愛をばらまけ
大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち
上村 真也
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刊行日 2020/11/26 | 掲載終了日 2020/12/10
ハッシュタグ:#愛をばらまけ #NetGalleyJP
内容紹介
西加奈子さん絶賛!
想像を超える型破りな牧師と信徒たちの衝撃ドキュメント!
――座り込むな。立て。歩け。生きろ!
いくら裏切られてもをあきらめない、型破りな牧師。
居場所をなくし、路地裏の小さな教会にたどり着いた20人の信徒たち。
想像をはるかに超える真実の物語。
読売新聞連載(大阪本社版)「ハレルヤ!西成 メダデ物語」待望の書籍化。
愛という言葉でもまだ足りない気がする。
これは、愛よりも大きくて
苛烈な何かなのではないか。
―――西加奈子さん
【目次】
1 めっちゃ弱い人間やねん
2 ここが私の居場所や!
3 みんないじめられてきた
4 愛をばらまけ
5 なんで裏切るんや
6 世界一の、ええ教会やで
7 生きろ!
エピローグ
あとがき
※NetGalleyでは「5 なんで裏切るんや」までお読みいただけます。
【著者プロフィール】
上村真也(うえむら・しんや)
1983年、兵庫県生まれ。読売新聞大阪本社社会部記者。
連載「伴走記 アルコール依 存症の現場から」(2016~17年)で
第1回依存症報道グッド・プレス賞を受賞。
本書の もとになった連載「ハレルヤ!西成 メダデ物語」(19~20年)で
第27回坂田記念ジャ ーナリズム賞特別賞を受賞。
厚生労働省アルコール健康障害対策関係者会議委員。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784480818553 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
愚直な生き方に頭が下がる。
善きサマリア人を体現している人なのだと思う。
多くの人にばらまけるだけの大きな愛を持ち、
それは神によって愛されているという自覚から生まれているのだろう。
「信じる」って、愛なんだなぁと思わされます。
大阪・西成区に、西田好子牧師のメダデ教会はある。
女性も手に職をという母のすゝめで教師の道を選び、結婚し、子が通う園がキリスト教だったその影響で、自身もまなぶようになり、ついには50歳にして大学に入り直し、牧師にまでなってしまう。
現在は自らつくった教会で20人程の信徒と信徒の生活を助け、布教活動を続けている。
信徒は皆、路上生活者や生活困窮者(生活保護受給者)だ。
その殆どが酒タバコクスリ賭博博打窃盗(更にはこれらが原因で)一度ならずとも身を滅ぼした、かけた者たちだ。前科者もいる。
何度言っても繰り返すし、言われるのが嫌で離れていく信徒も少なくない。
ほっといてくれといってる人を、ほっとけばいい人を、どつしてほっておかないのか。
信仰のあるないの問題なのだろうか。
私には理解できなかった。
理解ができないというのはなぜそこまで自己を犠牲にできるのかという疑問だ。
自分の人生なのに他人の為にしか生きていない気がする。
過去の救えなかった命への、自分のために犠牲になってしまった命への償いというけれど、
その行為は常軌を逸している。
後継者がみつからないというのも当然のように思える。
ここまで出来る人はいないだろう。
…彼女の活動が一日でも長く続くことを勝手に願ってやまない。
事実は小説よりも奇なり、
を、このごろ実によく感じる。
自分は特定の宗教に信仰をもってはいないけれど。身近なところでは、このところ世界も個人も激変の真っ只中、これまでの経験が通用しない。これまでの価値観がくつがえされることもある。
大阪西成。自分は関東で育って北海道に移住したので、実体験がなく、本で読んでもその息づかいまでは経験としてはわからない。しかし、ここで、まさに想像を絶するほどのやりきれない生活。すべてに絶望して、しかし、死ぬことはできず、さまよう。ぬけがらになる。薬物などに依存する。
教師の仕事をやめ牧師になった#西田好子
さんの物語。まさにからだをはり、命を削って、どんなひとにもいきよとてをさしのべる教会の物語。
——
西田の手には、ヒデキから届いたばかりの手紙が握られていた。そのまま引用しよう。
天の父なる神様。きょうまでいっぱい悪いことしてきました。
しかしお母ちゃんたちと出会って、悔い改めることを学びました。
どうかこんな悪ガキのヒデキですが、メダデ教会で使ってください。
今度西成に戻ったら、新しく生まれ変わったヒデキを見てください。
つらく厳しい獄中生活をがんばりますから、弱いヒデキの心を守ってください。
イエス・キリストの御名によってお祈りします。
簡単に更生するとは西田も思っていない。人は弱い。意志や信仰だけではどうにもならないこともある。それでも西田は、生まれ変わりたいというヒデキの言葉を信じようと思った。
—-
「人に必要とされる喜び、それだけで人はこれだけ輝けるんや」
—-
ヒデキを、受け入れてやれるのは、この世界でメダデ教会だけなのだ。西田は両手を天にかざした。そして「アメイジング・グレイス」の転車にのせ品るよう
に歌い始めた。
驚くばかりの 恵みなりき
この身の汚れを 知れるわれに
恵はわが身の 恐れを消し
任(まか)する心を、起こさせたり