ポラリスが降り注ぐ夜

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刊行日 2020/02/29 | 掲載終了日 2020/03/16

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内容紹介

芥川賞、野間文芸新人賞候補作『五つ数えれば三日月が』の著者、最新作

多様な性的アイデンティティを持つ女たちが集う二丁目のバー「ポラリス」。国も歴史も超えて思い合う気持ちが繋がる7つの恋の物語。


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2017年、初めて日本語で書いた小説「独舞」(のち『独り舞』に改題)で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞し、作家デビュー。

2作目の、日本で働く台湾人の「私」が台湾に渡った友人へ募らせる思いを繊細に描いた『五つ数えれば三日月が』で第161回芥川賞、第41回野間文芸新人賞の候補となった著者。

これまでの作品に通底する、セクシュアルマイノリティであることや、言語や国境を超えた人々の繋がりといったテーマを内包しながら、日本に移住し、二丁目に通うようになった筆者の目に映るこの街の煌めき、そこに集う人々への取材によって想起される過去の街と人々の記憶をも掬い上げようとする渾身作です。

どうぞご注目ください!


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李琴峰(り・ことみ)

1989年台湾生まれ。作家・日中翻訳者。2013年来日。2015年、早 稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。2017年「独舞」にて第60回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。2018年『独り舞』を刊行(のちに自訳で台湾でも刊行)。2019年「五つ数えれば三日月が」が第161回芥川賞候補作となる。同年、『五つ数えれば三日月が』を刊行。その他の作品に「流光」「星月夜」などがある。


芥川賞、野間文芸新人賞候補作『五つ数えれば三日月が』の著者、最新作

多様な性的アイデンティティを持つ女たちが集う二丁目のバー「ポラリス」。国も歴史も超えて思い合う気持ちが繋がる7つの恋の物語。


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2017年、初めて日本語で書いた小説「独舞」(のち『独り舞』に改題)で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞し、作家デ...


おすすめコメント

名付けえない感情とアイデンティティ、それらをありのままに受け入れる美しさと孤独。未練と未来の狭間に漂いながら、刹那の救いを求めて、彼女たちは新宿二丁目という聖域に溶けてゆく。

――東山彰良(作家)


世界でこのひとにしか書けない小説が生まれた。日本と台湾、台湾と中国、「普通」と「それ以外」、そして「女」と「女」……さまざまな「近くて遠い」物語が、夜空に浮かぶ七つの星のように、切なく煌めいている。

――王谷晶(作家)

名付けえない感情とアイデンティティ、それらをありのままに受け入れる美しさと孤独。未練と未来の狭間に漂いながら、刹那の救いを求めて、彼女たちは新宿二丁目という聖域に溶けてゆく。

――東山彰良(作家)


世界でこのひとにしか書けない小説が生まれた。日本と台湾、台湾と中国、「普通」と「それ以外」、そして「女」と「女」……さまざまな「近くて遠い」物語が、夜空に浮かぶ七つの星のように、切なく煌めいている。

――王谷...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784480804921
本体価格 ¥1,600 (JPY)

NetGalley会員レビュー

この地球上にいる人の数だけ生き方がある。どれが正しいわけではないのに、多数に入らないものが生き辛かったり虐げられたりする。自分と異なる感覚が恐ろしいのか。多が正しいわけではない。そもそも正しいとは何か。殺人をするわけでもないのに。

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著者の李さんは新宿二丁目という町に集まってくる人たちの生きざま、それまでの道のり、自分が自分であることを理解されない苦しみなどを描いています。ゲイタウンとして有名な二丁目ですが、メインはやはり男たち。レズビアンが集う店は今でこそ増えたけれど、やっぱりマイノリティ。マイノリティの中の更にマイノリティという立場が切ないです。

 中国や台湾では性的マイノリティとして生きていくのが苦しいから日本にやって来た人たち。台湾で同性婚が認められるようになるきっかけとなった集会のこと。この短編集は様々な知らなかったことを教えてくれました。

 女性なのに女性しか愛せないということに子供の頃に気付いた人、それに中年になって初めて気が付いた人、性別に関わらず愛せる人、誰のことも愛せない人、様々な人がいるのです。でも、どれが正しいとか間違っているとかということではないのです。

 誰にも自由に生きる権利があるのに、それが許されないのは、つまらない誤解に縛られて生きている人が世の中を動かしているからなのでしょうね。

ただどうか忘れないでおいてください - あらゆる歴史は現代史であり、あらゆる理解は誤解であるということを。(あとがき より)

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この本はまた読みたい、これから先も何度も読んで、自分と一緒にあってほしいと思った。
なので、明日さっそく買いに行くことにします。

すっかり惹き込まれ最後のページまで読み終えると、なぜか泣きたくなっていた。
ああ、さびしいな、と胸が苦しくなってしまった。
人と違うということはなんて孤独なんだろう。
ただ、「みんな」と同じく誰かを好きになっただけなのに。
好きだと伝えることも、好きな服を着ることもできずに、その思いを口にすることもできない。
理解されず、それは間違いだと境界線を引かれてしまう性。
自分がその立場になってみなければ、わからないことはたくさんある。
だけど、私が本書に出会って知ったように、ほんの少し歩み寄ることで理解できることだってあるのに、
それすらも拒絶されてしまうことはただただ悲しい。
傷つけられて、挫けて、それでも上を向いて生きようとする彼女たちは、まるで暗闇でポツンと煌めく星のようで眩しかった。
相反する儚さと強さを心に纏う彼女たちはさびしくて、とても美しい。

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李琴峰、母語を台湾語とするが、日本語と中国語の両方で小説を書く女性作家。デビュー作『独り舞』が台湾の大学生たちの激しく鮮烈な恋と性との物語で、忘れられない印象をわたしに残した。色で例えるならば凍りつくように澄み渡った青、ガラスを素手で殴ったあとのかけらが突き刺さっている青春。
そして本作『ポラリスが降りそそぐ夜』。あのデビュー作のほとばしる熱情と、痛みのようなひりつきは、情熱は奥に秘めたままで抑制されているように感じた。
物語は7つの連作短編になっている。共通して登場するのは、新宿二丁目の「Lの小道」「百合の小道」と呼ばれる小さなレズビアンバーが点在する横丁。そこにある一軒のレズビアンバー「ポラリス」に集うひとびと。国籍も年齢もセクシャリティもさまざまで、マイノリティであることがそのまま肯定される場所。だれもがひとりの人間として受け入れられる場所。迷った時に夜空に輝く星のような。
マジョリティがマイノリティを差別する、という現実があるのは理解できる。けれどマイノリティがさらにマイノリティを差別するという現実があるのも知る。多様性を求める一方で、自分には何か欠けている、歪んでいる、そういう感情がどこかにあるのだろうか。だれしも程度の差こそあれ自分と他人を比べて生きているはずだ。だれもが不完全な人間だからこそ完全を求めるし、より強い(正しい)立場にあると思いたいのか。
レズビアン小説、マイノリティのための文学という表現は適切ではないかもしれない、でも自分がマイノリティであることに悩むひとに届いて欲しいと心から願い、あえてそう表現しておく。
次回作もとても楽しみだ。

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連作短編。新宿2丁目にある女性専用店『ポラリス』に集う女性達の物語。『女性』と言っても『ポラリス』に集う女性達には様々な背景や過去がある。レズビアンやアセクシャル、ノンセクシャルやバイセクシャルなど、この本で初めて知った『性別』もあった。世の中は当たり前に『男』と『女』に分かれている性別だがその性別から外れてしまう人達の肉体的、精神的苦痛は計り知れないものがある。『差別』というものは自分とは違うものを異質とみなす訳だがその残酷さは読んでいて苦しくなる。

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