ベサニーと屋根裏の秘密
ジャック・メギット・フィリップス
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刊行日 2021/05/12 | 掲載終了日 2021/06/13
ハッシュタグ:#ベサニー #NetGalleyJP
内容紹介
エベニーザー・ツィーザーは五百十一歳の老人だが、若さと美しさを保ち、大邸宅で自由気ままに暮らしている。その秘密は、屋根裏に棲むビーストとの取引だった。ビーストに珍しい食べ物をあたえ、その見返りに現金や品物、そして、不老薬をもらっているのだ。あるときビーストから「今年は、人間の子どもを食べたい」と要求され、エベニーザーは孤児院で見つけた、薄汚れた女の子ベサニーを連れてきた。ベサニーは手に負えないトラブルメーカーだったから、生け贄にはうってつけだ。しかし、ビーストはガリガリの女の子を見て「太らせてから連れてこい」と言う。そこで、エベニーザーはあの手この手で、べサニーを太らせようとする。「ちゃんと食事をしたら、なんでも願いごとがかなう」と噓をつくが、それを信じたベサニーが「お願い、死んだ父さんと母さんを生き返らせて」と言うのを聞いて、エベニーザーはこれまで感じたことのない、不思議な痛みを覚えた。せめて、ビーストに食われるまで、ベサニーに楽しい時間を過ごさせてやろう、と思うのだが……。わがままな老人といたずら好きの少女が織りなす、てんやわんやの大騒動と、奇妙な友情を描く、痛快コメディ・ファンタジー。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784863896161 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
個性豊かすぎるキャラクターばかりで、楽しく読ませていただきました。特にベサニー!最初はなんてめちゃくちゃな子なんだと思っていたけど、心を開き始めてから優しくなっていくベサニーがとても愛らしくて…
ビーストとの駆け引きや戦いもハラハラ、ドキドキ。読んでいる間中笑ったり、悲しくなったり、怖かったり、自分の感情が豊かになった一冊。
めちゃくちゃ面白かった!!キラキラのハッピーなファンタジーも嫌いじゃないけど、不穏な空気感の漂うこの作品は正に私好みだ。とんでもない悪い子のベサニーエベニーザが出会って罪悪感というものを知ったり、誰かに気にかけて貰う幸福感を知る、大人も子供も成長してゆく過程はホロリと涙してしまう。めでたし、めでたしとはいかないラスト。続きを早く読みたい!!
コミカルでちょっぴりホラーなテイストが新鮮なファンタジー。
悪ガキ少女ベサニーと不老不死を得たいエベニーザーと、屋根裏のビーストの掛け合いのテンポもよく、どきどきが止まらない。
ベサニーの傍若無人な言動にはらはらし、エベニーザーの身勝手な欲求に呆れ、ビーストのおぞましさに辟易しつつも、展開の早さにわくわく。
エベニーザーとベサニーがギクシャクしながらも、ほんの少しずつ近づいていくやりとりににんまり。
いくつものあっと息を呑むシーンに惹かれて、ベサニーもエベニーザーも変化していく過程が心を掴んで離さない。
と思って安心したら、おっとどっこい!このラストにはやられた!爽快!痛快!
不穏なストーリー展開のはずなのに、キャラクターが面白くて際立っていました。500歳を超えているせいか、少しずれているエベニーザーや、児童書の中でも群を抜いてひどい悪ガキっぷりをみせるベサニーなど、楽しかったです。2人が少しずつ変わっていくのも見どころですね。
モンスターと大人が手を組んで、子どもを騙して太らせて食べようと企むお話。
って書くとなんかすごいけど、ベサニーは大人しく騙されるようなヤワな子じゃない。
大人の想像を軽く飛び越える&ユーモアあふれるイタズラをかまして、エベニーザーを翻弄する。
一方、早く食べたいから早く太らせろと急かすビースト。
エベニーザーがだんだん、部下の手綱を握れず上司から怒られる中間管理職みたいな、かわいそうなポジションに見えてくる。
ちょっと怖いけど笑える、ホラーファンタジー。
読み始めてしばしばは、エベニーザーが好きになれなくてなかなかページが進みませんでしたが、ベサニーと暮らし初めて人間らしい感情を表し始めたくらいからすごく面白くなって一気読みでした。ラスト無事ハッピーエンドかと思いきや、なにやら不穏な雰囲気!!続きがめちゃくちゃ気になります。
いきなりの驚きの展開から始まるこの本。
悪者?どういうこと?と読み進みながらワクワクが止まらず、読み始めたらこの少しダークでハートウォーミングな世界から抜けられないこと必定です。
ベサニーは養護施設でも札付きのいたずらっ子。もはや思いつく悪さはおそらく全てやってしまうタイプ。
相手が嫌がることが直感的にわかる、つまり良くも悪くも人の心が読めるのだ。
五百年以上も生きているエベニーザは、ビーストと共生関係から離れられない。
しかし屋根裏に住む魔物ビーストの無理難題によって、誰かが大切だという気持ちが生まれ、何を選択すべきなのかがわかっていく2人。
さてビーストの魔の手はどうなるのか。
決してクリアなハッピーファンタジーではなく、余韻の残る感じがドキドキしながら本を閉じるあの気持ちを蘇らせてくれる。
悪ガキ・ベサニーに、500歳を超えるエベニーザー、そして子どもを食べようとするビースト。個性豊かなキャラクターが揃っていて楽しかった!コミカルなんだけど、ちょっと不気味な空気がワクワクを加速させてくれました。ベサニーもエベニーザーも、二人の関係が深まるにつれてより愛らしいキャラクターになっていって、良いコンビだなぁと。「めでたしめでたし」じゃないラストもシリーズ化を予感させますね。
べサニーはとんでもない子のようでいて、実は人の気持ちが良く分かる子なんじゃないかなぁって思います。だからこそ、相手の心のスキを突くようなことを言ってくるんじゃないかな?どこかしらピッピと似たような愛に飢えた子なんだろうなと感じます。
人の欲というのは限りがなくて、どこまでもエスカレートすることの怖さが、この物語の根底にあるように思います。そして、その欲に対して「NO」を言わない自分も、その欲に加担してしまっていることに気づかないことの怖さもあるなって思いました。
べサニーとエベニーザーはこれから、どんな人生を歩んでいくのかしら?
屋根裏の不思議な存在がいたら? そしてその不思議な存在と仲が良かったら?
誰しも一度はそんな空想をしたことがあるのではないだろうか。
本書の主人公・エベニーザーは大きなお屋敷の屋根裏にビーストを飼っている。ビーストとは500年以上の付き合い。ビーストの望むものを食べさせてやれば、ビーストはエベニーザーの望みをなんでも叶えてくれる。
一見、対等な関係に思えるが、欲望に囚われたエベニーザーはいつしかビーストに支配されていることに気がつかない。
エベニーザーの誕生日を前に、ビーストが「人間の子供が食べたい」と言い始める。エベニーザーはなるべく罪悪感を感じないように、施設から一番関わり合いになりたくない嫌な子供・べサニーを引き取るが、べサニーにもべサニーの事情がある事、長い事生きてきても自分が孤独だった事を知る。同時にべサニーもこれまで自分がしてきたことを振り返るきっかけになる。
人は他者との関わりの中で成長する事。誰しも良い部分、悪い部分を持っている事。その上でできるだけ良い人間でありたいと努力している事がエベニーザーとべサニーのやり取りの中に描かれている。その努力を忘れたり、放棄した時にビーストのような存在になるのかもしれない。
楽しいファンタジーの奥に深いテーマがあったなぁと感じている。
身勝手であまりいいヤツじゃないけど悪にもなり切れないエベニーザーとまったくいい子じゃないベサニーのコンビが意外と仲良くなっていく様子が可愛らしい。ただこのままハッピーエンドではやや納得できないので、エベニーザーがもっと過去を真摯に反省して成長してくれるといいな。その辺を続編に期待します。