転職の魔王様

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刊行日 2021/02/06 | 掲載終了日 2021/02/06

ハッシュタグ:#転職の魔王様 #NetGalleyJP


内容紹介

この会社で、この仕事で、この生き方のままで――いいんだろうか。

大学卒業後に入社した大手広告代理店でパワハラに遭い、三年たたずに退職してしまった未谷千晴。働く自信と希望をすっかり無くしてしまった千晴だが、どうにか「普通の大人」に戻りたいと、伯母が経営する人材紹介会社を活用しながら転職活動をすることに。彼女はその会社で、「転職の魔王様」という異名を持つ凄腕キャリアアドバイザー・来栖嵐と出会う。面談初日から不躾な態度で接してくる来栖に、千晴は戸惑うが……。 

若手注目作家が未来の見えない大人たちに捧ぐ、渾身のお仕事小説。


この会社で、この仕事で、この生き方のままで――いいんだろうか。

大学卒業後に入社した大手広告代理店でパワハラに遭い、三年たたずに退職してしまった未谷千晴。働く自信と希望をすっかり無くしてしまった千晴だが、どうにか「普通の大人」に戻りたいと、伯母が経営する人材紹介会社を活用しながら転職活動をすることに。彼女はその会社で、「転職の魔王様」という異名を持つ凄腕キャリアアドバイザー・来栖嵐と出会う。面談...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784569848525
本体価格 ¥1,600 (JPY)

関連リンク


NetGalley会員レビュー

タイトルの印象から何となく軽い感じの本なのかと思って読み出しました。確かに読みやすい文章でしたが、内容的には考えさせられるところが多く、自分の仕事に対する姿勢なども振り替えさせられる感じの本でした。仕事について不安に思ったり悩んだりしている人に、自分にとって何が大事か振り返る機会を与えてくれるので、ぜひ読んでみて欲しいと思います。

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多くの人が、正解の選択肢を誰かに教えてほしいと思っている。でも、人生における正解って、つまり何だろう。人生の岐路に立つ人も、人生の岐路がどこなのか見失っている人も、自分だけの道標を見つける為の一冊。転職ちょっと気になってたけど、どんな感じなんだろう。そんな疑問にも答えてくれる入門書としての役割も備えた2度美味しい作品。

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生真面目で身動きがままならない登場人物たちがもがく姿は額賀さんの作品ではお馴染みですよね。
転職にスポットを当てたところに新しさを感じました。
作中
「仕事とはもっと輝かしくて、熱量があって、心を弾ませるもの」
「私は私を必要としてくれるところで働きたい」
ほか、転職希望者の台詞には苦笑いです。
学校教育が原因でしょうか? 就活ですり込まれた結果なのでしょうか?
働くことは生活すること。収入を得ること。シンプルに考えないのは若さゆえの純粋さなのかな。

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転職は勤め先を変えることだけでなく「貴方の人生、それでいいんですか?」と問われて、その人にとっての最善の選択をすること。必要とされる場所は見つけたいけど、その場所ははたして転職する前にわかることなのかヒントがあります。
転職や就活の迷える羊も、それを見守る人たちや会社の上の方の人たちも、ぜひご一読を。連ドラを観てるかのようにするするっと読めます。

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人生に正解不正解なんていうものはない、ましてや他人に評価されるものでもない。
分かっていてもどうしても評価を気にしてしまう自分にハッとさせられる物語でした。

そもそも人生の正解とは何だろう。いい会社に勤める?いい伴侶と巡り合って子供を作ってそのうちお家を買う?
その「正解」ってどこから来たんだろう。別に小さな会社でもやりがいのある仕事ができれば幸せだし、つつましやかな生活をしていても家族がいて楽しく暮らしているし幸せだ。結婚しなくても趣味に全部働いたお金を使えるのは幸せだし、離婚しても周りにとてもいい友人がいれば幸せだ。

自分が楽しい、幸せだと思えればそれでいい。別に人と比べたりする必要もないし、人に評価される筋合いもない。なのになぜ人はどうしてもこんなに他人と比べてしまうんだろう。私の場合はやはり両親からの教育や学校教育でこういう刷り込みが起きているのではないかなあと思う。いつも先生や親などにこういう道が幸せなのだと示され、そうなのかとその道を進んでいく。

就職も、転職も、恋愛も、結婚も似ている。
できるだけいい会社や人と巡り合って、幸せになりたい、お金持ちになりたい、楽しくなりたい・・・。

転職をテーマに書かれた作品ですが、転職だけでなく今までの自分の人生を省みるいい機会になりました。

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こんな転職エージェントだったら、皆幸せな転職ができるのかも。でも、やっぱり自分でちゃんと考えろって来栖に言われるんだろうなぁ。
仕事だけじゃなく、自分を見つめ直すと、良いことが待っていそうな気になる、お仕事小説でした。

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雇用機会均等とか、きれいごとを言う人もいるけれど、現実がこうなっているということを理解できなかったら、せっかく就職してから後悔する可能性が高い。そしてまた会社辞めることになってしまう。

 どんな職種なのか?給与などの待遇はどうなのか?そういうことの提示はアドバイザーとしてするけれど、その会社に行こうと決定するのは本人の意志なのだ!と「転職の神様」来栖さんは語ります。

 最初は文句を言いながら来栖さんの指示に従っていた千晴さんでした、少しずつ彼の言うことがわかってきたのです。そして、自分があの会社を辞めるようになってしまった理由も。

 就職の理想と現実が上手く描かれていますね。この会社に入りたいと思うからこそ、自分を多少脚色して面接に挑むというところまではいいのですけど、入社後もそれをずっと続けていくことに疲れてしまう。でも、自分で作り上げたキャラを今更崩すことができない。そして上司の言うままに働き、壊れる。

 千晴さんのように壊れてしまう人は、きっと多いのでしょうね。そのまま自分はダメな人間だと思い込んで、引きこもってしまったり、うつになったり、自殺してしまったり、ひとりで抱えきれない悩みに押しつぶされてしまう人が増えているのは、悲しい事実です。

 変な人だなぁって思っていた来栖さんの真実を知るにつれ、彼は真剣に人のことを考える人なのだと、千晴さんは理解できるようになりました。そして、自分のことを自分で決められる人になれたようです。

 千晴さん、次はあなたの番ですよ!

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必要とされているところで働きたい。よくやったと言われたい。本当に人間は承認欲求というものを強く持っているものなのだろう。認められたい、褒められたい。この欲求を満たすために、就職し働く。就職していないと承認を得るために働けない。社会プロセスの中に入れない。そんな気持ちがどこかにあるのだろうか?私も職業人だから同じような欲求の中に棲んでいる。無意識な中でそんな気持ちと折り合いをつけてきたのだろう。本作に登場する転職希望者たちは、その気持ちに真正面からぶつかりいろいろな決断をしていく。客観的な正解はない。きっと、自分の中で正解と思えれば正解なのだろう。こういう作品は読んでいると暖かな気持ちになるとともに元気になる。「迷える羊を導けるのは、迷える羊だった人」というのは良い言葉だ。まさに至言である。

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『転職の魔王様』の感想

転職を考えている人は、大きな決断をしている人も、何となく不満や不安を抱えている人もいて、さまざま。人生を変える決断を前に、迷っている人も多い。
「そんなこと自分で決めてください。大人なんですから」
「転職の魔王様」と呼ばれる来栖の言葉は厳しいが、自分の幸せは自分で掴んでほしいという願いがこもっている。
自分の能力も、自分の生き方も、他人の口コミやレビューの星の数に左右されずに、自分の頭で考えて判断できるようになれたら、人は幸せになれるんだ。そんなメッセージが込められたお話。
今まさに迷ってる人の背中を、力強く押してくれるだろう。

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誰かに決めてもらわないといつも不安で、
誰かにいいと言ってもらわないと
全く自分に自信がもてない。
何を優先すればいいのかさえ分からない。
自分で考えなければ
何を選んでも後悔するのに。

ひとりではどうしても
焦ったり、
自分を諦めたりしてしまうけど
こんな風に
背中を押すだけではなく
寄り添って見守ってくれる人が
今悩んでいるすべての人の
隣にいるといいな。

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『転職の魔王様』

大手広告会社を、体を壊して退職した主人公。
叔母が経営する転職エージェントで転職の魔王様と呼ばれるキャリアアドバイザーと出会う…

他人から評価されたい…
他人からいいと言われる会社で働きたい…
誰かのためにもっと稼ぎたい…
誰かに決めてほしい…
凄くわかる。
でも、自分の人生は自分で決めなければならない。

この物語には、様々な転職者が登場しますが、誰にでも一つは共感することがあると思います。
それに、人と人との繋がりを持たせる物語も素晴らしく…
帰りの電車で読んでいると、なぜだか涙が出てきました。
転職の魔王様の力かな…読ませていただいて良かったです。

自分は転職とは無縁だから…と思わず、
すべての働く人たちに読んで貰いたい、そして、オススメしたい本になりました。

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●親近感

windowsを更新してしまったら
途中までしか読めなかったですが
今転職したいっていう気持ちがすごく強く

まだまだ冒頭のほうだったのですが
恐れていること
自分に対する自己肯定感の低さなど
非常に親近感がわきました。

本を買って読もうと思います!
もともと大好きな額賀さんの作品、
いまから楽しみです

ネットギャリー読み込めなくなったので
感想はこれで最後カモ

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終身雇用が当然ではなくなった=転職を経験する人が増える、のはずなのに、
「転職」は「当然」ではないと思っている人がまだまだ多数で、
そのことが多くの人の首を絞めているなぁと思いながら読みました。
もうすこしポジティブな言葉に変わるといいんですかね、転職。

試行錯誤によって成長できる部分もあるはずなのに、
失敗を過剰に恐れるあまりに最適解を最短で求めようとする人ばかりになっていて、
(だから誰かに「正解」を教えてほしくなる)
何かちょっとでも「普通」から外れることがこの世の終わりに思える、
という自家中毒のような状態にみんなでなっている。
そんなときに、それは違う、といえる魔王様のような方の存在は有難い。
私も転職する際は是非お世話になりたいと思いました。
それから、迷える羊の話で、ユングの「傷ついた癒し手」という言葉を思い出しました。

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悲しみを抱えて一旦立ち止まった人々の再生、再出発の物語。
人生の成功、失敗って何だろう。
それは人の価値観ではないのか。 
一度、立ち止まってしまった人は、誰かに背中を押して欲しいんだと思う。
でも、自分の意思で一歩踏み出さなければ、現状は変えられない。
転職の魔王様と呼ばれる来栖の言葉はストレートで厳しいが、人を思う気持ちが溢れている。
主人公も来栖のやり方に反発を覚えつつも、自分なりのアプローチの方法で転職CAの面白さに目覚め、前に進み始める。
転職CA来栖のスタート秘話。
背中を押されました。

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正解が欲しい。
「誰かに人生を委ねたい」とまでは思わないけど、誰かに自分の人生が正解なのか評価して欲しい。だって、自分に、自信がないから。

自信がない自分と鏡で目が合う恐ろしさ。額賀先生、心抉ってくるわ。

でも、ラストは額賀作品安定の爽快な読後感!上を向いて、桜色のストール巻いて、新宿の街を闊歩したい。もうすぐ春だ。

読ませていただき、ありがとうございました。

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転職の経験はないですが、とてもリアリティのある描写で状況がひしひしと伝わってきました。
転職を考えはじめたあなた、小説で転職について考えて自分自身と向き合ってみませんか?!
魔王様のプライベートも幸あれ!

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転職・・・それは人生の分かれ道。
そして、その手助けするのが転職エージェント。
これは見習いエージェント、千晴とその教育係となった来栖が転職希望者と向き合うお話だ。
来栖は自分の人生を自分で決めるために、あえてきつい言葉をあびせ、その意志と覚悟を確認する。
決めるのが自分だとしても、周りが喜ぶから、一番大きい会社だから、口コミがいいから・・・と誰かの意見に後押しされて選んだ結論ならば、自分の人生に言い訳ができる・・・。
そんな求職者の甘い考えをたたきつぶし、きちんと自分の人生に向き合わせる来栖。
求職者が全力で考え抜いた最善の選択・・・、転職に限らず、人生においてそれって大切。
自分の人生をどう生きるか・・・たくさん考えさせられたお話でした。

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ブラック企業からの退職で出会った転職の魔王様。オブラートに包まない言葉で相手を驚かせて、けれどちゃんと相手を見ているからの言葉でもあって、そんな彼がそうなった過去も触れながら、触発されてしっかりと自分に仕事にきちんと向き合うようになってゆく主人公を応援したくなりました。

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仕事が自己有用感を満足させるのに果たすインパクトは計り知れない。出来る、頼りになる、頭がいい、有能だ‥まわりにそんなふうに思われたい。自分の望みって、人から評価されることなのか?その気持ちを搾取されて、ボロ雑巾みたいに使い捨てにされて、本当にやりたかったことを思い出す余裕もないほど疲弊して。
登場人物、みんな真面目で、やる気も根性もあったのに、粉々にぶっ叩いて潰しちゃった上司は、会社に不利益をもたらす重罪だ。これが社会のデフォルトなら、そんな会社で経済を回している国家の背任行為。
変わらなくちゃ。

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転職エージェントを利用する人々の事情はさまざまだが、自分の本音、本当に望むものは何なのか。気づいている人は少ないのかもしれない。転職は人生を変える。だからこそ、迷いがある。最後に決めなければならないのは本人だが、サポートしてくれる誰かに頼りたくなる。その気持ちがすごくわかる。転職希望者の自分探し、本音を見つけ出す手助けをしてくれる。こんな転職エージェントがあったなら、寄り添ってくれるキャリアアドバイザーがいたなら、一度見失った心を取り戻し、希望を持てるようになれる人も多いはず。話しが進むにつれ見えてくる人と人との縁には、切ないながらも温かさを感じることができ、とても清々しく優しい読後感。共感できる部分も多くあり、悩みを抱え迷いながら働く人々に読んでもらいたいと思える作品でした。

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転職エージェントという仕事があることに、まず驚いた。そういえば、娘が無料で仕事を紹介してもらえる何かがある、と話していたような。
ブラック企業を退職した未谷さん。叔母の経営する「シェパードキャリア」で転職のお手伝いをする仕事をして始める。さまざまな理由で転職を考える人たちと接するうちに、自分の未来がはっきり見えて来る、元気が出るお仕事小説。

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ジャケ読み派として、おかざき真里さんの装画が気になって手にした1冊。先日別の作家さんの転職エージェントを描いた小説を読んだところなので、転職エージェントを描くの流行ってるのかな?と思いつつの読書。今の職場で働き続ける自分に、未来を思い描けなくなった迷える羊達(転職希望者)に放つ凄腕キャリアアドバイザー・魔王の言葉はなかなか鋭く、読んでいるこちらにまで突き刺さる勢い。でも至極正論ばかり。自分の人生どうするかは自分次第。

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若い人に受けそうな文体で今時の登場人物だな、と、軽い気持ちで読み始めましたが、読み進むうちにこれは他人事ではないんだと思い始めました。「自分の本音がわからない」って、思い当たる人が多いのでは?
終身雇用が当たり前だった私たち世代がよく言いがちな「まずは三年働け」というセリフそのものズバリが出て来た時にはドキッとしました。男女差別にパワハラ、クライアントからの理不尽な扱いも「このくらい当たり前」と先輩に言われ、会社とは、社会とはそんなものだと刷り込まれて来た一人一人に、手に取ってほしいと思える小説でした。

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転職エージェント「シェパード・キャリア」での5ケースの転職活動模様が描かれる。主人公は、1ケース目の転職希望者の未谷千春。
 千春は、新卒で、最大手広告代理店の花形部署営業企画部に配属され3年つとめたものの、激務で体調不良となり退職。叔母が社長をするシェパード・キャリアで転職活動をする。キャリア・アドバイザー(CA)をした来栖は「転職の魔王様」と呼ばれ、そのあだ名通り、凄腕だが求職者に、残酷なほど厳しく現実の話をする。千春は自分がわからなくなり、そのまま「シェパード・キャリア」で1年間、来栖を教育係に見習いCAとして勤めることになる。
 2ケース目からは、千春が来栖の指導を得ながら担当する転職事情となる。転職希望者は様々だ。正当な評価をえられない、将来が不安など。それぞれの不満を抱えてやってくる。千春は、担当する転職希望者と自分を、重ねたり比べしたりつつ、来栖の厳しい言葉を仰いでその意味を探り、様々な気づきを得ていく。
 各ケースの展開に、千春の成長、来栖の過去が絡んで物語が進んでいく。その絡み方とバランスが絶妙で、興味を持たせて面白く読ませる。そして、仕事や自分自身への向き合い方について考えさせる。

 ところで、私は、シェパード・キャリアに初めてきたころの千春の言動や考え方が、自分自身(千春より恐ろしく年上だが)と重なり、人ごととは思えなかった。そして、千春を「気持ちの悪い社畜」という来栖の言葉に、何度もグサリと胸をさされた。今まで、家庭で、学校で、仕事場で、相手が望むように、悲しませないように、頑張って気遣ってきた。千春だってそうだろう。なのに、この手のひら返しは酷いと、栗栖に反感すら覚えた。
 けれども「自分の価値を他人の価値観に委ねる」「自分の価値ぐらい、自分の価値観で測ったらどうです?」の言葉に、はっとさせられた。
 価値観の180度転換ともいえる気づきだった。千春や私が、いつも従順で、無意識に「おりこうさん」に振る舞ってしまうのは、相手のためを思ってだろうか? いや、そうではない。そもそも自分がないのだ。

 転職とは、自分の価値を見つめ直す機会でもある。だから、現在まったく転職と関係のない読者がこの作品を読んでも、転職希望者の誰かに自身を重ねて、なんらかの気づきが得られるだろう。私がそうだったように。

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迷える仔羊を導けるのは、迷える仔羊だった人だけなんですーー。前職の上司のパワハラと過労で倒れ、休職・転職活動をすることになった未谷千晴は、叔母の紹介で転職エージェントの来栖と出会い、転職活動を始めるが…。

最初の一章ではとんだキャラクター設定だと思ってみていたが、読みすすめるにつれてもっと知りたいと思うようになるのだから不思議なものだ。面白い!という前評判を裏切らない展開と、各章で出てくるキャラクターたちの人生模様と読むうちに自然と自分の働き方を考えるようになってしまう、一度読むだけで何度も美味しい、文字通りお仕事小説。シンプルにおすすめです!

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自分の生き方は自分で決めるのだということ。当たり前のようなことだけど、うまくいかないことを誰かのせいにしたり諦めたりすることがある。そうじゃないよ。あなたが決めるんでしょ。時には崖から突き落とすように、厳しさをもって目を覚まさせてくれる。そういう人が少なくなった気もする。

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外昔前までは、1つの会社にずっと勤務してという終身雇用制だったのですが、最近はキャリアアップのために転職する人も増えるというアメリカ的な考えになっていますが、なかなかいろんなことがあるようですね。単純にたのしかったです。

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魔王様。「転職」で「魔王」。神様じゃなく、魔王。タイトルを見た時はそう思ったが、なるほど魔王様だった。
 エージェントを使って転職をするのは、上昇志向の強い勝ち組なのだと思い込んでいた。でも、転職には様々な理由がある。再就職を目指す人だっている。
 そんな求職者に、転職のキャリア・アドバイザーとして空気を読むことは一切せず、本人にとって痛いこともズバリ指摘する。むしろ怒らせるための言動で、その怒りは本人に必要な怒りなのだから手の上で転がされている訳で…。迷える求職者たちに、舌鋒鋭く愛のムチ?を振るい、転職先を斡旋していく様は見事に尽きる。やっぱり魔王様。

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転職をサポートするCA(キャリア・アドバイザー)のお話。生きていく上での仕事について考えさせられる1冊でした。魔王様が思っていたより魔王ではなかったような。迷える羊を導くと言うより一緒に迷ってくれる千晴の今後も見てみたいので続編希望です。

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