カード師
中村文則
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刊行日 2021/05/07 | 掲載終了日 2021/06/30
ハッシュタグ:#カード師 #NetGalleyJP
内容紹介
占いを信じていない占い師であり、違法カジノのディーラーでもある僕に舞い込んだ、ある組織からの指令。それは冷酷な資産家の顧問占い師となることだった──。国内外から新作を待望される著者が描き切った、理不尽を超えるための強き光。新たな代表作、誕生!
中村文則(なかむら・ふみのり)
1977年、愛知県生まれ。福島大学卒業。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞し、デビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸〈スリ〉』で大江健三郎賞受賞。『掏摸〈スリ〉』の英訳が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの2012年の年間ベスト10 小説に選出される。14年、日本人で初めて米国でデイビッド・グディス賞を受賞。16年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞を受賞。作品は世界各国で翻訳され、支持を集め続けている。著書に『何もかも憂鬱な夜に』『去年の冬、きみと別れ』『教団X』『あなたが消えた夜に』『R帝国』『その先の道に消える』『逃亡者』など多数。
おすすめコメント
新聞連載時から大幅加筆!
中村文則さんの新たな代表作です。
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全国書店員様からの熱いメッセージを掲載した「応援ペーパー」、パネルとPOPも用意しました!
ぜひ店頭にてご活用ください。
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出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784022517586 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
私は中村文則が好きだ。心の暗い部分を目を背けたくなるくらいに、泣きたくなるくらいに抉ってくるが、最後には必ず希望があるからだ。まるで、これは私のために書いてくれているのではないかと思わせてくれる。新刊の『カード師』では人生を賭けたポーカーのハラハラとしたシーンや、理解を越える者との対峙での息苦しさを描きながら何度も、何回も、強く、真剣に、中村文則が『絶望するな』と言ってくれる。このような世界で、不条理に傷つき、理不尽に巻きこまれ、それでも『未来はなにも決まっていないのだから絶望することはない、絶望しないで』と励ましてくれる。人が『未来を知りたい』と願うことは、不安の先に、それでも希望を持ちたいからだ。だけど、私たちは未来を知るとこはできないということも理解している。未来は何が起こるかわからない。もしかしたら、今より辛いかもしれない、でももしかしたら今より良くなっているかもしれない。だから、まだ絶望したくないと思えるのだ。そう思わせてくれる中村文則が好きだ。
全編通して不穏な空気を纏うなか時にその暗闇の深さに飲み込まれそうになりながら迎える希望のあるラストは途中の闇が暗い分余計にいつもより明るく感じられました。現実にあった出来事やコロナについても描かれてどこかで実際に起こっているお話のようにも感じられました。
表は占い師、裏は違法賭博ディーラーの孤独な男が、ある依頼を機に理不尽に裏社会の深みに引き込まれていくスリリングな長編。違法賭場での鋭い観察眼から導き出された息を飲む極限状態の心理戦は、滑稽でもあり美しくもあり圧巻だった。オカルト系や哲学的な要素が絡んでくる理解が難しい部分もあったが、突き詰めれば「己の選択次第だ」と悩みをぶっ飛ばしてくれる占いのような作品に感じた。
「人の中の苦しみ」の記述がまるで変異していくウイルスの様で恐ろしく、でも何故か殺菌のCMの如く簡単に消えていく姿も想像でき、いつか和らいでいく希望がわいた。
相談者にカード占いで助言もすれば、合法ではなさそうな場でカードゲームのディーラーに、時にはプレイヤーにもなり、素性のわからない女からの依頼で向かった先では生死の淵も歩く。
要所要所でギリシャ神話も挟まれる。
462頁からなる中村ワールド。
大金がかけられた異常者(個人的見解)達のポーカー場面の迫力は凄く、文章を追うだけなのにぐいぐい惹きつけられた。
とはいえ、…私にはまだ早かった。
大江健三郎賞を獲った際の大江さんとの対談を講談社で拝聴したのはもうかなり前のこと。質疑応答の時間で手を挙げた聴講者の質問が自分の中にない語彙と考察で、あんまりにも素晴らしすぎて、かろうじてわかったのは日本語で言っているってことくらいだった。
ああ、中村文則作品を読む人はこのレベルでないとダメなのか、と強く感じたことを思い出した。
一応この時も事前準備にと対象作品を手にしてはみたけど、全然読み進められなくて、それ以来の中村作品が今回のカード師でしたが、十数年経ってもまだまだ私には中村作品は厳しかった、むつかしかった。
変えられる過去への渇望。
ただただ不穏な感情が残る読後感。
緊迫するカジノでのシーンでは読む方にも力が入っているのだが、なぜかそれを俯瞰しているような感覚もあった。理不尽な要求や、簡単に生命が脅かされながらも、どこか俯瞰し遊興的に眺めている自分。違和感と不快感と刹那的な快楽感、高揚感。すべてがないまぜになってすっきりしないまま結末にいたる残尿感ともいえるような感触。
私もその他同様と同じような「考える」「決断する」ことを放棄したい側の人間なのだろう・・自分の底をみせつけられたような感じでした。
占い師や詐欺師ではなく、『カード師』というところが面白いところですね。占星術の歴史や、ポーカーの白熱した場面もあり、色々複雑に絡み合っている物語でした。ポーカーの場面では、読んでいてゾクゾクしました。ルールが分からなくても、緊迫した雰囲気が伝わってきました。じっくり味わいたい作品です。
『カード師』
占いを信じない占い師、手品を出来るが人前では披露できない手品師…カード師の主人公。
違法カジノ賭博場で働いていた主人公は、組織から、ある経営者の顧問占い師となるよう依頼が来る。
未来を予知する力は本当にあるのか?
人は、あの時こうしておけば、これから起こることが分かっていれば…と思うことがある。
でも、過去は変えられない、未来に不幸なことが起こることが決まっているかもしれない。
そして、人はたまに愚かでもある。
そんな世界だけど、絶望することはない、希望を持ちながら、死ぬまで生きていきたいと思わせてくれた。
昔からの永遠のテーマを掘り起こすような物語をありがとうございました。