愛するいのち、いらないいのち
冨士本由紀
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刊行日 2020/02/20 | 掲載終了日 2020/02/20
ハッシュタグ:#愛するいのちいらないいのち #NetGalleyJP
内容紹介
父はウンコ臭い。風呂に入らない。唯我独尊。文字通りのくそじじいとなった。母の死後、帰省するたび、実家はガラクタで埋め尽くされている。認知症で糖尿病で独居では、このゴミ屋敷では暮らせない。そして父は糖尿病の管理さえすれば百歳までも生きるらしい。冗談ではない。私はもうすぐ60歳なのだ。わがままに付き合い、食事や排便の世話をしながら余生を終えるなど、まっぴら御免だ。なぜなら、父と私は血が繋がっていない。正確には、死んだ母の再婚相手である。結局、 父は施設に入ることになった。
実は私は、いい歳をして結婚をした。30年近くもこっそりつき合って、60に手が届こうかという今頃、やっと籍を入れたという笑い話のような経緯がある。夫は元クリエイターで、バブルがはじけ、彼自身も枯渇し、崩壊し、忘れ去られた、そんな男と築48年の団地で倹しく暮らす日々。仕事のない男を抱え、自分の老後のためにと、遠路を行き来をし、施設探し、契約、説得、留守宅の管理・・・時間に、お金に、振り回され、仕事は、定年は、介護の終わりは。。。
そんな矢先、夫に癌がみつかる。神は老いた養父の死を願うような不埒な私に、罰として私の一番大切なものを奪うことに決めたのだ。
父の介護と夫の闘病を抱えた還暦女のリアルな日常。『ひとさらいの夏』の著者10年ぶりの新作!
おすすめコメント
認知症で糖尿病で独居で血のつながっていない父の介護。30年近く付き合ってやっと籍を入れられた夫の癌発覚。リアルすぎてヒリヒリするような傑作です!
販促プラン
初回指定承ります!★1月31日まで★03-5395-8116
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784334913359 |
本体価格 | ¥0 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
インパクトのあるタイトルで手に取りました。
冒頭からリアルで生々しい描写に一気に引き込まれました。
本当は棄ててしまいたいほどのクソジジイの認知症の父親を何とか施設に預けるために遠方から行き来する娘の壮絶な苦労と、還暦近くにやっと入籍できたヒモのような夫との慎ましい生活。
読んでて情景が目に浮かぶし、彼女の苛立ちもヒリヒリ伝わってきて叫び出しそうにる。
なぜ次から次へと大変な事の連続なのだろう。
これが年を取るという事の一端なのだろうか。
何度も泣きそうになりながら読み終え、溜め息をついた。
めちゃくちゃよかったです!
うんこ臭い地方の父親の介護と夫の癌に振り回されて消耗していく女性の話
いやなんとまあ救いのない日常の話にげっそりする
歳を取るということはこういうことかと自分の身に置き換えて考えるとぞっとする展開
次から次へといろんなことが押し寄せてくるように降りかかって来て一杯一杯な毎日を
リアルに表現されています。
読んで楽しいとか面白いという作品ではないが
一読の価値のある作品です
「命」に対し揺れ動くリアルな咆哮。
人生終盤に踏み出しつつある女性の継父と夫への介護を通して滲みだす命への揺れ動きがリアルに描かれている。
冒頭から衝撃のセリフで始まる認知症を患った父への介護と、苦労を共にし、ようやく籍を入れた夫への介護の振れ幅が大きく、等しいはずの「命」へのとらえ方が関係の距離によって差が出てしまうのを見せつけられた。
最後に見せる後悔は同じ間違いではなく違う間違いだと断じたいが決められない苦しさもある、後味を引く作品。
おもしろかった‥とは、いっても楽しい話ではない。なんともはや、悲しかった。半分ほど読んで、いったい、この帰省はあと何回繰り返すのだろうと、自分が無意味とも思われる帰省を繰り返しているように気が滅入る。血も繋がっていない義父のためにお金も時間も使う必要があるのだろうか?それより愛する夫のためにお金と時間を使いたい。それなのに、いらないいのちは絶えないのに愛するいのちは絶えてしまう。世の中、意外と同じ様な境遇の人もいるのではないだろうかと思いつつ、自分は耐えられないと思う。文音以上にいらないいのちには優しくできない。ただ、第三者の目もあるんだよなぁ‥そんなことを思いながらおもしろく読んだ