生命の歴史は繰り返すのか?
進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む
Jonathan B. Losos 著/的場知之 訳
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刊行日 2019/06/01 | 掲載終了日 2019/12/20
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内容紹介
■地球の生命の歴史は、目を見張るような収斂の事例でいっぱいだ。眼や翼、木に登るトカゲは、何度も独立に進化した。一方で進化生物学者は、偶発性を示す例も数多く発見してきた。ランダムな遺伝的変異や、はるか昔のチョウの羽ばたきといった、ごくわずかな変化が、進化のたどる道筋をしばしば大きく書き換えた。この2つの力は、常に変わりつづける自然界で、それぞれどんな役割を果たしているのだろう?
■いま存在する動植物や、わたしたちヒトは、必然的に生まれたのか、それともたまたま運良く進化しただけなのか? ほかの惑星に存在する生命について、そこから何が言えるだろう?
■ジョナサン・ロソスは、進化生物学における最新のブレイクスルーが、いまなお続く科学界屈指の大論争にもたらした新たな知見を明らかにする。世界各地を訪れ、地球の生命史における最大のミステリーを、進化実験で解決しようと奮闘する研究者たちに出会う。ロソス自身も、このエキサイティングな新分野のリーダーのひとりだ。
■グッピーやショウジョウバエ、細菌、キツネ、シカネズミ、そして彼自身のカリブの島じまのアノールトカゲの実験を通して、生命のテープのリプレイがおこなわれ、進化がきわめて急速に、また予測可能なかたちで起こりうることが明らかになる。
■本書は、進化についての考え方や、議論のあり方を一変させるだろう。自然淘汰と進化的変化に関するロソスの洞察は、生態系の保護、食料供給の安定、有害なウイルスや細菌との闘いに、広く応用できる。臨場感たっぷりに描かれた、この進化をめぐる物語は、わたしたち人類について、そして自然界や宇宙における人類の役割について、新たな理解をもたらすだろう。
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【目次】
序章 グッド・ダイナソー
第一部 自然界のドッペルゲンガー
第1章 進化のデジャヴ
第2章 繰り返される適応放散
第3章 進化の特異点
第二部 野生下での実験
第4章 進化は意外と速く起こる
第5章 色とりどりのトリニダード
第6章 島に取り残されたトカゲ
第7章 堆肥から先端科学へ
第8章 プールと砂場で進化を追う
第三部 顕微鏡下の進化
第9章 生命テープをリプレイする
第10章 フラスコの中のブレイクスルー
第11章 ちょっとした変更と酔っぱらったショウジョウバエ
第12章 ヒトという環境、ヒトがつくる環境
終章 運命と偶然:ヒトの誕生は不可避だったのか?
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出版社からの備考・コメント
科学における長年の論争のひとつに、進化が予測可能な方向をたどるか否か、がある。議論の一方では、地球上の「生命のテープ」をリプレイすれば、今日の姿とは大きく変わるだろう、と偉大な故スティーブン・ジェイ・グールドは主張した。ちょっとした変更があると、進化の軌跡に大きな違いをもたらす可能性を示唆している。この議論の対局にはサイモン・コンウェイ=モリスがいて、グールドの主張に対し、収斂進化の存在を指摘している。収斂進化とは、異なる種が似たような環境に適応するために、同じような形質を進化させることをさす。例として、翼や眼がある。
ジョナサン・ロソスは、カリブ諸島のアノールトカゲを長年研究してきた進化生物学者だ。彼自身の研究とともに、グッピーやキツネ、シカネズミ、その他数多くの種における進化研究を紹介し、進化がいかに迅速に進み、予測可能であるかを、この説得力のある本書で示している。
科学者の発見物語としても描かれるこの魅力的な本は、わずかなビールで著者とチャットしているような感覚になるほど、想像以上に面白い。とくに興味深いのは、進化が予測可能かについての議論と、それを科学者がどう検証し、どのように収斂進化が起こったかをロソスが考察しているところだ。
自然淘汰と進化的変化が病原性ウイルスや細菌の進化にどう影響するかについてのロソスの洞察は、とりわけ時宜を得て重要なものだ。進化と、それがどう機能するかを科学的な視点で考察し実験で示した、明快かつ魅惑的な物語だ。
★これまで広く一般向けに書かれたすべての進化生物学に関する本のなかで、本書は傑出した作品だ。壮大な地球の生命史、人類の存在の本質的な危うさ、地球外生命体の存在確率といったテーマを、これほど綿密に、わくわくするような筆致で描き出せるのは、科学者としてもナチュラリストとしても卓越した筆者ならではだ。──エドワード・O・ウィルソン(ハーバード大学名誉教授,『人類はどこから来て、どこへ行くのか』著者)
★「ときどき素晴らしい本が出版され、わたしたちが進化について理解していることを再考するのに役立つ。本書は魅惑的で、強烈で、やめられない。まさに、そういう本だ。生き生きとした筆致と思慮深く挑発的な洞察力を備えたロソスの進化論研究は、エドワード・O・ウィルソンの『人類はどこから来て、どこへ行くのか』(化学同人)とスティーヴン・J・グールドの『ワンダフル・ライフ』(早川書房)と並んで読む価値がある。」──BookPage
★「明晰かつ面白おかしく、学術的かつ情熱的に、進化生物学でわかったこの世界の壮大なしくみを描き出す。その物語は驚きでいっぱいだ。」
──ワシントン・ポスト
★「どんな困難にもめげず、進化のメカニズムの解明に明け暮れる研究者たちの珠玉のエピソードは、驚くほど読みやすく、引き込まれずにはいられない。」
──ネイチャー
★「進化をめぐる興味の尽きない問いに、空虚な思索ではなく、最新研究のフレッシュな発見から取り組む。個性豊かな生物たちも登場し、最高に刺激的だ。」
──カール・ジンマー(『進化の教科書』 著者)
おすすめコメント
進化は予測可能な方向をたどるのか、それとも偶発的なのか。グールドとコンウェイ=モリスによる科学界屈指の大論争は、進化実験で解決するというブレイクスルーにより、新しいフェーズに入りました。このエキサイティングな新分野の科学者たちは、グッピーやショウジョウバエ、細菌、シカネズミ、アノールトカゲの実験で生命テープをリプレイし、進化がきわめて急速に、また予測可能なかたちで起こりうることを明らかにしました。臨場感たっぷりに描かれた進化をめぐる物語は、著者の説得力のある筆致も相まって、わたしたちの思考を刺激します。ぜひ、ワクワクしながら読んでみてください。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784759820072 |
本体価格 | ¥2,800 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
「利己的遺伝子」、「ワンダフル・ライフ」に続く、第三の衝撃。これは面白かった。興味深かった。勉強になった。読むべき一冊。
詳しくはリンク先を見てください。
オーストラリアでは有袋類が多様に進化し、他の大陸では有胎盤類の種として進化した動物によく似た動物が闊歩している。それぞれに適応放散し収斂進化した結果である。条件が同じであれば同じような進化を繰り返すのだろうか。ところが有袋類でもカンガルーは有胎盤類に似た種は見当たらない。進化の特異点となる。
本書は進化の偶然と必然をテーマに、必然だとするサイモン・コンウェイ=モリスと偶然であるとするスティーヴン・ジェイ・グールドの主張を論評し、生命進化を観察と実験で明らかにしょうとする試みについて紹介する。ロソスは進化生物学は実験科学になりうると述べる。
自然を観察する中で収斂進化の事例は沢山見つかる。本書によると多細胞生物から多細胞静物への進化は、動物で少なくとも動物で1回、菌類で6回、藻類で3回、細菌で3回起こっているらしい。しかし、だからと言っても進化の過程は必然とは言い切れない。DNAが解析できる現在ではシャーレの中で大腸菌などを使って遺伝子変化の過程を観察できる。大腸菌なので元になる大腸菌をある程度株分けしたものを冷凍保存しておくことで、同じ実験をリプレイすることも可能なのだ。
リプレイしていく中で、同じような形質への進化であっても遺伝子レベルでは異なった変異なこともあり、また偶然の変異やいくつかの変異が順をおって起こらないと生じない適応形質がある事がわかる。進化は短期的には予測可能だが長い期間ではどんな偶然がおこるか判らないのである。
地球外に知的生命体がいるかどうかはとても気になるテーマであるが、ロソスは否定的である。知性、自己認識能力は地球上では収斂進化したといえる。タコでもある程度の知性を持つし、鏡に映った自分をみてそれが自分だと判る動物も沢山いるようである。しかし、ヒトへの進化はアフリカでしか起こっていない。人がいなければ地球は猿の惑星になり得るか?小惑星衝突がなければ恐竜がヒトに進化していたか?
本書では、進化生物学という分野をわかりやすく説明してくれ、こうした思考実験を楽し婿とができるのである。
我々は「必然」か?「偶然」か?
生物の進化について、どのような実験が実施されどう検証されてきたかを研究者の情熱とあわせて紹介していく。
研究者たちの命に対して敬虔に真摯に向き合う様子が描かれており興味深い。
一般的には長期的な感覚でとらえられている「進化」というものが、超短期的なスパンで検証されていっている事実が新鮮で、さらに異なる種が環境圧に対して収斂進化していることに気づかされ納得した。
これから本格的に「生物学」に取り組むであろう学生だけではなく、一般の「生き物」好きにも楽しめる1冊です。
一般向けに書かれた進化生物学の本ということで、ビジネス書のようなノリで様々なエピソードが綴られている。みじかな生物についても生徒に話したくなるネタが満載。トカゲがどうして垂直な壁で体を支えられるのかも言われてみれば不思議だったけれど、その仕組みが解明されたのも意外と最近で、この分野は研究対象として魅力的だと感じた。
生命進化の主要なパターンを理解したいのなら、問うべきは「何が起こりうるか」ではなく「普通何が起こるか」。
ということが書かれている本です。
収斂進化という考え方は、今までしたことがありませんでした。
でも、こんなふうに文章にしてもらうと、身近に様々思い当たることがあります。
もしかしたら、「末っ子的」とか「真ん中の子は」とか、そんな日常の考え方も、収斂進化の考え方と根っこは同じなのかもしれないな、と思いながら読みました。
新鮮で、とても面白かったです。
自然淘汰、収斂進化に関する実験が、様々な生物を対象に研究室内・自然の中それぞれで行われており、その詳細が記されている。進化はゆっくり起こるものではなく、時に急速に起こることが蛾の工業暗化などを例に説明されている。また蛾の色に人間の活動が影響を与えたように、ゾウの牙が小さくなったり無くなったりした個体群が存在することや、漁が行われることで小型の魚が増えたことなども書かれており、人間の活動により生物に対して明確な影響を与えていることが再認識できた。