パライゾ
阿川せんり
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刊行日 2020/04/22 | 掲載終了日 2020/04/22
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内容紹介
突如あらゆる人間が一瞬にしてぐちゃぐちゃに捻れ、圧縮され、奇妙に艶めく黒い塊となった世界。
その中でなぜか人殺しを経験したものたちだけは、そのままの姿で取り残されていた。
電気が止まり、至る所で火災や事故が起こり、崩壊していく街の中で、ある人殺しは後悔と錯乱の中で震えながら……。ある人殺しは唯一信じる最愛のペットを迎えに……。ある人殺しは他の人殺しを殺そうとし……。ある人殺しは落ち行く飛行機の中で……。そして、それぞれの最期を迎えていく……。
青春小説を得意としてきた著者にとって初となる、
人殺しだけが存在する不条理な世界を描いた意欲作。
おすすめコメント
好きな人はめっちゃ好きだと思います!
人殺し以外の人間が黒い塊に成り果てた世界。人殺したちはどんな最期を迎えるのか……?
強中毒性・ディストピア小説!
好きな人はめっちゃ好きだと思います!
人殺し以外の人間が黒い塊に成り果てた世界。人殺したちはどんな最期を迎えるのか……?
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初回指定承ります!
★3月31日まで★
光文社書籍販売部・荒井(☎03-5395-8116)
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出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784334913441 |
本体価格 | ¥0 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
これまでのこじらせ系の学生たち描く青春小説とは
びっくりするくらい雰囲気の違う作品でした!
突然、人間がぐちゃぐちゃに捻じれて、
鳥のような形状の、奇妙な光沢のある黒い塊になった世界。
人類滅亡?
かと思いきや、そこにはわずかに残された人間たちがいました。
彼らに共通するのは「人を殺した」経験があること。
なんで?なぜよりにもよって人殺したちが生き残り、
それ以外の人間がこんな気持ちの悪い黒いぐずぐずに
ならなければならないのだろう?
だけど、読んでいくうちに思うのはこんな世界なら
「死んだほうがましかもしれない」でした。
電気も水もガスも止まって、食料の確保すらままならない。
街の至る所で事故や火災が起き、頭上からは飛行機が落ちてくる。
動物園からは動物たちが脱走し、刑務所の中では囚人が餓死し、
病院では延命装置が停止する。
そんな絶望的な世界で生き残ってしまった人殺したち。
頭に思い浮かんだのは「地獄」という言葉でした。
読了後、そういえばタイトルの「パライゾ」って
どんな意味だったのだろうと辞書を引いてみました。
そこに書かれていた「天国、楽園」の文字を見て、ぞわっ。
うわぁ…
読み終えて尚、鳥肌を立たせられてしまいました。
殺人を犯した者だけが生きる世界。
そこはパライゾ(天国)。
今の時期に読むのはちょっとハードかなぁと思いながらも読了。
きっとこれは狙いの一つであろうが、正直にいえば10あるエピソードのところどころに悪寒を覚えてしまった。
このぼくの感覚が普通なのであろうか?
著者の阿川さんが初ジャンルへの挑戦ということで、参考文献に並ぶサイコパスや凶悪犯罪の重いテーマ。
そこに向き合い咀嚼したエピソードに、自分の中にある黒い塊が浸食されていくような錯覚になった。
感情移入ができそうでできない。
この距離感が抜群に保たれている。
本書を読み進めていく上で、自分の感情や考え方に気づくことが大事だと思った。
死とは?神とは?悪魔とは?罪とは?真理とは?
罰とは?死刑とは?宗教とは?天国とは?
答えのないテーマを考えてしまう。
そこにチャレンジした著者のストレスやらを考えれば文句なしに星5つでしょう。
人間が『黒い物体』になってしまう…。読み始めは『えっ?』となるも、人間の姿のまま生存している人達の共通点を知るとゾッとする。タイトルの意味を調べると『楽園』とあって、更にゾッとする。一体、誰のための楽園なのか?ホラーやSFとは違う読み心地だった。
人を殺したもの以外黒いぐずぐずになってしまうという物語。
殺人者以外は黒いぐずぐずになってしまうので、電気も、ガスも、何もかも止まる。
生き残った人の目線で描かれるその世界は、希望なのか絶望なのか、天国か地獄か。
秩序も何もない世界。食べ物だって尽きていく。
残されたものはもう死にゆくしかないのだけれど、その様々な死に方が描かれる。
飛行機に乗っていて墜落したり、またはその墜落に巻き込まれたり、突然撃たれたり・・・。
しかし淡々と描かれていて嫌悪感などはなくすっと読める作品でした。
ある日人類は得体の知れない物になってしまい、人を殺したことのある者だけが生き残った世界を描いた10編の連作短編集。一言で言って面白かった!人類滅亡後の生き残った者たちの物語ということで、自分は生き残った者たち同士で争いや確執がある中で生き残っていく姿を描いたような話しと思っていたのですが、全然違って、そこには希望も未来も何も無いもっと刹那的な物語たちでした。読んでいてただただ切なさを感じられましたが嫌な読後感ではありませんでした。