チーム・オベリベリ
乃南アサ
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刊行日 2020/06/30 | 掲載終了日 2020/06/29
ハッシュタグ:#チームオベリベリ #NetGalleyJP
内容紹介
約140年前、その女性は、北海道十勝の原野へ渡った
オベリベリ――和人たちによって「帯広」とされた新天地
明治の先進教育を受けた彼女は、いかに生き抜こうとしたのか
開拓に身を投じた実在の若者たちを基にした、著者が初めて挑む長篇リアル・フィクション
〈明治維新という大きな時代の変わり目を体験した上に、それまでとまったく異なる世界に身を投じる若者たちの姿は、今、世界的な新型コロナウイルスの流行により、またもや大きな時代の変わり目を経験しなければならない私たちに何を思わせ、感じさせることだろうか〉――乃南アサ
私たちの代が、捨て石になるつもりでやっていかなければ、この土地は、私たちを容易に受け入れてはくれない
宣教師たちが開いた横浜の共立女学校に学ぶ鈴木カネは、父や兄にならって聖書の教えを受け、勉学に励んでいた。兄の銃太郎は、神学校で一緒だった渡辺勝、依田勉三と北海道開拓について考え始めている。彼らは勉三を中心に「晩成社」を興し、新天地へ向かう準備を進める。明治15(1882)年、23歳になったカネは女学校を卒業し、渡辺勝との結婚、そしてオベリベリとよばれる帯広へ行くことを決意する。
出版社からの備考・コメント
※発売前作品のため、発売後に読まれる読者の皆様のためにも、「ネタバレ」「外部書評サイトへのレビュー投稿」は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
※※リクエストの承認につきましては現在お時間をいただいております。
校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
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出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784065201145 |
本体価格 | ¥2,300 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
礎の礎は学びと覚悟。
御一新により価値観が大きく変わった士族の娘・鈴木カネは、つつましやかな暮らしの中でも最先端の教育を受けていた。渡辺勝と結婚したカネは、兄・鈴木銃太郎の待つ蝦夷地・オベリベリ(帯広)へ向かうのだが、そこは想像を絶する土地だった・・
3歩進んで、2.9歩下がるような開拓の様子がカネの視点で描かれている。その中で開拓民の一員として、アイヌの隣人として、士族の娘として、妹として、妻として、母として悩み、ブレる姿は、今大きな価値観の変更を求められている現代人と重なる。「自分の代では開墾は進まないのかもしれない」という不安を抑えながら娘のため、次世代のため礎に徹する姿は感動的ですらある。
電脳世界を開拓しようとしている現代人はカネほどの覚悟があるのだろうか
著者が初めて挑む長篇リアル・フィクション 。明治維新後の激動の時代に北海道開拓に身を投じた渡辺カネの人生を描く。晩成社を興した依田勉三、兄の鈴木銃太郎、夫の勝と共に厳寒の帯広(オベリベリ)で自然と闘い開墾を進めるがうまくいかない。絶望の中でも信仰を支えに立ち上がっていく姿が不安の時代に生きる私達に勇気を与えてくれる。教師であるカネはアイヌや農民達に学問を教える。どんな境遇でも教育がいかに重要であるか。人を育てることで己もまた成長する。圧倒的な筆力で一気読みだった。
明治維新後の開けていく横浜と、まだまだ未開の「蝦夷地」でしかない北海道。想像は既有知識を超えないことが伝わってくるが、だからこそ、このような小説を読むことでその知識の幅とそれに伴う想像の幅も広げてくれることを感じた。知ろうとしないことは想像できない。開拓、というのは『大草原の小さな家』など異国のものなどで聞き知っていることもあるけれど、北海道開拓は日本人にとってそれほどメジャーではないことに初めて気づかされた。
そして、女性視点で描かれていることで、現代的な気付きも増えるなと思いました。カネの憤りは、残念ながら過去のものになっていないことも多く、そのことについてももっと開拓が必要だと思わされました。
六花亭に開拓にちなんだ鍋型の最中があったなと思って調べてみたら、まさに「菓名の「ひとつ鍋」は十勝開拓の祖、依田勉三翁が開拓当時によんだ句「開墾のはじめは豚とひとつ鍋」に由来します。」(六花亭公式ホームページ)とのこと。久しぶりに食べたくなりました。