平場の月

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刊行日 2018/12/14 | 掲載終了日 2020/01/19

ハッシュタグ:#平場の月50歳の恋愛熱情哀しみ #NetGalleyJP


内容紹介

6月10日月曜日。青砥健将は駅前の花屋にいた。昼休みに須藤の訃報を聞いたからだ。

朝霞、新座、志木。このへんで育ち、このへんで働き、このへんで老いぼれていく元男子と元女子。からだの不調で生検をしたばかりの病院の売店で、中学以来の再会を果たした青砥と須藤もそうだった。

50歳になった男と女が、不治の病と闘い、不安の中で、つき合い、しがみつき、年老いていく。若くはない二人には、年老いた家族や、しがらみや、それぞれの過去もあり、若い男女の燃えるような恋にはない、危うくて美しくて清らかな、二人にとって確かな世界が縷縷と流れる。すき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、しみじみと描く、大人の恋愛小説。

6月10日月曜日。青砥健将は駅前の花屋にいた。昼休みに須藤の訃報を聞いたからだ。

朝霞、新座、志木。このへんで育ち、このへんで働き、このへんで老いぼれていく元男子と元女子。からだの不調で生検をしたばかりの病院の売店で、中学以来の再会を果たした青砥と須藤もそうだった。

50歳になった男と女が、不治の病と闘い、不安の中で、つき合い、しがみつき、年老いていく。若くはない二人には、年老いた家族や、しがらみや、...


出版社からの備考・コメント

★★★2019/6/17 第161回直木賞の候補作になりました!★★★2019/5/15 第32回山本周五郎賞を受賞しました!★★★

★★★2019/6/17 第161回直木賞の候補作になりました!★★★2019/5/15 第32回山本周五郎賞を受賞しました!★★★


おすすめコメント

『田村はまだか』の朝倉かすみさん最新作。

身体の不調。年老いた親。狭いコミュニティ。

残りの人生を意識し始めた元男子と元女子は、精一杯、恋をしました。一緒にいるために生きる。生きるために一緒にいる。そんな恋ができるのは大人の特権です。ぜひ読んでみてください。


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販促プラン

発売直後から有名な女性書評家さんたちに絶賛して頂いています。売り上げも着実に伸びてきています。

書いて頂いた書評を集めたPOPをアップしておりますので、ぜひダウンロードして店頭展開にお使いください。電話での拡材のご注文も承っております。

光文社書籍販売部 荒井 03-5395-8116



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出版情報

ISBN 9784334912567
本体価格 ¥1,600 (JPY)

NetGalley会員レビュー

郊外の特に特徴もない街で生まれ、その後様々な人生を送るが、バラバラになった同級生たちは、老いてまた生まれた街に戻ってくる。
主人公の中年男もそんな冴えない人生を送ってきた一人。親の介護で地元に戻ったことがきっかけで妻子に出て行かれ、仕事も変える。
検査に訪れた病院の売店で中学校の同級生と出会う。当時、告白した相手だったが、相手にされず、苦い思い出になっている相手だ。相手は寡婦となっていた。
小説は、その同級生の訃報を知るところから始まる。そして、再会へとストーリーは遡り、二人の関係の変化を丁寧な筆致で描いていく。
何気ない小説で、ものすごいドラマが起こる訳でもない。ストーリーは淡々と進んでいく。その自然な筆運びが心地よい一作。
大人になるにつれ、こういう何気無い小説がいいと思えてくるのは老化の一端か。NHKの土曜日の夜の何でもないようなドラマが支持されているのも、歳を取ってくると理解できるようになってきた。きっとこの作品もそんな場でドラマ化されるのだと思う。
続けて読んでいきたい作家が一人増えた。

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風の便りに聞いた同級生の死。
主人公の青砥は動揺を滲ませつつ回顧に耽っていく。

読者は冒頭で“死を知らされなかった”何かがあった事を察し、過去を辿っていく事になる。

中年となった男女が再会し、互いの幸せを思慮しながら生命を見つめていく物語。

彼女の思いやりなのか独善なのか、ないまぜになった最終章が根雪となり今も融けてくれない。

音もたてず天に昇った恋慕。
今宵も月が平場をやわらかく照らす。

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読了後、うっすら涙に滲んだ。あくまでもうっすらと・・
お互い離婚を経験した同級生同士が再会し、過去を抱えながら惹かれあい繋がる物語。
人生の半ばも過ぎ終局に備え転機を迎えようとする大人の恋愛は、激しさはないものの静かに深さを増し、二人の飄々とした会話のやり取りが取り巻く状況を際立たせ、切なく感じられる。
熱すぎずに適度に揺れ動く感情の動きが生々しい極上の大人の恋愛物語。

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地元に戻り、中学の時の同級生の須藤と偶然再会した青砥。お互いにアラフィフとなり、バツイチとなったふたりの恋愛は若い人達のようには燃え上がらない。でも、穏やかに少しずつ詰まっていくふたりの距離。人生の終盤を須藤と一緒に過ごしたいと願う青砥とすれ違う須藤の頑なさがじれったい。私が須藤だったら……やっぱり引け目を感じて拒んでしまうかな、それとも素直に甘えて頼るかな、とか、青砥なら須藤のような状態になってもなおパートナーとして望むだろうか、など自分の身に置き換えて考えてしまう、しみじみと沁みる作品でした。

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中学の同級生に偶然再会した50代の男女。結末は最初に語られていて、そこに至るまでの物語が紡がれている。 久しぶりに読書の醍醐味を感じた。華やかさはなく、しっかり根付くような関係で、ちょうどいい距離感。羨ましくて嗚咽がもれた。

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これはもう感想うんぬんじゃなくて、次の直木賞をあげてください。で終わりなのに、レビューは100文字以上じゃないとエラー。冒頭明かされる結末に向かって、読み進めていく読者、わかっているけどそにこたどり着きたくないという思い。

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余韻が残る。病と生との間にあり、静かな時間の流れるストーリー。世の中の生き辛い部分を描きつつ、ほのかな明かりがさしている。ふと、隣にいる人の現実のようなそんな気分になる。

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初めから、答えのわかっている二人の物語。
ともに平坦でない時を過ごし、再会した50代の男女。お金も地位もなく家庭にも恵まれず、かといって最底辺というわけでもなく。そう、多分、くっつこうが離れようが、誰も興味を持たないだろう二人。せいぜい昔の同級生の噂話のタネになるくらいの。なのにきっと、二人の中に誰もが自分を見て、苦しくなるに違いない。わかっていたけど、もしかしたら、とそうでない結末を望みながら読んだ。それでも会えて、幸せだったんだと思いたい。

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哀しいストーリー。50代の同級生の男女が再会し、お互いバツイチ同士でやがて恋愛関係に。しかしお互いが相手を想う故に行違い離れることになってしまう。一番辛い時に側に居たかっただろうし、居て欲しかっただろうと思うととても切ない。須藤の死を知った時の青砥の気持ちを思うと辛すぎる。深く心に沁みる本だった。

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中学時代の淡い思い出の人と50歳になってからの再会。
須藤、もっと甘えろよ。散々やらかしたからって、幸せになっちゃいけないってわけじゃないんだよ。青砥、もっと強気で押せよ。ほんっと、肝心なとこで抜けてるんだから。最初から結末はわかっていたのに、駐車場片隅のハーブに既視感があって不思議だったけど、須藤が死ぬってことすっかり忘れてて、青砥と一緒になって6月を待ってた。もう、ほんとに...もらい泣きしちゃったじゃないの。

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大人の哀しい恋愛小説。最後ちょっぴし泣きました。年代が近いから親近感が湧くのかな?病気のことも身につまされる。遠慮しないで青砥に甘えて欲しかった。もう会えないのは辛い。青砥は最後までハコのそばにいたかったと思う。感情移入してこっちまで喪失感でいっぱいになりました。

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人生も折り返しを過ぎた男女の恋愛小説と言うと、どろどろしたものを想像してしまったけれど、中身はティーンエイジの頃と変わらないピュアなものだった。
年齢を重ねたからこその、相手を思い、寄り添う気持ちと、大人になってしまったからこその不器用さが、切なさを増している。
同世代だからこそのリアリティーを感じて、自分と重なる部分に、心を打たれた。

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平場の月。
読了後に心にずしんとくるタイトルです。生きること、死ぬこと、愛すること、憎むこと。甘過ぎず、美し過ぎず、人間くさいところもありながらとても潔く、それらを描いた作品だと思います。
自分ならどう生きてどう死にたいか、人生の折り返し地点を過ぎた男女の触れ合いを通して、読者にいろいろな思いを抱かせる内容です。

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50歳を過ぎた中学の同級生、須藤と青砥。病院での再会から家呑みへと距離が縮まっていく。お互い古傷もあり語りきれない過去もある。中学時代に感じていた須藤の人間としての太さ。時を経ても同じ所に惹かれていく青砥の純粋さがいい。須藤に大腸がんが見つかり闘病していく中で二人の関係も変わっていく。踏み込めない部分と頼って甘えたい部分のやりとりが同世代として共感できる。もう若くはないのだ。相手の人生を請け負う覚悟は半端にはできない。だが50歳から始まる人生だってあっていい。須藤の光が見えたときに感じた絶望を想像すると胸が痛む。数多ある人生の一つをこうして物語として体験できる幸せを改めて感じた一冊だった。

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若い世代の恋愛と違ってお互いの想いだけで突っ走ることができず、しがらみやら背負っているものやらが大きく影響することを改めて痛感した本でした。
個人的には最後は何となく呆気ないというか、納得いかない部分もありましたが、大人の恋愛だからこんな感じで物静かに終わるのでしょう。

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50代になってしまったけど何とか生活していける程度の不安定な収入しかない。健康も危ういし老後も今そこに迫る危機。
そんな元同級生のふたりが再会し、心をゆっくりと寄せ合っていく。
地に足のついたリアリティのある物語。
平場から見上げる月の美しさ。
「現実」が苦しいほどリアルなだけに切ない。

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20代の私には実感をともないながら読むことができなかったが,深い情に触れた気がした.

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切ない大人のラブストーリーでした。
大人だからこそ相手を思って素直に言えないこともあって二人の関係がもどかしい反面、小さな幸せを噛み締めることができたのも色々な経験を積んできた大人ならではだと思う。
二人が過ごした時間は短いものだったかもしれないけど、かけがえのない温かな時間だったように思う。
こんなに素敵な恋愛小説は久々に読みました。

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50代の大人の恋愛小説
人生の半分を過ぎて、若い頃の勢いもなく、親の介護や日々の生活の苦しさ、煩わしい人間関係、諸々を含めたいつもの日常。その中でひっそり始まった等身大の恋愛。どこにでもある日常風景だけに、身につまされる思いがする。
この特別感のなさを良いなと感じるのは
大人の特権だろうか。歳を重ねて良かったと思える作品。

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結婚は日常、と昔読んだコミックのセリフが浮かんだ。
若い時のようなときめきがなくても、微妙な距離感を保ったままだったとしても、青砥と須藤は確かにお互いを認めて必要としていた。そこへのしかかる命にかかわる病気という現実。
月を見ながら考えた夢みたいなこととは、青砥と一緒に年をとる未来だったのだろうか。
静かに始まり静かに終わっていくアラフィフの現実味を帯びた恋愛がここにある。
じわじわと染みの広がるような寂しさを今噛みしめている。

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重たいテーマでありながら、淡々と描かれた傑作。この著者の作品は初めて読んだが、非常に読みやすい文体で、幅広い年齢層に支持されるのではないかと思う。
大人だって、中高年だって、世界の中心で愛を叫ぶのだ。

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生まれ育った町にそれぞれ独り身になって戻った男女が35年ぶりに再会し、過去を懐かしみ、今を報告し合い、間の35年を共有し…。お互いを尊重し少しずつ距離を縮めていく、じれったいほどの様子が心の柔らかいところをそっと差し出すように描かれます。人生の半ばを過ぎて更に病を抱えても、生きるというのは今日明日の話ではなく、明後日でも明後日まででもない。だからこそ、青砥の後悔も、須藤の選択も、わかりすぎるほどわかってしまうのです。平場で普通に生きる、ただそれだけの事が難しい。見上げた月はどんな表情をしているのでしょう。

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どんな夢みたいなことを考えていたんだろうか。それは青砥の想像通りだったのか、それとも須藤のことだからまったく違うこと(例えば庭いっぱいのローズマリー)だったのか。「夢みたいなことをね。ちょっと」このセリフはしばらくの間、涙腺を緩ませるキラーワードとなりそうです。

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50代の恋愛。少し早すぎる人生の黄昏。頼りたい気持ちと、頼りたくない気持ち、頼ってほしい気持ち。
ひたすら静かに、心の襞に見え隠れする、ふたりの想いと迷いと惑い、そして決意。
結末はわかっているからこそ、切ない、悲しいという言葉では表しきれない何かが胸に迫る。

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胸が締め付けられる程
悲しいわけではない。
だけど寂しさが
じんわりと心に広がっていく
そんな物語でした。
読んでいる時ではなく
思い返した時泣きたくなります。

退屈な " 平場 " の話なので
誰にでもおすすめできるか
と言えばそうではないかな。

甘えることが苦手な須藤。
なんだか自分に似ているようで
リアルで共感しました。

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人生のいろいろを経ての50代の恋愛。しかもお洒落な都会の大人ではなく、少し郊外が舞台、ユニクロや無印で買い物するようなシーンもあったりと、ものすごくリアルで身近。派手じゃない、平凡そうなのに、なんとも哀しく心絞られ揺さぶられ、あとを引く作品です。再読したい。

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死にとても近い場所にいながら、叫び出すでもなく、相手にすがるでもなく、太いままだった須藤。誰にも見せないだけで、心にはたくさんのものを抱えていたのだろうと思う。
読んでいる間中、ゆらゆらゆれるろうそくの優しい灯りをずっと見ていたような気がする。彼女の最後の言葉が語られた場面で、その笑顔が一瞬見えて、ふっと消えた。
二人がなんでもない話をして、なんでもない日常を繰り返しながら、共に歳を重ねていく、そんな「夢みたいなこと」が起こらないことが、とても悲しいと思った。

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少し前まで”初老”なんて表現で括られた50代。体の機能は落ちても、人生の円熟期をこれから楽しむとのイメージを湧かせる年齢層。現代はこの世代でも社会との接触が苦手な方がたくさんいる。世の中の変化が激しくなっていく中で、そのスピードや変化の大きさに疲弊し、他人の優しさに触れる機会を閉ざし、殻にこもる心理に堕ち込む可能性は誰にでもある。本書の登場人物は50代になっても生きるのに一苦労も二苦労もあるが、そこで見つけた小さな心のふれあい。須藤が亡くなった時、青砥が感じた”堅い地中を進んだ根の深さ”は心に沁みました。

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人生の華やいだ時を過ぎた50代、毎日を淡々と暮らす生活の中に訪れた再会。
青砥は、再検査のために訪れた病院の売店で、中学の同級生「須藤」と再会しました。須藤は50代になっても、青砥の記憶の中の「須藤」だった。
50代の二人は、恋愛も結婚も離婚も経験して今の生活がある。若い頃の様に燃え上がる恋愛にはならないけれど、青砥は、「これから先死ぬまで生きていく相手として」須藤を意識する様になります。
作者は、「世界の中心で、愛をさけぶ」的な悲恋ものを描きたかったそうで、冒頭から結末を明かしていますが、結末を知っても飽きる事なくラストまで読ませていただきました。愛情の形は年代毎に変化していくものかもしれません。激しいだけでなく、オンドルの様な青砥さんの愛が素敵でした。
「青砥」「須藤」と呼び合う二人のスタイルは、若々しさや、寄り掛からない潔さを感じる反面、最後の一歩を踏み込ませない頑なな須藤の気持ちも表す様で、読み終わった後まで耳に残ります。

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不惑なんて言うけれど、そんなのはあくまでも理想というか綺麗事で、いくつになってもジタバタ足掻いて生きていくしかないんだし、そんな姿にこそ、ふと通りかかった人は心を掴まれるのだと思う。大切にしている友人と須藤が重なって、あぁやっぱり私は彼女のことが大好きだし憧れるし、時に勝手に寂しい気持ちを抱いてしまうなぁと、青砥になりきったりもした。闘病記としてもとても参考になる部分がありました。素晴らしいR40小説です。

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誰かに頼ることに悩んだりこんなにも考える日がいつか自分にもくるのだろうか。
誰かを支えたいのにそれを拒否される哀しさ虚しさを味わう日がいつか自分にもくるのだろうか。
世間的に(十分)大人と言われる年齢になり、経験してきたこととこれから経験するかもしれないこととふまえて色々頭の中でぐるぐるした。

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「すぐ読み」になっていたので再読しました。ありがとうございます。
じんわりと心にしみる話です。
最後まで読んでから、冒頭部分を再読すると、二人の有り様や気持ち、青砥の悲しみ・・安易な言葉ですが、これしか思い浮かばないので・・が、より強く伝わってきます。
外部SNSのレビューを見ると、感想の年代差がはっきり出ているのも、興味深いです。
中高年の恋愛を(小説とはいえ)受け付けない人が多いのが残念です。

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静かな静かな大人の恋愛小説です。
相手を思いやり自分の気持ちを押さえてしまう。
読んでいてもどかしくなり切なくもなります。

もう50歳にもなると若い頃の様に
「いつも一緒に居たい」
「イチャイチャしたい」
「結婚したい」
というよりは
「自分の心のよりどころ」であったり
「一人だと持て余してしまう時間を共有する相手」だったり…。
文中にある青砥の思い
「べつに結婚という形にこだわらなくてもいい気がしてきた」
という一文に納得。

同世代なのでとても興味深く共感しながら読み終えました。

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美しい話。
地に足がついた、生活の延長のような、恋愛話。
最初にラストが提示されているにもかかわらず、読むのがやめられなかった。

ただ、主人公の青砥は、そのへんにいそうな人物にも思えるものの、実際は万に一人もいないだろうなぁ、という印象を持ってしまった。いい男過ぎるのだ。一瞬平凡な男に見えるものの。
女性にとって、ちょっと都合が良すぎるような気がする。

それでも、台詞がとにかくいい。
「夢みたいなことをね。ちょっと」。「ちょうどよくしあわせなんだ」。
なかなかお目にかかれない台詞だと思う。
じわじわっと味わう、そんなことができる作品だ。

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2人ともお互いのことを大事だと思う余り、核心の所を詰めていけないもどかしさがある。青砥くんとしては、須藤さんにもっと自分へ頼って欲しいし、弱音を吐いて欲しいし、もっともっとこっちへ来て欲しかったんだけど、そうしてくれたのは須藤さんが手術をして療養している間だけだったのね。

 少し元気になって社会復帰できそうになった時点で、須藤さんはひとりで生きたいと言ってきた。青砥くんは、その言葉をまともに取ってしまって、1年待とうという返事をしてしまったのが痛恨のミスだったね。

 須藤さんは、自分の寿命がもう尽きそうだということを知ってしまったから、青砥くんを道連れにはできないと考えたのかな?

 青砥くんはね、その事実を知らせて欲しかったんだよ。どんな状況であろうと最後まで一緒にいたかったんだよ。そばにいて手を握ったり、ちょっとおしゃべりしたりしたかったんだよ。一緒に怒ったり、泣いたりしたかったんだよ。

 人を愛するってそういうことなんだと思う。それを分かってもらえなかったのが悲しいよ、須藤さん。

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netgalley にて読了。中学の同級生、青砥と須藤が出会う。なんとなくそばにいるようになった二人。でも、須藤が癌に襲われ…。
離婚、介護、病気…。50歳の二人には未来を夢みることは許されないのか…。自分の歳に近い人たちの、大人の純愛物語。ぐいぐい読ませる力がありました。

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50代の男女が主役の恋愛小説です。

それぞれ結婚・恋愛において痛い思いをしたシングルの二人は、元中学の同級生。ばったり出会ってから、お互いの近況を話合うことから交際が始まります。

決してゆたかとは言えない暮らしむきの中、ゆるやかにお互いを労わるような愛情を育みます。若いおじいちゃん、おばあちゃんといてもいい年代の恋愛のリアルがあります。要介護の母親がいる男性。思い病気を抱える女性。二人は、二十代の恋愛にない風景を見せてくれます。どうなる二人の行く末は。

男性の決意が固まったとき、女性は思いもしない反応を示します。じれったさを表すのにSNSが効果的な使われていますね。胸がアツくなるラストに向けて物語は進み、読了後はしばし余韻に浸ることになるでしょう。

女性の芯の”太さ”がとても印象的な作品です。

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五十代。
そんなに遠くない未来に、その年齢になる身として、なんとなく興味を持って読み始めたら、苦しかったー。登場人物の1人が、大腸癌で闘病していて、その葛藤がその原因。三日ほどにまたがって読んだんだけど、最初の日が一番キツかった。その後は、キツイの通り越して、経過が気になって仕方なくてとにかく結末まで追いかけた。私の母もかつて、大腸の癌(ステージIII)で闘病していたので、あの当時のことを思い出した。

こんなケースもあるよの1つだと理解した上で、このお話が私の中に落とした波紋は大きい。

特に、この年代の方には読んで欲しいなと思った。

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私より、ほんの少しだけ年上のお兄さんお姉さんたちの恋愛模様。
生きていくということ。
誰かと共に生きていくということ。
当たり前に手に入れられるわけではないという現実。
二人の結末がわかっているのに、じわじわドキドキせつなさが止まらなかった。

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切ないですよ。最初に結末が書いてあって、そこに向けて話しは進んで行くのが。あり得ないと分かっていても、少しはハッピーな二人の行く末を期待してしまいました。50代の恋愛物だがすごくピュアで時にいじらしくもあって、二人が出会った頃の中学生の想いを忍ばせた雰囲気がとてもいいです。

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50代だからこその意地だってたり、諦めだったり不器用なところが出ていた作品。歳を重ねれば恋愛上手になるなんてことはないんだよね。読む年代を選ぶ作品ではあると思う。20代、30代はじめの人がどのように感じるかは大変興味深い

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山本周五郎賞受賞、17日発表の直木賞候補の朝倉かすみさん『平場の月』読了。
50代、お互い苗字で呼び合う中学時代の同級生、青砥と須藤の恋。「平場」といえる世界に生きているふたり、須藤は不治の病に。朝倉さんらしい軽妙な台詞とやりとりがより際立つ。

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冒頭はなかなかリズムに乗ることができずに,読み進むのが辛かったのですが,中盤以降は割とすんなり読み進むことができました.とても丁寧に描写を積み重ねて物語を紡いでいると思います.なんだか中学生時代を思い出してしまいました.

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朝霞、新座、志木。東京からみると少々辺鄙でお世辞にも素敵な町とは言いがたい場所に親の介護のために戻ってきた青砥健将。妻とも別れ地元の印刷会社に勤め精密検査で訪れた病院の売店で、中学時代の同窓生須藤に再会する。須藤も破綻した生活を逃れて地元に戻ってきている。こちらは精密検査で癌が見つかり手術で切除するもオストメイトになり、ストーマに苦戦しつつさらに抗がん治療が続く。

決して素敵とは言いがたいシチュエーション。さらに若くない二人の恋物語は情熱的の素直にも進まない。そんな話なのに何故か胸にしみるのは齢を重ねたせいでしょうか。自分たちの身近に転がっていそうな、それでいてなかなか巡り会えないような話ではあります。

女性に好評であるらしい。男性目線で見ると須藤もう少し寄りかかれよという感じではあるのですが。

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冒頭に結末があり、それに向け進んでいく50代で偶然地元の病院で再会した中学生時代の同級生の二人。
すでに結婚、離婚を経験した二人の過去を織り混ぜつつ、中学生時代のこと、日々の生活や介護、自らの病気のなかで、家飲みする仲になり、お互いといるのが日常となりつつも、どこか距離をもつ須藤。
平場の月。最後はせつなくなりました。

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いとしい。
ただただいとしい。
その距離感までもいとしい。
いとしさがあふれて伝わってくる。
相手をおもい、おもわれ、
月の青く白い光が心に差し込み、
静かな読後感が、長く胸を占めている、素晴らしい作品だった!

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50代の恋愛小説と聞き、最初は両親と同じぐらいの年代の恋愛って想像もつかないなぁと思いながら読み始めました。しかし、ページをめくり始めると予想外に熱中してしまいました。さまざまな人生経験があるからこそできる相手への気遣いや情景が具体的に表現されていて、登場人物がすぐそこにいる感覚で読み進められました。

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50代の男女が主人公の恋愛小説です。
それぞれ恋愛、結婚において痛い思いをした独身の二人は、近所の同じ中学の同級生。
ばったり出会ってから、交際が始まる。中学時代に淡い関係は、50代で再開して深い関係になってく話は、読者の心に響く。著者の作品は初めて読んだが、ほかの作品も読みたいと思えた。

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身近な地名が出てくるとすごく親近感が湧きます。
もしかしたら登場人物達とすれ違ってたかもなんて思ったりしながら一気に読みました。
自分が病気だったらどうするかとか考えました。
ふたりはやっぱり幸せなんだと思います。

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非常にテンポ良く、サクサク読める作品でした。きっと自分の感性や思考とピッタリ合うのでしょう、文章を追っていくと「そこが気になっていたんだよ」と思う行が、凄まじい語彙力で書いてある。ちゃんと書いてあるのだ。スルっと腑に落ちてしまう気持ち良さがある。誰かを好きになるのに年齢は関係ないのだと再確認。歳を取ってもこれだけ誰かを想えるのっていいなぁ。
その先に死があったとしても。
青砥は大恋愛をした。それ以上に須藤は青砥に大恋愛をした。

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50代だからと言って、中学生の頃と別人になったわけではない。しかし今までに、スクルージの鎖のように雁字搦めになっているものが、多少なりともあるのもまた現実。

須藤の弱さを表に出さない強さと、乾いた孤独感。病気と毎日と向き合う気持ち。抑えている気持ち。

青砥の男性ならではなのかもしれない鈍感さ。

須藤はなぜぶつけないのだろう。青砥に。
なぜ爆発させないのだろう、気持ちを。
そこがまた培ってきた年月なのか。自分ならどうか。
ぶつけなかったことで、青砥には十字架を背負わせてしまったのではないか。

翻って自分ならどうかと考えるならば、近くにいる存在を大切にしていくこと。それに限るのかもしれない。

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押し寄せてくる、激流ではなくそっと静かにあたたかいものに浸されていくような暮らし。
恋人でも友人でも夫婦でもどの言葉にも当てはまらない、けれど心や、自身のすべてに寄り添ってくるひとりの存在は、真っ白な無音の幸せのように感じた。

美しくもときめきもないけれど、この本そのものが等身大の光のようだった。

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大人の切ない恋愛小説。結末は最初から分かっていたが、それでも最後は涙が溢れた。若い時の恋愛と違い、過去や体の問題を抱えた二人が、相手を大切に思いながら次第に距離を縮めていく様子が良かった。綺麗事ではない、リアルな大人の恋にどっぷりと浸る読書となった。

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恋にがむしゃらになれるほど若くないし、心細くても我慢できる程度にひとりのさみしさにも慣れてしまっている。
求め合っているのに、お互いを想うがゆえに、一緒にいられない。
とても抑制が効いた、不器用な大人の恋愛小説。

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傷ついたことがある大人の二人
だからこその距離感
傷つけなくなくてついた
最後のウソ
熱いものがあっても一歩引いてしまう
若い時なら受け入れられない姿も
様々な経験をしたから受け入れられる

大人の恋だからこそ切ない

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高校時代の同級生の男女が50歳になってから再会。それはやがて「恋」に発展。しかし、女性はガンにおかされていた。50歳を過ぎた恋は若い時とは違う。静かに深く温かいと思う。大切な人を失うつらさがストレートに伝わってきて、切なくて泣けた。

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人として本当の優しさとは何かを問う。
自分の苦痛や悩みを分かち合えるはずの相手にもそれをしない。
それが強さでもあり、自分が弱いと分かっているが故の決断。
自分の不幸を相手に伝えず、去ることを選ぶ辛さが特別寂しく感じられた。

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かつて中学の同級生で元男子の青砥と元女子の須藤、
かなりの時間を経て、50代で再会した二人の物語。

お互い就職をして、結婚をして、離婚もして、親も見送って、
そろそろ老後のことも考え始めてしまう頃合だ。
今は互いに独り身で、これからのことを考えるとちょっと寂しいかもしれない。

だから、「このひとと生きていきたい」と思える人がいるっていいなあと思った。
誰かが傍らにいてくれるって、いいものだなあ、と。

年齢を重ねたからといって、何もかもうまくやれるものでもないんだね。
むしろ、年齢を重ねてしまったからこそ、臆病になってしまうこともあるんだなあ。
ああ、じれったい、いい大人なのに二人とも不器用なんだから。

そして、はじまって数ページで二人の結末が明かされていたので
ある程度覚悟はしながら読んでいたのだけれど、
それでも、最後はやっぱり涙ぐまずにはいられなかった。
青砥はこれからどうやって生きていくのかな。

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未熟な想いを覚えた中学時代の同級生の元女子と35年振りに再開した元男子の主人公との恋愛小説。果てしない波乱があるストーリーの筈なのに、何故か陸の様に“平場”に紡がれる淡い恋心が印象的だった。単調過ぎるほどの進め方が却ってリアルを強調していて、読者の年齢層によって著しく捉え方が変わるだろうと感じた。弱った大人のもどかしい強がりと甘えのコントラストが絶妙に面白い、山本周五郎賞受賞のオススメ作

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あの日の言葉を答え合わせするように青を砥ぐ。

他人事のように読めない自分がいた。
理由は簡単で、みんなそこに行くからだ。
人生はたかが何十年。
誰と出会い、誰と別れるか?
死ぬ時も結局は孤独なんだろうか?
中年の男女のストーリー。
ドロドロではないがサラサラでもない。
そこがまたいい。
青い空はいつか夜となり暗闇から月が現れる。

本が好き!倶楽部
せいちゃん

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それなりに人生経験を積み、終わりも考え始める世代の二人。相手を思いやる気持ち、嬉しさに舞い上がる気持ち、若い時とはまた違うどこか冷静な恋愛が、淡々と書かれていることで、より心に染みてきます。この小説が、心に響き余韻を残すということは、自分も青砥と須藤と同じように人生を送ってきた、歳を重ねたんだなと実感しました。若い真っ直ぐなだけでない物語を味わえる大人になったことは、歳をとる良さかなと思いました。

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切ない大人の恋愛小説。中学の同級生だった青砥と須藤は偶然再会する。もう50歳の二人。過去があり、年老いた母がいたり、健康面でも不安がある。最初、須藤の口調になかなか馴染めなかったが読み進めていく中で、らしいなと思えてきた。少しずつ距離が近づいていく二人がもどかしくけどすごくリアル。心の隙間を自然に埋め合う二人を応援したくなる。冒頭で結末はわかっているけど切なくて苦しくて…。最終章それぞれの気持ちになりいっぱい涙が溢れた。そんなの辛過ぎる。切な過ぎる。後悔しきれない。どんな形でも大切な人と繋がっていたい。#netgalleyjp#Net GalleyJp

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中学の同級生だった50歳の男女の静かな物語
淡々と過ぎていく日常に降って湧いた体の不調
そんなときに偶然再開した男女の同級生
お互いを気遣い、必要としながらも不器用な二人の関係は若い頃のように進まない

最近ノーテンキと言っては失礼だが明るいものばかり読んでいたので
重苦しく先の見えない話に圧迫感を感じながらも
物語に引き込まれていきました
もしかしてと思いながらも否定したかった結末になり
なんだかやるせない気持ちになりました

まさに大人の恋愛小説でした

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病院で再会した中学の時の同級生、須藤と青砥。
好きだけど、一緒にならない。 好きだから死ぬまで一緒に生きる相手として、寄りかからずにただ寄り添っていたい。情熱とは程遠いけれどヒリヒリとした痛みを伴う大人の恋でした。

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恋人と死によって別れるという恋愛小説の定石を、50歳の男女でやってのける。人生経験からくる人との距離感がある。交わされる言葉が各章のタイトルとなって、二人の触れ合いが描かれていく。ラストは分かっているのに、切なくなってくる。

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「平場の月」は不思議な小説だ。
登場人物は50代の男女。恋愛小説でありながら、胸がときめいたりしないし、若いイケメンが登場するわけでもない。
ただ痛い。
ものすごい日常の中にあるふとした苦味とか、忘れてしまった恥ずかしい思い出を引っ張り出されてしまうような、そういう辛さを感じる。
読後、爽快感もなく、ただモヤっとした気持ちが残る。それは悲しさや悔しさに似た感情だが、かといってそれは悲しむべきものではないのだという気がする。悲しまなくていいよと登場人物が話しかけてくるような気がする。

読んだ人の心に言いようのない感情を残す。そんな作品だった。

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50代になって再会した同級生の2人。少しずつ心を開き通わせていく様は決して若くは無いちょっと不器用な、それでも相手を大切に思い切実に必要としている純な気持ちがジワジワと感じられる。誰かが死ぬ事で読者を泣かせよう、感動させようというのが感じられない所が良い。残された側がこれからをどう生きていくのだろうと考えてしまう。最期を一緒に居れず、他人から訃報を知った側は寂しさ、悲しみ、怒り、後悔などを感じるのでは。時間が経ち出会えた事、共に過ごせた事が素敵な思い出となる事を願う。

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青砥と須藤の関係がなぜか私には同等には思えなくて、青砥がかわいそうな感じが最後まで拭えなかった。
2人ともいい大人やから、情熱的にはならないかもしれない。
でも、いい年だからこそ、最後まで供にという思いは強かったんではないのだろうか?
須藤には色々あったと思うが、もう少し青砥を頼ってもよかったんじゃないか?
モヤモヤが私には残った

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一千万人の人生と、一人の人生の価値は同じだ。そう考えられる人がどれだけいるだろうか? 生きる平等性は、数の論理では絶対に割り切れない。多くの小説もまた、そうした価値観に立脚して書かれる。読者はその安心を文字を通して獲得する。

 『平場の月』で言う平場とは、平らな場所、メリハリのない場所、特に目立った人生ではなくても、社会を形成する最も多くの人たちが暮らす場所のことを言うのかもしれない。北海道出身の作家なのに、この小説の舞台は、埼玉南西部の何本かの私鉄沿線、新座・朝霞・志木であるらしい。あまり目立った名前でもなく全国的な知名度は埼玉県民でもなければ、相応に低いように思う。ぼくは人生の一番多い時間を埼玉県民として過ごしたから、なんだか隣近所のように思えるのだけれど。

 市井のそれも若さからは少し遠ざかってしまった五十代の男女の恋愛と、一方の発病という苦難を、これ以上ないほど誠実に、一人一人の命をなぞるように描いて、山本周五郎賞を獲得した作品である。

 不思議なのは、最初の数ページで、青砥(男)と須藤(女)の物語のダイジェストが一気に語られてしまう。須藤の死までもが。青砥の目線で物語は始まる。須藤との再会。須藤は同窓生でかつて告白してふられたことのある相手である。二人は五十歳。これからの人生がたっぷり残されているわけでもなく、過去のできごとは彼らの背後に、まるで疲労のように蓄積している。

 どのページを開いても切なさでいっぱいになる。自分のことではないけれど、自分のごく近しい家族とか友人みたいに、あまり距離を感じさせない、自分事みたいに錯覚を起こさせる物語なのである。そして人生の後半を生きる時間の重さ、というものもページの重さとしてそのままに感じられる。庶民、と一まとめに言いたくはないけれど、多くの平場に生きる人間たちの、その数だけある現実のひとつと向き合っているような。そういう二人の今を、応援したくなるような。拳を握りしめて。

 そう。人生は、他人事ではない。ぼく自身、がんの発病とと向かい合った一年であったからこそ(無論その構図は今も未だ完全には終わっていない、須藤のように)、この作品の、意外にさらりと書かれている闘病風景と、そこに進行する五十代の男女だからこその誠実な恋愛風景とを、ぼくは彼らに寄り添うように読ませて頂いた。

 本作が多くの人に読まれているのも、どこか自分に似たこと、自分がそうなっていたかもしれない運命、自分にこれから起こり得るかもしれない未来、そして何よりも重たい現在、を描いて、作品自体が市井の読者に優しく寄り添っているからなのだろう。そして定番としての女性の死という運命。

 ネットなどで、作者のインタビューを読むと、作者は定番で勝負したかった、五十歳の『世界の中心で愛を叫ぶ』を書きたかった、のだそうである。三ヶ月ですらっと書き上げた。そしたらやはり作者らしい小説になっていた。納得。

 厳しくも優しい小説である。二人でいる方がより強く感じられる孤独。厳しい心象風景の連続するなかに、確実に人が与えてくれる手のひらの温もり。繊細な小説時間の中で世界とのつながりを感じさせてくれる不思議な作品であった。

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もう若くはない男女のリアルな恋。
中学の同級生との再会は、地元病院の売店。そこから再び時間は流れ始める。お互いを「青砥」「須藤」と呼び合う2人。距離を縮めたい「青砥」男性と距離を保ちたい「須藤」女性。「須藤」の発病により、その距離は縮んだり伸びたりする。

文中に度々出てくる平場とは、ごく一般の人々のいる場所。そこに差し込む光は、眩しい太陽ではなく優しく包み込む月の光。

セリフのような「須藤」の呟きが目次に並ぶのも目を引いた。ふと、ちびまる子ちゃんが見せる冷めた物言いが浮かんだ。

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