最後の講義 完全版 大林宣彦
映画とは”フィロソフィー”
大林宣彦
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刊行日 2020/02/29 | 掲載終了日 2020/06/03
ハッシュタグ:#最後の講義完全版大林宣彦 #NetGalleyJP
内容紹介
NHK『最後の講義』で感動を呼んだ番組が書籍に。 大林監督が伝えたい「映画だからできること」、「平和への想い」、魂の1冊!
「あなたは人生最後の日に何を語りますか?」 NHK BSで放送され、大反響をよんだ「最後の講義」が、本になってよみがえりました。
肝臓がんで余命3ヶ月の宣告を受けてから4年目の大林監督が、 大学生の若者に語った3時間を完全版でお届けします。
前半は、なぜ映画監督になったのか。 小津監督や黒沢監督、国内外の映画監督と映画史に残る映画がいまなお伝えるもの。 母が自分を殺して、自殺を図ろうとした戦時中の思い出。 そこから生まれた平和への強い思いと映画。 大林監督が映画を通して伝えてきたものをたっぷり語る。
後半は学生との質疑応答。 大林監督がいのちがけで、最後に伝える言葉とは? 大林監督の作品や出演者、過去の監督や作品などの、脚注も豊富で、映画歴史もよくわかる。 平和の大切さがわからなくなっている、いまだから問いかける、魂の一冊。
出版情報
ISBN | 9784074391219 |
本体価格 | ¥1,300 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
この地球にとって、自然界にとって、本来、がん細胞であるぼくたちが欲望のままに生きてきたからです。
そうであるなら、がん細胞と同じようにいつか地球を亡ぼして自分も死ななければなりません。
近い将来、人間はそういう目に遭うぞと、ぼくの宿子であるがんが教えてくれています。
人間はもう少し利口になる必要があります。
冷暖房を我慢するとか、車に乗るのを我慢するとか・・・。(本文より)
大林監督は映画を通して「戦争を繰り返してはいけない」ということを訴えています。自分は戦争を知っている人間だから、それは使命だと考えていらっしゃいます。
そして、大林監督が出会った中学生から「わたしたちは戦前の人間なのです」と言われて衝撃を受けたそうです。「あと何年かして戦争が起きてしまったら、自分たちはその戦前の人間ということになります。だからこそ自分たちが平和を守らなければならないのです。」
そういう若者たちが戦争に巻き込まれないためにも、自分たち年長者が平和について伝え続けなければならないとおっしゃっています。
憲法9条も、世界から見れば”非常識な憲法”です。
だけれども、世界の常識が戦争することだとするなら、憲法9条は素晴らしい非常識です。(本文より)
日本のどこかで、憲法9条を変えようとしている力が増大しているのです。そんなことを許してはいけません。戦争を放棄することの素晴らしさを、日本国中の人に理解して欲しいのです。そして、世界中の人に伝えなければならないのです。
NHKで放送された「最後の講義」を再録したもの。番組の中で、ガンで余命宣告され痩せ細った大林さんが、映画について力強く熱く語っていたのを覚えている。映画とはフィロソフィーが大切なんだ、戦争のない世界を願って映画を作り続けている、もし道半ばで自分が倒れたら後は君達が引き継いでくれ。再録された文章からも大林さんの熱い想いが伝わってくる。その後、2本の映画を完成させている。映画の神様は、大林さんに映画を作らせてくれた。最新作「海辺の映画館」も観たい!
古い映画が見たくなった作品、ネットでサイレント映画が見て見たい。特に戦争と映画の話は勉強になった。
映画で世界平和になるなんて私は考えたくこと無かった。
この作者さんでネットでみれる古い映画特集をして欲しい。
最後の講義
このタイトル鬼気迫るものがあります。
私は偶然再放送をテレビで見ました。
でも、大林監督は柔和な感じで、
本当に、最後の授業なの
って感じで放送を見ていました。
なぜそうだったのか。
好きなことを仕事ととして
向き合ってきて、
その経験や含蓄を
若者に向けて話しかけているんですよね。
人生の最後の方にきて
恨み節ではなく、
このように語りかけられるって
素晴らしいですよね。
人生ブレず、筋が一本通っている
ように感じました。
話題の中心は、
当然ながら「映画」です。
私はあまり映画を見ません。
けれども、惹きつけられる
感じを抱きました。
大林監督が丁寧に
語ってくれるからなんですよね。
筋1本とは、
それは「戦争」なんですね。
それを監督のフィロソフィーと
語っていました。
監督それぞれに、様々なバックグラウンドがあって、
それがフィロソフィーとなって、
訴えたいこと、語り合いたいことを、
映画という手段を利用して、
訴えるんですね。
人間はやはり、筋が通ていないと
魅力的ではないと、改めて
思いました。
周りに忖度する必要はないのです。
この書籍を読むと、
映画の見方は変わるし、
自分の人生を振り返る
きっかけになるかもしれません。
そう考えると
年齢というよりも、
気持ちが「青春」の方に
お読みいただけることが、
良いと思います。
ごくごく平易な言葉で語られた大林監督のオウトバイオグラフィ。
監督は尾道で育ったことは有名だが、医家の旧家で、地方の名士で様々な人間模様を間近に見て、また当時の良質な映画を浴びるほど観て育ったことは感銘を受けた。
僕は伝記を読むとき、その人の「文化資本」が気になるのですが、大林監督はそれに自覚的で、自分が受け取ったものを次の世代にも残してゆこう、という意志がひしひしと伝わって来ます。
日本映画の大家、言ってみれば旬を過ぎたクリエイターが祭り上げられるときの決まり文句ですが、アマチュアから映画界に飛び込んだことを今も誇りとしている監督からは、大家らしい偉ぶりがまったく伝わってこず、さわやかな読後感でした。
知ってはいるけど、知っているだけですませている。
太平洋戦争を語り継ぐ意思のない私に対して、大林監督から
《今、「戦前」を生きていることになるのだ》と
強いメッセージを受け取った。
いつ戦争が始まるかわからないのが2020年の今なのだ。
“未来のために生きなければならない。
未来のために、ぼくが知っている過去のことを伝えなければならない”
大林監督の覚悟に心を揺さぶられた。
戦争を知らない私たちにできること。戦争を知っている人たちに平和を見せること、穏やかの日々を送れるのだと示すこと。そしてもう戦争を繰り返さないですむ世の中にすること。争いはいつ起こるのかわからない。それが起きたらどうなるのか実体験としては知らないけれど、伝えられているものはある。その歴史の重さをしっかりと繋いで生きていくことができるように。しっかりと心を育てたい。
大林宣彦監督が、『大林宣彦 戦争などいらないー未来を紡ぐ映画を』(平凡社)でも提唱されていた、「映画が要らなくなる日」。いつの日か、映画が必要とされない時代が来て、青い空の下、すべての人が幸福に手を繋ぎ合って過ごせる時代が来ることを、私も願っています。
NHKの『最後の講義』は見ていませんが、つい先日WOWOWで放送された「大林宣彦&恭子の成城物語」というドキュメンタリーを見ました。どういう経緯で映画の道に進まれたのか、お二人のこれまでと今が描かれており、この本とリンクするところがありました。
大林監督の作品はあまりたくさん観ていないので、何本か録画したままのものもあり、これから機会を見つけて観てみようと思います。ファンタジー作家かと思っていました。
「敗戦少年」だった大林宣彦監督の講義録。
戦争を体験した表現者として、戦争への絶対的な否定と、平和への強い希求が、全てのページから伝わってくる。
素晴らしき非常識と憲法9条を評し、「奇跡のような素晴らしい憲法を持った日本人だけが、この非常識を常識に変えていくために『表現の自由』を用いることができるのです。」p72 と強く語る。
400歳まで生きれたら映画の力で世界を平和にする、と。「映画では、平和を引き寄せられます。」p206。
訃報を聞いた日に読み終える。
「転校生」が監督の作品との出会いでした。大林作品というジャンルムービーの数々。同時代に生きれた幸せを噛みしめる。
NHK 『最後の講義』 「大林宣彦」 4月16日(木)[BS1]後11:00~11:49
2020年4月10日に亡くなられた大林宣彦さんをしのんで放送されます!
目次を読んだだけで 熱い思いが使わってきます。
一気に読み進み、読了。 感動しました。
戦争を知らない世代に、平和がいかに尊いものかを、伝えてくれる本です。
大林監督は、反戦を全面に出すのではないが、映画作品に脈打つ主張を受け取って欲しいと話します。
講義は、映画製作を目指す若者たち。
映画を、興行的な成功を目指した娯楽作品ではなく
「フィロソフィー」をもった作品として作っていくことが大事だと語ります。
とうぜん映画を見る側も、それを受け取れる感性や知性が必要ですね。
ついつい話題作、娯楽作ばかり見ている映画好きとしては、恥ずかしくなりました。
機会があれば、監督の作品を見たいと思います。