わたしが消える
佐野広実
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刊行日 2020/09/28 | 掲載終了日 2020/09/27
ハッシュタグ:#わたしが消える #NetGalleyJP
内容紹介
第66回江戸川乱歩賞受賞作!
綾辻行人氏(選考委員)、推薦。
「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」
元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。
途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。
これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。
刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。
残された時間で、自分に何ができるのか。
「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー!
出版社からの備考・コメント
※発売前作品のため、発売後に読まれる読者の皆様のためにも、「ネタバレ」「外部書評サイトへのレビュー投稿」は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
※※リクエストの承認につきましては現在お時間をいただいております。
校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
※発売前作品のため、発売後に読まれる読者の皆様のためにも、「ネタバレ」「外部書評サイトへのレビュー投稿」は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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おすすめコメント
『わたしが消える』は、軽度認知障碍を宣告された元刑事の主人公が、身元不明の認知症患者に奇妙な「縁」を感じるところから始まります。この老人は、自分の未来の姿かもしれない。そんな思いが動機となって、一人調査を始めるわけですが、選考会でも「身につまされる」「切なくなる」などの意見が多数出ました。人が人である意味を問う、上質のミステリーをぜひお楽しみください。
――担当編集より
『わたしが消える』は、軽度認知障碍を宣告された元刑事の主人公が、身元不明の認知症患者に奇妙な「縁」を感じるところから始まります。この老人は、自分の未来の姿かもしれない。そんな思いが動機となって、一人調査を始めるわけですが、選考会でも「身につまされる」「切なくなる」などの意見が多数出ました。人が人である意味を問う、上質のミステリーをぜひお楽しみください。
――担当編集より
販促プラン
★★
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 第五事業販売部>まで直接お問合せをお願い致します。
★★
★★
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 第五事業販売部>まで直接お問合せをお願い致します。
★★
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784065211205 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
このご時世だからこそより深みを増す社会派ミステリー。目立つ特徴や親近感がわくキャラの濃い登場人物や、入り組んだ話の流れなども分かりやすく、それでいて説明じみていないのがとても読みやすく良かった。認知症という誰もがなり得る問題に自分や周りの人間を投影する事で、更に重く深くストーリーに引きずり込まれ怖くもあった。真相に迫る部分は、病気の問題とは別の類のリアリティと臨場感があり、気持ちが高揚した。
最初から話に引き込まれた。
身元不明の老人の正体は?
軽度認知症を発症して、未来の自分に重ねてしまう。
最後の使命と調査するにしたがって主人公の印象がどんどん変わった。
『ただの管理人のおじさん』から『元刑事のカンが冴えるおじさん』へ。
単純ですけど。
すごく読みやすくて最後まで面白かったです。
話運びの滑らかさに著者の力量を感じました。
「とある事情から数十年前に刑事を辞めた主人公が事件の謎を追う」という展開は、ともすると唐突に感じたり、「なぜ?」という疑問が浮かんだりしそうですが、「認知症の初期症状が出始めた」かつ、「これまで全く何もしてやれなかった娘から頼まれた」という設定によりすんなりと飲み込むことができました。
門前さんの正体、またこれまでの人生もよく練られており、とても楽しませて頂きました。
過去を取り返す!
認知症予備軍の診断を受けた元刑事のマンション管理人・藤巻は、別れて暮らしている娘より奇妙な依頼を受ける。介護施設の前に放置された身元不明の老人の素性を探ってほしいというのだ・・
記憶を徐々に失っていくかもしれない恐怖と内心戦いながら、身元不明の老人の素性を探る藤巻は自分自身を身元不明の老人に重ねているようであり痛々しい。さらに認知症という記憶を失うことと、過去2回の大きな震災により記録が流失することも重ねているようで、人が自分としてある「個」の不確かさも示しているようで息苦しささえ感じた。だが他者の欲望により人生を歪められる理不尽さに立ち向かっていく力強さも感じられたのが救いだ。
「個」として芯にあるものが何かを問いかける極上の社会派ミステリ。
綾辻行人さん推薦の帯を見て、どうしても読みたくなりリクエストしました。
最初は単なる人探しのボランティア、のつもりが、過去の事件と関係する大きな渦に巻き込まれていく、ジェットコースター小説とも言える物語です。
エンディングにほろりとさせられました。
上質な大人のミステリー小説です。
別れた妻が引き取った娘がインターンとして働く施設で身元不明の男性を預かった。娘からその男性が誰なのかを調べて欲しいと頼まれ、マンション管理人の傍ら、昔の伝手を頼って調べる始めた主人公。
元刑事の感を働かせ解決の糸口を導き出す様は優秀だった姿を想像させられ、だったらなぜ、定年まで続けなかったのか、物語が進むにつれ、男性の正体に近づくにつれ、それらも明らかになっていく。
警察の闇は深い。
地方の駅前で乗車したタクシー運転手さんとのやり取りの場面が物語も佳境で結構限界を感じてる中の僅かな救いでした。あー、こういう刑事とタクシー運転手、男同士のなんかいいやつ見たわーって感じの。
あー面白かった。
すんなり読めたなあ、というのが第一印象。
軽度認知障碍と診断された元刑事が、娘の実習先である施設に保護された認知症の老人の身元を調べていく、というあらすじから、読み始める前は主人公の軽度認知障碍の症状が何かミステリーに絡んでくるのかと思っていたのですが、行動を起こすきっかけになりこそすれ、特に調査や事件そのものに影響はなかったのが個人的には少し肩透かしでした(もちろん主人公にとってはその方がいいのですが)。
門前さんが隠していたいくつもの身分証や、消えたノートなど、提示される謎には引き込まれたし、終盤まで破綻なくまとまっていてとても読みやすかったですが、個人的にはもう少し捻りか盛り上がりが欲しかったかなと思いました。
高齢化社会で認知症も他人事ではない世の中で、興味を持ってもらいやすい設定ではあるし、主人公と同世代であれば、もっと共感度が高いのかもしれないなと思いました。
エピローグがよかったです。