魔法がとけたあとも
奥田亜希子
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刊行日 2019/05/23 | 掲載終了日 2019/06/19
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内容紹介
昨日までの自分と、 今日からの自分。
世界が変わっても、私はここにいる。
私たちの身体に起きた、あれこれ。 そこから見えてくる、新たな景色とは―― 爽やかな共感と希望をもたらす五編
今もっとも注目の若手作家、飛躍の一作!
【収録作】
「理想のいれもの」 妊娠した。周りは正しい妊婦であるよう求めてくる。
「花入りのアンバー」 健康診断で、生まれて初めての「要再検査」に。
「君の線、僕の点」 顔の大きなホクロ。ついにコンプレックスから解放される日が来た。
「彼方のアイドル」 中学生の息子に髭が生え、自分の頭には白いものが。
「キャッチボール・アット・リバーサイド」 傷を隠すように俯く目の前の男は、かつてエースピッチャーだった。
【著者プロフィール】
奥田亜希子(おくだあきこ) 1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒業。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞。その他の著書に『透明人間は204号室の夢を見る』『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』がある。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784575241754 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
収録作の中で「彼方のアイドル」が1番自分に近い人で臨場感がありました。14歳の息子はまだ反抗してこないし、好きだったアイドルは解散してもう2度とコンサートは無いけれど、子離れの瞬間を主人公と一緒に味わってしみじみとした気持ちになりました。
特に印象に残った『理想のいれもの』から。
固定観念 くだけてしまえ!
妊娠中のつわり。
あの時間を急に思い出した。確かに苦しく辛い。一体いつまでこれが続くのだろうか、とぐるぐると毎夜毎夜 考えていた。
自分がいなくなっていくような感覚、マタニティブルーだからだろうか。
確かにあった。
共感しながら読んでくと 後半 一気にこの作品のテーマにぶつかった。
勝手に人を決めつけるな!
私の何がわかる!
実は 現在私がよく抱えている思いだったりする。
もちろん この作品の中で それらの答えが見つかるわけでもない。
ただ受け入れるのだ。そして 自分を肯定する。
たったそれだけのことだった。
それを作品の中で自然に書いている。
捉え方は人それぞれ違うかもしれない。
ここまで書いて感想とも呼べないレポートでもなく、ただ私の思いを書いているに過ぎないのだけど すごく今の私の心情とマッチした。
日常あるあるストーリー短編5話集で、何かにのめり込んで感情移入すると魔法に係ったみたいになるよね!・・・①「理想のいれもの」②「花入りのアンバー」③「君の線、僕の点」④「彼方のアイドル」⑤「キャッチボール」の5話。お気に入りは、①「理想のいれもの」 妊婦が里帰りして、弟のシチュエーションCDの若い男とデート気分をやめられない魔法・・・④「彼方のアイドル」離婚し母子家庭の敦子が中学息子喧嘩し、アイドルコンサートに出かけて感激する・・・この2話でした。・・・楽しめた!
体に起きた変化からの、「気付き」と「勇気」をもらえるストーリー。
そこまで特別な話ではないけれど、共感とか、勇気をもらえるような気がしました。
「彼方のアイドル」は、子供がいる主婦ならかなりぐっと刺さる話だと思います。
「キャッチボール・アット・リバーサイド」が一番大好きな話で、心に沁みました。
1話目の「理想のいれもの」がよかった。
〇〇はこうあるべきに縛られている。女の子・お姉ちゃん・優等生。そして、妊婦。
悪阻に苦しむ自分に、周りは正しい妊婦であることを求められている。
自分は赤ん坊のための入れ物?声に出して伝えるって大事。
読み終わって、ものすごく何かを考えさせられたり、深く心に刻まれた何かがあったわけじゃないけど、
読了感がスッキリとかさっぱりとかとても良いものだった。
ありふれた日常の中で困難にぶつかった時に思い悩み解決していくさまが丁寧に綴られている短編集。
人が何か言ったり行動したりするとき、目の前のことについてだけ考えているわけではない。後悔や羨望や猜疑から、乱暴にも寡黙にもなる。あれこれ考えるより行動する方がうまくいくことがある。行動してから気づくこともある。言葉にしないでもわかってくれるのが理想だろう。その人が本当に求めていることを与えることができたら、与えられた思いをきちんと受けとめることができたら、人生はきっと豊かになる。
今まで心がざわつく感じが多かったけれど、今作は身近な感じで登場人物たちの気持ちが凄くよくわかる気がした。悶々としたものを抱えた人たちが、ふとしたキッカケによって前向きになる様が読んでいて心地良く、また自分の場合にも置き換えられるような気がしたからかも知れない。気になる作家の一人である奥田作品の今後が益々楽しみだなと思える1冊だった。 #NetGalleyJP
魔法にかかっていたかつて。と、魔法がとけてしまった今。
どちらも自分の中にあって、かつても今もつながっていると気付けたとき、ほんの少し前向きになれる。
妊娠する前はあんなに赤ちゃんが欲しかった。なのに。
あの頃のふたりは付き合いたてで将来を夢見ていた。なのに。
病気知らずで健康が当たり前だった。なのに。
子供が小さい頃は家族みんなが仲がよかった。なのに。
中学時代の彼は野球部のエースだった。なのに。
人生には、なのに。がつきものだ。
魔法にかかったようなしあわせの瞬間が誰でも一度は訪れるだろう。
でも、時間が経つとともに魔法はいつかとけてしまう。
とけてしまったとき、唐突に悲しみや憂鬱がのしかかり、後から、なのに。もついてくる。
かつての魔法はもう消えてしまったのに、魔法にかかっていたしあわせの瞬間を求めずにはいられない。
私も、あの人も、きっとみんなそう。
その気持ちに心当たりがあるから、強く引きこまれてしまうのだ。
奥田亜希子さんの作品を読むのは2作目。自分の身体に起こった変化、昔からのコンプレックスなど、みんな悩みを抱えて悶々としている。妊娠中のお話の「理想のいれもの」を読みながら悪阻の頃を思い出した。スイさんとの素敵な出逢いの「花入りのアンバー」良かった。「君の線、僕の点」のコンプレックスで人見知りの晴希の日常は辛いだろうなと思ったけど後半の展開に嬉しくなる。自分が思っている程まわりはそんなに気にしていないんだろうな。「彼方のアイドル」のラストも良い。どのお話もほんわか優しい終わり方で好み。#Netgalleyjp
誰もが抱えているような日常の些細なモヤモヤ。
そのモヤモヤがちょっとした魔法で解されていく様を描いた作品。
どれも甲乙つけがたいが、個人的には『彼方のアイドル』のリアルさが秀逸だと思った。
ほんの些細なきっかけで、世界はキラキラするのかもしれない。
なぜだか人生がうまくいかずもがいている人たち。でも、あるきっかけで、それが少しずつだけどうまく回転し始めるような気がする。暗闇の中で一筋の光を見つけたような5編の短編集。中でも「君の線、僕の点」がお気に入り。読後感は良かったです。