教室に並んだ背表紙
相沢 沙呼
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刊行日 2020/12/04 | 掲載終了日 2021/02/01
ハッシュタグ:#教室に並んだ背表紙 #NetGalleyJP
内容紹介
「私は欠陥品なのかもしれない。自分が大人になれるって、無条件で思い込めるみんながうらやましい」(本文より)
中学校の「図書室」を舞台に、クラスへの違和感や未来の不安、同級生に対する劣等感など、思春期の心模様を繊細に描き出す全六編の連作短編集。
【著者略歴】
相沢沙呼(あいざわ・さこ)
1983年、埼玉県生まれ。09年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。11年3月「原始人ランナウェイ」が第64回日本推理作家協会賞(短編部門)候補作となる。18年『マツリカ・マトリョシカ』が第18回本格ミステリ大賞の候補に。19年『medium 霊媒探偵城塚翡翠』が国内ミステリランキングを席巻し、大ヒット。その他の著作に『雨の降る日は学校に行かない』『小説の神様』など。
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出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784087716948 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
今日も明日もあさっても、教室の自分の机に向かい、自分の椅子に座りつづけなければならない。私自身もまた、それがどんなに辛いことかを知っている一人です。
読んでいて、「楽しい」と思えるタイプの作品ではありません。登場する少女達一人一人の苦しみは、そのまま当時の私の苦しみでした。
けれど、この物語を必要とする人はどこかにいる。必ず、いるのだと信じています。
学校が苦しい場所でしかなかった制服のあの頃に、こんな物語がそばにあったなら、どれだけ励まされたかしれません。
この物語を必要とするどこかの〈誰か〉に、この一冊が届くことを願ってやみません。
前作medium 霊媒探偵城塚翡翠と真逆?で、ミステリーではなかったです。
図書室に集う生徒と、司書の先生の触れ合いの物語。
短編集ですが、すべてつながっているお話です。
情景描写は相変わらず素晴らしく、どんどん次が読みたくなるお話でした。
悲しいお話もあり、ちょっとせつなくなりましたが、なんとなくハッピーエンドで良かったです。
ただ1つ、通常、公立中学校には自販機や売店等はなく、ジュースは購入できません。
他の小説でもよく、中学校でジュース自販機が出てきますが…違和感を覚えました。
中学校の「図書室」を舞台に中学生の揺れる心情に寄り添った作品で、『雨の降る日は学校に行かない』に近いかなと思いました。
ミステリーではありませんが、さすが相沢さん!とうなりました。
どうしたらわからない。
ろくな大人になれないよ。
悩む心に、本は武器になり、図書室は居場所になるよということを教えてくれる。
図書室に、図書館にそっと目立つところに置いておいてほしい一冊。
同じクラスで同じ時間を過ごしているからって相手のことがわかるわけではない。
背表紙を見ただけでは本の中身が(予想はできても)わかることはないように、
クラスの「誰か」についても「開いて/知り合って」みないと実際にはわからない。
だから、背表紙(イメージ)だけで判断して終わりにするのではなく、
実際に相対して接してみることでガラッと何かが変わることもあると教えてくれる本。
広い空間に多くの本がそろった図書室も魅力ですが、
こじんまりした、すべてに目が行き届く図書室もステキだなーと思わされます。
特に何かが秀でているわけでもなく、劣ってるわけでもない。そんな彼女たちの日常を、優しく照らした物語。
多感な年頃だけど恋愛物語でもなく、部活ものでもなく、感動の友情物語でもない。それなのに、柔らかな春の訪れを知らせてくれるような陽射しが見える。
誰かにそっと伝えたくなる、秘密の小箱の様な物語でした。
主人公達の置かれた立場、環境に共感できてしまい読んでいてつらい。中学校という世界は特殊だ。校則で縛られ個性は求められない。こういった場において同調圧力は最も機能する。独特な空気感、緊張感を読んでいて思い出した。彼女達は本当にギリギリのところで一生懸命生きていると思う。学校図書館という逃げ場があってよかった。現実にもキラキラ希望に満ち溢れた物語ばかりでなくこういった物語があることで救われる子がきっといるように思う。
『medium霊媒探偵城塚翡翠』で気になっていた作家さんなので読んでみました。
子を持つ親の立場としては読むのが辛く、いたたまれない気持ちになる箇所もありましたが、
中学生の女の子ならではの繊細な心理描写が見事だと思います。
2つめの話だけ少し時系列が違うように感じながら読み進めると、最後に種明かしがあり、
作品自体はミステリーではないものの、ちょっとした謎解きを楽しむことができました。
誰かと比べて、優越に浸ったり、劣等感を抱いたり、羨んだり、妬んだり、悲しんだり、人と比べることなんかでは未来は拓けない。自分だけの物語をゆっくり紡いでいけばいいんだよと、優しく背中を押してくれる作品だった。
それはまるで本棚にいろんな大きさで多彩な背表紙が並んでいるように。
みんなが自分の物語の主人公なのだから。
しおり先生の正体不明感が気になっていたのだが、最後になるほどそういうことだったのか!?とミステリ的驚きがあるのも魅力!
中学校の図書室とそこを利用する生徒達を巡る短編集。それぞれの主人公は変わりますが繋がっていて、1つの話では見えなかった事情が次の話で見えてきて…と1つの大きな流れにもなっています。
中学校というある意味閉鎖的で逃れられ難い場所で、辛さや不安に押し潰されそうになりながらどうにか毎日をやり過ごしている登場人物達。
その姿は誰もが心のどこかに持っている姿に重なる部分がありそうで、とても心が痛くなって古傷をそっと撫でられるような痛々しい気持ちにもなりました。しかし、そういったモヤモヤとした気持ちを抱えて、なお、今を生きてると前向きになるようでした。
こんな図書室としおり先生のような司書の先生が全ての学校にあれば良いけれど、それはさすがに無理なので、このお話が主人公達のように迷い悩む人達の元に届くと良いなと思います。
本好きにはとてもオススメで、本が苦手な人にはさらにもっとオススメなお話だと思います。
苦手な人にこそ読んで欲しい。
手入れされてこなかった中学校の図書室を舞台に、新任の女性司書が思春期真っただ中にいる女子生徒に寄り添う連作集。
振り返ると些細な事だったかもしれない事に、引っ掛かり大いに悩むこの時期特有の細かい心の揺れ動きを丁寧に描いています。心の緊張が汗となり空気に伝わるのを同じ図書室にいる(おそらく力仕事要員としての図書委員)ように錯覚しました。友情、恋、将来、勉強、家族、いじめ・・全てがつまっています。自分のこの時期をささやかな苦みと共に懐かしく思い出しました。未来は変えられる・・物語の力を教えてくれる魅力的な1冊。
学校に居場所がないと感じる中学生が本とそれに関わる人達を通してチョット元気になる物語。
本は全ての問題を解決はしないけれど、生きづらい気持ちを少しでも軽くできると信じたい。
同じような境遇に悩んでいる学生さんいおすすめしたい作品でした。
日々その一瞬一瞬をどう過ごすかが大問題の、苦しみや悩みを抱える中学生たち。そんな生徒たちに、それとなくさり気なく接しながら、こんなにも深くあたたかく寄り添える学校司書の先生に、胸が熱くなった。側にいる大人が、1人の人間として、本気で関わってくれることの大切さを思う。
6編に登場する生徒たちはそれぞれに繋がり合い、その個人の本音には純粋さや優しさが溢れ、切なくなる。家庭や学校現場で、大人は子どものどこを見て何をすべきかを思い知らされる。
この作品は、詳細にリアルを見つめ、読者に何を届けるかが明確で、その手法・展開・表現力が誠に秀逸。どの子にもそれぞれのかけがえのない人生のストーリーがあり、優劣など無いことを、タイトルも伝えている。たくさんの10代と、そして大人たちに強力にすすめたい1冊。
自分の存在意義、いじめ、親との関係、人と上手く関われない…語られる10代の女の子の悩みや葛藤は読んでいて辛く苦しいのですが、読書と司書のしおり先生を通して、自分がどうしたらいいのかを見つけていく彼女たちに共感したり、勇気を貰える同世代はきっと多いと思います。
『medium』とは全くテイストが違いますが、さすが相沢さん!と言いたくなるようなラストです。
『教室に並んだ背表紙』
『medium』でミステリー大賞などを受賞された相沢沙呼さんの最新作。
中学校の図書室を中心に繰り広げられる物語。
一つ一つの物語が素晴らしく、読み進めるごとに、あたたかい涙が溢れた。
繋がっていて引き継がれて…
優しさ、救い、希望、生きる勇気…この物語には詰まっている。
登場人物と同じ年代くらいの子どもたちに読んでほしい。
きっと物語の中に救いがあるから…
大人たちも読んでほしい。
そっと周りの子どもたちに目を向けながら…
学校図書館に置きたい。女子中学生の言葉遣い、思考、仕草などがとてもリアル。大人には意味のわからない言葉も多く出てくるが、それが彼女たちの日常だ。本なんて面白くない、つまらないと手に取る前から口にして、SNSに夢中な彼女たちに、この本をぜひ手渡したい。あなたたちのこと、わかってくれる物語もあるんだよと。それが読書の入り口になってくれたらいいなと思う。しおり先生の正体について謎解きになっているところも良い。(中学生には難しい漢字にルビをお願いします)
狭い教室の中に自分の居場所を見つけられない主人公たちの孤独。不安や辛い思いを抱える彼女たちが見出したささやかな繋がりによって救われ、少しずつ広がってゆく世界があることを繊細に描き出す、mediumとはまた違った意味でとても著者さんらしい物語でした。
「medium」が面白かったので気になって読んでみましたが、全く異なる作風で、こういう本も書かれるんだなぁと、相沢先生のキャパの広さと、本への愛情をひしひしと感じた1冊でした。
学生さんに読んで欲しい小説ってお薦めがなかなか難しいのですが、これからこの本を推薦したいと思います!
あと作中にでてきた「セ」ではなく「チ」の著者の本、モデルになった本があるのかしら?と気になります(笑
本が友だちだった。そういう子どもが少なからずいると思う。そんな子たちが、そしてそんな子を近くに見ている人たちが手に取るといいな。本を介して繋がれる、世界が広がる、そんなふうになればいい。教室でも図書室でも図書館でも、一人だけど一人じょないよ。
息が詰まるような学校生活の中で、せめて伸び伸びとできる場所のひとつに図書館の存在があれば良いと思ったことがある。この作品に出てくる学校司書ほど生徒に深く関わることはできないが、見守る存在でありたいと思っている。
悩みが解決されて明るい未来が示される物語ではないが、その先に光があるだろうと感じられて、読後感は良い。
学校の図書室で働いていると居場所、という意識が強く持ちます。誰でも自分の存在を認めてもらいたい。しおり先生と中学の生徒たちのお話。カーストのてっぺんにいる子、その他の子たちの苦しみも優しく描かれています。そう、本も逃げ場になることってあるということを教えてもらいました。
教室にいることに限界を感じた中学生たちは、なぜか図書室に足を運ぶ。
そこにはしおり先生という学校司書がいて、彼女たちを受け止めてくれる。
多感な思春期生きる彼女たちには、そ気持ちを汲み取ってくれる人や、物語が必要なのだ。学校司書の目線からこの物語の世界を楽しんだ。そして彼女のような学校司書になりたい、と強く思った。
10代特有の息苦しさ。この本を読んで、自分だけじゃないと知って欲しい。
少女たち一人ひとりの物語。
本は癒しになれる。でも、本当に読んで欲しい人は、本を手に取らないというジレンマ。自分がしおり先生のようになれないことも、大分残念である。
学校という狭い世界の10代は悩み多いな。と思いながら読んでいた。そんな中2女子に関わるのが学校司書のしおり先生(推定20代半ば)。いやはや参りました。私も学校司書ながら、物語についてどれだけ伝えられているだろう。と考えさせられた。「おすすめ教えてノート」はいいアイディア!
学校図書館の役割の一つに、生徒の居場所というものがある。
この作品は生徒の居場所としての図書館とその生徒たち、そして、生徒にそっと寄り添う司書の物語。
学校司書はただ図書館を管理する仕事ではなく、生徒に寄り添うのも大きな役割。
すべての学校図書館に常駐の司書がいればいいのになと強く思いました。
学校の図書室を舞台に描かれる物語。私も教室より図書室の方が落ち着く時期もあったのでなんかわかる。と思いながら読みました。
学校だけが、教室だけがあなたの世界ではないんだよと知ってもらいたい。
本を読むことでいろいろな意味で世界が広いことを知ってもらいたい。
きっと今悩んでいる子の心に寄り添ってくれる物語になるはず。
書店でも売りたいけれど、何よりも学校の図書室に常備してもらいたい本だと思いました。
作中にも出てくる "恋愛ものじゃない 部活ものじゃない 友情ものじゃない"小説を読みたい方にぜひおすすめ!
同じ時間の中にいても 一方から見た景色と反対側からみた景色はこんなに違うんだ。でもそれは各々の事情・感情から当たり前のこと。
中学生でもみんな もがきながらも一生懸命生きてます。
中学生からお薦めしたい本。
本にまつわるお話とか、図書館にまつわるお話とか結構好きです。
この本も本や司書さんなどにまつわるお話。
「しおり先生」という司書さんが中高生のもやもやや悩みを本で少し晴らしてくれます。
これを読んで思ったことは、本はやはり力をくれるということ。励まされたり寄り添ってくれたり、読む人によって違うけれど。あと、しおり先生みたいな司書さんに私も会いたかったなあと思いました。
図書委員とかやったことあったけど、司書さん、学校にいたかなあ・・・。覚えてない。
全体を貫く雰囲気が、本好きにはたまらない。
連作短編によくある「少しずつ重なってる(つながってる)」ですが、
一目瞭然ではなく、ちょっとした仕掛けがあるのが、また心憎い。
霊媒探偵~で初めて触れた(すごく面白かった)作家さんでしたが、
こういう作品も書けるんですね。続刊が楽しみ。