神宮道西入ル 謎解き京都のエフェメラル
泉坂光輝
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刊行日 2020/04/20 | 掲載終了日 2024/07/07
ハッシュタグ:#謎解き京都のエフェメラル #NetGalleyJP
内容紹介
ことのは文庫5周年記念!
まずは読みたい、注目作品15選!
【ことのは文庫 編集部より】
2024年6月、ことのは文庫は創刊5周年を迎えました。
この度、心からの感謝を込めて、『ことのは文庫5周年記念! まずは読みたい、注目作品15選』展を開催します。
この機会にぜび、あなたの「推し本」を見つけてください!
※2024年7月31日までにご投稿いただいたレビューの一部は、ことのは文庫特設ページ(8月下旬掲出予定)にて、掲載させていただきます。
※以前にご投稿いただいているレビューも対象となります。
※リクエストが承認されると作品ページの下部「SNS投稿用の表紙画像はこちら」から、SNS投稿用の表紙画像がダウンロードできます。必要に応じて、適宜ご活用ください。
☆ ☆ ☆
読むと京都が歩きたくなる!
京都在住の女性作家が綴る、京都の魅力を詰め込んだ優しい謎解きミステリー。
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大学の法学部に通う高槻ナラは、亡き祖父と同じ法律家を目指す現役女子大生である。
神宮道を折れた路地にあるかつての祖父の法律事務所は改装され、探偵・春瀬壱弥が住む探偵事務所となっていた。
ぐうたらで生活力のない壱弥を心配するナラは、彼の飄々とした姿に振り回される日々。
しかし、あるひとつの依頼をきっかけに、ナラは探偵助手として壱弥とともに京都の町を奔走することになる――。
出版社からの備考・コメント
レビューなどでお話の真相やオチについて本文を引用する際には、発売後の製品版をご利用ください。
(発売までの改稿で差異が生じる可能性があります)
校了前のデータを元に作成しています。
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(発売までの改稿で差異が生じる可能性があります)
おすすめコメント
・京都愛あふれる作者によって綴られる京都がとにかくしっとりと雅!
・現役女子大生と残念なイケメン探偵が、華やかな京都の町を巡り、成長していく。人の死なない優しい日常系ミステリー。
・現役女子大生と残念なイケメン探偵のほんのり恋愛展開が心地よい。
・登場人物たちの人間模様が深く綴られ、まるで上質な日本映画のようなストーリーが楽しめる。
・装画は『掟上今日子の挑戦状』『神様の御用人』『今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います』等を手掛けた、くろのくろ先生。
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◎「エブリスタ」投稿作品です。
ぜひ、刊行前にご一読ください!
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出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784867160022 |
本体価格 | ¥700 (JPY) |
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生きていれば、色々ある。ほの暗い思いの1つや2つは誰にだってある。
でも、時間に追われてしまって流されていったり、分かっていても目を背けたりしてそのままにしていることがある。
この物語の中の彼らも同じような思いを抱きつつも、不器用ながら向き合おうとし、探偵に助けを請う。そして、探偵はその思いごと丁寧に拾い上げ、寄り添っていた。
きっと、向き合ったら自分がやったことの報いで出来たブーメランが勢いよくこっちに飛んできてクリーンヒットする。痛いし怖い。したくない。
でも、彼らは探偵によって、その痛みすらも包み込む本当の強さと優しさと、傷を自分で治療する術を手に入れていた。
彼らの住む世界には、確かに実在する京都の街並みで生きる人々の平凡な日常があっだのだけど、背けたままにしてる私には、まるで違う日常に見えた。
生きていれば、色々ある。
これからもブーメランを飛ばしてしまわないとも限らない。
でも、もしぶち当たってケガしても大丈夫、治せるよ、という自信と、向き合う勇気がもらえる物語。
たった一言が後悔を生む。誰もが経験あることだが、その後悔を拗らせてしまう人が意外と多い。人間関係は硝子細工よりも脆いものだから簡単に壊れてしまう。身近な人であればあるほどその時の溝は深くなってしまう。そんなときに壱弥のような探偵がいてくれたら、どんなに心強いことか。切なくも心温まる3つの短編で構成される本作。静かな残り火のような温さが心地よかった。
失くしたものは何ですか?
本当に見つけたいものは、何ですか?
観光客も滅多に訪れない京都の古い小路を折れたところにある探偵社。
そこに住むイケメンだけど生活能力のない探偵と法律家を目指す女子大生が、「失くしたもの」を探して夏の京都を駆け抜ける。
そこに舞い込んだ、「失くしたもの」を探して行くうちに、
それらに込められた、探し主の想いが明らかになっていく。
無意識の後悔、忘れてしまった慈しみ、無理やり封印した愛の記憶…
2人はその想いに寄り添い、丁寧に解き明かしていく。
そして探し主がそれに気付いたとき、
失くしたものは「本当に見つけたかったもの」に変わる。
また、爽やかな新緑が眩しい初夏から、光の陰影の美しさが際立つ盛夏までの京都を、人の装いや路地や植物、建物などを通して丁寧に描写していて、まるで本当に京都を訪れているかのようで、いつまでも読んでいたい気分にさせてくれる。
心が涼やかになるミステリーだ。
捜索のスペシャリストと噂される探偵が、様々な依頼人から依頼を受けて失くしたものを見つけるミステリー。
この世界にはたくさんの人がいる。
それぞれに抱えた過去や思いがあり、それを正直に言える人もいれば、相手に遠慮し言わずに我慢する人もいる。
でも、自分の中に抑え込んだ状態を打破したいという気持ちがないわけではない。
だから、なんとか本音と建て前をコントロールしてうまく生きていこうとするが、その中で生じる自分の本音との摩擦や葛藤が消えることもない。
壱夜は、そんな思いで揺れ動く依頼人たちの「本音」の部分を巧みに探し当て、彼らが本当に「失くしていたもの」を見つけ出す。
そうやって、人の心に真摯に寄り添い、物事の本質とはいったい何なのかと考えることの大切さを教えてくれた作品。
読後、またすぐに壱夜の探す「失くし物」の旅にでかけたくなった。
人の想いは、紡がれる―
情景描写や登場人物の台詞など、「京都の日常」を描いたライトミステリー。
小さな探偵事務所に持ち込まれた、「大切な人との思い出」に生じた綻び。
それはほんの少しの、感情のすれ違いでしかなく。
ここにいる探偵は、そんな「ほんの少し」を探してくれるらしい。
失われたものが見つけられた時、その想いは時を超えて伝えられて…
ハートフルな物語はとても質が高く、京都の日常をそのまま切り取ったような描写や、ラストの主人公たちの心情など、とにかく「人の温度」を感じられる作品かと思います。
京都在住の作者だからこその京都を舞台にした作品なんですね。
言葉遣いがとても心地よかったです。
3編からなる謎解きでしたが
最後の3話は泣けました!
登場人物の名前が京都っぽくって良かったです
発売前ですが続編が希望です!!
相手のために何かをする。自分の利益と関係なく、純粋に相手のために動けるか。表面的なことだけでなく、秘められた思いに気づき、それを正しく引き出す。利益で動くことの多いこの世の中で、どれほどの人がそのように動けるか。思いをかけれるのか。
大人になってからだが、変にカッコつけてる人をカッコ悪いと感じるようになった。なんとなく、自信のなさや軽薄な感じを受けるからだろうか。
本書は京都を舞台にした三編の物語。最大の魅力は、探偵壱弥の人物像だと私は思う。彼は自然体の「カッコつけないカッコイイ男」なのだ。
壱弥はとある理由から評判の探偵。その仕事ぶりは、他の探偵とはちょっと違う。
何か事件が起きるときには、必ず原因と結果があるが、関わる人それぞれにその解釈は異なる。つまり「その人が真実だと思っていること」が関わる人の数だけ存在している、ということだ。
壱弥には、それら複数ある「各々の真実」を見つける力がある。そしてその眼差しはどこまでも鋭く、かつ優しい。カッコイイ台詞なんてどこにもないが、たまらなくカッコイイのだ。
正直に告白すると「京都を舞台にした謎解きミステリー」という本書の紹介文を読んだ時には、既に多くの作家によってあらかた描かれ、目新しさがないのでは、と思った。
しかし、そんな思いはすぐに吹っ飛び、残りのページが少なくなっていくのを惜しみながら読んだ。自然体のままでカッコイイ、この壱弥の魅力にハマる人は、私だけではないはずだ。
捜し物が得意の探偵と、女子大生のはんなり京都弁ミステリー。片付けが苦手で、食事も疎かになるダメな大人が、仕事では好青年に変身!でも意外と私生活はミステリアス⁉︎京都、お着物、京都弁、イケメン、謎解きが好きな人にオススメな作品。2人のちょっぴり甘酸っぱい会話もくすぐったいです。シリーズ化希望します。
ことばの裏に隠された、その人のほんとうの想いを汲み取って、失くしたものを見つけ出してくれるという探偵、壱弥。弁護士を目指す女子大生ナラ曰く、イケメンだけど、生活能力ゼロの駄目な大人。
亡き祖父の縁で壱弥と出会ったナラだったが、彼の調査を一緒に行うようになり、壱弥の中にちらつく複雑な想いを知りたいと思うようになる。
失くしたものを見つけるということは、その人の心に寄り添い、その心を救うこと。京都のしっとりとした情景を背景に、人の想いをつないでいく心暖まるお話が3編。京都が舞台だからこその風情と雰囲気がたっぷりです。
人の心を救いたいという壱弥の想いとともに、ナラの心の成長もしっかりと感じられる素敵なお話でした。
3編の依頼ごとが章仕立てになっていますが、全編を通して色の描写が効果的でとても美しいです。
私服で亜麻色のジャケット着ちゃうの?壱弥さん、お洒落!表紙を書店で拝見するのが楽しみです。
読ませていただきありがとうございました。
物語を読み終わってまずはじめに思ったことは、続きが知りたいということでした。これはまだ序章に過ぎないのではないかな…と思ってしまいました。失くしたものを見つけて優しく包み込むように救ってあげる主人公の姿をもっと読みたいと思いました。
見つけた後に、心も解きほぐす探偵社。
つかみどころもなく少し陰のある美青年と法学部・女子大生コンビが京都の町を颯爽と歩くミステリー。
描かれる京都の街並みは、観光として見るための街ではなく、自然とそこに染み付き出来上がっている美しさに溢れていて心地よく、自然と馴染んでいくようだ。出てくる食べ物、スイーツも上品かつ親しみやすく、生活の中の上品さを感じさせてくれる。
解き明かす謎・事件に陰湿さはなく、ただただ心に寄り添い心地よい。
「ザ・京都」と思えるような(外からみた印象)ミステリー。
「あなたのなくしもの、見つけます」
そんな看板を掲げ、京都東山で探偵事務所を営む壱弥とナラ。
看板につられ、二人のもとを訪れる依頼者たち。
単なるなくしたものを探すためにやってくる彼らだったが、壱弥たちと共に謎を解き明かしていくにつれ、憂鬱な面持ちになっていく。
なくしたものは予期せぬものだったのだ。
壱弥は、戸惑いを見せる彼らに寄り添い、不安そうな背中を優しさを込めてそっと押す。
読み進めるにつれ、その優しさに私の心も満たされ、柔らかい気持ちになっていった。
また、この物語は東山の雰囲気が忠実に描写されていて、目の前になまの京都が広がるので、外から来た人にはなかなか見えない、人間味溢れる京都を楽しめるはずだ。
壱弥の謎解きもさることながら、京の散策も楽しんでみてほしい。
読むことで人の温かさを感じられる物語。
自分の中にもあるかもしれない弱さにも気づけるかもしれない。
京都は不思議な町だ。
古いものと新しいものが絶妙なバランスで混在し、そこには今でも繊細な日本の美徳や美学が息づいている。保守的でありながら進化を拒まない風土、それがこの町の魅力である。
物語を読み進むにつれ美しい京都の風景が目に浮かぶ。四季折々の設えや季節ごとの慣わし、色にまで季節を表現する感性。その精神とタイトルのエフェメラル(はかないもの)という言葉とが反応し、市中に現れているであろう束の間浮かんでは消える、微かな思いや出来事の泡を連想する。
そして、探偵の視点はその儚い泡を見逃さない。
人と人、僅かな心のすれ違いが生む不幸な出来事に対し、優しく丁寧に湧き出るような知識により推理していく、その謎解きの際に散りばめられたキーワードは、京都の持つ文化的な面と相まって一層魅力的なものとなり、私の新たな興味の種となった。
探偵のその容姿は端麗。一見すると苦労知らずの青年と、縁あって出会った主人公との瑞々しい関係も見逃せない。
初夏の京都を訪れたくなる、爽やかでほろ苦い物語。
書町レビュー
壱弥さんは探偵をしています。事務所の看板には「あなたのなくしもの、見つけます」と書かれています。この事務所は、元々はナラさんの祖父が弁護士事務所を開いていた場所です。その場所を引き継いでいる壱弥さんは不思議な人です。掃除にも食事にも無頓着で、でも清洛堂の豆大福が大好きで。時々事務所の掃除という言い訳でやってくるナラさんは、彼のことをもっと知りたいと思っています。
とっても変人だけど、壱弥さんが素晴らしいのは、物や人を探すということよりも、それが無くなったことによって失ってしまった悲しみを少しでも和らげようとしているところです。
京都の町を歩き回る彼らの姿を想像していると、京都に旅に行きたくなってしまいます。そして、おいしいお菓子と抹茶を頂きたいなぁって気持ちになってしまいます。
この本には、この3篇が収められています。いかにも京都ねという風情がすてきでした。
・姫百合と葵のひめごと
・青い宝石と海辺のソネット
・たまゆらと思い出の帰る場所
本当に見つけたい物を探してくれる探偵。
その対象の物の裏に流れる真実。
そこには、いい思いだけでなく苦しい思いもあるけれど、見つかった時に浄化されていきます。
京都を歩きたくなるのもあるけれど、京都の街の雰囲気にあったじんわり優しい話でした。
とても優しい作品。
京都好きな人にオススメ。
謎解きではあるのですが、全体が優しく愛に包まれてる感じがしてホッとします。
読んでる最中は京都を歩いてるような気がする。この作品の空気感がすごく好きです。もっともっと作品に入り込みたい気分。
夏の京都は蒸し暑い、でも、美しく輝いていることを感じる物語。
読み進めると情景が目に浮かび、実際にそこにいるような感覚だった。
京のお茶や和菓子が目や喉を潤してくれる…
そんな街で、探偵とお祖父さんとの関係から手伝うようになった女子大生が依頼を解決していく…
相手を思いやったことから生じる心のすれ違いを解きながら…
大切な人を思いやる優しさ、言葉では伝えられなく、でも、通じあっている…
人と人の絆を修復してくれる探偵…
こんな探偵が実際にいるかもしれないと思ってしまう京都…
京都は美しく、人は儚くて素晴らしいと思わせてくれる…
いつかの夏の日に京都に探偵事務所を探しに行こうか…
依頼したいことがあるので…
宝石みたいな小説だと思った。
はじめは書名のエフェメラルという語感からそう感じただけだったが、読み終わってもその印象は崩れなかった。
きらきらと描かれる夏の京都を舞台に、生活力のない探偵と大学生の謎解きが進む。
探偵の元にやってくる依頼は、探し物だ。
人が失くすのは物だけではない。
記憶や思い出のように形を持たず、自分の頭の中だけにある存在は曖昧で失われやすい。
けれどそういうものたちは、きっかけひとつでふと戻ってくる。
物語にも度々出てくる写真がその代表格だ。
更新され忘れられていく何気ない日常を、写真は感情ごと留めてくれる。
物も人も、いつかは必ず失われる。でも気持ちは古びない。
写真を撮ったり物に思いを込めるのは、忘れれば失くなる形ないものをいつまでも思い出せるようにするためかもしれない。
探偵が謎を解いていくにつれ、依頼者たちは探し物そのものより大事なものを見つけていく。
それを追いながら、わたしたち読者も同じように何かを思い起こされる。
物語にきらきらと散りばめられた沢山の要素を引き金にして、自分だけの記憶と再会して欲しい。
京都の叙情的な美しさや神社などシンボリックな街なみを舞台に繰り広げられる推理小説。
その設定だけでも心が躍るようだが、中身は遺産相続絡みやら結構ドロドロしている。
がしかし不思議と涼しさを感じる。
京都弁の探偵壱弥が読むワーズワースの詩に、小川から鴨川へ流れる言葉の調べが見えるようだ。
そんなことがサラッと自然にできる壱弥。
つまりこの男はイケメンである。
大学生のサラがなんとなく惹かれる理由もわかる気がする。
玉響と琴の音色が聴こえてきそうな、ソリッドな謎解きよりも淡いリズムとダイナミックな自然が心地よい一冊である。
そっけないけど憎めない探偵とほんわか女子大生!
2人が悩める人々の失いかけた大切なものを見つけ出し、心にそっと寄り添う切なくも温かいミステリー。
大切な人を想う気持ちは、大きいほど、素直に伝えることが出来ずにすれ違いや誤解を生んでしまうこともあるはず。
そんな時、込められた願い、隠された想いを見つけ出し、心の傷を癒し救い出してくれる。
ギスギスした世の中、こんな素敵な探偵さんたちに出会え、思いやりにふれることができて、心が和みました。
少し切なく、寂しく感じた先にも光が見え、
優しい言葉、美しい言葉に癒され、京都の魅力や雰囲気もたっぷり味わえました。
京都の街並みや風情が目に浮かぶようなお話でした。
人は生きていると、大切なものを見失ったりなくしてしまったりする。
依頼者の気持ちに寄り添って本当に取り戻したいものを見つける手助けをする探偵と助手。
そんなふたりにも本当に取り戻したいものがある。
一見いけずに見える探偵とそんな探偵を支える助手。
ふたりの関係も微笑ましい。
亡き祖父、匡一朗と同じ法律家を目指す、女子大学院生のナラ。祖父の法律事務所は現在、壱弥の探偵事務所になっている。ナラは、仕事以外は、ズボラな生活を送る壱弥を心配して、時々様子を見に来ていた。そこで依頼を受け、2人で謎を解明していくことになる。壱弥は、匡一朗を慕う気持ちを胸に探偵をしていた。
その壱弥の思いは、私が祖母を思う気持ちと同じように感じた。
私の祖母は、鍵っ子の私を心配して、よく家に来てくれていた。優しくて明るい祖母が、私は大好きだった。祖母は私を連れて、よく散歩に連れていってくれた。歌をうたったり、花の名前をたくさん教えてくれた。祖母が来ていない日も、祖母のことを思うだけで、温かい気持ちになって救われていた。祖母は20年前に他界したけれど、今も見守ってくれていると感じることができる。それと同じように、壱弥の心の中には匡一朗がいて、いつも見守ってくれているのだろう。
この本には、京都の綺麗な情景がたくさん散りばめられている。京都ではないけれど、祖母と歩いた道も輝いて思い出された。
どんな人も大切な誰かのことを思い出し、心が温かくなる物語であった。
書町レビュー
情緒豊かな京都を舞台に心温まるほんわかとした探し物ミステリー。人は生きていく上で、いろいろなものを失くしてしまう。純粋な心や、いつかの屋台で買ってもらったおもちゃの指輪。その時、その瞬間の記憶が込められた大切なもののはずなのに、いつのまにか失くなってしまうのだ。だから、わたしたちは失くした物を必死で探しているのかもしれない。だけど、なくならないものはきっとある。その時に感じた想い、込めた願い、そして人との絆はきっとなくならない。
失くしてしまったものを慈しむように思いを馳せるような、とても優しい気持ちになれる物語だ。
探偵の仕事は、様々なことを調べる調査業務が主だ。
ではどんな時に、人は探偵に依頼するのだろう。
喪失感を自分で処理出来なくなった時に、探偵を雇うのではないかと私は考える。
大切な物や人への思いが強ければ強いほど、それを失った時は大きく落胆する。
そんな時、藁にもすがる思いで訪れた探偵事務所に「あなたの失くしたもの、見つけます」と木札が掛けられていたら、少し安堵しないだろうか。
そんな探偵事務所が京都にある。
そこを営む春瀬壱弥は、依頼完遂率100%の捜査のスペシャリストだ。
彼は人や物の捜索はもちろんだが、それらに対する想いまでも一緒に探してくれる。
依頼者の見つけてほしい想いと失ったものへの喪失感。
彼は捜索する上で、目に見えないそれらが問題解決の重要なヒントになることを知っている。
その目に見えないものをヒントに、失くしたものと依頼人を繋いでいく彼の優しく包み込むような行動が、読んでいる私にまで温かさとして伝わってくる。
それは彼が依頼者へ真摯に向き合い、本当にその人にとって大切なものを考える探偵だからだ。
やはり彼はスペシャリストだ。
探偵事務所にイケメン、しかも京都で甘い物好き。
こんな優しくて大人で頼れるんだけれど、どこかお世話してあげなくちゃいけない感じ。
現実的ではないけれど、いそうだなあ。
というところでしばし小説の世界へ。
ドラマのようなほんわりとした展開。
少しも毒々しいところがない探偵物語。
これが胸キュンの恋につながっていきそうな感じがたまらない。
三つの短編からなるお話。謎解きと言えば人が死ぬミステリーという先入観があったので、読み進めても誰も死なないことに当初は戸惑ったのだけれど、気が付いたら作品の中の様々な謎にどっぷりとはまっていた。
それは、主人公をはじめとする登場人物が皆、基本的に優しいからだ。なのに、相手を思いやってとった行動が謎を生んでいたのだ。読みながら、サン=テグジュペリの星の王子さまの中に出てくる一節を思い出した。「なあに、簡単なことだよ。大切なことは目では見えないんだよ。心の目で見なくちゃね。」そこにあるように、大切なことは目で見てはっきりと分かるものではない。心の目で見る、と言うのは簡単だけれど、目先の欲や自分の強い思い込みの前では、かすんで見えなくなってしまう。だからこそ、何か起きたときにあれこれと自分なりに考えて答えを決めつけてしまうのではないだろうか。
そんな目では見えない想いが生んだ謎を、探偵の壱弥は解き明かし、同時に依頼人の心をも解きほぐしてくれる。読みながら心が温かくなって、読んだ後周りにいるひとたちを見る目が優しくなる作品だ。
イケメン探偵の壱弥と法学部の学生であるナラの2人が、依頼された探し物をするライトミステリー。美味しそうなお菓子や京都の街並みが沢山出てきて京都に行きたくなる。(暫くは我慢ですね)軽く読めて読みやすかったです。イケメンが多いようなので映像で観てみたい気もしました。
京都を舞台にしたミステリー。探偵と女子大生のコンビ。人探し、遺品探し、猫探しと探偵らしい仕事をこなすが、もっと大切な友情や夫婦愛、親子の絆も探し出す。京都の街並みや祭り、和菓子なども沢山出て来て京都へ出掛けたくなる。人の想いを探す京都ミステリーツアー体験が出来て楽しく読了。
京都愛に満ち溢れた作品です。
京都好きにはたまらないと思いますし
これから京都に行く方、行ってみようと思う方にも
是非おおすすめです。
京都の風景を絡めながら物語が進むので
主人公たちと一緒に京都を駆け巡ることが出きます。
次に京都を訪れたらこの作品を思い出しながら
散策してみてもよいかもしれない。
普段はぐうたら、でも、実は優秀な探偵・壱弥。大好きだった亡き祖父と同じ弁護士を目指す大学生ナラ。ふたりが、探し出すエフェメラル(はかないもの)とは……?
姿を消した友達、見つからない亡き母の遺品、帰ってこない黒猫、3つの探し物を通して、壱弥が単なる探偵ではなく、苦しむ人の心に寄り添おうとする人だとわかってくる。その隣で、助手のような立場になるナラは、彼をそっと見守っている感じかな。
壱弥の過去の謎はまだちらりと見えただけなので、続編を楽しみにしたい。
#謎解き京都のエフェメラル #NetGalleyJP
マイクロマガジン社 泉坂光輝著
『神宮道西入ル 謎解き京都のエフェメラル』読み終わりましたので感想をお伝えします。
「京都行きたい」読むたびに思ってしまいました。一冊たっぷりの京都感が味わえる作品でした。
普段はグータラだけど探偵としては最高のイケメン、、、最高のキャストです♪主人公の女の子とくっつくの?どうなの?と思わせ振りな感じも好きです。謎解きもガチガチミステリーではないので安心した気持ちで読めるのもいいですね。
京都の街で、探偵の壱弥と大学生ナラが持ち込まれた謎を解き明かすミステリー。謎が明らかになった時には、切ない気持ちになります。謎を秘めた主計と壱弥の関係。次に続く余韻が感じられるのが良かったです。優しさの中にみえる切なさを感じることができる物語です。
京の魅力満載の、はんなりミステリー。先日、ここに書かれていた京都の街を徒歩でよく歩いたので、思いあたる街並みが出てくるたびに、脳裏に楽しかった日々が思い浮かびました。本格ミステリーというより、まさにエフェメラルなものをそっと日向に置き返すような、日常系のちょっとした不可思議な謎を辿っていく探偵とその助手。彼らの一挙一動が愛らしかったし、美味しそうなオヤツがどれも魅力的でお腹が空いてしょうがない読書タイムでした。
「本当に大切なことを見つけてくれる探偵」ただの探偵じゃなく、その人たちの気持ちの裏側まで汲み取り円満解決してくれる。
とても温かみのある物語でした。
京都のはんなりした感じも癒されます。
それにしても1巻はぐうたらぶりが非常によく出ています。なのにイケメンって。ミステリアスなところも興味をひかれます。
依頼者から受けて探偵さんが探すものはなんでしょうか?
単なるモノなのでしょうか?
古都・京都を舞台に
京都の町を実際に歩いているかのような感覚です。
古都の世界感と
謎ときの世界がマッチして
物語の世界にすいこまれました。
単なるモノ探しの物語ではなく
本当に依頼者が求めているものを探していく。
本当に探しているもの
本当に見つけたいもの
それが見つかった時、
人の心を動かします。
さあ、本当に見つけたいものはなんですか?
答えは、この本の中に。
のり@本が好き倶楽部
先に2巻を読んでしまったので、どんな感じかなと思いましたが、それほど個々の関係性なども深く描かれていないので、いい意味で、純粋にそれぞれの話の謎に集中できて良かったです。謎はみんな人間関係に繋がっていき、ほっこりした気分になれます。ナラちゃんが一生懸命な感じも好感が持てますし、3巻も楽しみにしています。
侘と寂と、憧れの詰まったようなまち、京都。
わたしがうっとり夢見るその他にだって、わたしと同じような人間が暮らしています。京都の人だからなんでも素晴らしくできるわけではないようです。
後悔したり、傷ついたり。
そんな思いをして、わたしも、京都の人たちも、今日を生きていきます。
今、実際に京都にいるような語りの中、京都弁でのやり取りで更にリズミカルに物語が進んでいく。
そして、読み終えてから改めて始めの方のページをめくって、春瀬探偵事務所の入り口の小さな木札に書かれた文を読み直した。「あなたの失くしたもの、見つけます」。その文の『もの』とは、『物』の向こうにある人の気持ちであり、繋がりであり、更に希望でもある、と思った。書名にある『エフェメラル』(一過性、つかの間の)はそれが「失われている間」のことで、2人は謎を解くこてで、それを『エターナル』(永続する)に変えていくのだと感じた。
更に、話が進むにつれて明らかになってきつつある壱弥の過去。彼がここでこの探偵事務所をやっている理由がそこにあるのだろう。第2巻、更に第3巻を読むのが楽しみになった。
弁護士だった亡き祖父を目指し法学部に通う女子大生と、捜索を得意とする残念なイケメン探偵のタッグで繰り広げられる、優雅な京都の魅力が詰まったノスタルジックミステリ。
秘められた依頼者の想いを汲み取り、本当に取り戻したい「大切なモノ」を見付け出す。失くしたモノを、優しさが生んだすれ違いを、元の場所に戻す。クールそうに見えてちょっとお節介な探偵と、それを越える世話好きだらけの登場人物たちが最高。
ほっこり軽めの連作短編かと思ったが、各話に100頁ほど使っていて、しっかりと奥行きを楽しめる本格的ミステリに仕上がっていた。
和装や和菓子や和歌など、古都を感じさせる凝った描写も多くて勉強になった。続きも楽しみ。
女子大生とちょっと残念なイケメン探偵が京都を巡りながら、謎解きをしていく。とても優しい気持ちになる日常系ミステリー。
私はこの作品の第二弾をネットギャリーで一番最初に読んだのですが、京都愛にあふれるこの作品にはまりこの作品も購入して読みました。
第三弾まで発売されていますが、改めて最初から読んでみると繋がりや謎がはっきりとして、久しぶりに読んでみて良かったです。
三篇ごとに探偵の壱弥と、女子大生のナラによって明かされていく謎。「本当に大切なものを見つけてくれる探偵」だと謳われる壱弥は依頼内容の解決だけでなくもっと大切なものを見つけ出してくれます。本当に大切なもの、それはちょっとしたすれ違いだったり、言葉にしなかったために失われてしまったことだったり、依頼人だけでなく周囲の人や読者までも優しく包みこんでくれます。
また登場してくる場所が、どこも私が大好きな場所ばかりなのでこのシリーズにはまった理由でもあります。京都といえば真っ先に京都市内の有名なお寺や神社を思い浮かべる人もいると思いますが、この作品は京都市内だけでなく京都府内にある場所の魅力も詰まっています。二篇目の「青い宝石と海辺のソネット」に最後に出てくる砂浜の夕陽が私も大好きで素敵な場所です。三篇目に出てくる紫陽花の有名なお寺も今が見頃で出かけたくなりました。
大学の法学部に通うナラちゃんとぐうたら探偵壱弥さん。この2人が失われたものを探しに。夏の京都の新緑、お祭りの喧騒、そういった風景描写が美しい。複雑でその人に寄り添わないと解けないものを壱弥さんは優しく解きほぐして、ここにたどり着きたかったんだろうな、というところまで導きます。ナラちゃんと壱弥さんのほんのりとしたお互いに寄せる好意が微笑ましいです。お着物の蘊蓄となれば主計さん。彼の人柄も好感が持てます。移ろいゆく心、エフェメラル、それを誰よりも理解しているのが壱弥さんなんだろうな、と思いました。
よく知る京都の街が舞台なので、本当にこんな探偵事務所があるような気がしながら読みました。
特に指輪探しが楽しく、引用された詩も実際に読んでみたくなりました。
どのお話もあたたかい結末を迎えることで安心して読み進められました。
シリーズもこれから読んでいきたいです。