皇后雅子
妃から后への三十年
石井 勤
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刊行日 2019/04/24 | 掲載終了日 2019/04/23
ハッシュタグ:#皇后雅子 #NetGalleyJP
内容紹介
保阪正康氏推薦!
「新時代のはじまりに、ぜひ読むべき一冊である。」
すべては、あの「取り決め」から始まった…
平成4年、皇太子徳仁親王と小和田雅子さんが結婚で合意。そこには、いまだに伏せられたままの「事情」がある。あれから30年近くが経つ。妃から后となる彼女と新天皇は国民とどう向き合い、メディアは皇室をどう報じてきたのか?
成婚当時の舞台裏と夫妻の軌跡を追い、これからの皇室を問う。
皇太子の結婚をめぐって宮内庁が強く要請し、国内メディアが沈黙を承諾した報道自粛。それが成ることによって、誰も予測していなかったことが起きていた。雅子妃決定に至るまでの「事情」とはいったいどのようなものだったのか……。
当時朝日新聞の皇室担当記者として取材の最前線にいた著者が、歴史の証言として残す、新天皇ご夫妻の「ほんとうの物語」。
出版社からの備考・コメント
校了前のデータを元に作成しています。 刊行時には内容が異なる場合がありますが、ご了承ください。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784065153376 |
本体価格 | ¥2,000 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
京都御所の祈りの場を見たことがある。毎日国民のために祈るのだという。戦争の跡をめぐる慰霊の旅をし、災害が起きれば足を運び話を聞き励ましの言葉をかける。自己の利益ではなく、国民のために時間を費やす。すごい存在だと改めて思う。プライベートなど存在しないかのような場所。思うことを言い、行きたい場所に自分で行ける。そのように生きてきたであろう雅子妃が皇室に入ったこと自体、ものすごいことだったのだ。重圧、期待を一身に受け損なわれたものも大きいが、時代の変わる今、健やかに、少しでも笑顔でいられるようにと願う。
皇族は日本国民ではないので、憲法で守られる基本的人権の埒外にある。先ずは職業選択の自由がない。信教の自由はない。選挙権も被選挙権ももらえない。日本国民から皇室に入ることができるのは、女子が天皇・親王・王のいずれかと結婚する場合のみに限られる。
雅子妃は、自由な日本国民の身分を捨て皇室入りを果たしたわけだが、そこには相当の逡巡があったものと思われる。皇太子殿下の「僕が一生全力でお守りしますから」というお言葉も迷いを断ち切り原動力になったのかとも思われるが、それでもまだ皇室に対する不安は払拭できなかったのではなかろうか。
本書は、朝日新聞の皇室担当記者が描く皇太子徳仁親王のご成婚事情とその後の皇太子妃の軌跡である。雅子妃が宮中に入るまでの過程と、その後健康を崩されながら皇太子殿下に支えられながらの30年を丹念に記述している。皇室に関わることでもあるので妃殿下が体調を崩される直接的な原因については明確には述べられてはいないが皇太子ご夫妻が皇室の中でなんとなく孤立されている様子がうかがわれる。それが「僕が一生全力でお守りしますから」の結果であれば少々悲しいことではあるが、5月に迫ったご即位の後新しい皇室の形を造っていかれる事でありましょう。
本書では、結婚生活の質は結婚に至るプロセスに左右されるとする。そして、皇太子殿下の結婚のそこに至るプロセスを豊かで実りのあるものにできなかったのは報道自粛にあり、(宮内庁の)「報道の自粛を求めるなど、メディアを操作しようとする試みが思いもよらない事態を招」いたと述べる。何となく違和感を感じるのは宮内庁が報道自粛を求めざるを得なかった原因はマスコミの過剰としか見えない報道合戦にあるのではないかと思う中で、報道の自由を振りかざして宮内庁にすべての責任があるという本書の論調である。
国民として、皇室のことを知る権利はもちろんあるわけだが、皇族の方々も先ずは人間であり結婚というのは国事行為ではなく先ずは私的な領域に属することであれば、宮内庁が求めなくても自発的に節度のある取材、報道が報道機関求められるのではなかろうか。朝日新聞的な上から目線的なものを感じるのだ。
とは言いつつも、自らの取材体験に基づく論述は説得力のあるもので良くまとめらた本ではあるので読をお勧めしたい。
時代は令和を迎えました。
ここ連日、改元に伴いキラキラした報道とお祭りムードが漂っておりましたが、本質的な皇室のあり方や、それをみる私たちの視点について考えさせてくれる一冊です。
全ては、あの報道自粛の1年間に起因する。
と言われてもなんのことやら。しかし読むと氷解します。自粛の縛りがあったが故に起きた問題点と、そこに目をつぶって突き進んだことで起きた裂け目は、だんだんと大きな割れ目となっていったのではないでしょうか。
しかし著者は図らずも、新しい道もこの本によって提言しているとも言えるのです。
それは何か。それらを私たち一般の人たちが言外に期待し希望することもまた社会を動かしていく力の1つになるのではないでしょうか。