戦国大名の経済学
川戸貴史
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刊行日 2020/06/16 | 掲載終了日 2020/07/03
ハッシュタグ:#戦国大名の経済学 #NetGalleyJP
内容紹介
兵士の装備一式70万円、鉄炮1挺50万円、兵糧米代1000万・・・1回の戦争の費用はしめて1億!
「銭がなくては戦はできぬ」
戦国時代はその名の通り、日本全国が戦乱に明け暮れていた時代でした。しかし戦争は、単に個々人が武力に優れていさえすれば勝てるようなものではありません。なによりも必要とされたのはお金です。刀、甲冑、そして新兵器、鉄炮から馬にいたる武器・装備品に始まって、後方兵站への非戦闘力の動員にいたるまで、先立つものはまず「お金」。お金がなければ戦争など、できうるべくもなかったのです。
そのため戦国大名は平時から、自領内での経済力の増大に、つねに意を注がなければなりませんでした。農作物を安定的に収穫するための治水事業や、流通を潤滑にするための道路整備などのインフラ整備、「楽市・楽座」令による経済の活性化、金・銀・銅などを獲得するための鉱山開発、さらにはこの時代に初めて我が国に登場した、ポルトガルなどの海外交易に至るまで、あらゆる手段を講じて「富国強兵」に励んでいました。
資料に限界があるために、当時、個々の案件にどれほどの費用がかかったのかを算出することは難しく、専門家が書いたものとして1冊の新書全体でこの問題を扱ったものは、現在、ほぼ皆無に近い状態です。本書は、戦国時代の経済の専門家があえて蛮勇をふるい、この問題に挑むものです。
序章 戦国時代の経済と戦国大名の経営
第一章 戦争の収支
第二章 戦国大名の収入
第三章 戦国大名の平時の支出
第四章 戦国大名の鉱山開発
第五章 地方都市の時代ーー戦国大名と城下町
第六章 大航海時代と戦国大名の貿易利潤
第七章 混乱する銭の経済ーー織田信長上洛以前の貨幣
第八章 銭から米へーー金・銀・米の「貨幣化」と税制改革
終章 戦国大名の経営と日本経済
参考文献
あとがき
出版社からの備考・コメント
※発売前作品のため、発売後に読まれる読者の皆様のためにも、「ネタバレ」「外部書評サイトへのレビュー投稿」は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
※※リクエストの承認につきましては現在お時間をいただいております。
校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
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出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784065200155 |
本体価格 | ¥1,000 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
勝手に特定大名家に絞って経営の一から十までをシミュレート・検証するような本だと思っていたが、著者としては、始めての一般読者向けの著作と言うことで、些末な数字にはこだわらず戦国時代の経済について種々のトピックスを積み重ねてこの時代の経済体制を大つかみできる本である。
幕府がその体を成さず、各地の守護やそれに変わる勢力が個々に地所を経営していた時代ではあり、その経済の成り立ちに標準解を求めることは無理ではあるので、この記述方法はある意味正解であろう。
導入部では、戦国時代の合戦に掛かる費用と戦国大名の領地経営の経済学を考察する。個人的には現在の感覚でみるとやや安いようにもおもえるが反対にこの時代の合戦はその程度のものだったのかもしれない。
以降は織田、豊臣、徳川という流れの中で、撰銭令、海外貿易、石高制といったものがどういう役割を果たしたかを記述する。最近の日本史授業カリキュラムは存知しないが、旧来一般向けの日本史書籍ではあまり語られてこなかった事のようにも思う。
本書の特徴のひとつは巻末に関係書籍類の充実したリストがついていることで有る。著者が参考にした先行研究の出版物であり、本書で興味を持ったトピックスをさらに詳しく知るための導きとなるでしょう
戦国大名のお財布事情はどんなものであったのか?
面白いと思ったのは、戦争経費について。
1回の戦争で1000万円という算出をみると、果たしてそこまでして戦争をする必要があったのかと考えてしまう。
これは現代においてもさして変わらないようではあるが。
戦国大名としての収入は年貢など多岐にわたるようで、その仕組みは至ってシンプルのように感じた。
町を繁栄させるだけといった、支出の面はもっとシンプルである。
賄賂や親族同士の殺し合いも当たり前であった戦国時代においては、怪しげな交友や交易関係が渦巻いている。
信長の行った政策である「楽市楽座」への有効性の分析や見解など、歴史好きにもオススメできる内容で、特にエコノミクスには必見の1冊である。