乳房のくにで
深沢潮
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刊行日 2020/09/18 | 掲載終了日 2020/10/29
ハッシュタグ:#乳房のくにで母性 #NetGalleyJP
内容紹介
もし現代日本にまだ乳母の慣習が残っていたら……。
母乳を通して、女性の生き様を描いたサスペンスフルな長編!
21世紀目前、福美は困窮していた。抱えた乳飲み子の父親は行方知れず、頼る実家もなく、無職。ただ、母乳だけはあまるほど出続ける。それに目を付けた、必要とする家庭に母乳を届ける活動をしている廣瀬に福美はナニィ(乳母)として雇われることに。すると、かつての同級生の政治家一家から、ナニィの指名が入る。母乳が出ずに困っているのは、かつて福美をいじめていた奈江だった――。
ひとはいつ「母」になるのか。母乳によって子を手放した女と母乳によって母となり得た女の視点から、母性を描いた長編。
【著者プロフィール】
深沢潮 (ふかざわ うしお)
1966年、東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞しデビュー。受賞作を含む連作短編集『縁を結うひと』のほか『海を抱いて月に眠る』『かけらのかたち』など著書多数。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784575243260 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
「母乳」を軸とした対称的な2人(もしくは3人)の女性の生き方が描かれている。
新生児が初めて口にし最も重要な筈である母乳によって、逆に母親が苦しめられる様子が痛々しい。さらに政治家の家という渦に巻き込まれてしまう様子が不憫でもあり、現在の母親になった女性の状況を暗喩しているように見えた。2人の母親の交互の視点でサスペンス調になっており、ぐいぐい引き込まれた。選択肢の増える社会に少しでも近づいていると信じたい。
おっぱい先生とはまた違うおっぱいと母乳の話。おっぱい神話とまではいかなくともミルクより母乳が推奨されているのも、子どもをもてない妻、嫁に対する偏見や差別が根強いのも事実。過激だけれどこのような姑がいることも。子どもを愛おしく思う一方での葛藤を時折苦しく読んだけれど、終盤の言葉で解放された。性別による機能の違いは確かにあるが、子育ても仕事も家事も介護も、もっと平等であるべきだと思う。