色彩
阿佐元明
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刊行日 2019/06/17 | 掲載終了日 2019/06/28
ハッシュタグ:#色彩 #NetGalleyJP
内容紹介
第35回太宰治賞受賞作!
眼を怪我したことで、プロボクサーの道をあきらめた千秋は、幼馴染の高俊の紹介で彼が働く塗装会社に就職。いまは塗装の仕事にも馴れ、懐の深い親方と高俊の3人での仕事はそれなりに充実し、もうすぐ子供も生まれる。そんなところへ親方が少し仕事を広げるため、新しく人を雇うこととなる。入ってきた新人は美術の専門学校を出たが、画家への道をあきらめ、仕事を求めてきた若い加賀君。真面目で気の弱そうな新人だったが、塗装の仕事に関しては初めてとは思えないほど覚えが早い。意外な新人の才能に喜ぶ親方と高俊。初めて年下の後輩が出来た高俊は毎日のように彼を飲みに連れ歩く。酒には弱いが仕事は真面目で、妊娠中の千秋の妻も含め周囲に好意的に見守られる加賀君に対して千秋だけは違和感をぬぐえない。嫉妬とも違う感情を抱えながら日々の仕事をこなす千秋。加賀君の怪我、工場の壁への絵を描く大きな仕事を経て、突然、加賀君が仕事をやめて実家の果樹園を継ぐと言い出す。彼が去り、自分の持っていた違和感の正体に気が付いた千秋は自分がやり残していたことに向かう。塗装業で働く人々の仕事と日常を繊細な心理描写と共にリアルに描いた作品。
出版社からの備考・コメント
第35回太宰治賞の最終候補作四篇を収める『太宰治賞2019』より、受賞作「色彩」を抜粋しました。(29頁から125頁)
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784480804860 |
本体価格 | ¥1,000 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
主要な登場人物が丁寧に描写されていて,読み応えがあります.淡々と語られている日常の中で,登場人物たちの振る舞いが変わっていく様子に好感が持てます.ちょっと書きすぎではないかな,と思うところや,どうして,と感じる部分もありますが,そんな細かいところは気にならない世界をつくっています.
逃ていたこと、目をそらしていたことに対して少しずつ認識をしていく千秋の心境がじわじわと伝わってきた。
特別大きな転機や劇的な場面はないが、静かに迫ってくるのを感じた。
外壁をピンク色に塗るときの気分の高揚感や壁一面の空と木々の絵を通して、
千秋が加賀君と気持ちをシンクロさせていく過程が心地よかった。
親方の人柄がいい。何でも食べなければ大きくならない。
千秋たちに塗装以外の仕事の技術を積ませ、ともすれば、行き場をなくしそうな若者たちを支えている。
登場人物それぞれが、それぞれの立場思いにあることを丁寧に描き、どの人物も魅力的。人はひとりで生きているのではないこと、どんな些細なことでも世界のどこかに影響を与えていること、空気が人の想いを伝えていくこと、それが素直に感じられる物語でした。大きな事件のない日常を描いていながら、心に大きな変化をもたらす様が、じんわりと心に響く小説。