夜 は お し ま い
島本 理生
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刊行日 2019/10/23 | 掲載終了日 2019/10/23
ハッシュタグ:#夜はおしまい #NetGalleyJP
内容紹介
島本さんの小説はいつも、自分は傷ついているのだと気づかせてくれる。 ――藤崎彩織
深い闇の果てに光を掴もうとする女性たちの、闘いと解放。直木賞作家の真骨頂!
性とお金と噓と愛に塗れたこの世界を、私たちは生きている。 ミスコンで無遠慮に価値をつけられる私。お金のために愛人業をする私。夫とはセックスしたくない私。本当に愛する人とは結ばれない私――。
秘密を抱える神父・金井のもとを訪れる四人の女性。
逃げ道のない女という性を抉るように描く、島本理生の到達点。
出版社からの備考・コメント
※発売前の作品のため、ネタバレのレビュー投稿は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
※発売前の作品のため、ネタバレのレビュー投稿は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
おすすめコメント
「純文学卒業宣言」から四年。傑作中の傑作、ついに刊行です!
本書『夜 は お し ま い』は文芸誌「群像」に掲載された連作小説です。キリスト教の教えを下敷きに、女性という息苦しい性を生き抜く四人の闘いと解放が描かれています。第二話「サテライトの女たち」の展開はとりわけ衝撃につぐ衝撃! 「これは島本さんにしか書けない傑作中の傑作だ……」と原稿をいただいた瞬間、手が震えました。
直木賞受賞作『ファーストラヴ』へのステップも見受けられる本作は、島本理生さんの真骨頂であり、到達点でもあります。 ぜひお読みください。
――担当編集者より
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784065171486 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
司祭になる金井先生がつなぐ四人の女性の物語。
愛、恋、性、そのいろいろな形に、しかもその生々しさに、思わず息を飲みます。
ここにはそれぞれの生き様が、ありありと惜しみなく発散されては読者に投げかける。
いま男である自分にとっては、少し刺激が強いかもしれない。でも知らなきゃいけない心の動きがここにふんだんに表現されていた。
「自傷」ともいえる行為で得られる「生きる」実感を経て彼女らが何を感じるのか・・
金井神父に関わる4人の女性の生き方を描いた連作短編集。
生、性、家族が淡々と語られる様は、自分が傷ついているのも気づいていないかのようで哀しい。諦めにも似た受け入れ方が「業」のようにも感じられ、女性として生きる厳しさ、烈しさを示しているように感じた。
男は単純すぎるし、女は複雑すぎる・・
ページをパタンと閉じた時、胸の中に重く苦しい感情が立ち込めていることに気づく。信仰、性愛、親子の関係。今の自分を形成しているものの重さと、今ここに立つ自分の足場の脆さをまざまざと見せつけられるようで、心がひやりと冷え込む。
でも、しかし‥この後に続く「すばらしい言葉」は今の私には紡ぐことができない。
いつか、この作品を前に、饒舌に言葉を重ねられる日がくるだろうか。「分からない」という感触を、今はしっかり手ひらに握りしめていたい。
金井という神父をひとつの軸に描かれる四人の女性の物語。
信仰、性愛、暴力……と、島本さんらしいテーマに貫かれた短編たちは、今作もまた、痛切に僕の胸を衝いた。
特に二篇目の『サテライトの女たち』は、あまりの痛々しさにとても読むのが苦しかった。
毎回、島本さんの作品を読みながら、懸命に女性の気持ちを理解しようと、自分の人生に活かそうと思っているのだけれど、全く上手く行かない。そもそも、そんなコト出来るのだろうか……?といつも不安になる。
それくらい、女性のコトは解らない。自分はどこまでも”男“なのだと思い知らされる。
出口の見えない深い闇の中で、「信仰」は答えでもなければ、道標ですらないのかも知れない。
それでも「信じる」という行為の先に、少なくとも、次の一歩を踏み出す先のヒントのようなものが見えるようにと、願いと祈りを込めて、最後のページを閉じた。
性と神父を対にして、やるせなさとどうしようもなさと背徳感を際立たせる。何が正しくて何が罪か、懸命に生きようとする中で光を掴むための術としての身体。愛されたい、愛したい、誰かと共に生きたい。欲望に身を任せたその後には懺悔や悔いの気持ちが残る。
初めて読む島本理生さん作品でした。
重い気分になりながらも、止まらず一気に読み終えました。
登場人物一人一人の心情に寄り添えるような気持ちになったり、理解し難い気持ちになったりしつつ。
それぞれ別のストーリーながら、同じ神父さんが登場する事と、キリスト教 そして女性 というものが共通するモチーフとなる連作集でした。
誰にでもお勧めしようとは思わない小説でしたが、ヘビーな何かを残していきました。
司祭の金井先生と4人の女性の物語。
今、この作品を読めて良かったです。罪悪感と欲望の狭間に立つ主人公たちの悩みは解決されていないけれど、悩み続け、考え続けることが救いなのでは、と気付かされた作品でした。
何かに対して何かをしたい、する。
全てのものごとに対する当たり前のことだけれど、本書でその何かが一つも読み取れず、そんな読解力の所為でいつも島本さんの作品を楽しみにし、楽しんで読めていた自分がこれほどまでに理解できないことにもう死にたい…と哀しくなりもしましたが、今の時代、救いの神はいくらでもいて、ちょっと検索すれば島本さんのいわんとしていたことがおりてきて、
あー、とだいぶ生き返りました。
緩く重なる短編集。結婚をしていても。母親となっても。婚約していても。今、隣で夫が寝息をたてていても。自分は今独りなんだと絶望する女性のやるせない気持ち。その隙間を埋める役割を担う男たち。上手く埋められればピッタリと密着するはずだけれど、するりすらりと悪気なく狡くすり抜けて行く。感情が良く理解出来ました。普段読まないジャンルですが楽しませていただきました。
どの話も湿っぽさがある感じの陰鬱さを感じた。
そして読みながら、私は幸せだなあと思った。
金井先生のキリスト教感、神様感が私にはとてもしっくり来た。
私も今結構遠藤周作を読んでいるので、違う方向から金井神父のキリスト教感、
「日本にキリストが必要だったことが一度もない」話を聞いてみたいなと思いました。
性的に傷ついた女性たちの物語。
それぞれの心の中に深く埋め込まれた過去のトラウマが毒の花を咲かせている。
その毒の花の香りを身にまとった彼女たちが告解に訪れる神父もまた大きな秘密を負っていた。
いちばん罪深いのは誰なのか…