すこし痛みますよ
ジュニアドクターの赤裸々すぎる日記
アダム・ケイ/著,佐藤由樹子/翻訳
この作品は、現在アーカイブされています。
ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2020/02/26 | 掲載終了日 2020/04/17
ハッシュタグ:#すこし痛みますよ #NetGalleyJP
内容紹介
〇原著発行の英国Amazonでの評価数(2020年1月23日時点):
『サピエンス全史』→ 2,900
『ハリーポッターと賢者の石』→ 3,200
本書『すこし痛みますよ』→ 9,000!?
(☆4.8 評価!)
2018 年イギリスのノンフィクション部門で最も売れ、イギリス史上最高の電子書籍売上を記録した『ジュニアドクター(≒ 研修医)日記』
週 97 時間労働。命を左右する決断の連続。襲い掛かる津波のような体液。
それなのに、病院のパーキングメーターほどにも稼げない。
ジュニアドクターの現実へようこそ。
果てしもない1日の終わりに、一睡もせずに迎えた夜明けに、消えた週末の夜に綴られた秘密の日記。NHS(英国国営医療サービス) の最前線で過ごしたこっけいで、ショッキングで、心揺さぶられる日々。私たちが知りたかったドクターの仕事と私生活のすべてを――知りたくなかったことも少なからず含め――教えてくれる。
おすすめコメント
本書は医療ノンフィクションでありながら、医学の知識が不要で、医学の知識がなくても小説のように、つい読み進められる本です。「え?これノンフィクションなの?」と思わせるくらい、おもしろくもあり、ショッキングでもある数々のエピソードに、思わず笑ってしまいつつも、心揺さぶられ、考えさせられる1冊。
「コウノドリ」「ブラックジャックによろしく」「医者の本音」「ER緊急救命室」など、医療現場をテーマにしたマンガ、小説、ドラマ、映画が好きな方にもオススメです!
●原書レビューコメント●
“猛烈に面白い!でもきらびやかなジョークの下で、著者は身をもって教えてくれている。ーー医療サービスが我々に何をしてくれるのか、そして我々が医療サービスに何をしようとしているのかを。――マーク・ワトソン”
“怖ろしさのあまり何度も大笑いし、ケイの悲痛な最後の行動に涙した。ジュニアドクターの現実を伝える貴重な窓。幅広い読者に読んでもらいたい一冊。――Stylist”
“容赦なく笑えて...... 言葉を失う。――New Statesman”
“最高に笑えて、胸に刺さる……笑いあり、涙あり、感動あり……そして痛みあり。でもその痛みは、私たちが受け止めなければならない大切な痛み。 ――タイムズ”
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784758112116 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
英国国営医療サービス。多くの国民が誇りにしている無償を軸とした医療事業。ただで病院にかかれるなんて素晴らしい!なんて安心なの〜と、私たち患者になる側は思います。が、そのしわ寄せがドクターたちに…。具体的かつ過酷な描写に冷や汗。これで、患者のためになんて思える余裕でるのかなと不安になるほど。テキトーなことされても仕方ないとさえ思えてきます。なんであれウィンウィンの制度を作るのは難しいのですね。こうなると、1番うまくいってる医療制度の国ってどこなのか気になります。
激務なのはみな想像はしているし、ある程度知ってる(つもり)だろう。
しかしその内容と、葛藤と、疲れや怖れなど、普段患者としてしか医師と接触しない私たちにとって、この本は医師もまた1人の普通の人間なんだと気づかせてくれる。
そうなのだ、そんな普通なことに気づかないほど私たちは、医師=スーパーマンであり、医師=万能かつ感情もフラットだと思い込んではいないだろうか。
だって自分にとって今の痛みや辛さは、自分史上今1番大変なことで、目の前の白衣の人がそこをなんとかしてくれると思っているから。しかし、その白衣の内側は逡巡や葛藤や、プライベートなども抱えているやはり1人の人間なのである。それをプロ意識が支えている。
そして、そのプロ意識が打ち砕かれるほどの衝撃と出会った時どうなるのか。
軽妙に綴られているこの日記形式の本を読了する頃には、医師という存在への眼差しが少し変わっていることだろう。
著者がそれを望んでいるかどうか、は、わからないけれど。
不謹慎とわかりつつ笑ってしまった。
”ドクターは患者の葬儀には行かないものだ。職業倫理に反するから“(引用p91)
本書は日記形式で綴られた産婦人科ドクター、アダム・ケイの奮闘劇のライフログである。
ユーモアとシリアスが行ったり来たりドタバタ劇のように展開するため、笑ったり眉をしかめたり読んでいる方も忙しい。
まさにタイトル通りすこし痛む。
でもそれはドクターとて同じことなのだ。
日本から見る海外のワークライフは一見、充実しているように見える。
実際は日本と変わらないようなハードワークである。
最後に特に好きな文を引用
食事の先約でどうしても定時で上がりたいドクター(ここで言う僕は筆者)に急務の依頼をする助産師との会話。
”助産師
「ドクターに休憩時間なんかありません。」
僕
(知られざる高音域を解禁したかのような、自分でも初めて聞く声で懇願)「でも、今日は僕の誕生日なんだ」(残念ながら事実)
助産師
「ここは分娩室ですよー毎日が誰かの誕生日なんです」
(引用p105)
ちょっとおどろおどろしい表紙に引いてしまいましたが、非常に興味を持って読み始めました。
日本ではピーポーピーポーと救急隊員に運ばれていく時を除き、私たちが今ある症状からしてどの科にかかるのかと受診する前に決めますが、イギリスでは救急でない限りまずは近くのGP(かかりつけ医=ある意味何でも屋)に行き、彼らの範囲外であればが目の専門医に行けだのと言って紹介状を書いてもらう事になります。そこで著者アダムが医師として働いていたNHSの登場です。
医学部を卒業し、ハウスオフィサーとして病院に勤務する彼の日記が始まります。患者さんがちゃんと良くなってくれた、無事に赤ちゃんが生まれた、そういう喜びがあるからこそ、つらい仕事もやっていける。
いつ急変するかとも知れぬ患者さんがたくさんいる病棟勤務の(しかも夜勤の)大変さや救急搬送された患者さんたちへの迅速で適切な対応。。。医者は神様のように何でも完璧にやらなければならない。ものすごいプレッシャーです。しかし医者だって人間です。
本を読み進めながら何度も読むのをやめたり、数ページ戻ったりしながら私も著者と一緒に喜びや苦痛を感じていました。最後のページを読み終えたあとの虚脱感とも深い悲しみとも言えない心境はかなり後まで響きました。そうか、すこし痛みますよ。。。。。こういう医師にこそ現場にいて欲しいが、こういう医師だからこそ胸に突き刺さる痛みが大きく耐えられないのだろう。
本書は著者がドクター時代に記した日記を元にまとめられている。医療現の過酷な日常であるにも関わらず、イギリス人のユーモアが随所にあふれ、テンポよく読み進んだ。
だが、そのユーモアの後ろに誠実でありたかった著者の姿が見え、締めくくりは胸が締め付けられた。
「医者は人間なのに神の真似事をする」という言葉を聞いたことがある。この言葉は医者を皮肉っているのではなく、欠陥のある存在が完璧を求められる苦しさも表していると思う。医療関係者は常に感じていることなのかもしれない。
医者は心身ともにタフであること、誠実であること、完璧であることが求められるが、人間であるがゆえに悩み、傷つく。
その繊細な心がないとまた人間に寄り添うことはできないと思うのだが、あまりにも過酷で残酷だ。
生まれてから死ぬまでお世話になる医療。恩恵に預かるだけでなく、もっと関心を持ちたいと思った。
先生と呼ばれる仕事は幾つもあるけれど、
仕事を始めた初日から先生と呼ばれる幾つかの仕事は、
最初からプロであることを求められ、
万に一つも間違わない存在であることを求められる。
なのに給与は勤務時間には割に合わないし、
拘束時間も休暇取得も自由度の低さが半端なく…。
医師はとくに直接命に関わる場面が多く、
心意気がなければやれないけれど心意気だけでは保たない。
そのことの遣る瀬無さが強く伝わってきました。
同時期に読んだブレイディさんのエッセイでNHSが語られていたので、
イギリス人にとっての存在の大きさを掴む助けになりました。
ときどき掴みきれない冗談(だろうと思うもの)もありましたが、
違う本や映画を観た後なら理解できることも増えるかも。
1つ気になったのはP.129の訳注1の説明が不十分な気がしたこと。
詩の文句の前に「椅子の上に立って」とあるので、
いまは亡きロビン・ウィリアムズ主演『いまを生きる』の、
映画の中のシーンを指しているように思えたのですが…。
(ただ、映画では椅子の上ではなく机の上に立っていましたが)
個人的にはこういうものが繋がっていくのが、
いろんなものを知るよろこびの1つだと思っているので、
蛇足と思いつつもついつい書いてしまいました。
2020年のCOVID-19関連のニュースで、はじめてイギリスの医療システムNHS( National Healthcare System)の名前を聞いた人も多かったはずだ。この本は2017年に発売され、2020年に邦訳本が刊行されている。筆者は2004年から6年間NHSでドクターとして(後半は産科医者として)働き、その後別業種に転職した。この本はその6年間の間に書かれた日記をもとに再構成された記録だが、これほど笑いながら泣くという言葉がふさわしい読後観もない。『すこし痛みますよ』という邦題は原題の『This is going to hurt』よりもニュアンスが薄まっている気もするが、このタイトルを見て読み始めると第10章であまりの痛みに襲われる。いいタイトルだと思う。
既に長いこと現場は疲弊していて、同様に働く人に犠牲を強いている日本の医療システムを考える上でもとてもおすすめです。私の家族にも医療界で働いている人がいるので電話をしようと思う。