縁(ゆかり)
小野寺 史宜
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刊行日 2019/09/17 | 掲載終了日 2019/09/17
ハッシュタグ:#縁ゆかり #NetGalleyJP
内容紹介
2019年本屋大賞第2位『ひと』(祥伝社)の俊英が描く、傑作群像劇!
人と人はつながっている。
たとえ、どこの誰だか知らなくても。
地味だからこそ心にしみて、ホッとする。
疲れたときこそ読んでほしい、あたたかな読後感!
【著者メッセージ】
『ひと』で人の縁を描いたのだとすれば、
『縁』では人の縁の裏を描いたのかな。
書き終えた今、そんな気がしています。
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■霧
「親御さんと、こう、親しすぎるんじゃないかと」
室屋忠仁、38歳。少年サッカークラブでコーチのボランティアをしていたが。
■塵
「こんなふうになるからもう無理だってこと」
春日真波、28歳。デート中、鈍い彼氏にきつくあたってしまったら。
■針
「おれなら土下座だってしますけどね」
田村洋造、52歳。25歳の息子が女子高生と付き合い、その父親に呼び出されて。
■縁
「何とかするよ。百万で、いいかな?」
国崎友恵、52歳。息子の就職の口利きのため、お金が必要に。
出版社からの備考・コメント
校了前のデータを元に作成しています。 刊行時には内容が若干異なる場合がありますが、ご了承ください。 ※発売前の作品のため、ネタバレのレビュー投稿は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
おすすめコメント
今年の本屋大賞で大躍進を果たした小野寺史宜さん、入魂の最新作です。
「『ひと』が人の縁の表だとすれば、『縁』は人の縁の裏を描きました」と小野寺さんが語る通り、『ひと』と表裏一体のこの作品。
世の中、「いい」人ばかりではないけれど、「悪い」人ばかりでもない。
嫌なことがあった後に読んでほしい、まっすぐで爽やかな作品です。読んで損はさせません!
今年の本屋大賞で大躍進を果たした小野寺史宜さん、入魂の最新作です。
「『ひと』が人の縁の表だとすれば、『縁』は人の縁の裏を描きました」と小野寺さんが語る通り、『ひと』と表裏一体のこの作品。
世の中、「いい」人ばかりではないけれど、「悪い」人ばかりでもない。
嫌なことがあった後に読んでほしい、まっすぐで爽やかな作品です。読んで損はさせません!
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784065170212 |
本体価格 | ¥1,450 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
踏み外すか踏みとどまるかも縁。
人と人の縁を描いた連作短編集。
自分を追い詰め追いやろうとするのも他者との縁なら踏み外すか踏みとどまるかも人との縁というのが面白い。
循環し日々が続いていくシーンに安心しました。
人に対する印象や評価というものは、見方によってこうも違ってくるのかと思った。
こちらから見たらいい人でも、他の誰かから見たら嫌な人だったり、「わがままで嫌な感じの人」でも別の見方をすると「自分の意見をはっきり言える人」になったりする。
相性もあると思うけれど、全ての人とうまくやるのは難しい。
同じ世界で生きている人たちは、きっとどこかでゆるやかに繋がっている。
もしかしたら私も知らないところで知らない誰かを助けていることがあるのかもしれない。そうだったらいいなと思う。
好きな構成です。
登場人物が少しづつ重なり合う。
日常の中でちょっとした出来事が心にささくれを残す。ほんの少しの迷いがいい方向にも悪い方向にも簡単に転んでいく。みんないろんな想いを抱えて生きているということを見事に浮かび上がらせた作品だと思う。
4つの物語がある。贔屓を疑われたサッカーのコーチ(リペアマン)、彼氏に振られた昔パパ活をしていたOL、二十歳を越えた息子の尻拭いをする父親、息子の就職をお金で解決しようとする家政婦。
「終」に、その後のことが記されている。大抵物語が終わるとぽんと読者は放り出されるのに。
その後が分かってホッとしたしとても嬉しかった。
確かに地味だけれど、大抵の人の人生ってそんなもの。読んでいると肩の力が抜けていきました。
人は誰かと関わり合いながら生きている。それなしには生きられない。そして、関わってしまったら嘘をつかなければならない時もある。その嘘から一歩踏み出すか否か、そこが人生の別れ目。人との縁を大切に、踏み外さない人生を送りたい。そんなことを強く思った1冊。
作者のコメント通り、人の縁の裏側を読んだような気がしました。
前作が、表側の温かな面を感じたぶん、今回の作品は読み進めるにつれて裏側を感じて、辛い気持ちになりましたが、人の縁を感じる結末で良かったです。
登場人物が少しずつ重なるストーリーや、最初と最後の流れが、本当にタイトル通り「縁」だなぁと思いました。そして、自分の毎日にもこんなことがあるのかもしれず、ちょっとした会話や心掛けを大切にしようと思われせくれる作品でした。
好意が報われなかったり、意図せずそれ以上のものが伝わってしまっていたり、人付き合いの難解さと煩わしさはどこにでもある。そんなこと思ってないのに、そんなこと言うなんて、もう少し相手を思いやることができれば回避出来そうなことも、他人のやり取りだからこそわかるのかもしれない。
縁とは、辿ってゆけるつながり、関係。
その意味通り、本作は登場人物が細い紐を手繰るように繋がっていく連作短編集。
1話の「霧 KIRI」から始まって「塵 CHIRI」「針 HARI」「縁 HERI」「終 OWARI」の5章で構成。
前の章の誰かが次の章のストーリーを引っ張っていく手法です。
良い人間をおおく描いてきた印象の作家さんですが、本作では人間の嫌な部分を描いてます。人を陥れたり、妬んだり、苦い気持ちになるシーンがありましたが、何処か理解してしまう気持ちにさせるのはやっぱり小野寺さんです。ラストはあっけなく緊張が解けました。もう一捻り欲しかったと言うのは欲張りでしょうか。
近所の河原で少年サッカーを眺めていたら、コーチをしないかと誘われた。
日程的にも無理なく出来そうだったので引き受けた。
仕事は駅ナカで靴や鞄、傘の修理をしている。
一人で淡々とこなすこの仕事の内容自体は気に入ってる。
サッカー教室も子供たちと少しづつ距離が近づいていて楽しい。
お店にくるお客さんも色々、色々な事情、背景がある。教室にくる子供も父兄にも色々ある。
言葉を選んでるつもりでも、そんなつもりはないつもりでも、時に思いとは違う方向へ向かってしまう。
でも、やり直しは出来る。
各章ごとに少しづつ重なり合う登場人物。傘を修理に来た女のいいグサに怒りしか湧かなかった。でも、ここまで理屈を並べられるのはすごいとは思った。しかし、ほんと嫌な女だった。