記憶喪失になったぼくが見た世界

朝日文庫

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刊行日 2019/08/01 | 掲載終了日 2020/11/25

ハッシュタグ:#記憶喪失になったぼくが見た世界 #NetGalleyJP


内容紹介

【「世界一受けたい授業」で紹介され大反響!!】

現在48歳の坪倉優介は、今から30年前、大阪芸術大学1年生のときに交通事故に遭い、記憶だけでなく、食べる、眠る、トイレなど、生きていくのに必要な能力を失い、お金や漢字まで忘れてしまう。それはまるで、18歳の赤ちゃんと同じだった。

目の前に出されたお米は「きらきら光る、つぶつぶ」としか思えなかった坪倉には、世界はどのように見えたのか・・・・・・。目の前に立つ「オカアサン」という女性のことを、どのような経験を積み重ねながら、心から本当の「お母さん」と呼べるようになったのか・・・・・・。

やがて大学を卒業して、京都の染工房に就職。草木染職人として修業を積んだあと2005年に独立、「優介工房」を設立。桜、笹、どんぐりなどを刻み、染料にして染めていく作品が、人気を呼ぶ。100パーセント草木だけで染める制作方法は珍しく、出来上がった着物は「坪倉カラー」と呼ばれるようになる。今までに日本全国で200回以上の展示会を行った。

現在も草木染職人として活躍するかたわら、小学校などで講演会を開いて、生命の大切さについて語る。

坪倉の再生の過程を、本人が綴るエッセイだけでなく、献身的に見守りつづけた母親の証言でたどる感動の手記。


【「世界一受けたい授業」で紹介され大反響!!】

現在48歳の坪倉優介は、今から30年前、大阪芸術大学1年生のときに交通事故に遭い、記憶だけでなく、食べる、眠る、トイレなど、生きていくのに必要な能力を失い、お金や漢字まで忘れてしまう。それはまるで、18歳の赤ちゃんと同じだった。

目の前に出されたお米は「きらきら光る、つぶつぶ」としか思えなかった坪倉には、世界はどのように見えたのか・・・・・・。目の前に立...


おすすめコメント

「世界一受けたい授業」(日本テレビ系、2020年6月6日)で齋藤孝先生にご紹介頂き、大反響!大重版!! 20年間、読まれ続けている感動の一冊。 

「世界一受けたい授業」(日本テレビ系、2020年6月6日)で齋藤孝先生にご紹介頂き、大反響!大重版!! 20年間、読まれ続けている感動の一冊。 


出版情報

発行形態 文庫・新書
ISBN 9784022619891
本体価格 ¥560 (JPY)

NetGalley会員レビュー

記憶喪失でも、部分的に記憶が無くなる場合と、優介さんのようにすべての記憶がなくなってしまう場合があるのだそうです。彼の様に体は大人なのに、赤ちゃんの様にすべてのことを覚えていかなければならないというのは、どんなに大変なことなのでしょう?

 この人がお母さん、お父さんと覚え、ひらがなを一文字ずつ覚え、お風呂は水の状態では入ってはいけないと教わり、とにかく全部を覚えないと日常生活すらできません。

 分からないから、それは何?とか、どういう意味?といろんな人に聞き続けていくのですが、それが「しつこい」とか「気味悪い」と言われたり、不機嫌な顔をされたりしてしまいます。

 この本の中で、優介さんとお母さんの文章が交互に出てきます。優介さんの悩みも、お母さんの悩みも、どちらの気持ちも分かってとても良かったです。それぞれに大変だったこと、お互いに理解できたり、できなかったりしたこと。こういう記録はとても重要だと思います。

 少し余計に時間がかかったけれど、優介さんなりの人生を見つけだすことができて、今は元気に生きています。

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大学1年生の時の交通事故で、それまでの記憶全てを失うってどういうことなんだろう?今はもう記憶が戻っているのだろうか?家族は、友達はどうしただろう?と思いながら読んだ。大学に復学できたのはよかったが、とても冷たい先生がいるのだなあと思った。中途半端に事情を知ることの罪深さを思った。辛いことがあったら、お互いに時期をみて、周りに知らせてほしいし、知るべきだと思った。過去の記憶について優介さんが考えていることを読んで、すごくびっくりした。本人が考えていることと、周りの忖度は全く異なるのだなあと思った。

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記憶を失い、ご本人も、そして家族も、どんなに苦しかっただろう…。お母様の言葉には思い悩んだ様子が伺えて胸をぎゅっと掴まれたような気持ちになります。
しかし、悲観的ではなく、ピュアな目線で捉える世界は新しく明るく、美しくさえありました。その感覚こそが着物の染色など芸術的なところに大きく影響するのではないかと思いました。

ごはんの味、チョコレートの甘さ、初めて食べたときの感動!私達にとっては当たり前で些細なことでも、日常を観察し感動を書き記す。そんな作者の言葉一つ一つのおかげですべてのことがみずみずしく感じられました。

幼い子供が初めて目にしたものに抱く印象をそのまま言葉にしたらこのように表現されるのでしょう。私が生きているこの世界も、見方によってはこんなにキラキラしているんですね。

作者の作品が写真で紹介されていますが、どれも素敵で、個性的で、それでいて素材の色にこだわって自然界の色を表現されているところが素晴らしいです。実物の作品を是非見てみたいです!

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記憶喪失。この言葉の重みをこれほどまでに感じたのは初めてかもしれません。生きるとは記憶の積み重ね。記憶とは人生そのものなのだと。すべてを忘れ、感覚がさえわからない。この苦しみはとうてい耐えられないものだったと思います。私には想像すらできません。各章での母の記憶には、胸がしめつけられました。どんなに辛かったことか。それでも、なんとか自立してほしい。過去より未来をと願う想いがひしひしと伝わってきて、常に前向きな強さを感じました。
彼にとっては地獄のような日々だったと思います。それを乗り越え、今を生きている。
彼の新しい人生は、家族の支え、そして、本人の並々ならぬ努力があってのことだと思います。
生きる力が胸に響く作品でした。

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記憶喪失という言葉は知っていても、どんな症状になるのか具体的な手記を読むのは初めてでした。
過去にあった出来事や人の名前だけでなく、食事や睡眠など生理的な事柄まで忘れてしまうとは、いきなり人生をリセットされるような辛さだったと思います。
ご家族や友人の支えも本書に書かれている以上のものだったと思いますが、事故後も変わらず1人の学生として受け入れ、ときに厳しく指導もする大阪芸大の対応が素晴らしいです。
著者がまっさらな状態から育ち直し、今は過去の記憶が戻るのが怖い、と思えるほどの日々を積み重ねてこられたのは記憶喪失を言い訳にせず努力した結果であり、それが草木染にも活かされているのかなと感じました。

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見るものが全て未知で不思議で恐怖。
会う人がみんな自分を見て悲しそうな顔をする…

全てを忘れてみる世界は新鮮で物珍しい。きっと乳児が見ている世界はこんな感じだろうと思う。けれど彼の見た目はちゃんと大人であるから、色々苦労があったり、理解されなかったり...
もし、いつか記憶が戻ったら、彼は誰になるのだろう?そう思ったら怖くなりました。

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ゼロになる。自分だけ、今まで経た年を忘れて何も分からないところから始める。混乱、不安、恐怖。家族のサポートすら重く、訳もわからず。そしてそれを見守る家族。今まであったものが失われること、そこにいるのに別人になったもの。どれだけの努力と寛容さと挑戦があったのか。

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今や坪倉カラーとしての染色家として有名な坪倉優介さんですが、学生の頃のバイク事故で、すべての記憶をリセットされた坪倉さん。それを適度な距離間を保ち、一から辛抱強く子育てするように言葉と息子への思いを積み重ねていったご両親・ご兄弟の愛に支えられ、見事に再生し、無二の世界を作り上げた染色家の方の感動の壮絶なノンフィクション。

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全ての記憶が無くなったらどうなるのだろう

記憶喪失はなんとも厨二心をくすぐるものだ
目に見えない、でも確かにそこにある記憶という
あって当たり前のものが失われて、別の世界が広がる期待に
無意識に焦がれるのかもしれない

これはそんな生半可な気持ちをへし折る本
それまで生きる事で培った、全ての記憶を失った坪倉氏の話
その失った記憶は、記憶という言葉では片付けられないほどの物
記憶ではなく、本能に近い部分でもあった

それを失えば、私はどうなるのだろう
周りの人間はどうなるのだろう
坪倉氏の母君と交互に書かれる情景は私の想像を超えるものでした
それでも、そこにある親子の愛は変わらない
記憶失って戸惑う彼を、支えて受け止めた母君に心奪われた一冊でした

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ドラマなどでは時々出てくる記憶喪失。でも実際に記憶をなくした人の体験は読むのも聞くのも初めてでした。周りの人達や自分の事が分からなくなるだけではなく、日常生活の様々な事、食べる事さえも分からなくなってしまう。18歳の赤ちゃん状態で、ご両親は命が助かった喜びはあってもそれからの日々は本当に大変だったろうと思います。そしてなによりも本人は何も分からず不安の中での日々で想像を絶する苦労だったろうと思いますが、それを乗り越えて自分の工房を持つまでになる。素晴らしいと思います。リセットされて子供に戻った感性が彼の作品に活かされているのでしょう。生きるという事を考えさせられる本でした。

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何もかも忘れてしまう。
人として生きる術すら忘れ、目の前の家族も分からない。それでも、大好きだった絵を描くことは忘れずにいた。

日常に戻るには、大変なご苦労をされたと思う。本人もだが、お母様のご苦労と辛さは、察するにあまりある。それでも、挫けずに見守り続ける強さに感動した。

冒頭の文章の、初めて世界を見たかのような描写から、学生生活に戻っていく辺りまでは、生々しくもあり、記憶をなくすことの怖さが伝わってきた。
そんな中で、様々な経験を積み、自立していく過程は、傍らで応援するような気持ちになった。

数々の苦労の上、生み出されてきた作品も、いつかこの目で見てみたいと思った。

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ドラマや漫画などで都合よく演出小道具として記憶喪失を描くことに罪深さを感じた。本当はこんな現実に本人も家族も周りの人も直面することを、この言葉を知識としてしか受け止めていない人は、この本を読む前の私も含めて、知らずにいて、だからこそ軽々しく扱えるのだろう。
でも、この本はそんなところでは立ち止まらず、前に進む、未来へ歩む家族の姿が描かれていて、その力強さに驚かされる。
欲を言えば松茸染めとどんぐり染めも見てみたかったです。

余談ですが、解説の俵万智さんの言葉を読むまで、最初に書かれていた三本線が何を示すのか分からなかった自分の頭の固さにガックリしました。

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記憶喪失になったぼくが見た世界

記憶を失くすということは凄いことである。それが本書を読むと伝わってくるのでした。もしかすると、乳児が見ている世界はこんな感じなのだろうかとか思ってしまう。あって当たり前のものが失われてしまう世界。不安。

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事故でそれまでの記憶を全て失って、さながら大きな赤ん坊となった息子を支え続けたお母様のご苦労を思うと、同じ母親として胸が痛くなる。「今のぼくにはなくしたくないものがいっぱい増えて、過去の18年の記憶よりも、はるかに大切なものになった。」「今いちばん怖いのは、事故の前の記憶が戻ること。そうなった瞬間に、今いる自分が失くなってしまうのが、僕にはいちばん怖い。ぼくは今、この12年間に手に入れた、あたらしい過去に励まされながら生きている。」そう言えるようになって、本当に良かった。

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