噂を売る男
藤岡屋由蔵(よしぞう)
梶よう子
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刊行日 2021/07/29 | 掲載終了日 2021/07/27
ハッシュタグ:#噂を売る男 #NetGalleyJP
内容紹介
江戸の町に、世の理不尽と戦う「情報屋」がいた!
その名は、藤岡屋由蔵――。
神田旅籠町の一角で、素麺箱に古本を並べ、商売をするこの男が、古本販売を隠れ蓑に売っていたのは、裏が取れた噂や風聞の類。それを買いに来るのは、喉から手が出るほど“情報”がほしい各藩の留守居役や奉行所の役人である。
由蔵が己の仕事として心に刻み込んでいたのは、真実を見極めることだった。
筆一本で戦う由蔵のもとに、ある日、幕府天文方の役人が逃げ込んで来る。その役人は、日の本を震撼させたシーボルト事件に絡んでいた。その騒動のとばっちりで、由蔵の手下が、命を落としてしまう。
手下の理不尽な死を許すことができない由蔵は、真実を暴くため、動き始めるのだが……。
天下を揺るがす陰謀に、“情報”で挑んだ男を描く傑作歴史小説。
おすすめコメント
江戸の町で摑んだ種(ネタ)を大藩の留守居役らに売る由蔵が、天下を揺るがすシーボルト事件に巻き込まれる。真相に辿り着いた彼は……。
江戸の町で摑んだ種(ネタ)を大藩の留守居役らに売る由蔵が、天下を揺るがすシーボルト事件に巻き込まれる。真相に辿り着いた彼は……。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784569849959 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
関連リンク
NetGalley会員レビュー
江戸町の「情報屋」が売る噂を巡り繰り広げられる史実に基づいた壮大な歴史小説。日常の些末な風説から天下を揺るがす息を飲む事件まで、江戸の噂を網羅するために足を使う由蔵の信念と、そんな彼に惹き付けられた人々の情に心打たれた。
とにかく周りのキャラが濃く、涙と笑いを誘うシーンが多々あり、堅苦しく思われがちな歴史小説のイメージがマイルドに緩和されていてとても読み易かった。味のあるキャラに囲まれ「シーボルト事件」の真相と江戸の町の勉強をするのにオススメの一冊
おれには力もない、後ろ盾もいない、
だが、集めた種で動く奴がいる、役立てる者がいる、
それが面白い。
確かに。
勢いがあります。
ぐいぐいと読み進みました。
まさか、「シーボルト事件」に繋がっていくとは…。
予想外の展開、人間関係。誰を信じたらよいのか。もう、自分しか信じられない。
ラストはニガイ
足袋屋の軒下を間借りし古本を売る由蔵。その店先には武士達の姿が。由蔵が売っているのは『噂』。いつの時代も情報は価値のあるものなのだなぁ。藩、読売屋、番所。情報を制する者が先んじる事が出来る訳だ。由蔵の扱う『噂』のすごい所はきっちり裏付けが取れているところ。様々な所からもたらされる『噂』も知っただけで命の危機に合う事も…。ただの町民である由蔵がどのように事件を解決するのか。そして由蔵の過去も読みどころ。
時は文政十年(1827)江戸時代。
御成道の路地を入った足袋屋の軒下に筵を敷いて座る男。古本屋は表向き、彼は、噂を売る男情報屋。噂と言ってもきっちり裏をとり信念を持って商っている。この時代の人々の素朴な暮らしを描くものは人情にあふれ、そしてなぜか日本語の本来のやさしい響きが感じられるような気がして、日本史にあまり詳しくない苦手意識が少しあるのにもかかわらず心惹かれるものがある。現代の我々が忘れている哀愁のようなものだろうか。この男がなぜこのような商売をするに至ったかの物語、後半は息もつかせぬ急展開。歴史上の著名な人物も出てくる。