光まで5分
桜木紫乃
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刊行日 2018/12/14 | 掲載終了日 2018/12/14
ハッシュタグ:#光まで5分桜木紫乃沖縄北海道 #NetGalleyJP
内容紹介
北海道の東の街から流れ流れて沖縄にやってきたツキヨは、国際通りから奥に入った小路にある「竜宮城」で身体を売っている。保険証も持たないツキヨは奥歯の痛みに耐えかねて、客の一人に教えてもらった”ブラックジャック”を訪ねることにした。もぐりの歯医者はタトゥーハウス「暗い日曜日」で彫り師をしている元歯科医で、万次郎と名乗る男だった。万次郎はヒロキという青い眼をした若者と、そこで暮らしているのだという。自分の身体に興味を示そうともしない万次郎に興味を覚えたツキヨは、「竜宮城」を出て万次郎たちと暮らすことにする。秘密を抱えた三人の奇妙で穏やかな暮らしが始まるが、平穏な日々は長くは続かなかった……。
直木賞作家が、故郷北海道を遠く離れて、沖縄を舞台に描いた新境地!!
おすすめコメント
北海道が生んだ直木賞作家・桜木紫乃さん。
北海道が舞台の作品を書き続けてきた桜木さんが描き出す、南の果て沖縄の曇り空。
さびしい3人が沖縄で送る穏やかな日々とやがて訪れる別れ。あなたは何を想いますか。
北海道が生んだ直木賞作家・桜木紫乃さん。
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販促プラン
日本の北から南まで、桜木さん一色に!
企画考案中です。良いアイディアがありましたら教えてください!
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出版情報
ISBN | 9784334912550 |
本体価格 | ¥0 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
北海道から流れ着いた売春婦のツキヨ。タトゥー師でもぐりの医者の万次郎。青い瞳を持つヒロキ。三人が沖縄の空の下、竜宮城の物語を紡いでいく。
暗く湿った路地裏で繰り広げられる現代の竜宮城には痛みと閉塞感が溢れ、息苦しいほど。けれども、綴られる物語は海の奥深くで淡くたゆたう光のように美しく、悲壮さを感じさせない。選び抜かれた言葉とともに揺らめくその情景に、幾度となくため息をもらし、溺れてしまいたいとさえ思った。
切なさの果てにたどり着いたのはぼんやりとした光。行き暮れた男にとっての砦がどんなに美しいか、そんなのわたしにもわからない。そう、はっきりしてなくていいのだ。その光にふわりと包まれるような読後感。素晴らしかった。
まさに快感の読書。
珍しく沖縄が舞台の作品。
幼少期から性虐待を受けて育ち、売春宿のような所で暮らす38歳の女性。
あるきっかけで穏やかな3人暮らしが始まったかのように見えたが…
相当に過酷な人生で重苦しい作品でした。
ラストにほんのり光が見えたのが救いでした。
うそ~竜宮城に戻るの?・・・直木賞の「ホテルローヤル」の頃の紫乃さんに戻った感じの雰囲気でした。・・・看取りやのヒロキが題名に関係してるんだけど、この何とも出来ない生活から抜け出すのでは無くて、それに浸りながら一生を終えようとするところが著者の描きたいシーンなのだろうなと思う。ハッピーエンドでも、ハプニングエンドでも無い。自堕落エンドとでも言うか、この生活はつづくよって感じ・・・紫乃さんでした!
幼い頃、父との密かな遊びに身を委ねた少女。何も知らない母に少女は何を思ったのか。突然自ら命を絶った父の記憶を胸に秘めたまま、少女は死に場所を求める様に、海の果て、沖縄まで辿り着いた。
桜木紫乃さん、読みやすい文体ながら難解な感情表現。性描写が多くて、少々苦手な作家さんです。今回も倦怠感溢れるこの世界に馴染めませんでした。残念。
─ツキヨは清々とした表情で“光”を見送る。
係留した過去にたゆたいながら、ヒロキと万次郎を想うことにして。
凍える北の海から、蕾をほぐす南の海へと流れ着いた女。
奇妙でありながら微笑ましいこのトライアングルは、何を介して響きあったのだろう。
私の身体の中で骨がきゅうきゅう鳴く。擦れて軋む“光まで五分”の黙考。
北国から漂い沖縄の裏路地に流れ着いた女が、過去を抱えた闇医者と天使のような美青年と出会い、光のあたる場所を向きながら漂い続け、また戻されてゆく・・
肌と空気の間をまとわりつきこびりつくような描写がクセになる。
竜宮城を出て開けた玉手箱には何が入っているのか・・・
生きているのはものすごく面倒で重くて、誰ともかかわり合いになりたくないと思うこともたくさんあるのに、結局人は誰か自分以外の熱を求めてしまうし、誰かを触れていないと生きてはいけない。
明るく爽やかな沖縄の地で、笑顔の塊のような観光客と表裏一体のように存在する彼らは、自分たち人の誰しもがその薄暗い部分を持っていることを感じさせた。
元娼婦のツキヨ、元歯科医の万次郎、看取りの天使ヒロキ。いつもの桜木作品が北海道の曇天の下で這いつくばっているような感じだとしたら、寄る辺ない大人3人が沖縄の海の底でゆらゆらとたゆたっているような話だった。光まで5分だとしても、その5分が途轍もなく遠いものに思える。舞台が北海道だろうと沖縄だろうと相変わらず人生に行き詰っている人を描くのが巧い。どん底にいるように見えても悲壮感を感じないのは南の「なんくるないさ」な精神が作品中に息づいているからなのかもしれない。