。絶対と思っていた関係性が、こんなにも脆いとは・・・。死ぬ気になったら何でもやれるとか言うが、そうなんだと思った。夫婦という形は幸せになるための手段なんだよ。