DRY
原田ひ香
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刊行日 2019/01/23 | 掲載終了日 2019/01/23
ハッシュタグ:#Dry原田ひ香 #NetGalleyJP
内容紹介
北沢藍のもとに、十年以上も会っていなかった母孝子が祖母ヤスを刺して留置場にいると、弁護士から連絡が来る。藍は職場の上司と不倫して、二人の子供を置いて、武蔵小杉のタワーマンションから追い出され、今は元住吉4万8千円のアパートにひとり暮らしている。昔から、男にだらしない母とお金にがめつい祖母はけんかが絶えず、藍は逃げるように家を出たのだが、年老いてうら寂しく暮らす二人に久しぶりに会い、食べるものにも困る今の自分の境遇もあり、金をかき集め保釈された母と、傷は浅くすぐに退院した祖母と女三人、袋小路にある実家で暮らすことになる。家は荒れていて、隣近所も空き家が多くひっそりとしている。隣に住む幼馴染の馬場美代子は、彼女の母親が家を出た後、祖母と父を介護の末見送り、40代となった今も祖父の介護が続いている。久しぶりに会う美代子と、親に振り回される者同士親しくなり、行き来をするようになる。介護に邁進する彼女は町一番の孝行娘とあがめられているが、祖父は確か百歳は超えているはずだ。介護しかしてこなかった美代子は、祖父が亡くなった後、どうやって暮らしていくのだろうか。実は、彼女の暮らす家にはのちに世間を騒がせることとなるおぞましい秘密が…。藍は思う。この世は修羅で女の生きる道はただ人の後始末をするしかないのだろうかと。
おすすめコメント
『ランチ酒』『三千円の使い方』が大人気。今乗りに乗っている原田ひ香さんの最新作……なのですが、すみません!全く毛色が違います。
お隣のみよちゃんは優しい。優しいけど何かおかしい。みよちゃんが抱える秘密を知ったとき、そのグロテスクさに震え、面白さにうなることになるはずです。面白くてビュンビュン読み進んでしまうと思います。ぜひ読んでみてください!
『ランチ酒』『三千円の使い方』が大人気。今乗りに乗っている原田ひ香さんの最新作……なのですが、すみません!全く毛色が違います。
お隣のみよちゃんは優しい。優しいけど何かおかしい。みよちゃんが抱える秘密を知ったとき、そのグロテスクさに震え、面白さにうなることになるはずです。面白くてビュンビュン読み進んでしまうと思います。ぜひ読んでみてください!
販促プラン
本当に面白いので、中身を知ってもらえるような販促をしたいと思っています!
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出版情報
ISBN | 9784334912604 |
本体価格 | ¥0 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
結局、主人公の藍も、美代子と同じ道を進むことになるのかと思わせるエンディングでした。・・・夫と結婚し2人の子供がいる生活で、パート先の上司との不倫がばれ、夫の義父、義母から追い出され、自分の祖母、母と3人暮らしに戻るが、近所の幼馴染みで、祖父の介護暮らしをする孝行娘、美代子と仲良くなっていく。しかし、美代子には、隠された事情の生活があり、藍は、だんだん、巻き込まれていく・・・とんでもない祖母、母親だなと思っていたら、隣の美代子の方が本筋になって、こちらの方がとんでもなかった!・・・ワオ!
読んでいくうちにどんどん物語に引き込まれていった。
男を作っては出ていく母親が、ある日祖母を包丁で刺したとのことで、主人公の藍は母親に頼まれて保釈金を用意する。彼女も不倫という理由で夫と離婚し、子供からも引き離されている、人生の底の方にいる感じの女性。
祖母の家の隣に住むみよちゃんという40歳の女性は、自宅で祖父を介護し生活していて、藍の祖母と母のケンカを仲裁したり、藍にもとても親切にしてくれているが、話が進むにつれだんだんとみよちゃんという女性の闇が見えてくる。予想だにしなかったみよちゃんの秘密。そしてその秘密を共有してしまうことになる藍。
ページをめくる手がやまず、最後まで一気読み。
「DRY」というタイトルがぴったりでした。みよちゃんの秘密についても、藍の感情についても。
とても面白かったです。
親権を手放し、出戻り娘となった主人公の藍。
不安定な情勢に追い討ちを掛けるように、母と祖母の流血騒動が勃発する。
遠ざかっていた実家に身を寄せる事にした藍だったが、相容れぬ母娘の暮らしに疲弊していく。
それもこれも貧困が招いた、醜い骨肉の争い…。
藍は藍で隣人の美代子の影響下に置かれる。
これがまたとんでもなくクレイジーな女であり、脳みそを“ちゅーちゅー”吸って生計を立てているのだ。
だらしなく墜ちていく四人の女。
欲に目の色を変え、安易な方へと流れていく。
猟奇的な美代子だったが、実は一番現実を直視し受け入れる覚悟が備わっていた。
藍が見せたラストシーンの狼狽えを、何度もリフレインしてしまう。その含意を私に重ねて─。
この世こそが地獄そのもの
生きれば生きる程、業は重なり地獄はどんどん深くなる
出来れば小説のままであって欲しい程リアルな最悪が恐ろしい
それにしてもなんて意味深な題名だろう。ドライって4つのアレですよね。
そこを越えたら真っ逆さまに転落してしまう。
境界線や、ボーダーライン。
そこは、日常の延長線上のふとしたところにあるのかもしれない。
今の自分が立つ安全な場所の、すぐ横で蠢く真っ黒な闇。
気づいてしまったら、もう見過ごすことはできない。
こんな体験は小説の中だけでいい。
タイトル通りの作品。
正直、読み進むのツラく感じることもある作品です。
それだけ状況に引き込まれていきます。
主人公・藍は離婚し相手に子どもの親権を取られた上に、母と祖母が大ゲンカして刃傷沙汰を起こしてしまうことからストーリーは始まります。元夫を脅し、不倫相手を脅しお金をせしめ、実家の隣に住んでた幼馴染の美代子とある秘密を共有しながら、色んな意味で転落していく藍・・・主人公の乾きとともに、自分の心が乾いていくようでツラかった・・
苦しんでいるのに、じめじめした苦しさではなく乾いた苦しさ・・一番つらいのかもしれません。
最後のシーンで踏みとどまるのか、落ちていくのかどちらなのでしょうか・・
とにかく強烈な印象に残る作品でした。
藍は最初は過酷な状況でもなんとか頑張っていたのに、ちょっとしたはずみにどんどん堕ちていって心の中まで侵食されていくのがリアルに怖かった。美代子も根は悪い人じゃないのに、理解して助けてくれる人がいなかったから仕方なくやったみたいで切ない。他人に無関心な自己中な人たちはDRYというより、無機質に感じる。
疎遠になっている母が祖母を刺したと弁護士から連絡がきたことがきっかけで袋小路にある実家に戻った藍。離婚して子供の親権も取り上げられ母親は男にだらしなく、祖母は金にうるさい、拠り所を求めるように近所にいる同年代の美代子と親しくなるが、自宅で祖父の介護をしている美代子には秘密があり、話は予想の斜め上へと展開していく。巻き込まれたかのように見えた藍なのにずぶずぶと沼に嵌っていくみたいに堕ちていく。登るよりも堕ちる方が簡単だものね。自堕落な四人の女にうんざり、げんなり、でも面白くて目が離せない。原田さんの作品は『ランチ酒』『三人屋』を読みましたが、このようなテイストの作品も書かれるのかと驚きました。