透明な夜の香り

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刊行日 2020/04/03 | 掲載終了日 2020/07/27

ハッシュタグ:#透明な夜の香り #NetGalleyJP


内容紹介

香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。

元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、古い洋館の家事手伝い。

その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める親など、事情を抱えた依頼人が次々訪れる。一香は朔の近くにいるうちに、彼の天才であるがゆえの「孤独」に気づきはじめていた――。

「香り」にまつわる新たな知覚の扉が開く、ドラマティックな長編小説。

【著者略歴】

千早茜(ちはや・あかね)

1979年、北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。翌年、同作にて泉鏡花文学賞を受賞。13年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。同年に『あとかた』、14年に『男ともだち』でそれぞれ直木賞候補となる。その他の著書に『正しい女たち』『犬も食わない』(クリープハイプ・尾崎世界観との共著)『わるい食べもの』『神様の暇つぶし』『さんかく』など。


香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。

元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、古い洋館の家事手伝い。

その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める親など、事情を抱えた依頼人が次々訪れる。一香は朔の近くにいるうちに、彼の天才であるがゆえ...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784087717037
本体価格 ¥1,500 (JPY)

NetGalley会員レビュー

街で漂う香水の香りに昔の恋人を思い出す、秋の金木犀の香りで、切なさを覚える。香りが呼び覚ます記憶とはそのくらいだろうと思っていたが、香りは残酷な記憶すら思い出させてしまうし、その香りの誘惑から衝動的な行動をとってしまう可能性もあるということを思いしる。静かで澄んだ世界観の中に、薔薇のような甘く酸味のある香りがほのかに漂ってくるような物語だった。

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のっけから圧倒的に漂うミステリアスな香りに眩暈がするほど静穏な世界観。傷を閉じ込めた主人公と傷ごと纏う調香師が緩やかに進める歩を、優しく包む周りの人柄にもとても惹かれた。ハーブを扱った料理が沢山出てくるのも大きな魅力。
とても好きな空気感で淡く切ない作品をお探しの方には特に推奨します。

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匂いにまつわる、美しくも密やかな官能に満ちた端正な文章に引き込まれました。忘れがたい匂いがいくつも浮かび、同時に隠していた秘密を暴かれてしまうことを「怖い」と感じる自分もいました。千早茜さんの書くものは、いつも感覚や官能を刺激する。装丁の素晴らしさとあいまって、永遠に書店の売り場の棚に忍ばせておきたい一冊になりました。

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静かで神秘的な鍾乳洞みたいな本だった。鍾乳石からぽたぽたと垂れる水滴は一定で、だけどそれによって形作られる周りの地形は、静かに変化して…。
香りが与えてくれる情報は季節変化だったり、お隣の晩御飯だったりと、明るいものが想像されるけれど、もっと色々な情報を含んでいて、確かにそのすべてが分かってしまったら、私は生きていくことが耐えられないかもしれない。

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