ヒトラーと暮らした少年

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刊行日 2018/02/28 | 掲載終了日 2018/07/12

ハッシュタグ:#ヒトラーと暮らした少年 #NetGalleyJP


内容紹介

<内容紹介> 

『縞模様のパジャマの少年』のジョン・ボイン、待望の新作!

パリに生まれた少年ピエロがたどる、数奇な運命の物語。

少年は、ただ、信じただけだった。目の前に立つ、その人を。

そして、ただ認められることだけを夢みて、変わり始める… …。

7歳の少年ピエロが憧れたのは、ヒトラー総統その人だった。


<内容紹介> 

『縞模様のパジャマの少年』のジョン・ボイン、待望の新作!

パリに生まれた少年ピエロがたどる、数奇な運命の物語。

少年は、ただ、信じただけだった。目の前に立つ、その人を。

そして、ただ認められることだけを夢みて、変わり始める… …。

7歳の少年ピエロが憧れたのは、ヒトラー総統その人だった。



おすすめコメント

<翻訳者の言葉> 

本作では、無垢だった主人公の少年が加害者へと変わっていく恐ろしさを描いていますが、主人公を変えてしまった力は、現代の世界にも、そして私たちの暮らす日本社会にも潜んでいることを忘れてはなりません。(翻訳者・原田 勝)


<翻訳者の言葉> 

本作では、無垢だった主人公の少年が加害者へと変わっていく恐ろしさを描いていますが、主人公を変えてしまった力は、現代の世界にも、そして私たちの暮らす日本社会にも潜んでいることを忘れてはなりません。(翻訳者・原田 勝)



出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784751528778
本体価格 ¥1,500 (JPY)

NetGalley会員レビュー

無垢な心はいとも簡単に、染まっていくのだと、戦慄するほどの恐ろしさで、先を読むのをためらうほどの一冊。
装うことのできない幼い魂が変化していくさまと、それにより加害者となっていく存在。いじめられるならいじめちゃった方が楽じゃない?という少年の言葉は、エピローグで不思議な縁となってブーメランのように読む側に戻ってくる。
両親を失った少年が、ヒトラーから制服を貰い何かに帰属する喜びを得ていく、どこか誇らしさは決してわからない心の動きではない。だからこそどの時代にも通じる怖さにもつながっている。
児童書の分類ということだが、大人も読むべきだし、中高生にも多く読んで欲しい。

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いつもユダヤ人側からしか読んだことがなかったのであの当時のドイツ人の中で自分の考えで行動する人がいくらかはいたんだとその勇気に驚きでした。

私はユダヤ人を大量虐殺をした人だと知った上でしかヒトラーのことを評価できないからピーターがヒトラーのどんなところに憧れたのかはわからないけど、どんどんヒトラーの考え方に染まっていく彼からカリスマ性が凄かったんだと思った。

自分がいつ何が正しいか正しくないかを考えることをし始めたのは学校と親に反抗したかったからだと思い出した。まぁ正しい批判ではなかったけれど。
ピーターがヒトラーがしたことを理解するまで格好いい制服とあの山荘に住んでてヒトラーと話せることの優越感に浸っていてそのことに不満はなかったんだなぁと思った。

帰属した集団の中で何が正しいか正しくないかを考え、何も恐れず発言できることがどんなに自由かがわかります。

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「ハイル・ヒトラー!(ヒトラー万歳!)」
自分の発した言葉の意味すらわからず、おばに教えられた通り、少年はアドルフ・ヒトラーを目の前にしてにそう叫んだのだ。

総統閣下の前では言ってはいけないこと、してはいけないことがある。
はじめはおばのそんな言いつけを守っていただけだった。

しかし、あまりにも幼く、分別もつかないうちに植え付けられた知識は少年を少しずつ侵していく。

ピエロにはフランス人の母とドイツ人の父、ユダヤ人の少年・アンシェルという親友がいた。
母と父を深く愛し、親友をまるで兄弟のように思っていた。
しかし、両親を亡くし、おばに引き取られたことが彼の運命を大きく変えることとなる。
おばが家政婦として暮らすその山荘の主人こそ、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の指導者アドルフ・ヒトラーだったのだ。
ヒトラーの言葉は毒のように幼いピエロの体中に巡り、いつしかピエロにとってヒトラーの思想こそが自分の思想であり、ヒトラーの言葉が自分の言葉となっていた。

ママンが大好きで、友達思いだったあの少年がヒトラーに聞かされた言葉を暗誦するかのように女性蔑視、ユダヤ人への差別を口にする姿は醜く、虫唾が走る。
しかし、そこにピエロ自身が考えて口にした言葉は一つもない。

まるで洗脳のようだ。
知ること、考えることを放棄し、気がつかないふりをし、ただ妄信し、迫害する側へと回った。

「誰に向かってそんな口を聞いているんだ」とかつて自分に優しくしてくれた人々を罵るピエロは、自分が何者でもなく、ただの16歳の無力な少年であることに気付かない。
気がついたときには全てを失っていた。
自分を守ってくれる両親も、手を差し伸べてくれたおばも、忠誠を誓ったヒトラーも。
そして、失った後に自分の罪にようやく目を向け、放浪の旅を始める。
絶望したピエロが向かう先に小さな再生の希望を見出し、物語は静かに幕を下ろす。

「いじめられるより、いっそ、いじめる側になっちゃったほうがましなんじゃないかって。そうすればだれからも痛い目にあわされないですむよね」
8歳のピエロがクラスメイトを相手に口にした台詞だ。

戦争とはこうした心理が引き起こすものなのかもしれない。
迫害されるくらいなら、迫害する側に回った方がいいという人間の本能が。
戦争に反対すれば非国民とみなされ、迫害される。
人種差別に反対すれば敵とみなされる。
わざわざ少数派につき危険な目に遭うくらいなら、本心がどうであろうと多数派に与した方が安全なのだから。
そうして思考は奪われ、口を封じられ、戦争は加速してゆく。
だから、私たちは決して考えることをやめてはいけない。

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