ワクチン・レース
ウイルス感染症と戦った,科学者,政治家,そして犠牲者たち
メレディス・ワッドマン/著 佐藤由樹子/翻訳
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刊行日 2020/10/22 | 掲載終了日 2020/11/09
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内容紹介
人類を救う開発に挑んだ者たちを描く第一級の「科学ノンフィクション」
1960年代まで、何万人もの子供が風疹を原因とする先天異常に苦しんできました。
当時はワクチンがなく、風疹が胎児に障害をもたらすこともほとんど知られていませんでした。
1962年6月、フィラデルフィアのある若い生物学者が、安全で無菌の最初の細胞系の培養に成功。子どもがかかる一般的な病気のワクチンを大量生産できる細胞だ。それから2年、風疹が大流行するさなか、彼の仲間がワクチンを開発したーーいつか、その力で風疹を永遠に撲滅させるであろうワクチンを。
世界各地で広がる新型コロナウイルス感染症。多くの方がワクチンの開発を待ち望んでいることと思います。これまでにもさまざまなウイルス感染症の撲滅を目指し、ワクチン開発が行われてきました。
本書は、ワクチン開発に際しての科学的な進歩や発見だけではない、そこに関わる人間たちの物語が描かれています。
出版社からの備考・コメント
校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
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おすすめコメント
【原書読者コメント】
科学者、政治家、医者、子を持つ親、そして医学研究の世界に興味を持つすべての人におすすめ。科学がどのように進展するかを知り、科学のなしうるベストと我々にとってのベストに政治がいかに介入でき、実際に介入しているかを知るために、是非とも読んでもらいたい一冊。
ーー『ハフィントン・ポスト』
これは病との闘いーー終わりのない闘いーーの物語である。そして、計り知れない価値を持つワクチンの、開発の物語である。しかし、物語が進み、科学の進展を語る中で、メレディス・ワッドマンはさらに多くのことを明かす。
全ての闘いがそうであるように、そこには英雄的行為やリスクを取る決断、粘り強さ、不利な闘いに挑む人々が存在する。そして全ての闘いがそうであるように、物語には政治、愚鈍さ、官僚主義、金銭をめぐる駆け引きが存在する。読みやすく、単純化しすぎることなく、それでいて純粋に科学の部分ですら明快にわからせてくれる。つまり、私はこの本が大好きだ。
ーー『グレートインフルエンザ』著者、ジョン・M・バリー
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784758112130 |
本体価格 | ¥2,400 (JPY) |
関連リンク
NetGalley会員レビュー
本書は、ヘイフリック限界で知られるレオナルド・ヘンフリックと彼の開発したヒトの中絶胎児細胞に由来したWI-38に関する物語である。ヘンフリック限界とは細胞分裂の回数には限界があるというもので、WI-38は、様々なワクチン開発に使われている。
ワクチン開発というとニワトリなどの卵を使うのだと思っていたが、ワクチンの開発に、人の中絶胎児に由来する細胞が使われているとは思わなかった。そしてワクチンにより効果が異なることも。中絶胎児の細胞を使うことを倫理的に問題視する人もいるが、私は、それによって多くの命が助かるのなら、単にバランスの問題だと思う。
今、コロナ19のワクチン開発について、各国がしのぎを削っている。そんなに急いで副作用の心配はないのだろうかと私はちょっと心配になる。でもこの本を読んで、私が考える副作用と言う言葉がいかに薄っぺらな認識であるのかを痛切に感じさせられた。細菌を培養する培地を選び成育させること、ウィルスを感染させない領域まで弱めること、小さな生物から人間に至るまでの治験ーワクチンが実用化されるまでの長い長い過程が多くの研究者たちの検証の歩みとともに綴られ、それらがいかに困難であるのか(あったのか)を私たちに伝えてくれる。
子どものころ、ワクチン接種の始まりはジェンナーが自分の息子に接種したのが始まりだと本で読んだのを覚えている。しかし現実に治験の対象となってきたのは、「ボランティア」と呼ばれる知的障碍者や家庭的事情のある病院や施設に入居する人々であったことがわかっている。自分の家族を犠牲にしたという研究者の美談は嘘とは言えないまでも不十分な説明にしか過ぎない。
更に一番の驚きは、世界に大きな役割を果たしたポリオ、風疹と言ったワクチンの培地のほとんどがたったひとりの中絶胎児の細胞から作られたものだったということだ。それを可能にした有能な研究者の存在もさることながら、「命の重み」と言う言葉の軽さを心に刻んで人間が安全に暮らすということ、私たちの自由な行動と平安をもたらす学問や技術の進歩ということを見つめていかなければと思う。
ここではヘイフリックと言う一人の生物学者を中心にこのワクチンを生み出した歴史を「レース」という言葉を使って書かれている。研究の成果は誰のものなのか―今でも古びない問いかけはますます大きな課題となっているが、私たちが研究の陰にこの本に書かれた多くの事実と様々な立場の人々がいたことを忘れないでいなくてはいけない。或る時は利害で、あるときは学者の良心で行動した研究者たちのこと、また救われた人の立場、救うことができなかった人の生きた歩みは、このコロナ19の世界を生きる私たちにとって大きな教訓にもなるのではないかとも思う。
コロナ禍の時代、我々はワクチンの恩恵を受けているが、現在に至るまでの過程を見事な筆致で描かれている。
主にレオナルド・ヘイフリックの視点からワクチン開発の舞台裏が語られるが、子どもの予防接種の際、当時はまだ自由接種だった不活化ポリオワクチンをうってくれる病院を探したことを思い出しながら読んだ。
昨年には、日本で風疹ワクチン未接種の世代(自分がまさに該当した)に対する懸念が明らかになり、ウィルスの伝染力の脅威を改めて認識させられた。
本書は微に入り細を穿つように克明に書かれているが、余計な脚色がないが故に話に起伏が乏しくなかなか読み進まないのが難点か。
今現在、世界中で新型コロナウイルスによって恐怖や悲しみの日々を過ごしていると思います。
昔からウイルスは存在しており、例えば風疹は1960年代までは何万人もの子供が先天異常に苦しんできたそうです。当時はワクチンがなかったが、生物学者がワクチンを開発してくれました。
ワクチンを開発するまでの苦悩、多くの人々の助け、悲しい現実などがこの一冊に全て詰まっています。
読みにくさは一切なく、分かりやすくまとめているので理解しやすかったです。
この本を読んでワクチン開発の大変さや素晴らしさを再認識することが出来ました。
せひ、皆様も読んでみてください。
今、世界中でコロナウイルスのワクチン開発競争が行われているが、その過程はどれだけクリーンなのだろうか。某国では治験を吹っ飛ばして認可が下りたなんてニュースも流れていたが、この本を読んで、余計に心配になってきた。我々が正しく判断するためにも、過去の歴史を知ることは重要だ。それは科学・医学の世界でも同じこと。特に、一般に理解が難しい分野でもあるので、余計に勉強しないといけないだろう。
今、読むべき一冊。刊行が待たれる。
コロナ感染の心配が付き纏う毎日を過ごす中で全世界でワクチンの開発を待ち望んでいる訳だが、安全で有効なワクチンを提供出来るまでは想像もつかない程の時間とお金、努力と犠牲が伴うという事がこの本を読むと理解出来る。本作品はコロナワクチンではないし、時代も今とは違う。ワクチンの実験には動物だけではなく、堕胎された赤ちゃんや、知的障害を持つ子供達、兵士や囚人などにも実施され、多くの犠牲があって当時は死病とされていた病の危険が無い今日に至る。科学者でも無い一般人の私には何が出来るのだろうと考えずにはいられない。
製薬会社や学術研究者が、ワクチンの開発競争においてどのような思惑を持ち、また翻弄されるのか、非常に生き生きと、また明確な視点から書かれていて大変面白く読めます。現在まさに世界的にワクチンの開発競争が激烈に行われている事について、開発者からの視点を得る事ができるように思います。
新薬・ワクチン開発をめぐる名誉、商業利益、研究倫理、薬事行政、宗教・生命倫理が錯綜する人間ドラマ。長期間に及ぶ綿密な取材にも関わらず、最後までまとわりつく「羅生門」的な当事者のストーリーの間の不一致。生物学における研究成果が商業化されていく過渡期を生きた研究者たちのライバル関係と友情。癒着、私欲、私怨。社会公共利益と安全性確立のためのリスクと犠牲。世界のトップレベルの研究者たちを描くノンフィクション大作です。