この夏のこともどうせ忘れる
深沢 仁
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刊行日 2019/07/05 | 掲載終了日 2019/07/01
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内容紹介
高校三年、受験生の圭人は塾の夏季合宿に参加し、学校で同じクラスの香乃と同室になる。苦手なグループにいる相手を窮屈に感じていたが、眠れない夜を過ごすうち、圭人は香乃にある秘密を知られてしまう――「空と窒息」など書き下ろし5編。
夏休みという長い非日常、いつもと違う場所で出会い、交流する二人。暑さに眩む視界と思考の中で、変わっていく関係を描く。「英国幻視の少年たち」シリーズで読者を熱狂的に魅了した著者による、記憶に濃い影を落とすような青春小説。 カバーイラスト:絵津鼓
おすすめコメント
読み終わると数日後を引くほど深い印象を残す作品も。 早めに知っておくことを勧めたい実力派若手作家です!
読み終わると数日後を引くほど深い印象を残す作品も。 早めに知っておくことを勧めたい実力派若手作家です!
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784591163436 |
本体価格 | ¥640 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
高校生の夏休みを描いた短編集。
茹だるような暑さ、虫の鳴き声、アスファルトの照り返し、潮の香り、花火…。
夏の間の出来事を短編集として、そこだけ切り取られた描き方をすることで、どこか非現実的な夢の一遍を垣間見たような余韻が残る。
どの作品も続きが気になって仕方ない。そこがまた良いのだろうけど、それぞれ長編小説にして出版してもらえませんかね?(笑)
高校生の夏休みの思い出というと、部活だとか遠出のお出かけ、遊び、恋愛とキラキラ眩しくて活発なイメージがあるけれど、現実はもっと地に足が着いて、地味にバイトや補習に取り組んだり、エアコンの効いた部屋に閉じこもっていたりすることも多いのかもしれない。
この本の短編はどれもキラキラからは距離があって、あっけらかんとまだ子どもを楽しむ年頃とは違い、少し苦くて切なくてちょっとだけ大人になりかけた高校生にピタリと合っているような気がした。
夏休みのほんの数日間の出来事を、しっかりとした語り口と高校生同士の対話で、とても印象的に描かれていて、とても『この夏のこともどうせ忘れる』とは思えない。
生き苦しさに共感したり、恋の切なさにキュンとしたり、この夏、中高生におすすめだなと思います。
どうせ忘れる、と思わないではいられないほど、深く刺さった傷の物語。
かつて自分がそんなふうに傷を抱えたこともあったはずなのに、ずっと生きているうちに、絶対にそれだけはするまいと思っていたことを幾つも、幾つも、してしまっています。
自分が傷つける側に立ってしまったこと、そのとりかえしのつかなさ、ごめんねと謝ってもそんなの欺瞞でしかないことくらいは流石にまだ自覚があって、自分がしてきてしまったことにたじろぐばかりです。
この本を読むと、視点を傷ついた側にもう一度わずかばかりでも置くことができるように思えます。とりかえしのつかないことをしてしまった今、何ができるか、ではなく、何をしてほしかったか、をもう一度感じなおすための心の足場の一つに、なってくれるかもしれません。
だから、
登場人物と同じくらいの中高生だけでなく、中高生がそばにいる大人も、読むと響く本ではないかと思います