そして、海の泡になる
葉真中 顕
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刊行日 2020/11/06 | 掲載終了日 2020/12/31
ハッシュタグ:#そして海の泡になる #NetGalleyJP
内容紹介
バブル期に、個人として史上最高額4300億円の負債を抱え、自己破産した朝比奈ハル。「北浜の魔女」と呼ばれた彼女は、平成が終わる年にひっそりと獄死した。昭和8年に和歌山の寒村で生まれたハルは、いかにしてのし上がっていったのか、彼女は果たしてどんな人物だったのか。その生涯を小説に書こうと決めた“私”は、生前の彼女を知る関係者に聞き取りを始める。2020年代を切り拓く、社会派ミステリー。
バブル期に、個人として史上最高額4300億円の負債を抱え、自己破産した朝比奈ハル。「北浜の魔女」と呼ばれた彼女は、平成が終わる年にひっそりと獄死した。昭和8年に和歌山の寒村で生まれたハルは、いかにしてのし上がっていったのか、彼女は果たしてどんな人物だったのか。その生涯を小説に書こうと決めた“私”は、生前の彼女を知る関係者に聞き取りを始める。2020年代を切り拓く、社会派ミステリー。
出版社からの備考・コメント
1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。『絶叫』が吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞候補、『コクーン』が吉川英治文学新人賞候補、『凍てつく太陽』で大藪晴彦賞、日本推理作家協会賞受賞。『Blue』で山田風太郎賞候補。
【著者プロフィール】
1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。『絶叫』が吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞候補、『コクーン』が吉川英治文学新人賞候補、『凍てつく太陽』で大藪晴彦賞、日本推理作家協会賞受賞。『Blue』で山田風太郎賞候補。
おすすめコメント
終戦、バブル崩壊、コロナ禍……。
それまでの日常が、決定的に変わってしまうとき、
この日本社会に生きる人々はどう振舞ってきたのか。
注目の著者による勝負作!!
終戦、バブル崩壊、コロナ禍……。
それまでの日常が、決定的に変わってしまうとき、
この日本社会に生きる人々はどう振舞ってきたのか。
注目の著者による勝負作!!
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784022517326 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
関連リンク
NetGalley会員レビュー
戦争からバブルを駆け抜け獄死した女の物語を綴るため、彼女の生涯を遡り関係者に取材する“私”。淡々と紡がれる知らない時代の嘘の様な高揚と沈滞にスリルを覚え、バブルの如く掴みかけた真相が弾け散る衝撃の社会派ミステリー
狂騒の時代の裏側。
ある女性受刑者の関係者へのインタビューが記されている。それはバブルと言われる狂騒期の裏側を顕すものでもあった・・。
自由とは何か、自由とは何処にあるのかを問いかけられているようだ。戦前・戦中は外圧からの自由、戦後・高度成長期は物質不足からの自由、バブル期は心象的圧力からの自由、バブル崩壊後は経済格差からの自由、現在はパンデミックからの健康的自由・・。ありがちに言われる一定の枠組みの中でこそでの自由すらどの視点をもっての枠組みかでまったく異なることを突き付ける。唯一の基準が「幸せ」であることが皮肉にすら感じられた。
仕掛けられていたトリックにもまったく気づかず、受刑者、関係者の心境へ想像を膨らませ没入していたのは、自分もその時代を傍観者として見ていた経験があるのだからだろうか。
もの悲しさ兼息苦しささえ感じる社会派ミステリ。
コロナ禍で「朝比奈ハル」という人物を通じてバブルの崩壊を語る人たち。過去と現在の対比に惹かれながら読み進めると、終盤から一気にミステリ色が強くなる。伏線が見事に回収されていき、さいごに残ったのは少しの切なさでした。
今読むと、バブル期に対してこんな時代が本当にあったんだ…という気持ちですが、きっと30年後に本書が読まれるときは加えてコロナ禍に対しても同じ感想を抱かれるのかな、そうであって欲しいと感じました。