国語教育 混迷する改革
紅野謙介
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刊行日 2020/01/08 | 掲載終了日 2020/01/31
ハッシュタグ:#国語教育混迷する改革 #NetGalleyJP
内容紹介
教育に携わるすべての方必読!
戦後最大の教育改革に警鐘を鳴らし続けた著者による徹底解説
2019年12月17日、文部科学大臣による記者会見で導入見送りが発表された大学共通テストの記述式試験。英語民間試験導入延期に続き、その設計の大きな欠陥が注目を集めてきました。受験生に不安を抱かせ、教育現場を混乱させた戦後最大の改革の実像はどのようなものなのか。
本書の著者は、プレテストや新指導要領解説の詳細な分析から、この改革がいかに危ういものであるかを指摘し、警鐘を鳴らし続けてきました。政府による発表の前から、導入見送りを予言していたとも言えます。
今回の教育改革を通して過去と未来を見つめながら、「ことばの教育」のあり方を考える本書は、国語教育のみならず、この国の教育全体をも照らし出す一冊です。ぜひご注目ください!
【本書付記より】
大学入学共通テストの「国語」「数学」に記述式試験の問題を導入する計画については、2019年12月初旬、ようやく政府与党内からも延期ないし再検討の意見が出て、文科省もその意向を無視できない状態となりました。おそらく本書が刊行される時点では、既に何らかの決断が示されていることでしょう。まさに時々刻々の変化が起きているのですが、たとえ延期になったとしても、それは採点の公正さを維持できないなどの理由によるものです。あまりに遅いその結論は当然のこととして、新学習指導要領が現行のままであるかぎり、しばらくしたら、また同じような計画が起き上がりこぼしのように浮上してくると思います。その背景に潜むさらに大きな問題を本書を通して確認していただければ幸いです。
【目次】
■はじめに
背中から未来に入る/手段としての入試改革/見えない具体案/論理か文学か?/言葉をきちんと読むために
■第1章 記述式試験の長所はどこに ― プレテスト第1問の分析
混乱する大学入学共通テスト/第二回プレテストの「国語」/題材選択の本気度/「指」が結ぶ三項関係/記述式のリスク/論点整理の矛盾/複雑な条件はなぜ必要か/記述式試験の長所が消えた/正答の幅が狭すぎる/テストは所詮テストである
■第2章 複数の資料が泣いている ― プレテスト第2問の分析
法と契約の言説/不都合な情報はオミットせよ/「著作権」について考える/名和小太郎『著作権2.0』/選択肢は正しいか/正答への疑問/著作権1.0から2.0へ/設問相互の矛盾/表を読む/表現と内容/これは「文学」である/リスペクトの不在
■第3章 教室の「敵」はどこにいる? ― 「学習指導要領」の逆襲
試験から教室へ/解説本、大セール/解説の解説本/国語の先生、君たちはもう終わっている!/ゼロベースからの見直し/推測に推測を重ねて/学習指導要領とは?/読解中心をやめる/文学部を批判する/打倒、訓詁注釈/曖昧な言葉たち/「資質・能力」ベースの幻想/どんな「能力」を伸ばすのか
■第4章 「現代の国語」と「言語文化」 ― 高校一年生は何を学ぶのか
Evaluation とAssessment/カリキュラム・マネジメントとは/拘束力を強めよ/言葉のマジック/科目の性格/「現代の国語」/一五歳が見えているか/比べて読む/「現代の国語」の危うさ/「言語文化」/一学期の指導計画/読まずに味わえるか/小説が読めていない/際立つ貧しさ/悲しき「言語文化」
■第5章 選択科目のゆくえ ― 間延びしたグランドデザイン
言葉をどのように引き出すか/「論理国語」/絵に描いた餅は食べられるか/「文学国語」/「虎の穴」第二弾/「文学」概念の狭さ/「国語表現」/自分を語るむずかしさ/「古典探究」/分かること、分からないこと/「清光館哀史」の意義
■第6章 国語教育の原点に立ちかえる ― ことばの教育へ
「学校化」の徹底/「生政治」の浸透/「学習指導要領」のダブルスタンダード/オープンダイアローグ/「読むこと」と「書くこと」のサイクル/テクストの複数性/言葉に向き合う/署名のある文章、署名のない文章/小説の言葉/会話を読む/世界認識の形式/教育課程をどのように組み立てるか
■あとがき
【第1章・第2章について】
諸事情により、第1章・第2章の掲載は見送らせていただきますが、
現在「Webちくま」にて、著者がプレテストについて詳細に分析している「緊急特集!入試改革」をお読みいただくことができます。第1章・第2章が気になる方は、ぜひこちらをどうぞ。
国語・記述式試験のどこが問題か?
──大学入学共通テスト・試行調査の分析 1
http://www.webchikuma.jp/articles/-/1888
国語・記述式問題の長所はどこにあるのか?
──大学入学共通テスト・試行調査の分析 2
http://www.webchikuma.jp/articles/-/1889
ページ下部の関連リンクよりぜひ!
【著者プロフィール】
紅野謙介(こうの・けんすけ)1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。麻布高等学校教諭を経て、現在、日本大学文理学部教授、学部長。専攻は日本近代文学。メディア環境や多様な文化の広がりの中で文学を捉える試みを続けている。著書に『国語教育の危機』(ちくま新書)、『書物の近代』(ちくま学芸文庫)、『投機としての文学』(新曜社)、『検閲と文学』(河出ブックス)、『物語岩波書店百年史(1)「教養」の誕生』(岩波書店)、共著『どうする?どうなる? これからの「国語」教育』(幻戯書房)、共編『ちくま小説選』『ちくま小説入門』(筑摩書房)、『日本近代短篇小説選』(岩波文庫)他多数。筑摩書房高等学校用国語教科書編集委員。
おすすめコメント
長年、国語の検定教科書を発行してきた筑摩書房ならではの一冊です。ぜひご注目ください!
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784480072801 |
本体価格 | ¥880 (JPY) |
関連リンク
NetGalley会員レビュー
[国語教育 混迷する改革]
2020年が近づいてきました。
個人的に様々な出来事があった2019年でした。
新しく始めたこと読書など継続していること
色々です。
読書をし出してから人生が好転しているのを感じられるようになってきました。
#国語教育
これは、いま変革がされていますが、
何が正しく何が正しくないのか、
改革はやってみなければわからないし、すぐにわかるものでもありません。
本書は学習指導要領や入試に関して
言及されていました。
やや専門的な内容でした。
紹介します。
#手段としての入試改革
最後の#センター試験
#新学習指導要領
#解説の解説本
#これまでの常識が通用しなくなる
#伝統的なものの見方や考え方
#読むこと
#書くこと
#教育過程をどのように組み立てるか
#日本社会に影響大
教師は大変な時代になってきました。
こんな時代を生き抜くためにも学ぶことが不可欠で
私は学び続けています。
2020年、令和、センター入試が終わって
時代は次のステージへ
これからの日本がどうなるのか誰も
予測できません。
#国語教育混迷する改革
#国語教育
#低迷する改革
#紅野謙介
国語教育 混迷する改革 (ちくま新書)
国語に限らず,現在進行形で進められている教育「改革」にまつわる問題点を指摘しています.NetGalley では,全6章のうちの第1章と第2章を読むことができないので限定的なコメントですが,読者の読みも試されているような感覚になります.クリティカルに読むことを前提に,国語関係だけではなく教育関係者には目を通しておくことを勧めます.
元教員です。
記述式試験の導入が見送りになった。記述式ありきで進めてきたしわ寄せは受験生に及ぶ。
導入を急かしている人たちの身辺を地検特捜部に洗ってほしい。
学校のパソコン関連から始まったベネッセの教育産業への食い込み方は異常だ。
小学校のプログラミング授業もあやしいと常々思っております。
見直される国語教育改革は「言葉」のマジックにハマるインフラ教育。
まずは2020年を最後にセンター試験が見直され、2021年から大学入学共通テストに切り替わります。
英語、数学と共に変更の目玉となる、国語の教育改革を結構な割合でぶった切ってます。
その気持ちすごくわかります。
なぜなら、大学受験をする人だけの教育ではないはずです。
今も個性なのか画一なのかブラブラな状態であり、新しい国語教育の内容は、まるで芸人化を進めているかのようなトーク推しに感じます。
そんな疑心暗鬼な気持ちで目を通した本書は、第6章までびっちり新しい国語教育プランの問題点を指摘してます。
うなずける点も多く、「言葉の教育」とはなんぞやと、我が身を振り返り、理解に努めることもできそうです。
それにしても、教師はまた大変になるなぁと思いました。
本が好き!倶楽部
せいちゃん
つい先週、最後の大学入試センター試験が行われた。その問題の傾向は、いくらか新テストに備わる要素が含まれていたそうである。そう、すでに仕込みは終えていたのだ。
しかし本書では国語教育の行く末を嘆く言葉にあふれている。今までの教育を担ってきた現場の実情を深く捉えないままに、新しい国語教育を突きつけてくる。
その視線は現在教育現場に立つ教員に向かいはしても、子供たちには向かっていない。その証拠がここへ来ての記述式回答や英語の外部検定試験採用の見送りだ。受験生はその度に振り回される。
既に、新テスト対応の問題集が発売されている現実を、文部科学省は重く受け止めなければならない。
私は心から国語教師の友人に同情し、自分はその場で対応できなかったことだろうと痛感した。