刑事の慟哭
下村敦史
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刊行日 2019/05/23 | 掲載終了日 2019/07/16
ハッシュタグ:#刑事の慟哭 #NetGalleyJP
内容紹介
この捜査―― 誰のために。何のために。
組織に刃向かい、居場所を失くした男
ただ独り、司法の闇に紛れた犯人を追う
新宿署の刑事・田丸は、本部の方針に反して連続殺人事件の捜査を行い、その結果、真犯人を挙げた。しかしそれにより組織を敵に回し、署内で厄介者扱いされていった。
そんな中、管内で起こったOLの殺人事件の捜査でも、その主軸から外された田丸だが、偶然にも帰宅途中に歌舞伎町の人気ホストの刺殺体を発見する。OLとホストの思いがけない共通点に気づき、その筋を追うことを会議で提案するも叶わず、相棒の神無木と密かに捜査を行うことに――。
ミステリー界 若手一の実力者が放つ 感涙の警察小説 !!
【著者プロフィール】
1981年京都府生まれ。2014年『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。同作は、数々のミステリランキングで高評価を受ける。15年「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞(短編部門)の候補に、また16年『生還者』が第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)の候補になる。様々な社会問題を骨太なエンタテインメントとして昇華させる筆力から、いま最も注目を集める若手作家である。近作に『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『黙過』『悲願花』など。
おすすめコメント
優秀ゆえに日陰者を演じる刑事の悲哀と魅力。 司法の盲点を突く社会派エンタメの鋭さ。 そして“慟哭”の先に待ち受ける熱い涙の結末。
下村敦史の警察小説は、面白さの格が違う!
宇田川拓也(書評家)
優秀ゆえに日陰者を演じる刑事の悲哀と魅力。 司法の盲点を突く社会派エンタメの鋭さ。 そして“慟哭”の先に待ち受ける熱い涙の結末。
下村敦史の警察小説は、面白さの格が違う!
宇田川拓也(書評家)
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784575241747 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
田丸は背が低い。粘り強い。勘がいい。義理堅い。居場所がほとんどない。承認欲求は、少しはあったかもしれない。裁判員制度を軸に殺人事件の捜査が進められていく。いや、大方の刑事はそうではない。田丸の目線でいくと、そうなるだけだ。一番最初に、大事な目撃者がいるのだが、誰かはわからない。次に出てきた裁判員の候補になったことをネットで呟いた人のことが出てくる。まあ、微妙に名字を晒しているが。上司のセクハラやパワハラをネットで訴えている女性も、誰かに注目されたかったのだろう。どちらも個人情報を無防備に晒しすぎた。匿名で無責任な発言をする輩は安全な場所で吠える。
警察の取り調べって酷いものなんだなと思う。取り調べする刑事の個人情報も新聞記事で開示すべきじゃないかな。冤罪で職を失う人もいるのだ。無責任な犯人でっち上げを無くすには、担当刑事の取り調べの一部始終の映像を閲覧可能にするべきだと思う。そうでなきゃ刑事は匿名で吠えるネット人間と大差ない。
怒りを手放した時、楽になれるのにと思う。他人を責めたてて鬱憤ばらしをしている人は罪にならないのか?ある意味、最初に宅配便の人に怒鳴り散らして脅したおっさんが一番アホだと思う。きっと居場所がないんだろうな。結局そこにたどり着くのか。で、居場所って何なんだろう?自分にとって居心地の良い場所?自分を受け入れてくれる場所?それもまた他をあてにする欲求ではないだろうか?細心の注意を払わなければ守れない場所って居場所って言えるのだろうか?要は心の持ちようなのだ。仕事が辛くても上司が無能でも、うまく利用してやればいいだけのことだ。田丸はやっぱりすごい。
司法と社会の隙間に生まれた闇を同種の闇を抱えた刑事が解き明かす!
SNSで「ブラック企業」と揶揄される企業で爆破事件が発生。犯人は逮捕され裁判員裁判での審理が始まるのだが・・
裁判員制度の隙間ともいえる点を衝いたのは衝撃で現実でもありうるのかと思うと非常に怖い。一般人が犯罪を裁く怖さ、SNSで誰もが発信できる時代だからこその無責任ともいえる怖さ、実績・実情よりも面子だけ(プライド)だけを優先してしまう怖さなど、いろんな怖さが散りばめられているようだ。
主人公・田丸の時折見せる慟哭は、現代人の誰もが抱える孤独感からであり非常に胸を穿つ。
抉り込んでくる作品。
少しずつ組み合わさっていくパズル。
面白くて面白くて一気読みでした。
誰のために?何のために?
主人公の思い悩む様に胸をえぐられる。
下村さんの社会派エンタメ、大好きです!