わが家は幽世の貸本屋さん
あやかしの娘と祓い屋の少年
忍丸
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刊行日 2019/06/22 | 掲載終了日 2024/07/07
ハッシュタグ:#わが家は幽世の貸本屋さん #NetGalleyJP
内容紹介
ことのは文庫5周年記念!
まずは読みたい、注目作品15選!
【ことのは文庫 編集部より】
2024年6月、ことのは文庫は創刊5周年を迎えました。
この度、心からの感謝を込めて、『ことのは文庫5周年記念! まずは読みたい、注目作品15選』展を開催します。
この機会にぜび、あなたの「推し本」を見つけてください!
※2024年7月31日までにご投稿いただいたレビューの一部は、ことのは文庫特設ページ(8月下旬掲出予定)にて、掲載させていただきます。
※以前にご投稿いただいているレビューも対象となります。
※リクエストが承認されると作品ページの下部「SNS投稿用の表紙画像はこちら」から、SNS投稿用の表紙画像がダウンロードできます。必要に応じて、適宜ご活用ください。
☆ ☆ ☆
現世と幽世(かくりよ)の狭間を生きる人間の娘と、
幾多の妖怪たちが織りなす『あったかい幻想郷の物語』
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現世(うつしよ)と幽世(かくりよ)の境目は曖昧だ。
ふとした瞬間に、あやかしが跋扈する幽世に迷い込んでしまうことがある。
夏織は、そんな幽世に幼い頃に迷い込んでしまった稀人(まれびと)だ。
あやかしに育てられ、今は幽世の貸本屋を経営する養父の下で暮らしている。
そんな夏織の下に、ある日ひとりの少年が迷い込んできた。彼は祓い屋で、在る目的があって幽世にやってきたらしい――。
これは、人間でありながら、あやかしの心を持つ夏織と、力を失い、道を見失った少年が、
本を通じてあやかしたちと出会い、別れ、心を通い合わせ、癒やされていく物語。
出版社からの備考・コメント
校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。
おすすめコメント
人間の娘の夏織とあやかしで養父の東雲との人種を超えた父と娘の絆を描くという王道のあやかし小説です。
物語は祓い屋の少年、水明と出会うことで始まりますが、あやかしたちの民話的な伝承を、出会いや笑い、時に涙ありで語っていく作品となっています。
夏織と東雲との親子関係、周りのあやかし達など、読者にとっては分かりやすく、テンポが良くて読み味の爽快な作品となります。
全体的にあやかしの世界の情景が目に浮かび、文芸作品らしい切なさと優しさの気持ちが残る読後感です。
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◎「小説家になろう」「エブリスタ」投稿作品です。
◎本作は「エブリスタ」からの書籍化となります。
ぜひ、刊行前にご一読ください!
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出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784896378917 |
本体価格 | ¥690 (JPY) |
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閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
あやかしに育てられた人間。
あちらの世界とこちらの世界。
大切な人との関係は人間やあやかしという種を超える
出逢い 別れ 再会
人間にしかわからない機微を主人公たち人間と感じながら
あやかしの優しさに心が温まる。
切なく優しい物語でした。
人が暮らす現し世と、あやかし達が暮らす幽世。
人でありながら幽世で育った主人公、夏織の周りには、優しかったり、とぼけていたり、怖い所もあったりする、沢山のあやかし達がいる。
幽世で貸本屋を営む、変わり者で情に厚い、娘には滅法弱くて過保護な、角と鱗のある養父。
尻尾が三つに分かれた黒猫の親友。弟分のような双子の烏天狗。母代わりの美しい三つ目の薬屋。
そんな彼らと賑やかな日々を過ごしていた夏織はある日、探しものを求めて幽世に来た祓い屋の少年、水明と出会う。
――という始まりのお話ですが、妖怪の伝承が残る日本各地の描写にはちょっとした旅行気分を味わえ、魅力的なご飯や甘味についつい胃を刺激され、そして何より、ユーモラスで個性あふれた妖怪達との交流に引き込まれます。
スーツ姿のダンディなイケオジ河童や、洗濯物と一緒に干される一旦木綿など、クスッと笑えるキャラもいますし、話の主軸の一つである『本』を絡めたエピソードの数々では、夏織や水明の目を通してあやかし達を見る事で、あやかしに対する二人の葛藤や思慕などの心情にも自然と共感していきます。
泣き虫の小鬼に、大きな声で本を読み聞かせてやる山爺。
巨大なダイダラボッチに、絵本を見せて寝かしつけるぬらりひょん。
夏のほんの少しの間だけ現れて、本を読んで欲しいとねだる、翅の生えた幼い子供達。
楽しくて、少し切なくて、とても愛しくて、読みながら何度も胸がぎゅっとなりました。
あやかしと人間。
生きる時間も、理も、姿形も違うけれど、それでも大切に想い合い、温かく寄り添い合う彼女達に、読んだ後でほっこり優しい気持ちになれるお話です。
徐々に彩りがついていくような作品。
幼き頃に幽世にまぎれこんだ村本夏織は「変わり者」あやかし東雲に育てられていた。成長した夏織は
悩みを抱えた祓い屋・白井水明と出会い、その悩み「幽世にいるはずのあるあやかしを探したい」に
奔走するのだが・・
人と相容れない存在であるはずのあやかし養父・東雲と夏織の丁々発止のやり取りや、実家・貸本屋を
訪れる客のあやかしや友人とのやり取りは、どこか懐かしい感じがします。
そして所々真っ暗だけどなぜかセピア色のように感じられる幽世が夏織が訪れるたびに徐々に彩りを
帯びていき現し世と交差するように思えます。しかし完全に一致することはありません。
そこに一抹の寂しさを感じながらも優しい気持ちになれる作品です。
あやかしと人間 の優しい時間が流れている物語。
養父が貸本屋を経営しているって言うのも 心くすぐられる〜。
養父と夏織との関係も 双子の烏も
泣き虫の小鬼と山爺
ダイダラボッチとぬらりひょん
どのお話もドキドキ わくわく!
私の1番は はつと佐助 のお話
切なくて 涙がポロリ…でした。
「大人の女性に向けた新レーベル」第1弾との事ですが、 今後 どんな本が刊行されるのか楽しみです。
あやかしたちに大人気の、幽世(かくりよ)の貸本屋さん。
幼い頃幽世に迷い込み、育てられた人間の子夏織と、育ての父で作家の東雲がつつましく営んでいる。
ある日突然、白髪の美少年、水明が現れて・・・
こんな素敵な貸本屋さん、行ってみたい。貸本屋さんとあやかしたちのほんわかしたお話し・・・かと思ったら、これは、あたたかさと優しさに満ちた、大冒険あやかしファンタジー!
「人間の寿命は儚すぎるすれ違ったままなんて勿体無い!」byにゃあさん
ハッ!!確かに!!!!!!!!!
あやかしの棲む幽世であやかしとして育てられた人間の村本夏織。どこか不器用だが愛嬌のある養父の東雲さん。2人が営むのは貸本屋!そんなある日、彼らの生活を揺るがす大事件が起こる〜!と掴みはこれぐらいで。
なんとも体温の持った本に出会った。
あやかしの世界はどこか近所付き合いの盛んだった昭和の匂いがする。あやかしの町は光のない世界ではあるがセピア色のアルバムになった自分の故郷を連想させた。その一方でホログラムの絵本が登場したり、近未来なアプローチにアンビバレントな感情が湧いてくるのも事実。
なるほど!!体温の上昇の原因はここか!!
本来あるべきとこにないもの、ないところに備わってきたあるもの、そのトレードオフの関係が人間世界で暮らす僕のココロを、地獄の近道を通りノックしてくる。あやかしが人間を愛することはなんとも原始的でピュアなエネルギーなんだろうか!
僕は妖怪や化け物など日本人が畏怖してき類の話が好きだ。岩手県の遠野市に行けば、昔は妖怪と人間が共存していたんだろうなぁと思えてくる。見えないものとの相互関係で成り立ってきた文化があることに目眩がするほど感動する。
もしかしたらこの世界は何層ものフィルムが重なりできていて、僕ら人間が生きている世界はそれら層の1つに過ぎないのかも知れない 。
ただ見えることだけが全てではない。
本が好き!倶楽部
せいちゃん
我が家は幽世の貸本屋さん
今どきの人より人間臭い幽世のあやかしたちの江戸時代の下町のような暮らしぶりを楽しめるのも、彼らの外観を目の当たりにしていないからだろう。普通なら恐ろしくて近寄れない。3歳の頃にひとりで迷い込んだ夏織は、あやかしたちと仲良くなって感情豊かに生きてきた。一方の水明は祓い屋として、あやかしを敵とみなし感情を押し殺して生きてきた。両極端な育ちの二人だが、そこは人間どうし、通じるところがある。ひとりの力など高が知れている。いかに周りを巻き込んで味方にしてしまうか、それが邪気のない魅力であればあるほど強力だ。夏織がそうあれたのも、育ての親の東雲のおかげだ。格好を気にしない、見ようによっては渋い温かい親父、年齢的には大泉洋さんあたりのイメージかな。夏織は永野芽郁ちゃん、水明は吉沢亮くんが似合いそうだ。そういえば子供の頃に近所に貸本屋さんがあったっけ。番町皿屋敷の話を借りてきて、神社の境内で読んでいたら日が暮れてきて、すごく怖かったのを覚えている。お化け屋敷も入れないような怖がりの私だけど、幽世の貸本屋さんには遊びに行ってみたくなった。
人でありながら、あやかしが暮らす幽世で育てられた夏織。感情を抑えて現世で祓い屋をしていた水明。夏織は貸本屋の養父・東雲と暮らしていた。ある日、水明があるあやかしを探して幽世にやってくる。
あやかしに育てられ心はあやかしだと思っている夏織だが、あやかしを怖いと思ったり、あやかしとの感覚の違いを感じこともあり自分が「人間」なのだと痛感させられる。
一番印象に残ったのは閑話のはつと佐助の話。とても切なく夏織が強い女性だと思った。
全体を通して、優しいあやかしと人間の心温まる物語だった。大人の女性に向けた新レーベルの作品とのことだったが、男女問わず読める温かい物語だと思った。
#NetGalleyJP
人間とあやかし。
全然違う時間の流れと価値観。全部は理解出来なくても、寄り添える。
心配したり、愛しいと思う感情は同じだから。人間だけど、幽世で暮らす夏織の無邪気な人柄にとても惹かれます。
描写がとても丁寧で、目の前に風景が広がって。夢中で読みすすめてしまいました。
深い愛情や友情に種族なんてものは関係ないのだなと。心温まる物語でした。
夏織さんは人間なのだけれど何故かあやかしの世界に迷い込み、養父の東雲さんに育てられました。東雲さんはあやかしの町で貸本屋を営んでいます。でも本を借りたいという要望があれば、東雲さんはお金がないあやかしさんにもタダで貸してしまうから、いつもお金が足りなくて、夏織さんは人間の世界へ行ってバイトをしています。
ある日、水明という青年があやかしの町で倒れているのを見つけて、東雲さんの家へ連れてくることになりました。怪我の手当てをしてもらった水明は、しばらくこの家に厄介になりたいというのです。
あやかしというと怖いものと思いがちだけど、この町のあやかしさんたちは結構優しい心もちの人が多くて、夏織はそれを普通のこととして捕らえているけれど、水明にはそれがなかなか理解できません。
カラス天狗の金目と銀目兄弟との友情や、はつと佐助の悲しい物語、ななしさんとの不思議な関係。
あやかしになるにはいろんな理由があって、みんな少なからず悲しい気持ちを抱えているというところに心惹かれます。
そして、東雲さんの店の、いくらでも本が入る本棚はとっても羨ましいな!
変わり者の東雲さんに拾われ、
妖の住まう幽世で生活を営む〈稀人〉の夏織。
夏織の家は妖たちに本を貸す、貸本屋。
・・・のはずだが貸本屋業からは離れたお願いも聞いちゃうし
お代は現金でないときもあるしでいつでも家計は火の車。
そんなおり、やってきた1人の人間。
この人間が火の車な家計をうるおすことになろうとは・・・笑
こんな楽しそうで温かな貸本屋さんがあったら
毎日通ってしまいそう。
そしてにゃあさんの背中に私も乗らせていただきたい…!
幼い頃に現し世からあやかしの住む幽世に迷い込んでしまった主人公の人間の女の子。彼女の育ての親である「あやかし」をはじめ、とても魅力的なあやかし達が登場します! あやかし達の描写がとてもわかりやすく、彼等の姿を想像しながら楽しく読むことができました。最初はどういった展開になるのかなぁと思いましたが、予想外の人物が登場したりで読み進めるにつれて引き込まれていき、泣いたり笑ったりしながら主人公とあやかし達との日々を楽しむことができました。私もこのあやかし達が住む幽世に行ってみたいなぁと思いました。猫がお好きな方にもおススメです!
設定が面白い!!
本好きにはたまらないあやかしの世界にある貸本屋、
あやかしの世界にも商店があり人情がある設定。
異世界であやかしの皆から大切に育てられた夏織。
真っすぐに育った夏織は純情で優しくてちょっと天然な女性。
あやかし達は幼い夏織と触れ合う中で孤独から解放され町内会のアイドルの様な存在。
そこに祓い屋の水明がやってきたからあやかし界は大騒動。
恋の予感に心温まるあやかし達とのエピソード。
読みだしたらとまりませんでした。
設定があやかしでなかったら、商店街の物語になりそうです。
それぞれの章に出てくるあやかし達も愛嬌があって憎めません。
私が特に好きなのは「閑話 あやかしは幽世の夏に夢を見る」です。
ちょっぴり切ないけれど、希望があるお話。
それは冒頭の言葉にもつながります。
この後、夏織や水明はどんな生活を送るのか…
続編を期待します。
普段ビジネス・自己啓発本をメイン(9割以上)で読んでおり、久しぶりのジャンルの本だった。
現世ではなく、あやかしが住む幽世の世界。
貸本屋を営むご主人様にあやかしの世界で育てられた人間のお話。
体は人間だけど、心はあやかし。
「あやかしと人間は、どうしようもなく違うものだ。絶対に相容いれない。」
「一緒にいられること。それが何よりも大切なんだから。それだけでいいじゃない・・・・」
あやかしの世界で起きていることは、人間世界でも同じように起きているのかもしれない。何を大切にするのか、人との関係性を考えさせられた。ラストは一気に読みました。
本が好き俱楽部 積読部@のり
幽世のあやかしは人情にあふれていた。
人の身ながら幽世で「稀人」として暮らす夏織。
現世で「祓い屋」を生業としていた少年・水明。
「祓い屋」水明が幽世に来た理由は「あやかし捜し」
彼が捜しているあやかしとその関係とは。
そして「稀人」夏織が幽世にもたらしたものとは。
「幽世の貸本屋」を軸に繰り広げられる人間たちの物語は、あやかしたちの真の姿を描く。
コメディとシリアスをバランスよく配分しつつ、情景を感じさせる文章など満足度の高い作品でした。
ここからの展開も含め、今回明示されていない部分など続編にも期待したいです。
幽玄の世界と言えばおどろおどろしい世界感を想像してしまうが、人間世界と変わらない日常を送る妖とそこで育った娘の物語である。ユーモラスに繋がるいくつかのエピソードがやがて、命を守ることや大切なものを臆さずに大切にすることを教えてくれる。
自分と違う価値や習慣、命の構造まで一つたりとも同じでない相手が理解し合おうとする美しさが軽快な筆致で語られて、読後に清涼感と共に周りの人が愛おしく思われた。
単語の意味がわからない部分に注釈がはいると、尚、平易に読み切ることができるだろう。
あやかしの世界ってどんな所だろうか。
もし知りたいのならば、この作品を手にとって自分自身で感じてください。
幽玄な世界が美しく彩られて目に浮かぶ、ゆんわりとした流れを感じ、読みながらに優しい気持ちになれる作品です。
最近、読み飽きた感のあるあやかしファンタジーですが、この設定はなかなかに面白かった。
3歳で親とはぐれ幽世に紛れ込んだ女の子、夏織。夏織は貸本屋を営む東雲さんに大事に育てられ大きくなり、いまでは稀人として幽世の人気者だ。
ある日、夏織は怪我をして道端で倒れていた人間、水明を助け、しばらく家に住まわせることにした。水明は現し世で祓い屋をしていたが、訳ありで幽世にやってきたらしい。
感情を現してはいけないと育てられた水明と、あやかしたちにまっすぐに育てられた夏織。ふたりのやりとりがなんとも微笑ましく、優しい気持ちになりました。
各章の間にある閑話では、お話の背景やキャラクターの成り立ちを上手く説明しているし、全体的にメリハリがある展開で一気に読めました。
人間とあやかしは一緒に生きていけるのか・・・閑話で垣間見た優しい未来か真実でありますように、と思いました。
あやかしと人間が本をとおして和やかに戯れる。
幽世と現実の狭間で貸本屋の先には、東雲の「父」、「蝶よけの香」を調合してくれるナナシは「母」に育てられた人間の私。一歩間違えれば死を予感させるやりとり、言葉とは裏腹に、いつでも首もとを掻き切れるのだと宣言している様子。脂汗を流しながら。幽世は、恐ろしいように見えるが、優しくてお人よしな住民たちが住んでいる。そして私にとっては、どこよりも優しい世界。そして、そこか私の居場所。人間なのにあやかしに育てられた私は、今日も、明日もこれからもずっと、この世界で生きていく。
あやかしの住む幽世に幼い頃迷い混み、養父東雲に育てられた夏織。
人間でありながら、貸本屋という仕事を通してあやかしと交流し理解を深めあって暮らしている。
そんな夏織の前に迷い混んだ、祓い屋と名乗る少年水明。
幽世にいる意味を彼に鋭く問われながら、夏織は自分とあやかしの絆を再確認していく。
この小説では、幽世という場所を舞台にあやかしの魅力が生き生きと描かれている。
夏織の目を通して見るあやかしは、時にユーモラスに時に残酷に自分の道を全うして潔さすら感じさせる。
読んでいて心地よく自然と引き込まれる作品。ラストも清々しく前向きな気持ちになれるだろう。
妖怪世界に住む人間の主人公。幼いころにこの場所にさまよいこんできた。妖怪の養父は、貸本屋を営んでいる。その貸本をきっかけに、様々な事件が起こり…読みやすかったです。
とても王道なあやかし奇譚。
人もあやかしも、様々なキャラクターが生き生きと動いていて、笑えてほっこりできました。
欲を言えば、もう少しメインキャラクター達の背景をじっくりと読みたかったです。続編があれば、そちらも語られるのでしょうか?水明とクロがこれからどう歩いていくのか、とても気になります。
魅力的な妖たちの世界が目の前に広がってくる一冊
景色や食べ物など場面がとても丁寧に描かれていて、読者が置いていかれることなく安心して楽しめた
登場人物たちも個性的な妖が多く、ワクワクとする作品
主人公は人間だが、妖たちのせかい カクリヨで育てられた、という特殊な立場ながらも ありふれた感覚の持ち主なので、彼女の目線で進んでいくストーリーに引き込まれていった
また登場人物の一人の人間の男の子が登場するのだが、彼が妖と人との違いをしっかりと露わにしていってくれるので、矛盾などなく楽しく読める
テンポの良さというよりも じっくり妖たちとの生活を楽しむ作品になっている
ほんわかとした気持ちになれる本でした。やはり相手がどんな相手だとしても、子供は可愛くて皆甘くなるんだなあと思いました。どんなにその世界に馴染んだと思っても本脳的にあやかしに恐怖を感じるというのも、能天気に見えて複雑な環境に主人公が置かれていることが分かり、良い設定だと思います。
愛情と信頼関係があれば、障害も乗り越えられますね。
祓い屋の白井水明を助けたところから物語が始まる。
犬神憑きの家系の水明が幽世に来たのは相棒のクロを探すため。
クロが水明の前から姿を消した理由が!あやかしならでは。好きだった人(みどり:水明の母・故人・埋葬済み)の骨を食べる。それが供養だということを水明には理解してもらえないから。このあたりはちょっと///
四国地方の大歩危・富士山のダイダラボッチ・仙台の広瀬川など各地に伝わるあやかし・妖怪などの民話・伝承が登場して興味深く読みました。
あやかしは怖いというイメージ・先入観があったけれど,もしかしたら人間みたいに面白い生き物だったりするのかななんて思った.蝉の二人の話はとても良かった.生きることは死ぬことであって必要以上に悲しむことは要らないというあやかしの考え方も,悲しむことは悪いことではないから思う存分悲しめという人間の考え方も両方大事だなと感じた.一冊通して水明の成長が感じられた.
人間なのに妖に育てられた夏織が優しくてお人好しの幽世の住民達に囲まれ生きる物語。夏織を育てた東雲さんと貸し本を営み物語を届けながら、ちょっとした出来事に遭遇する。とても軽いタッチ、リズムで描かれた本作は箱根の一泊旅行に向かうロマンスカーや田舎に帰る新幹線の中で、偶にウトウトしながら読んでみたい。小学校の夏の課題図書にも最適ではないでしょうか。子供も、大人も楽しめる一冊です。
幽世と現世。あやかしと人。違いはあれども慈しみ労わり相手を思う心は同じ。いかなる相手であろうとも、己の真を持って対することの清々しさ。本当の現世で足りないものはこれだろうか。繋がりを恐れず、身をさらし、ひたむきに生きてみてもいいのではないだろうか。
あやかしが住む幽世に稀人として住む人、夏織となにやら訳ありで幽世にやってきた祓い屋の少年、水明の交流を中心に物語は進みます。
幽世は現世に沿ってあり、二つの世界は所々でつながっておりますが、幽世はなにやら昭和の下町の趣き。昭和のほのぼの感に包まれた下町人情話といったところでしょうか。
夏織の育ての親、東雲、幼なじみのカラス天狗、金目・銀目、親友の黒猫、にゃあさん、近所の母親代わりのおばさん風謎のあやかしナナシ等一癖二癖あるがなにやら癒やし系のあやかし達。
ほのぼの、そして少し悲しくて、それでも最後はホッとするお話しです。
なかなか面白かったです。現し世でバイトしつつ幽世の貸本屋で義父東雲と暮らす主人公夏織。あやかしにかなり馴染んでいる人間である夏織の前に現れた同じく人間の水明(しかも休業中の祓い屋)。かわいい子鬼や絵本をせがむはつと佐助の話なんかは切なかったです。よくあるお転婆で無鉄砲な少女キャラって私は苦手なのですが、夏織はそんなこともなくとても好感が持てました。
あやかしの住まう幽世(かくりよ)に物心もつかぬ齢で迷い込んだ主人公の人間の少女。彼女を拾い育てた貸本屋を営むあやかしの養父。貸本屋を舞台に、様々なあやかしの抱える問題を人と人ならざる者の背中合わせの観点から解決していくヒューマンファンタジー。文字通り住む世界も違う双方が、異なる価値観を否定するのではなく互いに歩み寄って埋めていく姿がとてもいじらしく、現実の現世(うつしよ)で相容れず争っている人達に気付いてもらいたい想いが詰まった作品
あやかしの世界で生活する夏織は、あやかしに育てられたと思えないほど健やかです。彼女の存在が、あやかしの気持ちを動かし、お話の全体の空気も優しくさせてくれました。頑なな少年の気持ちを解いたのも夏織でした。どこかで聞いたことのある、あやかしの名前が出てくるかもしれません。切なくもあり、ほっこりとさせてくれるお話です。
あやかしと人間。全く違う存在。それでも何かを、誰かを大切に思う気持ちは同じ。
違うということ分かった上で、彼らと一緒にいたいと願う夏織。
明るく元気な彼女を、優しく、時にはおろおろしながら見守るあやかしたち。
家族で、友人で、仲間で、お互いが必要な存在。
本来の自分を取り戻しつつある水明のこれからが気になります。
登場人物たちのコミカルな掛け合いが面白かったし、にゃあさん&クロが可愛かったです。
あやかしの世界である幽世に迷い込んでしまった夏織はあやかしに育てられ、今は幽世の貸本屋を経営するあやかしである養父の下で暮らしている
そんなところに新たに迷い込んできた少年とあやかしをめぐるお話
先に二巻を読んでこの作品を読んだが
前日譚のようで違和感なく楽しめました
人間だけど幽世で暮らす夏織ちゃん。
お父さんのような東雲さんは貸本屋さんを営んでいるけれど、お人好しな性格だからいつでも寂しいお台所事情。それで現世でアルバイトをする夏織ちゃん。働き者ですね。
仲良しの火車のにゃあさん、お母さんのようなナナシさんもちょっとお節介で優しいあやかし。天狗の金目、銀目も賑やかで楽しい。
とある事情で幽世にやってきた水明くんは感情を表現できないように育てられているのが気の毒でした。
人間の時間とあやかしとでは理が違うことがあって、人の寿命は短いから、すれ違ったまま別れるのはやっぱり悲しい。
水明くんが夏織ちゃんと出会って感情を表現できるようになったのが本当に良かったです。
夏織ちゃんたちの幽世生活に水明くんたちも加わってより賑やかに楽しく過ごしている姿が目に浮かびます。
人が暮らす現し世とあやかし達が暮らす幽世。幽世に迷い込み生活を営む稀人の夏織。あやかしの養父である東雲。東雲の貸本屋を通して、あやかしたちとの交流し暮らしている。幽世は恐ろしい所かと思いきや、ユーモラスで楽しく幻想的であった。そこに犬神を探し迷い込んだのは祓い屋の水明。どうなるのかと一気読みだった。キャラクターも魅力的で絆の深さが良かった。続編も是非読みたい。
あやかしの世界とニンゲンの世界は持ちつ持たれつ表裏一体なのでしょうか。
迷い込んだものにも変わらず思い気遣ってくれる者と敵対視する者は現代の世の中を風刺しているようです。
「個性」をうたうばかりで実体を伴わないのは意味がないと気づくことが大切なのだということ、お互いが違いを認め合うことや前例に囚われず、「今」はどうなのかを見ること知ることだと気付かせてくれます。
その後のわたしはどうなるのかがとても気になります。
1年以上前にWishに応募させていただき、先日当選のご連絡をいただきました。
このシリーズの続編のリクエストをご承認いただきましたので、前作から読ませていただいてから続編をと思い応募させていただきましたが、残念ながら当時は当選することができませんでした。
それでもシリーズものは最初から読みたいと思い、既に発売されていましたので紙書籍を購入し読ませていただきました。
このたび、Wishに当選し再読いたしましたが、1巻はこのようは始まりだったのだと思い出し、懐かしくなりました。これからも楽しみにしております。
普段とることない本ですが、幽世って何だろう?と思って、選びました。これまで、絶対といっていいほど、読まないジャンルだったのですが、親子や成長、人とのつながりを考えさせられるというより、人とのつながりって、めんどくさいけど、良いよなと感じることができました。この本を読んで、思わず全シリーズ読んだのですが、LGBTの問題や個性、光過敏性障害などのマイノリティーの問題を取り上げて、こんなにもわかりやすく、問題意識持てたのは、すごいと思いました。登場人物がいろいろな特性を持ち、他人のことを思いながら過ごせる世界は楽しくなるということを感じることが出来ました。
妖たちの住む世界を自分も駆け回るような気持ちで読みました。
どこかで見た妖たちが、想像よりずっとチャーミングなキャラクターで暮らしていて「こんな妖怪なら会いたいかも」と思いました。
この先もこの世界のみんなが幸せに暮らしていけるのか気になって、調べたらシリーズ化していて一安心。
引き続き、この夏は妖怪たちの世界で過ごしたいと思います。
幽世に迷い込んだ夏織。彼女の養父は貸本屋を経営している。
そんな貸本屋に一人の少年が迷い込んできた。
幽世の貸本屋が現世に本を貸し出したり、貸本屋の東雲さんがお金がなくてもお話を一つ披露したら本を貸してくれたり。現世でも幽世でも本好きはいるのですね。
夏織が現世にアルバイトに行ったりするところも現実的でくすっとしてしまいました。
迷い込んできた少年の水明。彼がなぜ幽世にきたのか。水明が実は祓い屋で、でもあやかしたちを信頼し表情や言葉が変わっていくところもすごく好きです。
東雲さんの作った絵本の描写がとても美しかったです。たった一人のために作られた絵本だからこそその美しさがこの本には宿っているのでしょうね。
初めてこのシリーズ読みましたが続きも読んでみたくなりました。