夜が暗いとはかぎらない
寺地はるな
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刊行日 2019/04/10 | 掲載終了日 2019/04/11
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内容紹介
大阪市近郊にある暁町。閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんが突然失踪した。かと思いきや、町のあちこちに出没し、人助けをしているという。いったいなぜ――? さまざまな葛藤を抱えながら今日もがんばる人たちに捧げる、心にやさしい明かりをともす13の物語。 『大人は泣かないと思っていた』で話題沸騰の著者が贈る感動作!
大阪市近郊にある暁町。閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんが突然失踪した。かと思いきや、町のあちこちに出没し、人助けをしているという。いったいなぜ――? さまざまな葛藤を抱えながら今日もがんばる人たちに捧げる、心にやさしい明かりをともす13の物語。 『大人は泣かないと思っていた』で話題沸騰の著者が贈る感動作!
出版社からの備考・コメント
寺地はるな
1977年、佐賀県生まれ。大阪府在住。第4回ポプラ社小説新人賞を受賞した『ビオレタ』でデビュー。他の著書に、『ミナトホテルの裏庭には』『月のぶどう』『今日のハチミツ、あしたの私』『みちづれはいても、ひとり』『架空の犬と嘘をつく猫』『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』などがある。
著者略歴
寺地はるな
1977年、佐賀県生まれ。大阪府在住。第4回ポプラ社小説新人賞を受賞した『ビオレタ』でデビュー。他の著書に、『ミナトホテルの裏庭には』『月のぶどう』『今日のハチミツ、あしたの私』『みちづれはいても、ひとり』『架空の犬と嘘をつく猫』『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』などがある。
おすすめコメント
佐賀から大阪にうつりすんで、もう十年が過ぎました。結婚して、再就職をして、子どもが生まれて、小説を書きはじめてそしてそれが新たな自分の仕事になって、というウルトラダイナミック(わたしにとっては)な人生の変化を、今住んでいるこの街で迎えました。なじめないかも、と思っていた風景がいつのまにか見慣れたものになりました。 街はそれ自体が、大きな生きもののようです。呼吸し、育っていく。そこで暮らす人間は小さい。 でもわたしは小さいことと重要でないこととは、イコールではないと思うのです。 子どもの頃、父から登山に連れていかれたことがありました。頂上にたどりついた時、父がとつぜん「大自然の中に身をおくと、自分の存在や悩みが、ちっぽけに思えてくるだろう。だからあんまり思い悩むんじゃないよ」的なことを言い出し、「ハア?」と呆れたことをよく覚えています。ちっぽけである、だからどうした、なんの解決にもなっていないじゃないか、と思ったのです。 この本に出てくる人たちは、言葉にしてしまえば「ちっぽけな悩み」と片づけられがちな、でも本人にとっては切実なものと対峙し、あるいは寄り添いながら暮らしています。 べつにちっぽけでいい。 毎日、思い悩んでいてもいい。 大きくて堂々としているのは海やら山やら街やらにまかせておけばいい。 そういう気持ちで、わたしはいつも小説を書いています。 この本はポプラ社のPR誌『asta*』に連載していたものを一冊にまとめたものです。 一冊の本にまとめるにあたり、大幅に加筆しています。 仕事や勉強や、あるいは育児や介護、その他趣味などで忙しい人にも毎日すこしずつ読んでもらえたらと願いながら、短めのお話を12話書きました。 明日を生きていくために、つかのま心を遠くにとばして休息する、そういうお手伝いができたらいいなと思っています。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784591162743 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
寺地さんの物語は、疲れた心にそっと寄り添ってくれる。きっと大丈夫だよと優しく背中を押してくれる。『大人は泣かないと思っていた』で大好きになった寺地さん。この本もまた心にじんわり沁みる素敵な物語だった。
ひとつの町の商店街の日常を舞台化して観てる感じがする連作短編集。
ある登場人物の生活と悩みや葛藤が自分の心と記憶がチクチク刺激されて最初は少し不快感があったけど、他の人物にバトンを渡してまた回ってきたときの気持ちの変化とか少し前向きな気持ちを受けてからなんか自分の気持ちや視界が広がった気がして仕事で少しささくれだった心が癒されました。
自分が当たり前だと思っていること。
夜は暗い。
朝は明るい。
でも星の数ほど当たり前があるのかもしれない。
夜のはじめの色。
真夜中の色。
明け方の色。
同じ夜だろと言う人もいれば違うと言う人もいるだろう。
近くにいるから何でもわかるわけではない。
話すこと、触れること、今を繰り返すことで少しずつ少しずつ道がつながってゆく。
夜と朝を繰り返しながら。
あかつきマーケットを舞台に、多くの人が登場する群像劇。それぞれの人、キャラクターに過去や事情があり、未来がある優しい物語です。個人的には、葉山さんの話が好きでした。
閉店が決まった、あかつきマーケットのゆるキャラ「あかつきん」をめぐる連作短編。
生きにくい世界で必死に行き続けている人々。誰もが救いを求めていて、そして周りの誰かによって救われていく。前の章に出てきた登場人物が再び現れると、知り合いに会ったような懐かしい気持ちになる。心救われる物語。
あかつきマーケットに住む妖精のあかつきん(表紙の生き物)が繋ぐ連作短編集。一つ一つは凄く短いのですがどのお話も胸を打つ言葉が散りばめられていました。「私の人生は私のもの」「自分を大事していきていくならそれでいい」。誰かの一言に、小さな優しさに救われる人がいる。そんな大切な事を思い出させてくれる一冊でした。
閉店が決まった「あかつきマーケット」のある街に暮らす人々をゆるいつながりで描いた連作短編集。一話一話短めでたくさんの登場人物が出てくるが、いろいろな環境にある老若男女を主人公それぞれが抱える葛藤に、そっと寄り添い、ふっと心を軽くさせてくれる寺地さんの筆致がいつも以上に冴えわたっていた気がする。帯の文句じゃないけど「奇跡が起きなくても、人生は続いていくから。」だから自分らしくやれよっとそっと背中をおしてくれてる様に思えてならない。
特別な事件が起こるわけでは無い。
自分も経験してきた胸の痛みを追体験するような、それもナイフで傷付けられるようではなく、荒れた手でストッキングを撫でるような、ザラザラとひっかかる感じ、、、
間を置きながら読むと、ちょっと誰だっけ?となるのが残念なくらい登場人物とまつわるストーリーが多く、私にはちょっとそれが負担だったかなとは思いました。
もうすぐ閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんちゃん。可愛いというにはちょっと無理があるような、でも地元の子供たちからは愛されているゆるキャラでした。そのあかつきんちゃんが突然失踪したらしいのです。でも、時々町に現れたり、良く分からない動きをしています。
あかつきマーケットの近くにいろんな人が住んでいます。図書館で働いている人、ピアノの先生、パン屋さん、お花屋さん、ジューススタンドの人、自転車屋のおじいさん、喧嘩ばかりしている夫婦・・・
みんな、それぞれ勝手に生きていて、でも、どこかでつながっていて、知らないうちに助け合ったり、影響を受けたりしているんです。
あかつきマーケットがなくなっちゃっても、町の人たちの暮らしは淡々と続いていくんだろうけど、やっぱりそういうのってさみしいなぁって思います。
再開発の名の下に、マンションやショッピングセンターばかりができてしまいますけど、古い家や小さな商店がある町の暮らしを、そんなに簡単に捨てちゃっていいんでしょうかね?
架空の街、暁町を舞台にした短編集。閉店が決まったあかつきマーケットのゆるキャラ「あかつきん」があちこちの短編に顔を出し、どこかで繋がっている登場人物たちはそれぞれ生きづらさを抱えている。悩める人々の中には「自分と似ている」と思える人もいるんじゃないかな?そんな人にそっと寄り添い、大丈夫だよと慈しむかのような寺地さんの筆致が胸に沁みる。何かが劇的に変わる訳じゃない、朝は必ずくるがその朝の光が明るいとも限らない。それでも人生は続くし、時には誰かを救ったり救われたりすることもあるだろうと素直に思える素敵な物語。
主婦層必見の一冊って感じでした!・・・暁商店街のあかつきマーケットが閉店を余儀なくされている。着ぐるみマスコットの「あかつきん」ちゃんが、街の各所に出没、いろんな人のいろんな場面に登場して人のためになろうとする。・・・短編13話に登場する主人公は、いっぱい!・・・この街にいろんな主婦、学生、老人がいて、いろんな話題、過去等でみんなが繋がっていました・・・楽しめた!・・・・・・・
夫を亡くし、息子のとうまくやれないフラワーショップ店員、夫が楽器屋で、惣菜屋で共稼ぎの主婦と、毎晩、子供の夜鳴きで寝れない母、母にピアノに通わされてるけど、本当は叔母さんのように小説家になりたい娘、音楽教室から自宅ピアノ教室をやっている美人先生などなど・・・いろんな主人公と物語が無数に絡み合って、・・・そうそう、あるある的な展開が楽しい。着ぐるみ、あかつきんを脱いで、話し合う柊と来人、柊の母へのエンディングも良かったです!
私達は何かしら悩みや不安を抱えながら生きている。この物語は、そんな人々の日常が短編で描かれている。全話どこかで商店街のマスコット「あかつきんちゃん」に接点があり、更に見事に登場人物が次々とリンクしていく。1話終わるごとに優しい空気に包まれ、ふわりと温かい気持ちになれる話の連続に、どんどん吸い込まれていった。少し視点を変えると今までと世界が違って見えると教えてくれる人がいる。悩んだり、ちょっぴり嬉しかったりを繰り返しながらも、頑張って生きていこう。そう思えるじんわりと心地よい作品でした。
寝付けない夜がある。そんなとき、外をみると車は走っていないし、歩いている人が誰もいない。
さびしい、というのと同時に今この夜を知っているのは自分だけというわくわくしたかんじがある。
逆に朝目が覚めて、眩しい日差しが目に痛くて、体が重くて、起き上がりたくないこともある。
前の日からつづく憂鬱が夜を越えたら消えてなくなっていることもない。
タイトルがいうように、夜が暗いとはかぎらないし、朝も明るいとはかぎらない。
夜を明るくするのも、朝が暗くなるのも、その人次第なのだ。
物語は大阪市近郊の暁町を舞台に、閉店が決まった「あかつきマーケット」、
ある日突然失踪したゆるキャラ「あかつきん」のお話を交えながらそこに暮らす人たちの日常が描かれる。
広いようで狭い町の中で生きている人たちが毎日すれ違う、誰か。
それは誰かの母であり、誰かにとっての同僚であり、ご近所さんであり、店員さんであり、息子であり、まるで連想ゲームのように綴られていく。
誰もが何かしら胸にモヤっとした葛藤を抱えている。
いま、幸せ?と聞かれたらきっと胸を張って幸せです!とは言えない。
きっと、幸せだけど・・・と濁してしまうような幸せ。
満ち足りている人なんてそうそういない。みんなどこかしら欠けていて、何かに悩まされている。
でも、そんな欠片の日常でも、積もり積もって繋ぎ合わせていけば、いつか思い返したときにはっきりと幸せだったなと思えるのかもしれない。
幸せってそういう日々の積み重ねで、その瞬間に幸せだと思えるものではないのではないのかな。
とても、とても、とても、良かったです‼︎
寺地さんの本を読み終わった後は、いつも優しい気持ちになります。
この「夜が暗いとは限らない」は短編集で、主人公となる人数が多い為、エピソードも多く、その都度共感を覚えました。一つ一つは、玄関を開けて外に出れば、ああ、こんな事あるなあと思うことばかり。でも、普段は、自分以外の他人の笑顔の裏の生活や、出来事なんて想像もしなければ、思いやることもしない。必ずその人たちにも様々な他人にはわからない事があるはずなのに…。
最後の方で、自分があかつきんの中に入り、中から外の世界を見ていると錯覚してしまいました。それは、少し先に黒い穴の周辺が見えて、そこから覗いているように…。他人に自分の心は見えず、でも、自分は優しい気持ちで相手に寄り添える。そこで、そう、朝が明るいとは限らず、夜が暗いとは限らないと改めて感じました。
繰り返しになりますが、とても、とても、とても良かったです‼︎
手元に置いておきたい1冊になりました。
余談ですが、とても登場人物が多く、色んな場面でリンクするので、(そこがまたとても良いのですが)自分でメモの様に相関図を書きながら読みました。
短い短い短編が13。そこには日常が書いてありました。
大阪のあかつきマーケットのある町に暮らす人々。
あかつきんちゃんは私の乏しい想像よりも、装幀でなかなかのパンチ力のある
キャラクターと判明。人はみんなどこかで自分の「あぁ⤵」と思う気持ちに
折り合いをつけたり、ちょっと片目を瞑って落としどころを見つけています。
そんな当たり前だけど、結構しんどかったりすることが書かれていました。
大きな事件も驚くような好運もないけれど、その人にとってはもちろん大事な出来事です。
一生懸命、暮らしていこうと、そう思いました。
#夜が暗いとはかぎらない #NetGalleyJP
確かに朝が明るいのも、夜が暗いのも、それは自然ことで特別な事ではなくて、だからこそ生きていられるんだとは思う。どれ一つとっても思うようになる事は限りなく少ない。それを生きぬいていくと、いうのが人生の自然なんだろう。夜は暗い、だけで終わらない。その逞しさをあかつきんは見ていたのかもしれない。要はそれぞれで、良いことも悪いことも、抱えながらどうにかやっていくのが人生だと。優しかったり、優しくなかったりするけれど、最後はとても穏やか。良い作品でした。
とっても良かった♡寺地さんの温かさを感じる素敵な連作短編集。育児、恋愛、友達、家族の事など皆いろんな悩みを抱え葛藤し踠き苦しみながら生きている。誰かの一言で肩の力が抜け救われ涙ぐむ。同じような経験がある人は特に胸に沁みるだろう。何気ない優しい言葉に何度も涙が溢れた。各章のラストも大好き。「けむり」「はこぶね」「昼の月」「グラニュー糖〜」「生きる私たち〜」良かった。装丁はあかつきマーケットのマスコットの「あかつきん」このあかつきんの活躍も可愛くて癒される♡頑張ろうと思えた!寺地さん大好き♡印象に残った言葉は「わたしの人生はわたしのもの。胸をはってみれがそう言えるんやったら、もうそれだけでじゅうぶん。それ以外のことはたぶんあとからついてくるから、だいじょうぶ」「そんなすごろく盤、放り出したったらええのよ。誰かの涙を拭いてあげれる子は、きっとだいじょうぶ。生きていけます」etc…。寺地はるなさんの作品を読むのは5作目。読む度に寺地さんのこと大好きになる♡#NetGalley JP
あかつきマーケットのマスコット・あかつきん
突然失踪したと思ったら町のあちこちに出没し人助けをしている
あかつきんのまわりで起こる13の物語
毎日を生きてる証が紡ぎだされる。
誰でも葛藤や悩みを抱え毎日を頑張って過ごしている
そんな頑張る私たちにふわりとぬくもりをくれる
だいじょうぶだよ。とそっと寄り添ってくれる
そんな本でした。
忙しくても悲しくても悩みを抱えても、毎日生きている。隣の人も会社の同僚もバイト仲間も、みんないろんな思いを抱えて生きてる。その中に、あったかいことや嬉しいことを見つけて、日々を過ごしているんだと感じさせてくれる。
「だめだ、泣く。」
読みながら何度そう思ったかわからない。そして、一気に読み進めながらどんどんと呼吸が楽になっていく自分に気付いた。
この作品は、ポプラ社の『asta*』で連載されていたものを加筆したもので、連作となっている。
そして連載当時にはいなかった、作品の大きな鍵となる『とある生き物』(とここでは書いておこう)が新たに登場した。
その子の存在によって、どんな展開に変わっていくのか少しハラハラしながら読み進めたのだが、杞憂だった。
寺地作品は、結局どこまでも寺地作品なのだった。
寺地先生の作品には、甘ったるい夢のような世界はない。理想の塊のような人は出てこない。どこにでもいる、完璧ではない足掻いて泣いて落ち込む人達が山のように出てくる。
けれども、私はそんな人達がいとおしい。
何かに悩んで苦しんでもがいている人がいたら、読んでみて欲しい。
息をすることが、きっと少し楽になる。