メイドの手帖
最低賃金でトイレの掃除をし「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語
ステファニー・ランド
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刊行日 2020/07/17 | 掲載終了日 2021/11/30
ハッシュタグ:#メイドの手帖 #NetGalleyJP
内容紹介
10月1日よりNETFLIXでドラマ化!
https://www.youtube.com/watch?v=TWZPKiUa1B4
(YouTube予告編)
バラク・オバマ、ロクサーヌ・ゲイ絶賛!
全⽶メディア・書評席巻の話題作!
シングルマザーとなった著者は、⽣活のために富裕層の家を掃除する「メイド」の仕事につ く。⾃分を⾒えない幽霊のように扱う者たちの台所やトイレを磨く毎⽇。貧困、DV を振るう元パートナーや経済的⾃⽴を阻む恋⼈、⽳だらけの福祉、偏⾒の⽬、そして誰からも尊重されない孤独の中、それら全てが低下させる⾃⼰肯定感に苛まれながらも、作家になる夢と、⾃らの解放を叶えていく。社会から不運にも疎外された者が地べたから⾒た格差社会の 眺めと、少しずつでも⾃ら未来を変えていく希望を描いた回想録。
発売早々全⽶ベストセラーとなり、バラク・オバマ前⼤統領の 2019 年サマーリーディング リストと年間推薦図書にも選出。
おすすめコメント
格差社会を⾒つめる、不屈の“個”のまなざし。⽣きるためにギリギリの綱渡りをしなければ ならない家族がいることや、すべての仕事に尊厳があることを思い出させてくれる。
̶̶バラク・オバマ(第 44 代アメリカ合衆国⼤統領)
どうか、本書を⾃分とはまったく違う特別 な⼒を持った⼈の成功譚、と思わないでほしい。今もどこかで同じ体験をしているかもし れない誰かにとって、彼⼥の⽣きざまは、はるか遠くで輝く灯台のような役割を持つはず だから。
̶̶窪美澄(作家)
「⼥の⼈⽣、板⼦⼀枚下はドブ」という⾔葉を聞いたことがある。妊娠後に男に去られて貧 困に陥る⼥性は珍しくない。声を挙げれば⾃⼰責任と切り捨てられるのが常。それでも著者は⾃らの⾔葉で語りだした。貯蓄もできないまま貧困で⾝動きがとれなくなる福祉制度の歪みを。親族に頼れない孤独を。⾁体労働がもたらす体の軋みを。幼い娘と過ごす美しく平 和な時間を。板を踏み抜いても⼈⽣は続いていく。⾃分の声を⼿放さない限り。
̶̶堀越英美(⽂筆家)
⽬の前の物事にしっかりとフォーカスを絞った、とてもよく書かれた回顧録。いきいきして いて魅⼒的……信じられないほど価値のある読書だ。
̶̶ロクサーヌ・ゲイ(作家)
聡明な彼⼥はメイド先の家庭を冷静に⾒つめながら、何が本当に⼤切なのかを⾒つけ出す。
社会のスティグマを塗り替える、凄まじいパワーを持つこの作品。
たくさんの⼈に読まれるべきだ。
̶̶⽝⼭紙⼦(イラストエッセイスト)
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784575315585 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
国からの援助と清掃員としての給与で娘を育てるシングルマザーの回想録。複数の個人宅の清掃をハシゴし見てきたもの、世間のリアルな視線を生々しく綴っていて興味深かった。意外にも色んな種類の福祉制度がある事に驚くと同時に、それを利用するにも大概が穿った見方をしてくる事が酷く衝撃だった
前オバマ大統領の目に留まり、彼の推薦2019年夏の読書リストに選ばれ、ニューヨークタイムズ紙ベストセラーリストに掲載された本書!・・・ステファニーが貧困生活に陥ったのは、妊娠出産し、母子家庭となっただけじゃ無いと思う。夫と離婚しヨーロッパへ娘を捨てて行った母が一番の原因だと思う。・・・学歴も付けられず1歳の娘を育て、福祉援助が十分でないのに生活保護者として蔑まれ、毎日低賃金で、清掃業をして食いつないでいく・・・高速道路事故あたりが一番きつかったのでは無いかな・・・作家になれて良かった!・・・そして、著者ステファニーがメイドで入っている家にニックネームを付けて、クライアントの生活状況を詠んでいる。そうした彼女の観察眼は、現在の作家ワークでいかされていると思う。
家族、って祀り上げられがちだけれど全部が全部そうではない、ということが克明に描かれている。
著者自身が書いているように、家族との過去があったからこそ希望を繋げた側面も否めないが、家族との不全感は人格の安定に大きな影響を与えることも揺るぎない事実。とはいえ、母/父である自分と、娘/息子である自分、妻/夫である自分に、仕事人としての自分に、ただ個人としての自分、すべてが完璧に調和がとれていて周りの誰にとっても問題がないなんてことはそうないわけで、誰かを責めてどうなるものでもないから、自ら踏ん張った著者のように自力で道を開くしかないのかもしれない。あとは周囲にどれだけそれをサポートする仕組みがあるかどうか、使えるかどうか。あっても使えなかったり使いにくいようでは支えにならない。
そして貧困者に対してもそうだけれど、日本も含めDVに対してはもっともっと保護が必要だと思う。それがあれば彼女の苦労の何割かは確実に減ったろうに。家庭内のことだから見えにくい部分も大きいけれど、だからこそ多くの人が認識する必要のある問題だと思う。
哀しいかな、終わりの解説を読むまで全然理解できていなかった。
シングルマザーで住む家をなくして大学での学位取得も目指してて生活のために朝から晩まで掃除婦として働く、頑張っている姿を読み進めることだけしか出来ていなかった。
掃除婦=メイドという職業に日本人である私が馴染みがない所為もあったけれど、それがどんな仕事で、雇う側雇われる側の気持ちがどんなものなのか、メイドを生業としていた著者がどんな気持ちでそれをし、綴っていたのか解説を読んでやっと少しわかることが出来た。
- 自分が思いがけなく転んだ時にそのまま坂を転げ落ちずにすむ社会を、今のうちに私たちは考えておくべきなのだ。-
現在のパンデミックによる経済打撃を感じている今これからに読んでおいて良かった。のかはわからない。
それはここまで苦しい状況になるのかと思うと苦しすぎるから。なんとか経済、復活してくれー(他力本願)
実家に頼ることもできず、シングルマザーで愛する我が子を育てる困難さ。制度の不備、スティグマ、自分が引き取ったことが正しかったのか揺らぐ確信。家計は常に逼迫し、何かちょっとしたことが起こればたちまち生活が成り立たなくなる無理ゲー。娘の持病も悪化し、これでもかと襲ってくる困難。著者は文才があり、掃除のスキルも高く、精神力が強いから、生き延びることができた。生きることは人間の基本的な権利であることを啓蒙し続けて欲しい。
小さな娘を抱えての貧困生活だけでも大変なのに、そのような境遇に陥る人は知性が足りないと言わんばかりの扱いを受けることへの屈辱にも耐えなければならない。そのことが主人公を深く傷つけている。それにしても、辛い境遇の娘の引っ越しを手伝いにきてランチ代を奢らないことに腹を立てる義父と実母に違和感。ことさらに酷い人のように描かれていないけど、これはちょっと冷たい、程度のこと?最初から猛反対する彼氏を無視して出産して、良い父親を期待する主人公にも驚く。国柄の違いなのか、この人がそういう人なのか。違和感が拭えないが引き込まれた。
シングルマザーであるステファニー・ランド自身の実話。娘のミアを1人で育て、25年来の夢だった作家になる。ステファニーの言う『1人』とは本当に『1人』だ。夫はもちろん、親も友人もいない。そして究極の『1人』は精神的にも限界を迎える。彼女を支えたのは娘のミアの存在なのだろう。『夢』を見るゆとりも無いし、将来の事は不安の大きさから目を背けてきたのではないか。この世界で2人きりの『愛情』がステファニーに力を与えた…いや、強くなるしかなかったというのが本当なのかもしれない。飾らない真実を書いている所が良い。
村井理子さんの翻訳なら面白いものに違いない。その期待に違わず、中盤から一気に読了した。
期せずシングルマザーになり、最低賃金でプロの清掃人として働きづめのステファニー。戦士のように働いても稼ぎは足りず、状況はいっこうに良くならない。ついにうつ病になった? ようやく希望が見えたと思ったら車が大破? 波乱万丈な暮らしに目が離せない。それでもつねに愛娘ミアに注ぐ愛情と、お互いがお互いを必要とする結びつきの強さが、全編を通して伝わってきた。
ステファニーは、自身をまるで存在しない幽霊のように感じながら、クライアントの家を次から次へと清掃する。ときおり差し伸べられる他人の厚意に感謝し、愛娘への愛情を支えに生きていくけれど、自身は圧倒的に愛情に飢えている。誰もいないから自分で自分を愛するしかないというくだりは切ない。
国の制度を調べつくしてあらゆる助成を受け、フードスタンプを使っては白い目で見られ、ボロボロの自尊心。だが、ネットに広告を出して自分のクライアントをつかまえるようになってからは、対等な人間としての扱いを受けることも増え、亀のような歩みではあるものの、事態は改善されていく。自分を支えるよすがとして、日々の出来事や思いをブログに記録し、将来のために大学での勉強も再開するなど、必要と考えたことを片端からやっていく行動力には、読者のほうが励まされる。
窮地をうったえながらのネット広告の出し方には驚いたが、それに反応してステファニーに清掃の仕事を発注する人がいたり、寄付する前のものを誰かが分けてくれたり、といった人との関係性は、アメリカ社会のフランクさだと思った。
それにしても、貧困から抜け打せない社会保障の仕組みには愕然とする。将来のために貯金をしたり、より多く稼いだりしようとすると、とたんに補助が出なくなるなんて、一体どうしたらいいのだろう。国の保護に安住する人たちをどうするかも問題だが、そこからもう一歩踏み出そうとする人たちへの支援として何が必要なんだろうと考えさせられた。
自分の歩いている道をドローンで俯瞰したり客観的に見たことはないから、足元を見ていても何かの拍子に躓いたときにその先にある貧困という急な坂に何があるのかを体験させてもらった感じです。
生活保障として色々な制度があっても、その制度を受けるために給料が制限される、貧困はただの急峻な坂道なだけでなくその底に巨大なアリジゴクがいて抜け出すための自分の武器やスキルはあるのか突き付けられました。
絶賛親の脛かじり中で社会経験のない若さゆえのポジティブシンキングには読み終えるのも辛い内容と長さで課題図書として無理やり読んだらあまり響かないかも知れないとその頃の自分を思い出して思いつつも、御託はいいから読んでおけと言いたくなる一冊でした。