トリニティ
窪 美澄
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刊行日 2019/03/29 | 掲載終了日 2019/04/19
ハッシュタグ:#トリニティ #NetGalleyJP
内容紹介
欲深き者と謗られても、私はすべてを手に入れたかった。
トリニティーーキリスト教における〈父と子と聖霊〉。この世をつくる、分かつことのできない大切な三つのもの。
では、女たちにとってのトリニティは何だろう? 男、結婚、仕事、子ども、そして……。
イラストレイターの朔、ライターの登紀子、専業主婦の鈴子―― 50年前に出版社で出会った三人が、半生をかけて手に入れようとした人生の果実とは?
かつてなく深く抉り出した女たちの欲望と祈り。
おすすめコメント
平成の最後に生まれるべくして生まれた、女たちの聖なる叙事詩!
物語のエネルギーに、圧倒され、飲み込まれました!
これまでの窪作品の魅力を研ぎ澄ませ、 さらに激流のようにうねる社会・歴史をも描破した、圧巻の大河小説!!
ぜひ、刊行前にご一読ください!
平成の最後に生まれるべくして生まれた、女たちの聖なる叙事詩!
物語のエネルギーに、圧倒され、飲み込まれました!
これまでの窪作品の魅力を研ぎ澄ませ、 さらに激流のようにうねる社会・歴史をも描破した、圧巻の大河小説!!
ぜひ、刊行前にご一読ください!
販促プラン
ご感想をお寄せいただいた書店様、初回配本・著者サイン本のご希望を承ります!
販促素材より、お申込み用紙をDLくださいませ。
ご希望〆切は3/8(金)です。
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出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784103259251 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
窪美澄先生の作品は好きで幾つも読ませて頂いております。
いつも描写がとてもリアルでぐっと引き込まれ、あっという間に読み終えてしまいます。
そして読後は何とも言えない気持ちになるのです。
今回の主人公の三人が出会ったのは今から約五十年前で、私が生まれる前のお話ですが、まさに自分がその時代を生きているかのように、東京オリンピックや学生運動、高度経済成長期の世の中の様子などがリアルに感じられました。
三人は全く違ったタイプの女性ですが、それぞれに悩みを抱え、戦いながらあの時代を生き抜いていたと思います。
朔や登紀子に比べれば鈴子の人生は世の女性にありがちな平凡な人生で、私自身も鈴子の人生と重なるものがあります。
幸せの感じ方は人それぞれで、専業主婦で夫や子供を支える生活こそが生き甲斐の人もいるでしょうが、夫に養ってもらい外の世界を知らない事に引け目を感じる気持ちはよくわかります。
朔は幼い頃から波乱万丈の人生で苦労して、売れっ子のイラストレーターになれたのに最期まで孤独だったのかなと思います。夫にも息子にも距離をとられ、母親とも本当の親子なのに少し距離があるような。本当の意味で親子にはなれなかったのかなぁ…と。
立派な大人になった息子の姿を見せてあげたかったし、彼が奈帆に語った素直な気持ちを聞かせてあげたかった。
立見さんの下でずっと仕事をしていれば…あのとき堕胎しなければ…また違った人生になっていたんだろうかと色々考えてしまいました。
登紀子もまた波乱万丈の人生で、仕事は順調でお金にも不自由ない生活を送っていたのに、孤独で荒んだ生活を送るまでになっていく過程が朔の人生同様、読んでいて胸に迫るものがありました。
個人事務所を立ち上げた際に、もっと薄利多売をしていたら…別れようと言った夫とあの時別れていたら…その後の人生どう変わっていたんだろうかと考えてしまいます。
でも奈帆が自分たちのことを書いてくれたのは嬉しかったと思います。その完成形を見せてあげたかった。
奈帆はきっとこれから一人前のライターとしてやっていくのだろうなぁと感じるような最後でした。
人は誰とも同じようには生きられないけれど、どんなことにも囚われず好きなように生きられたら幸せだと思います。
人生で欲しいものを全て手に入れることはとても困難です。
私にとってのトリニティは何だろうか…と深く考えさせられる作品でした。
たくさんの方に、特に女性の方に読んで頂きたいなと思います。
大好きな窪美澄さんの最新作。「圧巻の大河小説」そんな謳い文句に心が躍る半分、窪美澄さんに対して今まで“ 大河 “というイメージが無かったので、少し立ち止まってしまうような気持ちもありましたが、そんなのは読み始めてすぐに吹っ飛んでいました。
72歳の鈴子の元に、突然有名なイラストレーター早川朔の訃報が入り、鈴子は孫の奈帆を連れ斎場に向かう、そこで伝説的なライター登紀子と再会する。奈帆は鬱を発症し休職を余儀なくされ、自分の人生に焦っていた。奈帆は自分もフリーライターになりたいという思いから、登紀子の働いていた時代のことを聞かせてもらえないかと頼みこむ。
部屋には登紀子の吸うタバコの煙が常に漂い、床には物が散乱しまるでゴミ屋敷、その中で登紀子は奈帆に対し、早川朔や自身の生い立ち、そして生きてきた時代についての壮大な絵巻を広げる。
その設定というか、様子を思い浮かべただけで興奮し登紀子さんはこれから一体どんな話を聴かせてくれるのかと胸が高鳴り作品の中に没入してしまいます。登紀子さんの前で奈帆と一緒に私も座布団のように薄くなったクッションに座り、その話に聴き入る、登紀子さんの部屋に毎週通いつめる、そんな感覚で読み進め、その中で語られていく女性たちの人生の物語の熱量の凄まじさに、時間の経過を忘れてのめり込み一気に読み終えてしまっていました。
振り返って語りたくなる印象的な場面は山ほどありますが、その中でも特に好きなのが妙子の描いた絵が初めて雑誌に載り、それを母に報告する場面。これまでの妙子の境遇と母の苦労を思い、涙が溢れました。本当に良かった…。
またさらに印象的なのが、新宿騒乱の場面です。新宿で学生たちと機動隊がぶつかり合うその描写のあまりの臨場感に、鼓膜が怒声と破壊音で震え、鼻腔と涙腺が土埃や催涙弾で刺激されたような錯覚を覚えました。そこからのあの女性たちの解放の瞬間…ものすごいカタルシスを感じ痺れました。きっと脳内で何かしらの物質が大量に分泌されていたと思います。
まだ20年ちょっとしか生きていない私にはこの作品で描かれている、多くの時代のことを実際には全く体験したことがありません。戦後の空気も、大学闘争の熱も、昭和から平成に変わる瞬間も知りません。それなのにこの小説を読んでいると自分もその中で生きてきたのだと生意気な錯覚をしてしまう。そんなわけはないし、当時を実際に生きてきた人達の感覚と比べるとそれはだいぶ違うものだろうし甘いものかもしれないけど、そう感じてしまいました。もうしょうがないんです。それくらい引き込まれてしまったんです。
描かれている多くは過去のできごとについてだったけれど、私はこの小説から、平成からまた先の未来への希望を感じました。
窪さんの骨太な女性小説は読み応えがある。50年前出版社で出会った三人の女達が半生をかけ、手に入れようとしたトリニティ=かけがえのない三つのものとは。イラストレーター妙子は仕事を優先し家族を失う。ライターの登紀子は子供を持たなかった。専業主婦の鈴子は仕事を得なかった。昭和、平成と時代は変われど女性達の迷いは変わらない。常に働き方を問われ、男性社会の壁にぶち当たる。しかしそれでも図太く生きる女性の強さに励まされ、同時に自分の選択した人生を胸を張って生きろと背中を押される作品だった。
自分の母親世代と重ね、当時も今も女性は常に選択を迫られてる様に感じた。
仕事を選んでも家庭を選んでも両方を選んでもどこかがおろそかだったりすると完璧に近くないと誰からも認められことがなくて、本人もそれに苦しむ。
男性の様に仕事を頑張るだけでは評価を得られないのは、
「子を産める」
からなのか。
これまで比較的激しい部分のある様に感じていた窪美澄さんの作品とまた違う印象を受けた。
三人の女性がどう自分の人生を生きようとし生きたのか最後まで引き込まれたまま読了しました。
夢や希望を胸に時代を駆け抜けた3人の女性。
才能溢れる新進気鋭のイラストレーターの朔。
物書きの家系に生まれたライターの登紀子。
勝ち組と言われていた寿退社をした出版社勤務の鈴子。
女性たちの生きづらさ、働きにくさ、それでも、自分の夢をかなえるために立ち向かっていく強さ。
彼女たちの光と影、栄光と没落。
誰が本当にしあわせだったのか?なんて軽々しく判断することはできない。
どんな生きかたでも、どんな最期でも、彼女たちのような女性たちがいたからこそ、今の私たちの生活がある。
そして、今の自分の歩む道が未来の誰かを救うことがある。
未来へ、未来へ、未来へ―。
胸に浮かんだこの言葉を忘れたくない。
女性の生きづらさ、力強さ。男性の目線から読むと、身につまされるものがある。
三人の女性が絡み合う、という話を予想していたが、
複雑な生い立ちを持つイラストレーター、
親のスネをかじって、親の背中を追って自立するライター、
いわゆる平凡な人生を、自ら進んで選択した主婦、
という、ある一時に出版社で人生が交差した3人の生き様がそれぞれに描かれ、
それぞれの選択と葛藤が提示される。
「幸せってなんだろう、生きるってなんだろう」という、
答えのない問いを考えさせられる。
今までの窪美澄さんの作品とは一味違う大河小説。まず、こんな話も書けるんだ!という驚きがあった。これまでの窪さんの作品に出てくる女性は、どうしようもない弱さやだらしなさ、醜さなど、マイナスな部分も含めてすごくリアルで、だからこそ愛おしく思えた。生きることの愚かさやみっともなさもどこか清々しく描ききっていた。
この作品では、そんな地べたを這うような女性が主人公ではない。
この「トリニティ」の舞台は戦後から、狂騒の時代が終わる半世紀、日本社会も、女性を取り巻く状況も、大きく変わった時代。裕福な家庭に育ち、生まれながらにして文筆の才に恵まれ、働く女性の道を切り開く登紀子。父親を知らず、片田舎から上京し、飛び込みで持ち込んだイラストが認められ、時代の寵児となる妙子。腰掛けで入社した出版社で、二人と親しくなるも寿退社して専業主婦になる鈴子。三人はそれぞれのやり方で激動の時代を生き抜いてゆく。
これが二人のキャリアウーマンの成功譚だったなら、鈴子が、単に二人との比較のために描かれたキャラクターだったなら、なんだかモヤモヤしたままで終わっていたはずだ。しかし、時が過ぎて、鈴子の孫の奈帆が知る登紀子と妙子の物語は、決して輝かしいものではなかった。仕事、結婚、子どもに翻弄され、格闘しながらもボロボロになり、晩年は誰にも顧みられることなくこの世から去っていく。しかし、三人の物語がハッピーエンドでなかったからこそ、奈帆という一人に女性にまた歩き出す力を与えることができたのだろう。
誰とも同じようには生きられない。それでも、自分の足で自分の人生を歩むしかない。