ピエタとトランジ
<完全版>
藤野 可織
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刊行日 2020/03/10 | 掲載終了日 2020/03/13
ハッシュタグ:#ピエタとトランジ #NetGalleyJP
内容紹介
岸本佐知子、歓喜!
「これは、私がずっとずっと読みたいと思っていた、最強最高の女子バディ物語。 」
芥川賞受賞第一作『おはなしして子ちゃん』に収録された衝撃作「ピエタとトランジ」が、長篇になって帰ってきた!
親友の名前はトランジで、私はピエタ。
人類最後の「名探偵と助手」だ。
天才的な頭脳を持つ女子高生探偵トランジと、彼女の才能に惚れ込み助手に名乗り出たピエタ。トランジは事件を誘発させる体質で、次から次に周囲で人が死んでいく。
あるとき、トランジに秘められた恐るべき事実が明らかになり、人類は滅亡に向かう――!?
芥川賞作家が送るスリル×サスペンス×友情の超弩級ガールズ・エンターテイメント!
【著者プロフィール】
藤野可織(ふじの・かおり)
1980年京都府生まれ。2006年「いやしい鳥」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2013年「爪と目」で芥川龍之介賞、2014年『おはなしして子ちゃん』でフラウ文芸大賞を受賞。著書に『ファイナルガール』『ドレス』『私は幽霊を見ない』。
出版社からの備考・コメント
※発売前の作品のため、ネタバレのレビュー投稿は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
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おすすめコメント
読み終わったら、ぜひ冒頭に戻っていただきたい。「親友」という言葉がこんなにも胸に響く小説はないと思います! 最近アツい「女子バディもの」のまさに大傑作。読み始めてすぐ二人の虜になること間違いなしです!
――担当編集者より
読み終わったら、ぜひ冒頭に戻っていただきたい。「親友」という言葉がこんなにも胸に響く小説はないと思います! 最近アツい「女子バディもの」のまさに大傑作。読み始めてすぐ二人の虜になること間違いなしです!
――担当編集者より
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784065185025 |
本体価格 | ¥1,650 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
ある意味、最強で最恐のバディが登場したなと思いました。これこそ、運命の赤い糸で結ばれている感じがしました。
内容は、ホラーっぽいのに文章がポップな感じがしました。
序盤からプルスロットルで、恐怖さは自分が麻痺しているのか、ぶっ飛んでいるのか、そんなに怖さはありませんでした。怖さを通り越して、むしろ清々しい印象を受けました。
ただ、淡々とつづられているため、独特な雰囲気を放っていて、なんとも言えない病みつき感がありました。
読み始めと終わった後の背景の変化に落差がありすぎました。まるで台風の目に自分がいるかのようでした。
読んでいる間は、あんまり変化というものが感じなかったのに、章ごとに読み終わった後には、辺りは壮絶なものを目撃します。台風が過ぎ去ったかのように感じました。
今までの上位に入るくらい、最強で最狂、さらに最恐、さらにさらに最凶な二人を目撃してみてください。
これは何なんだ!とんでもないものを読んでしまった気がする。現実と妄想が入り乱れ、スプラッター並みの内容なのに淡々と描写されており、書かれている内容ほどの重さを感じない。しかし、何が起きているのか分からない、論理的な説明もつかないが、破滅への向かって突き進む。ピエタとトランジが年を取るとともに世界が壊れていく。そんな様をまるで大河ドラマのように描き切った。それは、まさに彼らの名前が示すように「ピエタ」と「トランジ」の世界(メメント・モリ)なのだろう。短編が完全版になることにより「黙示録」となって甦った。雰囲気も内容も全く違うが、夢野久作の『ドグラ・マグラ』を思い出した。傑作です。
最強バディの近未来ディストピア珍道中記。
自由気ままに生きてきたピエタは天才推理少女トランジと出会う。天才的な推理能力とは別のある特殊体質を持ったトランジに纏わりつくようになったピエタの記録。
文体の軽さが日常感を醸し出しながらも、描かれている事件の衝撃さを際立たせている。トランジの特殊体質、ピエタの悪意ともとれる無垢さが、怖さと不気味さのブレンドとなって迫りくる。
日常の中に紛れ込んだディストピア小説。
完全無敵の女子バディの物語でした!
異常なまでの事件誘発体質で名探偵のトランジとその助手のピエタ。
こんなにポップでキュートなのに、遭遇する事件というのが無差別大量殺人事件だとか、なかなかにえげつない成分が多めです。
彼女たちの世界では悲劇はよくあることの一つです。
数えきれないほどの事件に遭遇し、誰かの死が日常的なものとなり感情が麻痺しているのか、本人たちの元々の性質なのか、ちっとも重たくはなりません。
いちいち驚きもせず、悲痛な表情をみせることもありません。
次々とクラスメイトが殺されたとしても、次の行ではそれはさておき、のように場に似合わぬ明るさで淡々と通り過ぎてゆきます。
その先もずっとそんな不穏で、能天気な毎日が続いてゆくのかと思っていました。
だけど、幾星霜を経て、気が付けばピエタとトランジは世界の端っこで生きていました。
2人が年を重ねるのと共に世界は〝全滅〟へ向かってゆっくりと突き進んできました。
そこは犯罪にまみれ、人口は減少し、滅びる人類と壊れゆく世界。
出発点と到着店がここまで違うものになるとは思いもしませんでした。
無敵な女子高生バディが活躍する物語はいつの間にかディストピアへと行き着いていました。
殺伐とした世界でも変わらないのは年老いたピエタとトランジだけで、
相も変わらず、ピエタは「お前が死ねよ」と毒づいています。
そんな暴言についつい口角が上がってしまうのはそれが彼女のトランジに対する最上の愛情表現だとわかってしまうから。
素直じゃないけど、互いがかけがえのない存在であることが言動の端々から漏れ出てしまっているピエタとトランジが大好きです。
読み終えた今、出逢いから、きっと最後のその瞬間まで、2人は最強で最凶のバディに違いないと確信しています。
疾走感に溢れる作品でした。
読む前に拝見した内容紹介から、おおまかな内容を想像してみたのですが、これは見事にふっとばされました。女子高生探偵なんて書いてあったので、そんな内容を想像してましたけど、全然違った。私はこの作品の主人公は「女子高生のまま」でストーリーが進んでいくものだと思ってました。
他人との接触を恐れるトランジと、自分の考えを崩さずに自由に生きるピエタ。この二人が紡いでいくストーリーは、おそらく読んだ方全員を暴風に巻き込み、惑わせ、まるでジェットコースターに乗ったかのような疾走感を感じさせ、その行動、言動、正確は力強く突き進むエネルギーとなっている。
女子バディ物語という言葉が紹介されていましたが、正直女子バディというのものがどのようなものを指すのが、私はわかっていません。
ですが、この二人のような関係をバディと表現したのであれば、確かに羨ましい生き方かもしれません。
お互いが個をしっかりと持ち、干渉することはないのに時期が来れば傍にいる。
助けることもあるし、悪態をつくこともあるけど、それらも楽しめる。
うん、羨ましいかもしれないな。
確かに最強の女子バディでした。
一章一章は面白く読めたのですが、殺人が多すぎるし、ホラーぽくて少し滅入ってしまいました。
ピエタもトランジもお互い大切に思いあって生きていて、軽口にも愛情を感じます。
沢山の(ほんとに沢山の)事件を一緒に乗り越えてきた2人の最期は、寂しかったです。
なんだかんだ読んでる私も一緒に生きていたような、そんな気分でした。
なんじゃこりゃー!と思いつつ、最後まで読み進めてしまった。ひたすら殺し殺される人間たち、壊れていく世界。しかもその原因がまったく説明されないのが怖い。でも何より、ピエタの無邪気さがいちばん怖いよ……。
ピエタもトランジも何歳になったってピエタとトランジだった!ふたり一緒にいるときも、離ればなれになってしまったときも、ピエタはピエタ。トランジはトランジ。でもふたり一緒にいるときがいい。サイコーなふたり!大好き。
名探偵トランジと親友ピエタの物語。
探偵というのは殺人事件を解決したり、未遂に終わらせたりするものだが、トランジは死を招く女なのである。
彼女たちが近づくと、事件は解決するが、同時に人が死ぬ。
驚くのは、二人の「死」に対する距離感だ。
まるで他人事。コンビニでおにぎり買おうとしたら売り切れでした。次に行こう。みたいな軽いノリで、たんたんと高校、大学、医師、探偵、中年、老人と時代をたどっていく。
とにかく人が死にまくり不快だ。
「死」は疫病なのか?。
死は彼女たちにとって何なのだ。
私にとって、世界にとって、どういう意味があるのだ。
死ぬとは何?。
喉元に刃を突き付けてくる。
この分厚い何かが怖い。
おすすめの作品です。
「おはなしして子ちゃん」に収録され、強烈な印象を残してくれた「ピエタとトランジ」。それを長編に仕立てた完全版です。長編になっても二人は変わらず、最強のバディです。今回「事件を誘発させる」というトランジの体質に、さらにある事実が明らかになり、一気に話は大きくなります。一話ごとに年を重ねていく二人の人生を夢中で追いました。芥川賞作家と思って読んだらびっくりするほどの躍動感を感じられる作品だと思います。こんなにめちゃくちゃである意味とってもホラーなのに、友情という言葉では足りない二人の絆の物語。堪能しました。