名もなき王国

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刊行日 2018/08/01 | 掲載終了日 2018/07/31

ハッシュタグ:#名もなき王国 #NetGalleyJP


内容紹介

「あの時以来、僕は伯母の『王国』の住人でありつづけているのです」――

売れない小説家の私が若手作家の集まりで出会った、聡明な青年・澤田瞬。

彼の伯母が、敬愛する幻想小説家・沢渡晶だと知った私は、

瞬の数奇な人生と、伯母が隠遁していた古い屋敷を巡る

不可思議な物語に魅了されていく。

なぜ、この物語は語られるのか。

その答えにたどりついたとき、見えていた世界は一変する――。

深い感動が胸を打つ、究極の〝愛〟の物語。

「あの時以来、僕は伯母の『王国』の住人でありつづけているのです」――

売れない小説家の私が若手作家の集まりで出会った、聡明な青年・澤田瞬。

彼の伯母が、敬愛する幻想小説家・沢渡晶だと知った私は、

瞬の数奇な人生と、伯母が隠遁していた古い屋敷を巡る

不可思議な物語に魅了されていく。

なぜ、この物語は語られるのか。

その答えにたどりついたとき、見えていた世界は一変する――。

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おすすめコメント

「私」の物語、瞬の物語、瞬が執筆した小説、伯母の遺稿からなる六章からなる本書は、現と幻、現在と過去、愛と暴力の気配を交錯させつつ、「とてつもなく面白いけれど、自分は一体、何を読まされるんだろう……」という不安を煽りながら加速していきます。

最後の最後で「なぜこの物語が語られたのか」が腑に落ちたとき、万感の思いが胸にあふれ、涙が止まりませんでした。

物語を愛する者として、物語に救われてきた者として、ひとりでも多くの方に読んでいただきたい傑作です。

「私」の物語、瞬の物語、瞬が執筆した小説、伯母の遺稿からなる六章からなる本書は、現と幻、現在と過去、愛と暴力の気配を交錯させつつ、「とてつもなく面白いけれど、自分は一体、何を読まされるんだろう……」という不安を煽りながら加速していきます。

最後の最後で「なぜこの物語が語られたのか」が腑に落ちたとき、万感の思いが胸にあふれ、涙が止まりませんでした。

物語を愛する者として、物語に救われてき...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784591159309
本体価格 ¥1,800 (JPY)

NetGalley会員レビュー

幾重にも積み重ねられた物語。
ページをめくるごとに、物語の深みにずぶずぶと沈み込み、息すらできないような錯覚に陥る。
最終章で明かされる真実。
フィクションは時に真実を超え、熱を帯び、輝きだす。
「物語の力」はこんなにもおそろしく、美しいものなのだと、まざまざと見せつけられたようだ。

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480ページもの膨大なストーリー。読み手にも体力が求められる本だと思います。
様々な視点で綴られていく物語ですが、それぞれの編に接点があることで、ひとつの物語となっていきます。
男女の視点、時間軸や現実と虚構など、複雑に織り交ぜられた物語は読み解くには難解でありますが、すべての繋がりが明らかとなると、この話の生まれた理由が明らかとなります。
好みは分かれると思いますが、最後まで読むことで物語の印象は大きく変わってくる、多様性を含んだ本だと思います。

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これは現実か、空想か。
語られる人物たちはまるでそこに実在するかのように語られ、読み手を錯覚に誘う。
二つの世界の境界は曖昧で頼りない。
ふらふらと導かれるままに現実と空想を行き来し、心許ないままに、物語の結末だけが欲しくてページをめくっていった。
ラスト数ページのところでその答えが明かされると、世界は一気に変貌を遂げる。
こんなに惹きつけておいて、なんて思わせぶりでずるいのだろう。
最初から、もう一度読み直したくなってしまった。

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物語の「夢か現か」という空気感に、何度か眠りそうになりながらも読み進める。
不思議な、とらえどころのない、あまりに話が飛び過ぎてもう理解がついていけてないけれど惰性で物語の中を漂うような感覚。
最後にはっと目を醒まされる。
どっしりした読後感。

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「これは物語という病に憑かれた人間たちの物語である。」この人間たちとは読者ではなく物語を作る作者のことで3人の小説家とその著作数編と彼らが語る生活を読んでいると何が現実で何が虚構なのか解らなくなって読んでいると疲れて何度も寝落ちました。

でも、徒労ではなくかつてはその病に憧れ憑かれたいと切望したものの同じウィルスに侵されても読者にしかなれなかった私は少しでもそちら側を体感できてよかったと思いました。

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不思議な設定と世界観に段々と引き込まれていき電子書籍では珍しく夢中になってしまった。何重構造にもなった物語に翻弄され、浸ってゆくのが楽しい体験でした。

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私には全く合わなかった。時系列が飛んで、意味不明な描写もあって、ストーリーに必要でもなさそうな話も多く、ついていけなかった。ラストも全く感動することが出来なかった。

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世に埋もれた無名作家・沢渡晶を伯母に持つ新進小説家の澤田瞬。そんな澤田と、とある会で親しくなり沢渡晶の未発表原稿を手にする売れない作家の「私」。

「私」は、沢渡晶と澤田瞬に興味を抱き、瞬と「私」が共作した作品(第2章)、瞬の作品(第3章)、そして、沢渡晶の中短編を(第4章、第5章)、読者に順番に提示する。

しかし、沢渡晶は本当に実在した作家なのだろうか。そんな疑問をもったまま、最後まで読んでいくと、どんでん返しが・・・!

緻密だが華麗な文章、濃縮されているが読みやすい文体。一度、読み始めると作中の「私」と同化して、最後まで読み進めたくなってしまうのが、本書の魅力だ。

まずは、全体を一回読み進めて欲しい。複雑な物語が入れ子になっており、その「めまい」を体感してみよう。どれが本当の現実なのだろうか?

しかし、一度だけで終わってしまうのはもったいない。二度目は、第4章→沢渡晶の掌編集(第5章)→第1章→第2章→第6章→第3章という順番で読んでいってほしい。すると、そこには、もしかしたら有り得たはずの別の現実が見えてくるかもしれない。ヒントは「錠剤」。これをキーワードにして、別の物語の可能性を辿ってほしい。スリリングな物語が体感できるはず。

フリオ・コルタサルの『石蹴り遊び』のように、読む順番で違う表情を見せてくれる。

そして、もう一度だけ、違う角度から読んでみてほしい。この小説は、構成の巧みさだけではなく、実は平成という時代の問題についても触れているからだ。

「性的アイデンティティのゆらぎ」「児童虐待とその問題」「高学歴無職者の増加」「独居老人の問題」「家族と血の繋がりは重要か」「個人の自立と夫婦であることの必然性」「隔離されたコミュニティ」「偶然に起こる不幸にどう耐えるか」など。

平成的問題と幻想的なストーリーが矛盾なく同居しているところに、この小説の三つ目の面白さがある。

一粒で三度美味しい。

『名もなき王国』はそんな小説だ。

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最後の方になるまで、自分が何を読んでいるのか、行き着く先がどこなのか、あまりわかりませんでした。最後、「そういうことか!」となり、初めから読み返したくなりました。最後の思惑がわかったら、今までの色々な話が、壮大な愛の物語に思えました。

ポプラ社のイメージが児童向け文学だったので、こういうのも出してたんだ!と思いました。

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