自転しながら公転する
山本 文緒
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刊行日 2020/09/28 | 掲載終了日 2021/05/06
ハッシュタグ:#自転しながら公転する #NetGalleyJP
内容紹介
【★2021年本屋大賞ノミネート作★】
結婚、仕事、親の介護、全部やらなきゃダメですか ?
NHK「あさイチ」出演でも大反響、あたたかなエールが届く共感度100%小説!
東京で働いていた32歳の都は実家に戻り、地元のモールで店員として働き始めるが・・・。 恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理! 答えのない問いを生きる私たちをやさしく包む、7年ぶりとなる待望の長篇小説
【★2021年本屋大賞ノミネート作★】
結婚、仕事、親の介護、全部やらなきゃダメですか ?
NHK「あさイチ」出演でも大反響、あたたかなエールが届く共感度100%小説!
東京で働いていた32歳の都は実家に戻り、地元のモールで店員として働き始めるが・・・。 恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理! 答えのない問いを生きる私たちをやさしく包む、7年ぶりとなる待望の長篇小説
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784103080121 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
現代に生きる女性の姿を書かれたこの物語を夢中になって読みました。
主人公の30代の女性のほんとにリアルな日常がこれほどに胸を打たれてとは…
仕事、恋愛、家族、友人…
主人公を取り巻く人達も、実際に探せばいるような。
どうしても、誰かと比べたくなる、人のことが羨ましくなる、でも、人それぞれ表に出してないだけで、みんな色々あるんだ…
良い面もあれば悪い面もある、完璧な理想なんて存在しない、言葉に出して話して、そのことに気付いて忘れてまた気付いての繰り返し…
そして、人は人に寄り添っていく…
自転しながら公転する
主人公の恋人がふと言ったこの言葉が、この物語の題で良かったです。
480頁という長さを全く感じさせない!
あっという間に読めました。大きなドラマは生まれないのに、すごく面白かった。暮らしが地続きであって、一進一退を繰り返していて、その営みが、すごく苦しかったり、嬉しかったりして、これが人生だなと思えました。
登場人物の振る舞いが、相対する人や場面によって、全然違って、そうそう、人って何人もの自分を使い分けて生きてるんだよなと。すごくリアルでした。都のことも、貫一のことも、弱い所もダメな所も含めて、一人の人間として、とても好きになりました。
親の介護、非正規雇用、セクハラ、煮え切らない交際相手、将来への不安…全てが重くのしかかる。
でも本当にダメなのは何も決められない自身自身で。。
共感しすぎて、途中で読むのがつらくなりましたが、最後のページの都の一言に救われました。時間をかけてでも読むべき1冊だと思いますし、独身女性にぜひおすすめしたいですね。
リングがいつの間にメビウスとなる・・
都内のアパレルで働いていた都は、実家・茨城に戻り転職した先ですし職人の・貫一と出会う。貫一とつき合いながら自分のこれからを考え踏み出そうとする都は・・
3歩進んで2歩下がり、2歩進んで3歩下がるの繰り返しのような都にもどかしさも感じつつ、先の見えない不安を抱えながら生きている人たちのリアルが描かれており共感もする。
自転して公転しながらさらに渦に巻き込まれていったような感覚。
エピローグで明かされる姿は騙されたというより驚きの感情だった。リング?メビウス?
牛久大仏を眺めながら、車の中で朝食を摂る。ちょっと前までは駅ビルの中のカフェだったのに。
東京を離れてから2年。
その時と変わらず今もアパレルで働いてるけど、お店の服はどれも着たいものではない。
会社勤めの父と更年期障害の症状が重い母と実家で暮らしている。
仕事も暮らしもただただ悪くならない様にやり過ごしているだけの毎日。
彼は出来たものの、中卒元ヤンとの未来をなかなか描けずにずるずると過ごしてしまっているだけ。
当たらず触らず、周りとの調和を大事にやってきたつもりだけど、結局それは保身でしかなかったのだと、女友達に彼に対する気持ちを言い当てられ愕然とした。
自転しながら公転する
って聞いて、何のことだがさっぱりな人間ではありますが(大概の人はわかるのか?これ。試験に出た?これ。)、
誰にも共感はなかったけれど、男の人の本音(ひと回り上の女性を恋愛対象に見るのはむつかしいとか)が見えた時は、けっ、と思いましたね。
すっごく面白かった!
主人公はアパレル販売員の契約社員、
30代前半の見た目もそこそこ可愛い女の子。
母親が体調を崩し、
家の手伝いをするために東京から地元に戻ってきました。
でもね、やっぱりそれだけじゃないんだなー。
いやね、本当に女子に刺さるんだわ。
わかる、わかるー!の嵐。
なんだろう、八方塞がり感っていうのかな。
どっちを向いても、
上手く行っていることが無いっていうか
こんなはずじゃなかった感っていうか
とにかく読んで欲しい。
わたしの中では次の本屋大賞候補です。
確か9月に発売延期になったはず。
本屋さんで見たら、
一度手に取ってみて欲しい!
30代独身女性、自信がなくて、お金もなくて、両親の介護も考え始めていて、将来に希望を見出せずに不安な日々。その上職場のストレスまで抱えて、読みながら都と一緒に悶々とさせられました。答えのない問題だからこそ、いろいろな形があって、みんなが悩んでいるのでしょうね。読者によって、共感するキャラクターが変わってくるのかもしれません。それだけ多くの人の気持ちに、寄り添える作品なのかもしれません。
まさにタイトル通りの物語でした。このタイトル思いつくの凄いな…読み終えた後で納得のため息がでました。
山本文緒作品に出てくる女たちが、登場人物たちが、昔から本当に怖くて苦手です。
”いそう”というか”いる”この生々しさ、決して美しくないモダモダさ、それ絶対後悔するやつじゃん!を目の前でやったり言ったりしてしまう人間らしい愚かさ。あー本当に苦手です。
だからこそ、気が付けばいつも読んでしまいます。恐るべし山本文緒作品。
思わせぶりなプロローグが気になって、どんどん読み進めてしまった。ドラマティックで展開が早くて、勢いのある作品。先の読めない不穏な世の中だからこそ、常識にとらわれず、人の意見に流されず、自分の頭で考えて選択することが大切だと思った。自分は今まで、やりたい!という理由で動いたことがどれくらいあっただろうか。そういうものだから…と選んだことの何と多いことか。でもそれも良し。違うと思ったらやり直せばいいのだ。そこそこの幸せを目指して生きて行こうと思う。
私たちはみんな自転しながら好転している。その表現が本当にしっくり来た。そしてみんなそうだとも思えた。不器用なりに生きていく。人は皆それぞれ。
貫一のような人は本当にいると思う。少しだらしなくて、流されやすい。でも困っている人をほっとけない人。みんながみんな、自分らしく生きて幸せになれたらいいのに。そうできない苦しさも感じたけれど、この物語はハッピーエンドで良かったと思った。
主人公の仕事や家庭での苦悩が誰にでもあり得ることで共に迷い、悩みながら読みました。
友人たちもそれぞれがそれぞれの立場で色々なものを抱えていて読んだ人は誰かしら登場人物に感情移入できるだろうと感じました。
それにしてもこの作家さんは女性目線の物語がほんとに上手いなぁ。
友達と語り合っているような一冊でした。
迷って、決められなくて、流されて、思うようにならなくて…。都の日常的な苦しさやもどかしさはどれも思い当たることがあって共感するばかり。
三十路を過ぎた独身女性の感じる不具合を全て詰め込んだような主人公は、私でありあなたであり。
友人が羨ましいと悶え、どうしたら幸せになれるのか悩み、肝心な事を考えることからは逃げ…まさに七転八倒な生き様は、多かれ少なかれ誰もが辿っている毎日だと思います。その姿があまりに生々しくて読んでいる間は酷く疲れるのだけれど、どういう結末を迎えるのか目が離せず、約480Pという量を一気に読み終えました。
迷って悩んで泣いて掴んだからこそ、ラストは素晴らしい充足感でした。。
1番、響いたのは『年をとるということは若さと引き換えに安定をもらえる物だと思ってきたが、そういう認識が誤りだったのかもしれない』そうなのよ、どんどん面倒くさい事にもなってくる。主人公の母親が結構好きでした、なんか分かる。主人公の女子感が生々しいけど、さすがのリアル、周りばかりよく見える、とても分かる。
みんな、何か背負っていきてる。
思わぬ方向へ人生転がっていく、自らだったり、誰かとの縁だったりタイミングだったり、でも転がり始めちゃったんだからしかたないよね。生まれた時からもうスタートしてるさ。
自分でクルクル回りながらも、行きたい場所へ強く生きたい。
他の人はどんな感情を抱きながら読んでいたのかすごく気になります。
僕は読んでいる間ずっとつらかったです。
共感しすぎてつらい。
しょうがないからと、なんとなく見て見ぬ振りをしていた、生きづらさを目の前にとても分かりやすい形で差し出され、あぁ、いま自分って辛いんだって知らされる。
頸椎を捕まれ、視界を外すことを許されない。
主人公が恋人、貫一の善なる行動を見て、「お前はなにもしなかったのか」と自分に問いかけ、自分を責めるシーンがあるのですが、僕はこの小説を読んでいて、同じように自分がずっと責められているような感覚になりました。
それはやっぱりいまの自分の立場への不安から来るものだと思います。
だからつらい。
でも、不思議なことに、読後感はとても心地が良く、なんだか前向きな気持ちになる。
最後の母親から娘への言葉が、ここまでの物語を体験してきた胸へ、よく染みてゆきます。
ただひたすらに怖かった。
ミャーのお母さんがこれからの自分の姿のように思えて怖い。
ミャーの優柔不断さと身勝手な言動がツラくて吐きそう。
女って怖い。でも女を見下してる男たちの言葉や態度にも恐怖しかない。
私は女の気持ちも男の気持ちもわからないのか?
女の幸せがどうとかいう以前のところでつまづいている私って一体何者?
共感し難い苦しさでぐるぐる回る頭の中。
ああ、私も自転公転してるのか。なんだかすごいものを読んでしまった……。
沢山の便利家電に頼っているのに、毎日なんだか用事に追われている。
右手と左手で同時に違う作業をこなしながら生きているような、時々そんな気がする。
求められる軌道から外れないことと、自分の進むべき軌道を定めること。
社会に生きることと、自分だけの人生を生きること。
同時に一つの身体でこなす難しさを、きっと多くの人が感じている。
だからこそ『自転しながら公転する』はたくさんの人が自分の物語として共感しただろう。
主人公が、環境や出来事に翻弄され、観念に引っ張られながら、もがくように自分なりの幸せを手探りする姿。
その熱く、しかし陽が差し込まぬくらい深いところにある焦燥感のようなものを、作者はこの小説の中で見事にすくいあげた。
そこには四十代の私にとって、とても懐かしくて眩しくて、痛みを伴うほどのリアリティがあった。
そのリアリティの素晴らしさもさることながら、一番の魅力はエピローグだろう。
プロローグの続きとなるシーンを、全く別の思いで読まされたことに一驚した。
頬の内側を噛みながら、思わず嗚咽が漏れた。
山本文緒さん、完敗を認めます。この小説は、すごい!
上京し32歳まで突っ走ってきた主人公が、親の病気を機に実家に帰り、紆余曲折を経て価値観を見直していく長編。主人公の的外れな自己評価に共感は薄かったが、外からでは見え方が著しく変わる部分に自己を俯瞰する良い機会になる作品に思えた。恋愛、友情、仕事、病気、日本人の将来の不安が詰まりに詰まったフルコース
本当にどこにでもいるオシャレに目がない女と昔は悪かったけど今は不器用に生きてます系の男。正直日々起こることも超現実的で、そんなに引き込まれる要素もないのに、この本は最初から最後まで面白かった。リアルであるがゆえに身につまされてゾッとする部分もあるし、あったかい気分になるところもあり、最後はとんでもなく入り込んで勝手に応援してる自分がいた。構成、文章がものすごくうまくて自然だった。
エピローグでまさかのどんでん返し!それまでのもやもやややきもきを一気に吹き飛ばされました。リアルな感情表現にどきどきしたり、腹を立てたり 読後もしばらく近くに彼女彼らが近くに存在してるようで世界から抜け出せないでいました。
自分への不安、自分を取り巻く人々や社会への不安についてぐるぐると考えてしまう「自転しながら公転する」ことが、痛いほどに伝わってくる一冊。
感情の上がり下がり、何もかも上手くいったりいかなかったり、自分を否定したり肯定したり、ひと時も同じところにいられない。
自分の身にも当てはまる訳の分からない感情が、ストンと胸に落ちてくる言葉で表現されたりしていて、沢山励まされました。
「別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。幸せにならなきゃって思い詰めると、ちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ」という言葉を忘れずにいようと思います。
30代。
同世代として非常に共感しながら読んでいた。
うちの親だって、いつ何が起きるか分からないし、それこそまた大きな災害だってあるかも分からない(つい先日も大きな地震があった。久しぶりに恐怖を覚えた)。
「置かれた場所で咲きなさい」なんていうけれど、本当に好きなコトがやれているワケではないし、まだ人生の半分も生きていないと考えると、この先もずっと独りでいるのは途轍もなく淋しい。
そんなこんなで、仕事や恋愛の面でも共感しっぱなしだった。
正直、プロローグに違和感があった。「なんで言っちゃうんだよ……」って(何をかは伏せておく)。
いやぁ、見事に騙された!嬉しいサプライズだった。
人生というのは、やっぱり正解も攻略法も無くって、寄り道して、脇道に逸れて、時には道に迷いながらも、最期の最期に「あー、楽しかった」って言えたら良いのかな、なんて思った。
さて、僕は今、どの辺りを歩いているのだろう?
願わくば、それが素晴らしい誰かと巡り合う道でありますように。
引力に抗えないまま一気読みした。結婚、出産、キャリア、セクハラ、更年期障害、親の病気、終活。いずれ自分に降り掛かるであろう災厄の全てが詰まったパンドラボックスを開けているような気分だ。それが人生というものなのだけれど。結婚相手に経済的自立を求めるのは、自分が自立していない不安を押し付けているからなのかもしれない。自分だけ置いてけぼりにされているように見えて、その実自分も日々変わっている。天動説を信じていた人が地動説を初めて知ったような、静かなインパクトがあった。二度と同じ軌道には戻れないというのが印象的。