
ぼくもだよ。 神楽坂の奇跡の木曜日
平岡陽明
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刊行日 2020/11/16 | 掲載終了日 2020/11/16
ハッシュタグ:#ぼくもだよ神楽坂の奇跡の木曜日 #NetGalleyJP
内容紹介
ぼくもだよ。
神楽坂の奇跡の木曜日
平岡 陽明
イラスト:立原圭子
● 想いを、売りたいんです。
神楽坂— 盲導犬のアンと暮らす女性書評家のよう子、
路地裏で、ひとり古書店を営む本間。
それぞれが見つけた木曜日の奇跡とは?
今年一番の感動作だ。角川春樹
「人は、食べたものと読んだものでできている」
「読書は、どんな孤独な作業に見えたとしても、つながることです」
書物への深い愛、物語への強い信頼、それを共に分かち合える仲間たち。
よりよく生きるために、今こそ、私たちが取り戻したい、大切な想い。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784758413657 |
本体価格 | ¥0 (JPY) |
NetGalley会員レビュー

神楽坂で盲導犬アンと暮らす書評家の竹宮よう子。人は食べたものと、読んだもので出来ている、と言うのが竹宮よう子の信念である。
本間は、神楽坂の路地裏で古本屋を営む。古本屋の主人になるためにはどんな能力が必要かという問に、店のオーナーとして、一冊ずつの根づけの理由について説明できないといけないと言う。
本間が”ちくま文庫の女”と名付けた七瀬希子は神楽坂にあるS社に勤める(新潮社を彷彿させるのだが)。
希子は竹宮よう子に書評家としての才能を見いだし、さらにエッセイスト、小説家の才も発掘しようとする。
希子は店を畳もうとする本間にコラボ企画を持ち込む。
本にまつわるよう子と本間の物語を希子が結びつけ物語は意外な方向に展開します。
本と食べ物(神楽坂のグルメ店をが実名で次々と登場)が物語を彩る。
神楽坂を舞台に、挫折した人生を見つめ直し再生させていくお話しである。
木曜日の奇跡は読んでのお楽しみにしておきましょう。

書評家として活躍し出したよう子さんは、出版社から新しい提案をされます。これまでは書評だけだったけど、自分自身についてのエッセイ的な文章も書いて欲しいというのです。
本間さんは神楽坂で小さな古書店を営んでいます。離婚してから、息子のふうちゃんに会えるのは毎週木曜日だけ。銭湯へ行って、パンケーキを食べて、寝床で本を読み聞かせして、そんな小さな幸せを糧にして生きています。
最初は別々に進行してきた物語が、ある時点からリンクしだします。2人には思いもかけないつながりがあったのです。
よう子さんは心に大きな傷を負っています。それは母親から受けてしまった傷だということはわかっています。だから彼女とできるだけ距離を置いて生きてきました。シングルマザーだった母が自分のことを必死に育ててくれたことは感謝してるけど、事あるごとに彼女が吐き出す毒に心を深く傷つけてきたから、彼女と一緒にいなければ心静かに生きられるということに気付いたのです。そんな思いを文章にしてから、よう子さんは少しずつ変わってきました。
彼女のように母親から発する悪いものを浴び続けてきた人は大勢いると思います。親から見れば「あなたのために」という思いなんだろうけど、子供から見たら「それは違うよ、あなたの自己満足や八つ当たりじゃない」ということがたくさんあるんです。
よう子さんが、学生時代に教えてもらったエリック・ホッファーの「波止場日記」。これはいい本ですよね。ホッファーという、自分らしく生きることに専念した人に、よう子さんは共感したのでしょうね。この本がキーになってストーリーが展開していくのが、とてもステキでした。
タイトルにもなっている「ぼくもだよ」という言葉が、心に沁みる作品でした。

盲目の書評家よう子、孤独に抗う古書店主の本間、書物を愛する人々の深い想いを詰めた壮大なモラトリアムの延長戦。現代社会で本を商い続ける切迫感、脆く儚い恋慕、すべてが痛いほど目に見えて自然と心を重ねた。点字本やデイジー図書、見えないまたは見えにくい事がもたらす日常生活の些細な出来事にも驚かされる事が多く、とても勉強になった。タイトルの意味を知った時、ロマンチックで泣きたくなった。忘れられず後を引く作品