うるはしみにくし あなたのともだち
澤村伊智
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刊行日 2020/08/21 | 掲載終了日 2020/08/18
ハッシュタグ:#うるわしみにくし #NetGalleyJP
内容紹介
エンタメ界注目の気鋭が描く学園ホラーミステリー!
四ツ角高校に伝わる「ユアフレンド」のおまじない。
そのノートを受け取った者は、クラスの生徒の見た目を醜く(あるいは美しく)することができる。
三年二組の一番の美女で、「一番上の」グループに属する羽村更沙が自殺した。葬儀では両親が頑なに顔を見せることを拒んだ。噂では顔を老婆のように皺くちゃにされたらしい。
その後、三年二組では、女子だけが周囲の目のある場でつぎつぎに顔を醜く、傷つけられていく。
担任の舞香は「ユアフレンド」の存在を知り、誰かがおまじないを継承したと考えざるを得なくなる。同僚やクラスのメンバーと一緒に犯人を捜しはじめるが……。
犯人に踊らされる者、被害者を面白がる者、おびえる者。おまじないの力を持った者は誰なのか、その真意は――!?
結末の予想は、二度三度裏切られる!
【著者プロフィール】
澤村伊智(さわむら いち)
1979年、大阪府生まれ。東京都在住。2015年に「ぼぎわんが、来る」(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞を受賞しデビュー。2019年「学校は死の匂い」で第72回日本推理作家協会賞短編部門賞。
おすすめコメント
「ぼぎわんが、来る」で衝撃のデビューを遂げた澤村伊智が、今作では女性の美醜について描きます。
芸能人が不倫をすると「奥さんがあんなにきれいなのに…」という人が少なからずいますが、心のどこかで女のカーストは美を頂点としているという考えが彼らを支配しているからではないでしょうか。
それは呪いとも言えて、男と女をがんじがらめにしています。この仕組みを「クラス」という狭い世界、「おまじない」という奇妙なツールを使ってスリリングに暴き、まさにページをめくる手が止まらないミステリー作品になっています。エンタメ作品としても最後まで楽しめる内容です!
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784575243123 |
本体価格 | ¥1,300 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
残酷のミルフィーユ。
小谷舞香が担任の三年二組の生徒・羽村更紗が自殺した。いじめ等の理由も思い当たらず悩む中、通夜で不思議な光景を目撃する。参列者に対し両親が頑なに最後の別れで顔を見るのを拒むのだ・・・
性差による、若者の無敵感による、学校カーストによる、おまじないでの残酷さと様々な残酷さが心を蝕むんでゆく様子が余すとこなく描かれる。中でも美醜による残酷さは、傷口に塩を塗り込んだまま上から服を着ているようで、動くたびに傷み、傷が塞がることはない。むしろ腐りゆくようだ。
ミスリードによる展開も秀逸。裏の裏は表ではないと体現している。
解決とは言えない解決が後をひく作品。
異性からでも、同性からでも、年下からでも年上からでも同級生からでも、言われたことがある。
私もそうだ、「ブス」と言われた経験が何度もある。
あの2文字の威力が言われた人なら誰しもわかると思う。
どうしようもなく、心の奥底に刺さり抜けなくなるのだ。
それでも私は幸せだと思う。私を「ブス」とは一言も言わない家族と伴侶に恵まれた。
これを読んだ人達の感想をあますことなく読みたい衝動に駆られてしまう。
人間は私も含め残酷な生き物だ。むごい生き物だ。
この小説に出てくる彼女たちは「あなたのともだち」であり「わたしのともだち」だ。
とても読むのが辛い小説だった。どす黒いドロドロしたものが胃の腑にたまっていくようなしんどい小説だった。
救いなんて甘っちょろいものはない。
だけどそれでいい。
けど、〈彼女〉の両親、彼らに対する憎しみだけは止められそうにない。
得体の知れない恐怖があり、すごく怖くて面白かった。
おまじないというか呪いで自分の顔が変わってしまう。
犯人は誰なのか、ミステリ要素もありハラハラしました。
そして最後までわからなかった。かなり悔しい。
人間のコンプレックスをここまで表現されると本当に怖くて自分を省みてしまう。一番こだわって、一番目を背けてしまう。
誰もが美しい人に憧れるし、
コンプレックスを持っている。
ユアフレンドという本を使い、
クラスメイトを次々と醜くさせていく本作。
もし、私が醜くされてしまったら?
もし、私がこのユアフレンドという本を持ってしまったら?
私だったらどうしただろうとつい考えてしまう。
とにかく恐くて。
ラストは怒涛の展開。
これで終わりね。犯人この人か。
かと思いきやのこの展開。
見事に転がされてしまいました。
悪意のない言霊。おまじないでクラスの女子が次々と容姿を醜くされていく。数人の語り手の中に犯人が含まれる倒叙形式で、視点が変わる分、推察に幅が広がり余計に踊らされた。単純に犯人探しのミステリーの前に精神的ホラー要素が強く、徐々に浸食される恐怖に襲われた。何気無い一言が人の心に巣食い根を広げていく、それを断つのは酷く困難で計り知れない。何にでも成り代わる言葉の重みが痼となって痛烈に残る作品
何とも言えない気持ち悪い、ホラーとミステリーを掛け合わせた本を読みたいときは、澤村さんの本が一番。ハズレがない。謎はまだ残ったままで、呪いも完全には解かれておらず、後味が悪いのに「もっと」と次が欲しくなる。美醜について色々と考えさせられる…ユアフレンドという名前にも、もっと深い意味がありそうで、もう一度思考をめぐらしながら読み返したい。
こんな奇妙なことご起こるのは何故なのか。
次は誰にどんな呪いがかかるのか。
一体、誰が呪いの主なのか。
先が気になり読む手が止まらない。
そして、ラストを迎えて思うのは
本当に怖いのは「人の主観」なのかもしれない。
うつくしいとは?みにくいとは?
誰だって自分の外見には
少しくらい興味をもちますよね。
自分の顔のこの部分が気に入らない。
ああ、この部分がもう少しこうだったら。
でもそれって自分一人の価値観だけで
決まるものだと思いますか?
比べる顔があるから
こうなりたいって思うのでは?
ある高校のあるクラス、
クラスメイトに呪いをかけて
その顔を自由に変えてしまう事ができたら…。
クラス一の美少女がまず標的に。
そして第2、第3の犠牲者が。
今までの澤村伊智さんの作品とは
一味も二味も違う、
怖いけれど切ない物語。
すごく考えされられました。
人の見た目、美醜に関わることは、いくつになっても冷静でいられないのかもしれない。特に年ごろの高校生女子にとって、避けては通れないシビアな問題だ。
ある高校で連続して起こった不可解な出来事。ある日、容姿が突然変わってしまい、その結果、自殺したり入院したりする生徒があらわれた。都市伝説ともいえるおまじない「ユアフレンド」が原因だと噂され、誰がおまじないの犯人かとクラス中が疑心暗鬼となる。
見た目問題というセンシティブなテーマを元に、うまく練り上げられたホラーだと思う。きっと誰もが心の中で、「◯◯よりはまし」とか「◯◯には敵わない」などと周りの人との容姿を比べた経験があるだろう。でもその曖昧な基準はいったい何処からくるのだろう?美醜に拘るのはある意味呪いのようなもの。関係ないという態度をとることさえ、拘っていることの裏返しともいえる。私たち皆がその呪いをかけられているのだと思った。
醜いのは見た目か心か。
クラスカーストに悩む女子の復讐劇。
実在するはずのない雑誌に書かれたおまじない。
クラスの女子を醜くできるというそのおまじないを手に入れた一人の女子生徒の
怖くて悲しくて切ない物語。
見た目じゃないけど見た目で判断してしまう人間の心の醜さも描かれており、怖いだけじゃなく考えさせられもしました。
学校の怪談的ホラーミステリーで、物語自体、凄く面白い!美しい顔が呪いによって醜く変わってゆく。女子にとってかなりセンシティブな内容をよくぞここまで描き切った凄い!しかし、呪いをかけたくなるほどつらくて、憎しみを募らせる、マウンティング最下位の女の子たちの気持ちや心の叫びが胸に突き刺さってつらかった。
読後、襲ってきたのは気持ち悪さ
美醜に執着し、人の闇を覗き込む
友人や親兄弟に植え付けられた美醜の物差し目の当たりにし
心にモヤモヤとした気持ち悪さを残していった
ほんのり熱を持って痛む、自分の生え際にできた芯の深いニキビに触れ
年頃の娘達が急激に醜くなっていく姿を思い描く
力を込めると、強い痛みとともに弾け、押し込められた膿が滲む
指先に異様な開放感を残して
私は呪いを受ける側なのか、呪う側なのか
ホラーとミステリーが交わった本書を読みながら、自分のニキビの行く末を妄想した
ホラーとミステリーがうまく融合していて、読み始めたら先が気になり一気に読み終えました。
そろそろ終わりか…と思ったら終わりじゃない、結末は予想もしていなかったものでした。
外見のコンプレックスは大なり小なりほとんどの人が持っていると思います(もちろん私もあります)が、美しさの基準を自分の中ではなく周囲に置いてしまうことが、不幸を呼び込んでしまう悲しさというかやるせなさも感じました。自分の中に基準を持つのはとても難しいことですが…。