緑のなかで
椰月美智子
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刊行日 2018/09/20 | 掲載終了日 2019/01/21
ハッシュタグ:#緑のなかで #NetGalleyJP
内容紹介
正解なんてないんじゃないか。
いや、今のおれたちで正解だ。
双子の兄、青木啓太は、高校の修学旅行でしまなみ街道をサイクリングした際、壮大な「橋」に心惹かれ、工学部の土木工学を目指し、家から遠く離れた北の大地にあるH大に入学する。運営のすべてを寮生が行う自治寮に暮らし、大学を紹介する団体の活動、フィールドワークを主とするサークルなど、友人たちと青春を謳歌している彼のもとに、母が失踪したと双子の弟、絢太から連絡が入る。あの、どこか抜けていて感受性豊かな母が、なぜ家族を残して突然消えてしまったのか……。自然豊かな美しいキャンパスで大学三年生となった青年の成長と苦悩を描く、青春の光と影。
おすすめコメント
青春の光と影を丁寧に描いた作品。
みずみずしい描写に心が震えます。
青春の光と影を丁寧に描いた作品。
みずみずしい描写に心が震えます。
出版情報
ISBN | 9784334912406 |
本体価格 | ¥0 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
家族ほど身近で遠い存在はいない。他人の心よりも家族の心のほうが分からない。「家族のことについて教えてください?」と問われて詳しく答えているつもりでも、何か違うような違和感を抱いている……などなど、家族と不仲ではないけれども、距離感を覚えている人は決してすくなくないと思います。本書は(主人公の目を通して見た時)≪幸せ≫や≪円満≫に見えていた家族の中で突如起こった失踪という出来事が、家族の距離感という問題を浮かび上がらせます。この母親の失踪が、主人公の日常の一出来事として、どこか淡々とした雰囲気で綴られているのが印象的でした。重大な出来事ではあるけれど、日常は日常で変わらず続いていく、という感じが、とてもリアルです。
周囲(家族や友人など)で起こる出来事が、自身自身を見つめなおすきっかけに繋がる。悩み多き主人公の姿は青春小説の王道と言ってもいいかもしれません。会話のストレートさに照れ臭さを感じる場面もありましたが、悲惨さを強調しすぎない、とても好感の持てる物語です。
双子の絢太と啓太。顔は似てても性格は全然違う。
啓太は実家から遠く離れた大学の寮で生活している。そこに母親が失踪した、という連絡が届く。家族の在り方を考えさせられる作品。
そして、人は人に支えられて生きていることを実感できた。
喪失を経験したことで思慮の足りなさを苛み悔恨に暮れる若人、啓太。
結局自分は相手の事を、慮ったつもりでいただけだったんだな…と─。
表題作「緑のなかで」の後に収録されているのは「おれたちの架け橋」。
ここで高校3年の啓太と対面することになる。
この短編が後にきたことで、
読者はその後の啓太の身に起きた出来事の伏線を知ることになる。
二十歳の通過点を描く青春群像小説。
主人公の啓太は、普通の家庭に育った大学生。北の大地で寮生活を過ごし、高校時代の友達ともLINEで繋がる今どきの若者だ。実家には双子の弟もいる。
しかしある日、母親が失踪したことを知る啓太。
母親への感情は、思春期より抱えている複雑なものもあることを自覚している。
乗り越えなければならない家族の問題、友人との関わり。自分を思い切り出すことが出来ない不器用な啓太。内面を見つめながら、成長していく姿が描かれているのは、懐かしくもあり、歯痒くもあり。
成長するにつれ人は、自分の存在が、いかに小さなものか気付きながらも、さざ波のように社会を動かしていく存在の1つでもあることにも気づいていくのだ。
そんなことを考えさせられた、青春小説である。
出会いと別れを繰り返すのが人生なのだろう。
運命みたいな出会いと、予期せぬ別れ。そして永遠の別れ。
季節がめぐるように、出会いと別れを繰り返しながら人は”人生”という名の果実を実らせる。
今まで繰り返してきた人との出会いと別れを思い出しながら、過去に、未来に思いをはせた。
実家を離れ北海道の大学で学ぶ啓太。
学生寮で仲間たちとにぎやかに暮らす日々だが、その生活を選んだのには事情があった。
双子であるが故の悩み、母親へのこじれた感情、優秀な友人たちと自分を比べた焦躁。そんな青春の影の部分を抱え、迷いながらも進んでいく啓太。
苦しみや哀しみがあっても、若さってやっぱり眩しい。
登場人物たちは、自分本位だったり癖が強かったりしても根本的に善良で、この物語に青春小説と呼ぶにふさわしい爽やかさを与えている。
ザ青春!
大学生活とか、北の大地での生活とか、こんなふうかなーと憧れる、その姿そのものという感じだった。
お母さんの家出のエピソードはなくてもよかったかもしれない。なんとなく。
お母さんの心理が全く理解できなかったし。
表題「緑のなかで」は2016年発表の「おれたちの架け橋」の続編です。本書の後半に収録されてます、そちらを先に読む事をお勧めします。高校卒業、大学進学、ステップを踏んで少しづつ大人へと変わっていく繊細な時期が、瑞々しいタッチで描かれています。若かった自分自身や、親となった今の自分にも重ねて読んでいました。読後何故か、一汗かいた様な達成感が心地よかったです♬
同じように毎日を過ごし同じように人生の途中途中で悩む人がどれだけの数いるとしても、自分の道は自分だけの道だ。
双子でも友達でも誰にも似ていない、自分で決めて進まなければならない道だ。
素直に思いを表に出せない登場人物たちの姿に、自分や友人や、たくさんの顔が重なって見えた。
自分の道は、自分が開拓しなくてはならない。でもどの方向に歩を進めるかを決める時、同じように悩みながら進んでいる両親や友人や、自分自身以外の存在は、間違いなく必要な指針であり応援であり、大切な道しるべだ。そんなことを感じながらページを繰った。
啓太の大学3回生の1年と高校3年生の時の話が
掲載されています。
啓太目線での大学生活を堪能するだけの
単純な青春小説ではありません。
母の家出や寮での後輩や友人との関係の中で
啓太自身が自分と向き合っていきます。
小さい頃からの母への想い。
不器用で相手を傷つけてしまう自分に嫌気がさしながらも
どう相手と接していいのかわからない啓太。
そんな啓太を温かく見守る早乙女。
つらいことがあっても友達がいれば
乗り越えていける。
そんなことを思った小説でした。
大学の寮でのイベントや様子は著者の椰月さんが
モデルにして北海道大学へ取材に行ったとのことで
とてもリアルに感じました。